この素晴らしい奉仕部に祝福を!   作:149

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#10 再来

俺たちは正門前に慌てて駆けつけ、重装備だったダクネスだけは到着に遅れていた。そして門の前には案の定

 

「やっぱりか…」

 

あの魔王軍幹部のデュラハンがいた。更には後ろにモンスターを引き連れている。後ろのモンスターはボロボロの体に鎧、見るからにアンデッドだ。デュラハンは俺たちを見つけると、開口一番叫びを上げた。

 

「なぜ城に来ないのだ、この人でなしどもがああああああっ!!」

 

アンデッドに言われたくねえよ。

 

「ええっと……。なぜ城に来ないって、なんで行かなきゃいけないんだよ?後、人でなしって何だ。もう爆裂魔法も撃ち込んでいないのに、何をそんなに怒ってるんだよ」

 

確かにもう爆裂魔法の日課はやめたし、怒る理由はないはずだけど…。カズマの言葉に怒ったデュラハンは思わず左手に抱えていた物を叩きつけ…ようとして、自分の頭だってことに気付いて、慌ててやめた。

 

「爆裂魔法を撃ち込んでいない?撃ち込んでもいないだと!?何をぬかすか白々しいっ!そこの頭のおかしい紅魔の娘が、あれから毎日欠かさず通っておるわ!」

 

「「えっ」」

 

俺とカズマはそれを聞き、隣のめぐみんを見る。めぐみんは、ふいっと目を逸らした。

 

「………お前、行ったのか。もう行くなって言ったのに、あれからまた行ったのか!」

 

「ひたたたたたた、いた、痛いです!違うのです、聞いてくださいカズマ!ハチマン!今までならば、何もない荒野に魔法を放つだけで我慢できていたのですが…!城への魔法攻撃の魅力を覚えて以来、大きくて硬いものじゃ我慢できない体に…!」

 

「もじもじしながらそう言うことを言うなよ…。ていうかお前一人じゃ撃った後、倒れるだろ。てことは共犯者が…」

 

俺の言葉を聞いて、アクアがふいっと目をそらす。……………。

 

「お前かああああああ!」

 

「わあああああああーっ!だってだって、あのデュラハンにろくなクエスト受けられない腹いせがしたかったんだもの!私はあいつのせいで、毎日毎日店長に叱られるハメになったのよ!」

 

「要するにただの腹いせってことですよね…」

 

「だな…」

 

俺らが呆れているとデュラハンが言葉を続ける。

 

「この俺が真に頭にきているのは何も爆裂魔法の件だけではない!貴様らには仲間を助けようという気がないのか?不当な理由で処刑され、怨念によりこうしてモンスター化する前は、これでも真っ当な騎士のつもりだった。その俺から言わせれば、仲間を庇って呪いを受けた、騎士の鏡のようなあのクルセイダーを見捨てるなど……!」

 

デュラハンがそこまで言いかけた時。重い鎧をガチャガチャいわせ、ようやくやって来たダクネスが、俺たちの隣にそっと立つ。そしてデュラハンと頬を染めたダクネスの目が合う。

 

「…や、やあ…」

 

ダクネスが、申し訳なさそうにデュラハンに片手をあげて…。

 

「……………………あ、あれえーーーーーーーーーーっ!?」

 

それを見たデュラハンは素っ頓狂な声をあげた。

 

「なになに?ダクネスに呪いをかけて一週間が経ったのに、ピンピンしてるから驚いてるの?このデュラハン、私たちが呪いを解くために城に来るはずだと思って、ずっと私たちを待ち続けてたの?帰った後、あっさり呪いを解かれちゃったとも知らずに?プークスクス!うけるんですけど!ちょーうけるんですけど!」

 

アクアが心底楽しそうに、デュラハンを指差し笑う。表情は見えないが震えてるのを見ると相当激怒してるのだろう。てか煽るなよ。

 

