突然なんでもできるようになった結果wwwww 作:geeeee
俺は遠くに赤い目が光るのを見た。
あの目がある。あの足がある。おぞましい。怖い。
血の気が引く。息苦しい。声すら出ない。
襲われていたときのことが浮かび上がる。
顔を潰されたのをあいつが襲ってくるのを目で見てしまった。
俺はトラウマを植え付けられてしまったのかもしれない。
すぐに下を向く。それから頭を抱えて背中を丸めた。
こっちくんなこっちくんなこっちくんな...
いつまで経っても襲ってこない。
あいつがどうしているのか確認したいが怖くて頭を上げることすらできない。
頭の中にずっとあいつの姿がへばりついている。
したくもないのにあいつがまた俺のことを襲ってくるのを想像してしまう。
なんであいつがいるんだ。
消えたんじゃなかったのか。
こんなことなら行方を確認すればよかった。
後悔と恐怖と不安とで頭がどうにかなりそうだ。
それでも数分が経って呼吸が落ち着いてきた。
そして能力を使えることが頭から消えていたことに気づいた。
所詮一般人の精神性だ。
少し前に手に入れたばかりの能力を危機的状況下でその場で使えるなんて都合がいいことは早々ないだろう。
自分が平凡であることは自分が一番わかっていたはずだ。
いや平凡であるからこそ図に乗ってしまうのか。
そうやって自分を下げ、愚かさを一般化することで冷静さを気取ってみる。
俺だって平凡な一般人はそもそも侵入禁止区域に行くなんてことはしないと理解しているのだ。
まぁそんなことはどうでもいい。
あいつが襲ってこないのは能力が働いているからだろうか。
こっちに来んなと念じに念じたからか。
ならば
消えろ
…いまあいつはどこにいる。
もういなくなったのか?
俺の近くにいるのか?
いないと返ってきた。
安心して顔を上げると。
ま だ い る
なぜだ。なぜなのか。
いや、よく見るともう1匹いる。またいた。
横を向いても、後ろを向いてもいる。
無数の敵対種が俺のことを囲んでいることに気づいてしまった。
「消えろ消えろ消えろォ!」
過呼吸になる。
消えた。今度こそ消えた。そのはずだ。
あいつと指定したから能力が正しく反応しなかったのだろう。
もう大丈夫だ。
敵対種は俺の近くにいるか。
いると返ってきた。
どこだよ。
いや、能力の使い勝手の悪さを考えると近いを1km離れたところまでとかそんな感じで指定しているかもしれない。
範囲を正確に指定すれば大丈夫だ。
俺を中心とした半径5m圏内に敵対種はいるか?
いないと返ってきた。
よかった。
緊張の糸が切れた。
もう嫌だ。こんなところなんか一秒たりとも居たくない。帰りろう。
冒険なんて身の程知らずだった。
俺の部屋へ転
「ア゛ア゛ァッ!」
またか。またなのか。
背中が痛い。吐き気がする。毒か?腹立つなぁ。
なぜだ、敵対種は近くにいないのだろう。
新手だろうか?
ゆっくりと後ろを振り向く。
大きなムカデのような何かが背中に張り付いていた。
あいつらとは形も雰囲気も全く違うし、禍々しさもだいぶ弱い。
身の程知らずのゴミめ。
害虫の分際で俺を背後から攻撃するとは。
「死ねッ!!」
でかいムカデみたいなのは背中から剥がれて、ねじれた状態で倒れた。
こいつは死んでいるか?
死んでいるらしい。
ざまあみろクソ虫、どうやったってお前なんかが俺に勝てるはずがないんだ。
そうだ、やることが明確ならばしっかりと行使されるのだ。
背後に気をつければ、死ぬことなんてないはずだ。
背中が痛いのだって、気持ち悪いのだって。
治れ。
この一言で治...らない。
なんでだよ。
まあいい、背中は痛いがあいつに襲われた痛みよりはマシだし、耐えきれないこともない。
なんでもいい、今度こそ家に帰ろう。
転移。
目の前の景色が変わる。
周囲にあった俺の血の匂いも、木の葉が擦れる音も、風もない。
なんか少しくさく、地面は硬い、見知らぬ人がいて、何かを構えている。
そして明るい場所だ。
ようやく待ち焦がれた家に転移できた。
かなり使い勝手が悪いだけでお前はやれば出来る子だもんな。
そんなことより
「ど...どちら様でしょうか」
誰だこいつら。