あのあと、猩たちはとある一軒家の前にたたずんでいた。
「それで…あのままここに連れて来られたわけだが。」
「ええ、そうね。」
「いつものあのデカい屋敷に連れられると思ったが、なんで…」
「『今は』ここが私の…私達の家よ」
「『今は』……ね?まぁ、いいけど恋の他にも、あの3人とも一緒なのか?」
「えぇ、あのあとどのメンバーもイザコザがあってね…まぁ、私の場合は元々こうする予定だったからね。ならメンバーの全員集まっていた方が都合がいいもの。」
「まぁ、どのメンバーも家族と仲悪かったもんな……。まぁ、俺は指導する側だったからな。」
「で、でも!おにぃさんがいたから僕たち頑張れたんだよ!おにぃさんがいなかったら、まず演奏をしようって思わなかったもの!」
「まぁ、ちょうど集まっていたメンバーが偶々別々な担当で、偶々俺が指導できていたからだ……」
「それでも、その時は貴方しかいなかった…それは偶然だったのかしら?それとも奇跡かしら?私はそう思わないわ。」
「偶然でも、奇跡でもないなら……必然か?」
「えぇ。私たちは出会うべくして出会った。そう感じたわ。」
「僕たち、あのままだったら…本当に取り返しのつかないとこまでいってたかもしれないし……」
「あのままだったら…か……」
そういい、出会ったことを思い出そうとしたところ。玄関の扉が勢いよく開く。
そこから飛び出してきたのは、恋と同等の身長をし、金色の長い髪を振り回しながらこちらに突っ込んでくる少女がいた。
その後ろからは少し大人びた茶髪の男性と、ガタイのいい、身長高めの黒髪の男性が見えた。
「猩くぅーーん!!お待ちしてましたぁ!!」
「はいはい、落ち着け落ち着け〜」
「猩さんだぁ!本当の猩くんだぁぁあ!!」
「あらあら、すごく懐かれてるじゃない猩。」
「なんでこんなに懐かれてるんだ?覚えてる限りじゃ、すごく威嚇的だったんだが……」
「えぇ、合っているわよ。それで。」
「なら、なんで?」
「それはね……」
「おにぃさんが急にいなくなったからなのです。」
「へ?」
「威嚇的だったのは、好意があったのを隠そうと…まぁ照れ隠しですね……」
「も〜、やめてよ〜恋く〜ん。あまり昔のこと話さないで欲しいな〜私は。」
「まぁ、いいか。それで、お前たちもこいよ。」
「あぁ、久しぶりだな、猩。」
「久しぶりってより、おかえりって言ったほうがいいんじゃね?」
「まぁ、とりあえず会えて良かったよ。」
「無事で良かったし、これからまた、日常続けてけばいいだろ!」
「あ、そのことなんだが…なぁ命。1つ頼みがあるんだけど。」
「あら?どうしたの?」
「黒服を1人、借りてもいいか?やっておきたいことがあるんだ。」
「別に構わないけど、私たちも手伝うわよ?」
「いや、これは俺自身でやらないといけなあからな。それに、今やらないとこれから俺が困っちまうし……」
「そういうことか、猩」
そういいながら茶髪の男性は近寄ってくる。他の人物はまだ気付いていなかった。
「社(やしろ)は気づいてたか。まぁさすがにこのままだと、どこにもいけないからな……」
「このままだと、動けない?おにぃさんは足に怪我でもしたんですか?」
「とりあえず、今の世間では俺は死人だぜ?だから、黒服さんについてきてもらって、自分の別戸籍を用意してもらいたいんだ。さすがにこのままだと何もできないからな……」
「ふーん。そしたらお店とか何か開くのかしら?そのための資金も必要よ?私も…いえ、私たちも手伝いたいけれどそこまでの資金は……」
「資金に関しては、多分大丈夫だろう。それについては、対策はある。あとは自由に動けるように戸籍が欲しかったんだ。だかは黒服さんを1人手伝ってほしいと頼んだんだ。」
「そう、なら1人貴方に同行させるわ。でも戸籍できて、資金ができなかったらこの家に戻ってきなさい。ここは…猩の帰るための1つの家でもあるのだから。」
「……ありがとう、命…みんな。」
「さて、とりあえずはこれで辛気臭い話は終わり。ご飯にしましょ!」
「了解です!猩くんも一緒にいきましょ!社[やしろ]くんのご飯とても美味しいんですよ!」
「俺だけじゃなく、紅[こう]、お前のも美味いからな?命のほうも最近では、お菓子等も作ることもできてきてるしな」
「そうだったんだな…そしたら俺も何か作っておいた方がいいかな?また、このメンバーに会えたし…祝いとしてだな。」
「え!?猩くんも料理を作るんですか!?是非是非食べたいです!私!!」
「猩も作れるのね…そしたら、今日は社と猩の2人に料理を任せるわ。」
「分かった…とりあえず、何食べたいか聞いてもいいか?それで作っていくからさ。」
「そうね…私は、ハンバーグかしら。」
「僕は…カレーを食べたいですね。」
「私は猩くんと、社さんの作るものならなんでも!」
「…俺はみんなに合わせる。ただ、デザートにプリンがあればいい。」
「ふむ、ハンバーグにカレー。それにプリンか…そしたらプリンとカレーは俺やるから、社はハンバーグを頼む。多分大量に必要だろ?プリンは1人1つにしとけば簡単だしな。」
「オッケー!ならハンバーグは…10個位あれば大丈夫かな?」
「全然大丈夫だろう。さて作り始めるか。」
そうして、猩たちは食事会を始める
今まで会えていなかった分、たくさん話をし、たくさん話を聞き……
笑いあいながら、楽しい時間を過ごしていたのだった。
楽しい食事も終わり、食器を洗おうとした猩だったが、命に止められ、恋と夕也の2人がやることになった。
テーブルについて、コーヒーを飲みながらみんなでテレビを見ていると、パスパレの番組が始まっていた。
「あっ、日菜姉さんたちだ。パスパレのみんなも集まってるんだな〜珍しい。」
「そういえば、猩も姉ちゃんいたよな?たしか……そうそう!」
「パスパレの彩ちゃん!」
「みなさんこんにちはー!まんまるお山に彩りを!丸山彩でーす!」
「彩ちゃんだったよな?」
そう声が聞こえると同時に彩姉さんの自己紹介が聞こえてきた。
「そういや、猩。お前、なんで夏なのに長袖で、片手袋なんだ?」
「ん?あぁ、これ実はさ。義手なんだよな。」
「へ?えぇぇぇぇ!!?」