この素晴らしい奉仕部に祝福を!   作:149

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#11 奥の手

ダクネスが大剣を握りしめ、ベルディアに突撃していくのをみて考えていた。

 

(恐らく今の現状でベルディアに勝つのは無理だ。もし勝つ可能性があるなら、弱点を見つけることが必須。だから…それが見つかるまで時間を稼ぐことが出来れば…)

 

俺はそこまで考え覚悟を決める。そしてカズマのもとに行こうとすると、誰かに袖をひかれ、立ち止まる。俺は振り返り、袖を引いた人物を見ると

 

「…お兄ちゃんなにする気なの」

 

真剣な表情で俺をみつめる小町だった。

 

「絶対何かしようとしてる。さっき一瞬だけお兄ちゃん覚悟決めたような顔してたし、小町にはわかるんだよ」

 

何も言えなくなっている俺に

 

「もし危ないこととかしようとしてるならやだよ、このままみんなで逃げればいいじゃん。お兄ちゃんが危ないことしなくてもいいじゃん」ポロポロ

 

俺がリスクのでかいことをしようとしているのを察したのか泣きながら俺を止める小町。

 

「…小町」

 

俺が呼びかけると小町は顔を上げる

 

「これは俺にしかできない事なんだ適材適所ってやつ。今これがこの場で一番最善の選択だと思う。それに死ぬ気なんて毛頭ない。だから頼む小町」

 

俺のその言葉を聞くと、顔を歪める。

 

「…何でそんなこういう時だけ真剣な表情でいうの…ずるいんだよ…ばか…」

 

そう言うと小町は俺の袖を離す。

 

「…ありがとな小町」

 

俺はそう言い小町の頭を撫でる。

 

「…//」

 

小町を撫で手を離すとベルディアとダクネスを見る。

 

(関わった以上知り合った以上、ダクネスもカズマもめぐみんもアクアも守るその為に…あれをやる)

 

俺はイメージする。

 

(普段は体に電気を這わすイメージだった。でも今回は筋繊維の一本一本に電気を這わせることをイメージする。…そしてその電気で筋肉を全力で刺激する…っ!)

 

すると空気が震え、周りが少しびりつく。そしてだんだんとハチマンの周りを守るかのように雷が現れ纏わり付いていく。

 

(…すごい)

 

「『雷帝』っ…!」

 

(前にも軽くやったがこれは使ってる間ですら反動がある。それを特典の『超回復』で誤魔化してるだけだ。だから長時間には向かない…その為に)

 

俺はカズマの方を向く。すると丁度ベルディアにスティールを喰らわせているところだった。しかし効いていない。そしてベルディアはカズマに呪いをかけようとするがダクネスが突撃し、それを防ぐ。

 

「カズマっ…」

 

「なんだハチマ…ン…」

 

カズマは俺を見ると硬直する。

 

「これは後で説明する…っ。俺が時間を稼ぐから弱点を探してくれそれじゃ」

 

「いやちょっ」

 

俺はカズマの返事を聞く前に、脚に力を込める。そして一気に地面を蹴る。

 

ドンっ!!!!!

 

轟音と共に飛び出した俺はまずダクネスを掴み、後ろへ投げ飛ばす。そしてその飛び出した勢いのままベルディアに突っ込み殴り付ける。しかしさすがは魔王軍幹部ギリギリで反応し、剣でガードをする。でも

 

(関係っ…ない!) 

 

「!?」

 

そのまま剣に拳を当て、ベルディアを吹き飛ばす。吹き飛ばされたベルディアはすぐに立ち直り、こちらに向き直る。そして後ろでは俺に投げ飛ばされたダクネスが叫ぶ。

 

「なん…どういうつもりだ!!」

 

そしてベルディアは可笑しそうに

 

「…尋常じゃないスピードに、俺を吹き飛ばすほどのパワー…面白い!貴様も俺にかかってこようと言うのだな。いいだろうっやろうか!」

 

「…できれば戦いたくないんですけどね…」

 

(やっぱり長期戦は無理だ。既に体が悲鳴をあげてるし、めちゃめちゃ痛い…早く見つけろよカズマ)

 

「行くぞ…!」

 

俺がそう言うとベルディアは真上に頭を投げ、構える。

 

(武道も何もやったことないだから今はある手札だけで勝負する…!)