「…おい貴様。俺がその気になればこの街の冒険者を一人残らず切り捨てて、街の住人を皆殺しにする事だって出来るのだ。いつまでも見逃してもらえると思うなよ?疲れを知らぬこの俺の不死の体。お前たちひよっ子冒険者どもでは傷もつけられぬわ!」

 

アクアが煽ったことで限界が来た、デュラハンが不穏な空気を醸し出す。だがデュラハンが何かをする前にアクアが右手を突き出し叫んでいた。

 

「見逃してあげる理由がないのはこっちの方よ!今回は逃さないわよ。アンデッドのくせにこんなに注目集めて生意気よ!消えてなくなんなさい、『ターンアンデッド』!」

 

アクアが突き出した手の先から、白い光が放たれる。だがデュラハンはそれでも余裕そうにそれを避けようともしない。

 

「魔王の幹部が、プリースト対策も無しに戦場に立つとでも思っているのか?残念だったな。この俺を筆頭に、俺様率いる、このアンデッドナイトの集団は、魔王様の加護により神聖魔法に対して強い抵抗をぎゃああああああああーっ!!」

 

魔法を受けたデュラハンは、魔法を食らった部分から黒い煙を立ち上らせ、あちこちゴロゴロ転がっていた。それを見て、アクアが叫ぶ。

 

「ね、ねぇ!変よ、効いてないわ!」

 

いや結構効いてると思うんだけど…。だってぎゃーって言ってたし、転がってるし…。

 

「く、くくく…。説明は最後まで聞くものだ。この俺はベルディア。魔王軍幹部が一人、デュラハンのベルディアだ!魔王様からの特別な加護を受けたこの鎧と、そして俺の力により、そこらのプリーストのターンアンデッドなど全く効かぬわ!……効かぬのだが……。な、なあお前。お前は今何レベルなのだ?本当に駆け出しか?駆け出しが集まるところだろう、この街は?」

 

案外効いたのか。少しびびっている。よし。

 

「よしいけアクア。ターンアンデッド」

 

「任せて!『ターンアンデッド』っ!」

 

「え、いやちょ、いぎゃあああああああっ!!」

 

アクアの魔法を喰らったデュラハンは、また悲鳴を上げ転がる。

 

「…ハチマンお前案外容赦ないな」

 

ダメージから立ち直ったベルディアは、ふらふらと立ち上がりながら呟く。

 

「……くそ。本来は、この街周辺に強い光が落ちて来ただのと、うちの占い師が騒ぐから調査に来たのだが…。面倒だ、いっそこの街ごと無くしてしまえばいいか…」

 

どっかのガキ大将並みに理不尽なことを言い出すベルディアは、空いている右手を高く掲げた。

 

「フン、わざわざこの俺が相手をしてやるまでもない。…さあ、お前達!この俺をコケにしたこの連中に、地獄という物を見せてやるがいい!」

 

「あっ!あいつ、アクアの魔法が意外に効いてビビったんだぜきっと!自分だけ安全な所に逃げて、部下を使って襲うつもりだ!」

 

「ちちち、違うわ!最初からそのつもりだったのだ!魔王の幹部がそんなヘタレな訳がなかろう!いきなりボスが戦ってどうする、まずは雑魚を片付けてからボスの前に立つ。これが昔からの伝統と…」

 

「『セイクリッド・ターンアンデッド』ー!」

 

「ひゃあああああああああー!」

 

何かを言いかけていたベルディアが、アクアに魔法をかけられ悲鳴を上げた。

 

「ど、どうしよう!やっぱりおかしいわ!あいつ、私の魔法がちっとも効かないの!」

 

いや、ひゃーって言ってたし、絶対さっきより効いてるぞ。だってさっきより激しく転げ回ってるし。

 

「こ、この……っ!セリフはちゃんと言わせるものだ!ええい、もういい!おい、お前ら…!」

 

ベルディアは、あちこちから黒い煙を吹きながらも、ゆらりと立って右手を掲げ…。

 

「街の連中を。……皆殺しにせよ!」

 

その右手を振り下ろしながら叫んだ。

 

「おわーっ!?プリーストを!プリーストを呼べー!」

 

「誰かエリス教の教会行って、聖水ありったけもらって来てくれえええ!」

 

あちこちで冒険者が切羽詰り叫ぶ中。

 

「「「どうしよう(どうするの)!ヒッキー(お兄ちゃん)(比企谷君)がいっぱいこっちに…!」」」

 

誰がアンデッドだお前ら覚えとけよ。でもまずいアンデッドナイトは、ゾンビの上位互換。くそっ……ん?

