記念話ではなく、通常話になります!
10:58 誤字訂正しました。
報告をくださった方ありがとうございます!
「もう少しで雨が降るな、これは……」
そういいながら真澄は道を歩いていた。氷川紗夜が走り去ったあとを追いかけ、CiRClE近くの橋に着いた。
紗夜の姿は、もうとっくに見失っていたがここら辺を通ったのは間違いないだろう。
「恋から聞いたのは、2人は仲良しだったってこと。それが不仲になったのは中学あたりらしいな。いきなりだったから恋も驚いていたが……」
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真澄は、ここに来る前に恋に連絡をしていた。すると……
「姉さんたち……前はすごく仲良しだったんです……ただ、中学頃から紗夜ねぇが日菜ねぇに怒っていたんです……僕はただ……元の仲のいい姉さんたちに戻って欲しかったんだ……でも、紗夜ねぇに言葉が届かなくて……」
「その日菜って何か紗夜に何かしたのか?」
「ううん……いつも通り、同じことをしてたってことぐらい……それ以外特にないはずだよ……」
「同じこと……っか……」
そう呟くと、あの世界で仲の良い双子を思い出していた。体の不自由な姉、身体能力が通常の人より、ずば抜けた妹……
その2人は互いに殺し合っていた。姉は、敵組織に騙され、身体が普通に動くようになると身体を改造され、バケモノに変わってしまった。妹がそれを食い止めるよう、ずっと1人で戦っていた。
結果的に、妹は姉を人間として、最期を送ってあげたのだ。
おにぃさん? おにぃさん!!
「……あぁ、恋。ごめん」
「いえ、大丈夫だよ? おにぃさん……」
「ん? どうした?」
「姉さんを、紗夜ねぇをお願いします……もう、あんな2人を見たくないんです……!」
「あぁ、分かった。だかな、元の2人になれるかは紗夜次第になると思うぞ? 俺が話してどうなるか分からないが、それでもいいのか?」
「それでも! ……可能性があるならかけてみたいんだ……」
「…………」
今まで聞いたことのない、恋の弱音……俺はそれに答えたかった。
「了解……」
「おにぃさん……紗夜ねぇを……日菜ねぇをお願い……!」
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「あそこまで言われたらな……っと」
恋との連絡を思い出していると雨が降りはじめる。だが、意識が逸れたおかげか、かなり小さいが下の方から鼻を啜る音が聞こえた。
「今のって、橋の下からか? 少しみてみるか」
そういいながら橋の下に降りてみると、探していた『氷川紗夜』をみつけた。
見つけたと同時に空から雨が降りはじめる。
「君は……氷川紗夜だよな?」
「……貴方は?」
「俺は初谷真澄……恋の友達だよ。あのぶつかった時、泣いていたから追いかけたんだ」
「ぶつかったとき……あのときはすいません……わたしも急いでまして」
「氷川日菜」
「……!?」
「原因はそれだろ?」
「貴方もですか……」
「…………」
そういうと、紗夜から生温い怒りに満ちた顔をし、こちらに牙を向けてきた。
「貴方も! わたしと日菜を比べるんですか!!?」
「……」
「あのとき、決めたはずなのに……。日菜と話せますようにって……っ!?」
「あのとき……?」
「何なんですか……もう、放っておいてよ! 1人にさせてよ……!」
「別に、俺がここにいるのは氷川紗夜。君が泣いていたから」
「泣いていたからなんなんですか! 泣くなっていいたいんですか!」
「誰かが言っていたんだ、『涙はこころのダム。誰にでも決壊することがある』ってな。だったら、思いっきり泣けばいい、それで涙が枯れたらまた前を向けばいい。急ぐことはない。自分のペースでゆっくり、そして確実に歩いていけばいい」
「貴方は……」
「涙を流してるところを見られたくないなら、背中を貸してやる。それで思いっきりどうしたいのか……第三者の俺に話せばいいさ……それに……」
そう言い、紗夜を見つめ直す。両目からは絶えず、涙が流れ落ちている。ただ、しっかりとこちらを見ていた。
「紗夜……君なら、まだ引き返せるとこにいるんだ」
「引き……返せる……? どういうことですか?」
「君は、まだ話し合いという選択がとれるんだ。同じ姉弟や姉妹を持つもの。だが、決定的な違いがあるんだ。俺はもう話せない。抱きしめて、両手で体温すら感じることができないんだから」
「それ……って……」
「いや、姉さんが亡くなった訳じゃないんだ」
「そしたら……」
「会いに行きたい。でも、いけないんだよ。この世はね……Den ypárchoun lógia stous nekroúsなんだよ」
「え……?」
「ここだけは隠しておきたいんだ。ごめんね? それに君に迎えがきたようだね」
そうしていると、どこからか雨の中バシャバシャと慌てながら、走り寄ってくるものがいた。
その人物は、氷川紗夜と似たようで少し髪の長さや色が違った人であった。多分紗夜の妹の日菜だろう。その手には傘が握られていた。
「おねーちゃん! やっと見つけたー! っておねーちゃん! その子誰〜!」
「ひ、日菜……」
「答えを出せないなら、待ってもらえ。だが、先延ばしにするな。延ばしたとしても……1週間。その日までに話すと決めるんだ。自然と話せるようになる。紗夜、君にはその力があるはずだ」
「……」
「さて、俺も帰って準備をしないとな」
「ありがとうございます……」
そのまま真澄は、橋の下から出て、雨に濡れながら家に帰宅した。
「おねーちゃん……」
「夜、話せないかしら、日菜」
「う、うん! だいじょーぶだよ!」
「ありがとう、日菜。それに……」
「おねーちゃん、雨に濡れてるし、はやくお家に帰ろ。おかーさんがお風呂沸かしてくれてるし」
「日菜……ごめんなさい……ごめんなさい……」
いつまでも暗い雨空だが、悪い気はしなかった。