 

俺はさっきと同じ要領で脚に力を込め、地面を蹴りベルディアの真横に躍り出る。そのまま全力でベルディアに向かい蹴りを放つが剣でガードをされ、ベルディアは俺に剣を振りかざそうとする。俺はそれを避け距離を取る。そのまま同じことを繰り返し攻撃をする。しかしことごとく剣でガードをされ、時には避けられ反撃される。

 

(…流石だな…今の俺結構速いと思うんですけどねぇ…)

 

最初から倒す気などない八幡はその戦法を続けあることを狙っていた。

__________________________________________________________

 

「何だよあれ…」

 

あまりの光景にパーティーメンバーである俺たちも含め周りの冒険者達は唖然とし、一人の冒険者が呟く。目の前では、人外な動きをする体中に電気を纏った腐り目の男と、ベルディアが死闘を繰り広げていた。ハチマンが攻撃しては距離を取り、また攻撃をする。それをすごいスピードで繰り返していた。

 

「あれ…比企谷君なのよね…」

 

「うん…多分…」

 

「……多分だいぶまずいですよあれ」

 

後ろからハチマンの妹が声をかける。泣いていたのか目元が赤い。

 

「お兄ちゃんずっと苦しそうな顔してます。多分あの技すごいリスクがあると思うんです。そりゃそうですあんな動きしてるんですもん。だから早く何とかしないと…」

 

それを聞き雪ノ下さんと由比ヶ浜さんは血相を変えハチマンを見る。俺はそれを聞き、焦っていた。やばいやばいやばい!こんな時どうすればいい!?俺には特殊な能力も才能もない。でもハチマンが頼ってくれた。だから今こそゲームで培った知識を絞れ!相手はデュラハンだ、ロールプレイングゲームでは何が弱点だった?俺の取り柄と言ったら、ネットゲームで相手が嫌がる攻撃方法を即座に見抜くことぐらいだ。あいつを観察しろ。…………何であいつは、俺の出した水を大袈裟に避けた?…………。

 

………流れる水。それは、メジャーアンデッドモンスター、ヴァンパイアも苦手とするもの。ならあのデュラハンは?………試す価値はある。

 

「雪ノ下さん!」

 

__________________________________________________________

 

(…まずい)

 

俺はひたすら攻撃を繰り返していたが、そろそろ痛みで気を失いそうになっていた。ものの数分しかたってないはずなのに体感数十分たった感覚に陥ることでさらに精神が圧迫される。

 

(多分…多分後少しだ…後少しのはずなんだ…)

 

ずっと続いている攻防。ハチマンも限界が近い。でもそれと別に限界なものがあった。ずっとハチマンの強化された化け物みたいな力で殴られ蹴られ続け、悲鳴をあげているものが。そして繰り返した攻撃の中で八幡は確信する。

 

(…!この感触…次で行ける…!)

 

さっきカズマが雪ノ下に何かを言っていたのは確認していた。だから恐らく弱点は見つかったのだろう。俺はその可能性にかけ、最後の力を振り絞り、全力で地面を踏み蹴り出す。

 

「!?」

 

いきなりスピードが上がった俺に驚いたデュラハンは少し体勢を崩しながら剣を構える。そこに全力で殴り込む。すると

 

バキンッ!!!

 

「なっ!?」

 

ベルディアの剣は折れ、そのまま俺の拳はベルディアの胸当てに吸い込まれ、あたり吹き飛ぶ。そして俺も限界を超え、そのまま空中で『雷帝』は解け、ぶっ倒れる。

 

「ぐっ…あっ…!」

 

(まっず…体が死ぬほど痛いこれ以上動かねえ)

 

俺がぶっ倒れるのと同時にカズマが声を張る。

 

「小町っ!!!」

 

名前を呼ばれた小町は、すぐに俺のとこに駆け寄り俺を抱きかかえ飛び退きカズマの元に戻る。吹き飛ばされたベルディアは、体勢を整えこちらを向く。その時

 

「雪ノ下さん!ハチマンは離脱した!お願いします!」

 

「ええ!『クリエイト・ウォーター』っ!」

 

「!?」

 

自分の頭上に出てきた大量の水に驚き、まだダメージが残っているのかよろけながらも必死に避けるベルディア。それを見たカズマの顔は、確信に満ちた顔になり、大声で叫ぶ。

 

「水だああああああああーっ!」

 