 

「くははは、さあ、お前達の絶望の叫びをこの俺に…。……俺……に……?」

 

何故かアンデッドナイトは俺の前で止まり、俺の肩に手をかけるとアクアの方を指差し、また走り出した。

 

「………。」

 

(((((笑ったらダメ(だ)…!怒られる…!)))))

 

周りのパーティーメンバーが震えている中

 

「プークスクス!ハチマンさんったらアンデッドにアンデッド認定されてるんですけど!それでアンデッドになんか誘われてるんですけど!うけるんですけど!ちょーうけるんですけど!………え?は、ハチマンさん?なんでそいつらと一緒に…わ、わああああーっ!なんで私のとこに来るの!?」

 

何故かアクアのとこに行こうとするアンデッドナイト達に便乗して俺も追いかける。お前だけは絶対許さない。 

 

「こっ、こらっお前達!そんなプリーストにかまけてないで、冒険者や街の住人を血祭りに…!それにその後ろの男は人間だ!おいっ!」

 

それを見たベルディアが、焦った声を上げている。アクアを追いかけ回していると、方向を変え…

 

「ごめんなさい!ハチマンねえ!?わああああ、カズマさーん!カズマさーん!!」

 

「このばかっ!おいやめろ、こっち来んな!向こうへ行ったら今日の晩飯奢ってやるから!」

 

「私が奢るから、アンデッドとハチマンをどうにかしてえ!怖いのハチマンが一番怖いの!」

 

「お前のせいだろ!くっそ!」

 

そう叫ぶと作戦を考えてあったのかカズマが叫ぶ。

 

「ハチマン!その辺にしとこう!後でこいつになんでもやらせるから!あとめぐみん!魔法の準備をしとけ!」

 

カズマにそう言われ俺は渋々離れ、カズマはアクアの誘導を始め、めぐみんは魔法の準備をする。カズマとアクアは出来るだけゾンビを集めているのか冒険者の近くを通り過ぎる。そしてカズマ達はスピードを上げ、アンデッドナイト達を引き剥がす。おそらく支援魔法をかけられているのだろう。ある程度離れ切ったその時

 

「めぐみん、やれーっ!」

 

カズマの合図に、めぐみんが杖を構え、紅い瞳を輝かせた。

 

「何という絶好のシチュエーション!感謝します、深く感謝しますよカズマ!ハチマン!…我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして、爆裂魔法を操りし者!魔王の幹部、ベルディアよ!我が力、見るがいい!『エクスプロージョン』ーーーーーっっ!」

 

めぐみん会心の爆裂魔法が、アンデッドナイトの群れのど真ん中に炸裂し、轟音が響き渡り煙がたちのぼる。煙がなくなりそこには巨大なクレーターができており、アンデッドナイトを一匹残らず消しとばしていた。誰もがその魔法の威力にシンと静まり返る中

 

「クックックッ…。我が爆裂魔法の威力を目の当たりにし、誰一人として声も出せないようですね……。ふああ…。口上と言い、凄く…気持ちよかったです…」

 

そんな、勝ち誇っためぐみんに

 

「………おんぶはいるか?」

 

「あ、お願い致します」

 

そう言うとめぐみんをおんぶするカズマ。

 

「口の中が…、口の中がジャリジャリする…!」

 

一番アンデッドナイトの近くにいたアクアが半泣きでペッペッと口の中の砂を吐きながら、俺たちのほうに歩いてくる。爆裂魔法の余波で転がされたらしい。

 

