先に言いますが、今回は色んな人物が登場します。そして、数多くのキャラ視点があります。皆さんも楽しめるかと思います。前回繰り越した分が今回に盛り込まれているので、文章量はいつもより多いかと。
では、本編を開始します。
[湊家 リビング]
「……意志って、何なのかしら」
…解らない。刄さんが聞いた問いの意味が解らない。私の……意志………
「……どうした、友希那?」
「…お父さん」
悩んでいると、私の父である
「……SMSに出たのだけれど、観客がいなくなったの…………」
「成る程……」
「それで、その時いた燐子のお兄さんに『お前らに意志はあるのか』って聞かれて……」
「…答えられなかった、と」
「……ええ」
本当に解らない。今までは何とかなったけど、今回は自力で解決出来る気がしない。……彼は私達に何を伝えたかったのかしら……?
「……その人はかなり聡明な人だね」
「……え?」
……どういう事?彼が聡明?………全く解らない。どうしたらそんな結論に…?
「……その人は、あえて
「…私達に…必要なもの……」
……まさか、
「でも、それを察知出来なかったら……?伝わらなかったら、それこそ本末転倒になるんじゃあ…」
「
「え?」
「友希那達は1バンドでありながら、まだ高校生なんだ。もっと周りに聞いても良いんじゃないかな?」
「……あっ」
…そういう事なのね、刄さん。周りに頼る事を忘れちゃいけないのと、意志を持ってRoseliaの皆で目標に向かう事を教えようと……。
「……刄さんに感謝しないと」
「……刄?」
「…?どうしたの、お父さん」
刄さんの名前を聞いて、お父さんが一瞬驚く。……どうしたのだろう。
「……いや、気にしないでくれ」
「……わかったわ。お父さん…ありがとう」
「…うん」
……後は、自分の意志を見つけるだけ。…………あれ?
「………あ」
……そうだ、私の意志は変わらない。ずっと前から…それを掲げてたのに。…皆に謝らないと…………
「…もう一度…!」
私は、もう間違えない。だって私は………
[氷川家 紗夜の部屋]
「………」
…どれだけ思考を重ねても、答えは出ない。どれだけ問いの見方を変えても、意図が掴めない。……刄さん…貴方は何を……?
そんな考えを遮るかのように、部屋の扉が大きな音を立て、開かれた。
「おねーちゃん!!」
「ちょ、ちょっと!日菜!」
…あの件から、私と日菜は本音で話し、打ち解けた。今となっては関係良好。仲良くなっているのが解る。……急に抱きつかれるのは、少し…恥ずかしいけれど。
「……おねーちゃん?何か悩み事?」
「……ええ、ちょっとね…」
……私は、日菜に事の顛末を説明した。すると、日菜は真面目な顔になって………
「…バント、辞めたいの?」
「そんなわけ…ないわよ!」
「じゃあ、
「……え?」
何でって、それは……あれ?改めて考えてみると、
「おねーちゃん、Roseliaにいたいんでしょ?」
「……ええ」
「じゃあ、
「………あ」
…そんなに簡単な事だったのね。まさか、日菜からこういう類いの事で教えられるとは、思ってもみなかったけれど。
「ありがとう、日菜」
「うん!」
……本当は自分で解決するべきなんだろうけれど…
「……日菜、もう1つ、相談があるのだけれど…」
「なになにー!」
久し振りね、こんなに誰かを頼るなんて。
「…日菜には、意志ってあるかしら?」
「意志?あるよ!」
「……どんなもの?」
「おねーちゃんとずっと一緒にいる!」
「……!」
…私は日菜を見返そうと音楽をしてきたのに。貴女が眩しくて見えないわ。……でも。
「…ありがとう、日菜。お陰で意志が何かわかってきたわ」
「うん!今のおねーちゃん、るるるん♪って来る!」
「わっ!……全く…」
……意志は、とてもシンプルなものなのね。見えてきた気がする。…………あら?
同時刻
「……わからないな~…」
公園のベンチに座る。ここは、友希那とよく遊んだ公園だ。……アタシは…
「…あれ?リサ先輩!どうしたんですか?」
「あっ…ひまり…」
…そんなに顔に出てるかな~?
「…実はね」
「…そんなことが………」
「…ねぇ、ひまりの意志ってどんなものなの?」
「そうですね、『蘭達とずっと一緒にいる』、ですね!」
……それは、意志なのかな?どっちかって言ったら、願望に近い気が…
「リサさんらしくないですよ!難しく考えなくて良いんですよ!だって……
リサさん、Roseliaにいたいんですよね?」
「……あっ」
……なんだ、思ったよりずっと近くにあったんだ。……だとしたら、アタシの意志は………
「…ありがとう、ひまり☆」
「あっ!いつものリサさんに戻りましたね!」
アタシは………もう迷わない!!………ん?
[宇田川家 リビング]
「……わかんないよ~!」
あこには、刄兄の言ってた事が解らない。どうしたら……
「…あこ?どうしたんだ?」
「お姉ちゃん!………実はね…」
あこだけじゃわからないなら、お姉ちゃんに聞いてみたら、わかるかも!
「うーん…アタシには解らないな……」
お姉ちゃんでもダメだった。どうしよう……ますますわからないよ~!
「…でもな、あこ」
「?」
「そういう時は、別方向から捉えてみるんだ」
「…どーゆーこと?」
「あこは、昔も今も……そしてこれからも、したいことって何だ?」
…そんなの、決まってる!
「あこは、Roseliaの皆とずっとバンドしたい!ライブしたい!カッコいい事が、したい!!」
「…それが、あこの意志だな!」
「…あっ」
そっか、刄兄が言ってた意志って、こういう事だったんだ!あこ、またRoseliaで演奏が…………あれ?
[道中]
「…お兄ちゃん………わからない…よ」
お兄ちゃんは、仕事に行って…お父さんとお母さんも、朝からまた急な仕事が入って、また出張。…そのせいか、今は家に帰りたくない気分です。
「…燐子さん?どうしてこんな時間に?」
「……月峰…君?」
私が途方に暮れていると、後ろから月峰君の声が。相も変わらず、私を癒してくれるような声。
「……どうしたんですか、悩み事ですか?だったら、俺が聞きますよ?」
…月峰君の優しさが、身に染みます。…月峰君なら、私に何かを教えてくれるかもしれません。
「…そんな事があったんですね」
「……うん」
「…でも、もう答えは出てると思いますよ」
「……え?」
「……じゃあ、聞きますけど、その…Roseliaっていうバンド、辞めたいですか?ピアノ、弾きたくないですか?」
「……辞め…たくない!Roseliaも……バンドも!!」
「……ほら。答え、出てるじゃないですか」
……そういう事だったんだね、お兄ちゃん。……また、月峰君にも…助けてもらっちゃった…ね。
「………ありがとう、
「………ヴェッ!?」
………お兄ちゃん、私………
好きな人……出来た…みたい。
………ん?
〔明日、CiRCLEの2番スタジオに 来てちょうだい。話したい事があるわ〕
奇跡は起きた。零に近い可能性の道が彼女らの前に現れた。さぁ、刮目せよ。美しく咲き乱れる青薔薇が、頂点への道を彩ろうとする第一歩を。
ということで、第13話が終わりました。
彼の言った賭けは、成功したように見えますね。…さて、何処まで先読みしているんでしょうか。次回は、それぞれの思いを胸に、集う青薔薇。それぞれの『意志』を示す為、道を行く。新たに創られる歌の名は………
次回『本当の意味』