それを聞いた周りの冒険者達は、

 

「『クリエイト・ウォーター』!『クリエイト・ウォーター』!『クリエイト・ウォーター』ッッッッッ!」

 

「くぬっ!おおっ?っとっ!」

 

雪ノ下とカズマを筆頭に、そこかしこの魔法使い達が魔法を唱える。俺も唱えようとすると

 

「「休めばか!!」」

 

小町と由比ヶ浜に肩を貸してもらっている状態だったのだが頭を叩かれる。痛い…俺怪我人…自業自得だけど。ベルディアの方を見るとベルディアは、頭上からかけられる水を、これでもかと躱している。弱点らしいのを見つけても、そもそも攻撃が当たらない。と、そこに。

 

「ねえ、一体何の騒ぎなの?何で魔王軍の幹部と水遊びなんてやってるの?この私が珍しく働いてる間に、カズマったら何を遊んでいるの?バカなの?」

 

こいつもこいつでブレないよなほんとに。

 

「水だよ水!あいつは水が弱点なんだよ!お前、仮にも一応はかろうじてとは言え、水の女神なんだろうが!それともやっぱり、お前はなんちゃって女神なの?水の一つも出せないのかよ!?」

 

ばかっ!そんなこと言うと…!

 

「!?あんた、そろそろバチの一つも当てるわよ無礼者!一応でもかろうじてでもなんちゃってでもなく、正真正銘の水の女神ですから!水?水ですって?あんたの出す貧弱なものじゃなく、洪水クラスの水だって出せますから!謝って!水の女神様をなんちゃって女神って言ったこと、ちゃんと謝って!」

 

「後でいくらでも謝ってやるから、出せるんならとっとと出せよこの駄女神が!」

 

やめて!仲良くして!お願いだから!

 

「わああああーっ!今、駄女神って言った!あんた見てなさいよ、女神の本気を見せてやるから!」

 

カズマの言葉にアクアは一歩前に出る。そのアクアの周りに、霧のようなものが漂い…ほら言ったじゃん!やばいって絶対まじで!ほんとに!

 

「この雑魚どもめ、腐り目以外張り合いのない……?」

 

流石は魔王軍幹部もう不穏な気配を感じ取ったのだろう。というか、全員が不安げにアクアを見ていた。当の本人はそんなこと微塵も気にせずにボソボソと呟く。

 

「この世にいる我が眷属よ…」

 

アクアの周りに現れていた霧が、小さな水の玉となって辺りを漂う。その水玉一つ一つに魔力が凝縮されているのが感じ取れる。

 

「水の女神、アクアが命ず………」

 

……もう諦めよう。あたりの空気がビリビリと震えるこの感じ、めぐみんの爆裂魔法を放つときと酷似している。つまりそんくらいやばいのがくる。ベルディアは、躊躇する事も無く潔くアクアに背を向けて、素早く逃げようと……したところに、ダクネスがその前に立ち塞がった。アクアは両手を広げると。

 

「『セイクリッド・クリエイト・ウォーター』!」

 

水を生み出す魔法を唱えた。

 

__________________________________________________________

 

確かに洪水クラスの水だって出すことができるって言ってたけど…言ってたけど!ほんとに洪水起こす事ないだろばか!

 

「ちょっ……!待っ………!」

 

「た…たす……たすけて…」

 

「めぐみん、めぐみーん!掴まってろ、流されるなよ!」

 

「ヒッキー!

 

「ユイさんもお兄ちゃんも小町の手離さないでね!」

 

『雷帝』の反動で激痛があり動けない俺と魔力枯渇により動けないめぐみんは溺れていた。そのほかにもその場にいた冒険者全員が押し流されている。膨大な量の水は、町の正門前に盛大な飛沫を上げ、そして、街の中心部へと流れていく。水が引いた時、ベルディアが苦しそうになっているその様子を眺め、激痛に苛まれながら瞼を閉じた。

 

 




後書き
読んでいただきありがとうございます。前回ハーレムにすると言うとコメント欄で他の総武勢をいれるなどの意見がありました。正直そこまで考えてなかったんですが、ちょっと悩みました。そこで聞きたいんですけど、どう思うかコメント欄で意見を下さるとありがたいです。今回の技『雷帝』ですが次回デメリットと密かなメリットのあたりが詳しく出てきます。ではまた次回お会いしましょう
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