「…ほら口開けて」

 

「…あー」

 

俺はアクアの口に『クリエイト・ウォーター』で水を出し、口をゆすがせ、吐き出させる。

 

「ありがとう…」

 

どうやら口の中の砂はきれいになくなったらしくお礼を言うアクア。

 

「ん気にすんな」

 

そんなアクアに俺も言葉を返す。周りは歓声で湧き上がっている。そんな中

 

「……ヒッキーってアクアんに甘いよね」

 

「まぁ…長男気質が強くて面倒みたくなるんでしょう…でもぐぬぬ悔しい…」

 

「ほんとに羨ましい限りね」

 

三人で仲良く話してるが歓声もあって何も聞こえない。それにカズマ達を見るとめぐみんがカズマの首を締めようとしていた。何やってんだあいつら。するとデュラハンが言葉を発する。

 

「くははは!面白い!面白いぞ!まさかこの駆け出しの街で、本当に配下を全滅させられるとは思わなかった!よし、では約束通り!」

 

(!?まずいっ!)

 

「この俺自ら、貴様らの相手をしてやろう!」

 

街の入り口にいたベルディアが、大剣を構えてこちらへと駆け出した。ベルディアの狙いは俺たちのようで、俺たちに向かって駆け出すが、多数の冒険者がベルディアを取り囲む。

 

「…ほーう?俺の一番の狙いはそこにいる連中なのだが…。…クク、万が一にもこの俺を打ち取ることができれば、さぞかし大層な報酬が貰えるだろうな。……さあ、一攫千金を夢見る駆け出し冒険者達よ。まとめてかかってくるがいい!」

 

ベルディアの言葉に冒険者達が色めき立つ。そして、一人の戦士風の男が

 

「おい、どんなに強くても後ろに目はついちゃいねえ!囲んで同時に襲いかかるぞ!」

 

ベルディアの横手から、周りの冒険者に向かって叫ぶ。

 

「おい、相手は魔王軍の幹部だぞ、そんな単純な手で簡単に倒せるわけねーだろ!」

 

噛ませ犬的セリフを吐くカズマ。でもこれ以外方法は…。

 

「時間稼ぎが出来れば十分だ!緊急の放送を聞いて、すぐにこの街の切り札がやって来るさ!あいつが来れば、魔王軍の幹部だろうがてめえは終いだ!おいお前ら、一度にかかれば死角ができる!四方向からやっちまえ!」

 

そんな叫びと共に飛びかかる冒険者達を前に、ベルディアは自分の首を空高く放り投げた。正直魔王軍の幹部くらいなら倒せると思った。でもそれをみた瞬間ぞくりとした。名も知らない冒険者が止めようと声を上げるが、ベルディアは背中に目があるかのように全ての攻撃をかわす。

 

「えっ?」

 

一体誰の声かはわからない。でもその声が発せられた後、ベルディアは大剣を両手で握り直し…、斬りかかってきた冒険者全員を、瞬く間に斬り伏せた。目の前で人が死ぬ。その理不尽さにこの世界の現実を思い知る。自分の考えが甘かったと考え直す。

 

(そうだ…ここは異世界…そんな甘いはずがない)

 

ベルディアは何事もなかったかのように

 

「次は誰だ?」

 

戦々恐々とする冒険者達。そんな中一人の女の子が叫びを上げた。

 

「あ、あんたなんか…!あんたなんか、今にミツルギさんがきたら一撃で斬られちゃうんだから!」

 

その一言に俺たちは固まる。

 

「おう、少しだけ持ち堪えるぞ!あの魔剣使いの兄ちゃんがくれば、きっと魔王の幹部だって…!」

 

「ベルディアとか言ったな?いるんだぜ、この街にも!高レベルで、凄腕の冒険者がよ!」

 

…まずい。確かミツルギの魔剣は売った。ってことは…切り札はないってことだ。その事にカズマ達も気付いたのか顔が青ざめていた。

 

