IS―空の彼方へ―   作:神楽 光

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 お久しぶりでーす。いや〜やっと受験勉強が終わりました!(受験が終わったとは言ってない)
 これからはバンバン書いていきます!(投稿できるとは言ってない)

 なんで上中下じゃないのかですか?先に下を作って書き直すのがめんどくさくなったからです。


第34話 VTシステム戦 終戦

 立ち上がってVTシステムを睨め付ける。

 今までの攻撃がそこそこ効いていたのか、立ち上がるのが辛かったけど、我慢して心を奮い立たせる。

 VTシステムは興味深そうに僕達の会話を聞いていた。これは原作通りだ。

 

「一夏」

 

「おう!」

 

 右拳を一夏に向けると、それに応えるように一夏は拳を合わせてくれた。それで、勇気を貰えた気がした。

 チラ、と一夏を見る。一夏も僕を見て、それで意思疎通が完了した。

 拳を下ろし、ストレージから剣を取り出す。刀は弾き飛ばされたので近くに無いのだ。

 剣の名は『模造剣』。もうこれだけでランクが下がったのが丸わかりだ。

 僕はブースターを起動して一気にVTシステムに接近し、剣を振るう。が、当然のように受け止められ、カウンターを喰らわせにきた。それを避けることはしない。何故なら、僕は一人で戦っているわけじゃないからだ。

 

「おりゃあ!」

 

 横合いから一夏が"雪片"弍型を振るう。VTシステムはそれに気づき、カウンターの為に伸ばした腕を引き戻し、咄嗟に防御した。そして今度は一夏に標的を変え、もう片方の手から光を発し、さっきのビームを撃とうとする。

 僕はすぐさまその手に向けて剣を振るい、破壊しようとする。しかし、光は収まったが剣を掴まれ身動きができなくなった。膠着状態に陥った……わけではない。

 何故ならこの場には、もう一人いるからだ。

 

「「シャル!」」

 

 一夏と共に呼びかけ、二人でニヤリと笑う。

 

「大丈夫。いくよっ!【灰色の鱗殼(グレー・スケール)】ッ!」

 

 すぐ近くで声が聞こえて、突然VTシステムの頭が爆ぜた。シャルのパイルバンカーによって撃ち抜かれたのだ。これにより、VTシステムが一度動きを止めた。

 

「一夏ァ!」

 

「おおッ!」

 

 僕たちははすぐさま後退し、シャルは【高速切替(ラピッド・スイッチ)】で銃器を取り出してVTシステムに弾幕を張っていく。

 僕は"模造剣"を、一夏は"雪片弍型"をそれぞれ構え、VTシステムに迫っていく。僕は右から、一夏は左から。

 VTシステムはシャルの方に意識を向けていて、こちらを警戒しながらもシャルの方を潰そうとする。

 

「「はあああぁぁぁあああッッ!!」」

 

 VTシステムに近づき、ある程度の所まで近寄った瞬間に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使って、一夏と同時にクロスするように剣を振り抜いた。

 VTシステムはどちらの攻撃を防ごうか一瞬考えたせいで動きが一瞬止まった。そこに僕たちの振り抜いた剣が突き刺さり、黒い装甲にクロスを刻みつけた。

 

 そして、僕はいつの間にか真っ黒の空間にいた。

 

「……ここ、は」

 

 そこに見覚えはなく、ただただ真っ黒だった。

 

「誰だ?」

 

 唐突に声をかけられた。振り向くと、そこにはボーデヴィッヒさんが立っていた。

 

「……ボーデヴィッヒ、さん?」

 

「お前は……何故、ここにいる」

 

「……いや、僕も良くわからなくて。ボーデヴィッヒさんはここがどこだか知っているの?」

 

「いいや。知らない」

 

「……そっか」

 

 そこで一旦沈黙した。だけどすぐにその沈黙は破られた。破ったのはボーデヴィッヒさんだった。

 

「……皆本。一つ、聞いて良いか」

 

 不安げな様子で、瞳を揺らしながら彼女は言った。

 

「……うん」

 

 僕は微かに頷いて先を促した。

 

「強さとは、なんだ」

 

 彼女はそう言った。

 強さ、か。

 

「……僕にとっての強さは、優しさ、かな」

 

「優しさ?」

 

「……うん。優しさって言うのは、誰かを救おうとすること。誰かを助けようとすること。自分自身を助けるだけなら、それに見合った力だけで良い。自分のことは、自分がわかっているだろうから。でも、誰かを助ける為ならきっとそれ以上の力が必要だ。だって相手のことを知らないから。隅々まで知ってるなら別だけど、きっとそういう人は多くない。だから、誰かを救おうとする、助けようとする力は、心は、何よりも、強いものだと思う」

 

「────そう、か」

 

 ボーデヴィッヒさんは視線を足元に落とし、落ち着いた声でそう言った。

 

「……何か、掴めた?」

 

 何かあるのだろう。原作でも、確かこのような場面があった筈だ。

 

「ああ、お陰様でな。ありがとう」

 

「……ううん。お役に立てたのなら、良かった」

 

「お前も、何か吹っ切れたようだな」

 

 フッとニヒルに笑って僕を見るボーデヴィッヒさん。そんなにわかりやすかっただろうか。

 

「……そう見える?」

 

「ああ、何か憑き物が落ちたような、そんな晴々とした顔だ」

 

「……そっか」

 

 話が終わった途端、段々と真っ黒の世界が薄くなり、白に染まっていった。

 

「……終わり、かな?」

 

 黒から濃い灰色へ。

 

「ああ、そうみたいだ」

 

 濃い灰色から薄い灰色へ。

 

「……じゃあ、またね」

 

 薄い灰色から、白へ。

 僕が言って手を挙げると、ボーデヴィッヒさんは目を見開いた。そして、クスリと笑い手を挙げて言った。

 

「っ!───また、な」

 

 真っ黒の世界が遂に真っ白に染まりきり───。

 

 目を開けると、元のアリーナに戻っていた。振り返ると、壊れたVTシステムが僕と一夏を見ていた。そして、装甲が崩れていく。

 

『────』

 

 どろりと装甲が溶け、液体のように床に広がる。バチバチと紫電を発しながら、原型を留めないほどにドロドロに溶けた。

 そして中から無傷の生まれた姿のボーデヴィッヒさんが現れた。意識は無く、静かに呼吸していた。




 ちょっと変な終わり方……かな?
 精神世界の話は飛ばそうかとも思いましたが挿入。耀夜くんが思う強さを語りました。

 さて、もうそろそろ臨海学校ですね!暴れる……かも?

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