「……ほう?次はお前が俺の相手をするのか?」

 

俺たちを庇う形で前に立ち塞がったダクネスへ面白そうに観察するベルディア。ベルディアはおそらくめぐみんやアクアの力を見て警戒しているのだろう。両者対峙したまま動かなくなった。俺はそんな二人を見ながら焦っていた。

 

(どうする…!?他の冒険者達も鎧はきていた、なのに斬られた。…耐えられるのか…)

 

そんな焦りが伝わったのか

 

「安心しろ。私は頑丈さではだれにもまけない。それにスキルは所持している武器や鎧にも効果があるんだ。ベルディアの剣は、たしかに良いものだろう。だが、それだけで金属鎧が、紙を裂くように斬れるわけがないだろう?先ほど切られた冒険者を見る限り、ベルディアは強力な攻撃スキル持ちだ。私の防御スキルとどちらが上か、勝負してやる!」

 

「やめとけよ。あいつ、攻撃だけじゃなくて回避も凄かっただろ?あれだけの冒険者が斬りかかっても当たらなかったものを、不器用なお前が当てられるわけがないだろ」

 

カズマの言葉にダクネスはじっと対峙したまま。

 

「…聖騎士として…。…守ることを生業とするものとして。どうしても譲れないものがある。やらせてほしい」

 

譲れない理由があるのか頑なにひかないダクネス。俺たちが何も言えないでいるとダクネスは大剣を構え、ベルディアに向かって駆け出した。

 

__________________________________________________________

「ほう!来るのか!首なし騎士として、相手が聖騎士とは是非もなし。よし、やろうかっ!」

 

ベルディアがダクネスを迎え撃つ。ダクネスが両手で握る大剣を見て、ベルディアは身を低くし、回避の構えを見せた。そのベルディアにダクネスは体ごと叩きつけるように大剣を………ベルディアの足先数センチほど前の地面に叩きつけた。

 

「………は?」

 

ベルディアが気の抜けた声を上げる。そのまま茫然とするダクネスを他の冒険者も眺める。当たらないとは言ってたけどまさか動いてない敵も外すって……。的を外したダクネスは、何事もなかったように次の手に移るが…ベルディアにひょいと避けられる。

 

「なんたる期待外れだ。もういい。…さて…」

 

ベルディアはつまらないと言うふうな口調で、袈裟懸けに、ダクネスを剣で一閃した。

 

「さて、次の…相手……。…は?」

 

確実に討ち取った自信があったのだろうが、結果はダクネスの鎧の表面を派手に引っ掻いただけだった。ダクネスが一旦ベルディアから距離を取り。

 

「ああっ!?わ、私の新調した鎧がっ!?」

 

鎧にできた大きい傷を悲しげに見つめた後ベルディアを睨みつける。

 

「な、何だ貴様は…?俺の剣を受けて、なぜ斬れない…?その鎧が相当な業物なのか?…いやそれにしても…。先ほどのプリーストと言い、爆裂魔法を放つアークウィザードと言い、ゾンビみたいなやつと言い、お前らは…」

 

その後はカズマや冒険者達がダクネスの援護をしようとするも、ベルディアが死の宣告をかけたりして怯みダクネスがタコ殴りにされていた。そんな中生暖かいものがカズマにかする。それを拭うと

 

「おいダクネス、お前で傷負わされてるのか!もういい下がれ!冒険者全員で、バラバラに走って逃げて、ひとまず対策を練り直すぞ」

 

見ればダクネスは所々出血している。

 

「クルセイダーは、背に誰かを庇っている状況では下がれない!こればっかりは絶対にそ、それにだっ!」

 

かっこいいことを言いながらダクネスは頬を赤くする。

 

「それにっ!こ、このデュラハンはやり手だぞっ!こやつ、先ほどから私の鎧を少しずつ削り取るのだ…!全裸に剥くのではなく中途半端に一部だけ鎧を残し、私をこの公衆の面前で、裸より扇情的な姿にして辱めようと……っ!」

 

「えっ!?」

 

いつでもブレないダクネスに、ベルディアはちょっと引き、手を止める。その時にカズマが手に魔力を込め 

 

「時と場合ぐらい考えろ、この筋金入りのど変態が!!」

 

カズマの罵声にダクネスがびくんと震え、

 

「くう……!か、カズマこそ時と場合を考えろっ!公衆の面前でデュラハンに痛めつけられているだけでも精一杯なのに、これでカズマまでもが罵倒したら…っ!お、お前達とデュラハンは、一体二人がかりでこの私をどうするつもりだっ!」

 

「ええっ!?」

 

「どうもしねーよど変態!『クリエイト・ウォーター』っ!」

 

カズマが叫ぶと共に二人の頭上に突然水が現れる。バケツをひっくり返したような勢いで、大量の水が二人にぶち撒けられる。ダクネスはもろにかぶり、ベルディアは慌てて飛び退いた。……?慌ててる…?……一方ダクネスは頬を赤らめ呟いた。

 

「……不意打ちで突然こんな仕打ちとは……。や、やってくれるなカズマ、こう言うのは嫌いじゃない。嫌いじゃないが、本当に時と場合を考えてほしい…」

 

「ち、違う、これは妙なプレイじゃない!これは、こうするんだよっ!『フリーズ』!」

 

続け様にカズマは唱える。その魔法は水を凍らせるだけの初級魔法だが…。

 

「!?ほう、足場を凍らせての足止めか…!なるほど、俺の強みが回避だけだと思っているな?だが…!」

 

足元を凍らされたベルディアが、何かを言うより早く、カズマが叫ぶ。

 

「回避し辛くなればそれ十分だ!お前の持つ武器をもらうぞ、喰らえ『スティール』ッッッ!」

 

「……悪くはない手だったな。それなりに自信があったのだろうが、俺は仮にも魔王の幹部。レベル差というやつだ。もう少しお前との力の差がなければ、危なかったのかもしれないが」

 

その策すら魔王軍の幹部には通じなかった。ベルディアはカズマに、呪いをかけようとカズマに手を伸ばすがそれよりはやく

 

「私の仲間に手を出すな!」

 

ダクネスが、珍しく感情を表に出して、叫ぶと同時に大剣を投げ捨て、ベルディアに向かって肩口から体当たりをした。だが足場が凍ってるにも関わらず、ベルディアは易々と身をかわし、余裕たっぷりに大剣を握りしめる。ダクネスは武器を投げ捨てている。つまり今無防備で身を守るものがない。そしてデュラハンが剣を振り下ろしダクネスに当たりそうになった時

 

ドンっ!!!!!

 

凄まじい轟音と共にものすごいスピードで人影が飛び出す。

 

「「!?」」

 

その人影はダクネスの鎧を掴むと後ろに投げ飛ばし、デュラハンを殴り付ける。ベルディアはギリギリで反応し、剣を横に構え、拳を受けるが……

 

「っ!?」

 

ガードしたはずのベルディアが後ろに吹き飛ばされる。そして投げ飛ばされたダクネスは、少し地面を転がり態勢を立て直すと

 

「なん…どういうつもりだ!!」

 

自らを投げ飛ばした人物に叫ぶ。

 

「…尋常じゃないスピードに、俺を吹き飛ばすほどのパワー…面白い!貴様も俺にかかってこようと言うのだな。いいだろうっやろうか!」

 

「…出来れば戦いたくないんですけどね…」

 

そこには、体に雷を纏わせた少し苦しそうな表情の八幡が立っていた。

 

 




後書き
読んでいただきありがとうございます。ヒロインはだれだ!ハーレムなのか!等の質問をいただきます。方向性としてはハーレムにするつもりではあります。メンバーはせっかくこのすばの世界に来たので、このすばメンバーも入れたいと思ってます。そして次回はとうとうハチマン出陣ということでやっていきたいと思います。では次回またお会いしましょう。
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