キーンコーンカーンコーン
授業が終わったチャイムが鳴るとクラスの人は帰る準備を進めていた。
それに倣うかのように帰宅の準備をしていると。
「映司くん、一緒に帰ろう。」
横からなのはの声がした。
そちらに目をやるとアリサやすずかも俺の準備を待っていたのかなのはの後ろに立っていた。
「おう、ちょっと待ってろ。」
「待ってるんだから早くしなさいよ。」
アリサの催促に耳を傾けながら準備をしていると、
「……あれ?」
鞄の中から指輪のようなものを見つけた。
なんだこれ……元々は父さんの鞄だから父さんの持ち物かもしれないが……。
改めて手の中にある指輪を見てみるとリングは特に不自然な所はなく極彩色の石がついているだけだった。
光に照らしてみると赤色に見えたり緑色に見えたりとなんとも不思議な宝石が光っていた。
……虹色の石?そんなものあったっけ?
「ちょっと、まだ終わらないの?」
アリサから若干苛ついたような声が聞こえた。
その言葉と同時に指輪を制服のポケットに入れた。
「もう終わったから、……どうしたそんなに急いで?」
「何でもないわよ!早く行くわよ!」
「ふふ、アリサちゃんってば久しぶりに皆一緒に帰れるから嬉しいんだよ。」
隣からすずかの嬉しそうな声がする。
「ってすずか!……そんなんじゃないんだからね映司!」
「そっか、アリサはそんなに俺と帰りたかったのか。」
「うるさいわねこの馬鹿!」
どこからか出してきたのかスリッパで叩かれた。
……痛いな。
「にゃはは……ほら、早く帰ろう。」
アリサをなだめながら俺たちは帰路へ向かった。
いつもの公園のそばを通る道を歩いているとそこには警察官達が何かを調べていた。
「……懐かしいな。」
勿論記憶として警察官だった頃のことを覚えている訳ではない。
あくまでも記録として頭の中には残っている。
だがそれは経験ではなく写真を見せられているようで自分がしてきたようには思えなかった。
「君達、危ないから近づいちゃ駄目だよ。」
警察官が俺達に注意を促してきた。
しかし、その言葉に被せるように問いかけた。
「あの……何かあったんですか?」
「ああ……これか。誰かのいたずらにしては少しひどいからね、少し調べていたんだよ。さあ、子ども達は向こうに行きなさい。」
その言葉に従い来た道を戻ろうとすると、
(助けて……)
どこからか声が聞こえた。
「ねえ、何か聞こえなかった?」
なのはも聞こえたようで俺達に話しかけていた。
「いや?そんなの聞こえなかったわよ。」
「うん……私も聞こえなかったよ。」
アリサとすずかは聞こえなかったらしく同じ様な答えが返ってきた。
どういうことだ?俺にもはっきり聞こえたし……
疑問に思っているとなのはが声のする方へ走っていった。
「おい待てって!」
それを追うように残された俺達は後をついていった。
なのはの後を追うと彼女は道の真ん中で座っていた。
「急にどうしたんだ?」
肩越しに覗くとそこにはイタチのような動物が蹲っていた。
よく見てみるとイタチ?は怪我をしているのか所々傷を負っていた。
「うわ、ひどいなこれ。」
「ちょっと待って……ってなにこれ!」
「とりあえず病院行かなきゃ。」
「病院ってことは獣医さんだよね?」
イタチ?を抱きかかえると俺達は急いで動物病院へと向かった。
……そういえばお金はどうするんだ?
動物病院に着くと院長である槇原先生がイタチ?を手当てしてくれた。
「もう大丈夫わよ、見た目ほど大きな怪我は無かったし安静にしていれば数日で回復するわ。」
「「「良かったあ。」」」
三人が安堵の声を出していた。
俺は治療費が掛からなかった事に一番安堵していたが。
「あの……これってフェレットなんですか?」
「うーん、フェレットに近いけど……変わった種族ね。」
アリサの疑問に院長が答える。
まあフェレットなんて珍しいからな。
「とりあえず明日までこっちで預かっておくわ。」
「「「「ありがとうございます。」」」」
お礼を言い病院から出る。
気が付けば空は茜色に染まっていた。
「そういえば……お前ら塾はいいのか?今日あるんじゃなかったのか?」
「あー!忘れてた!」
「ちょっとなんで言ってくれなかったのよ!」
何故かいちゃもんをつけられた。
「いや俺は塾通ってないし。」
「そういえばそうね、なんで塾通っていないのにあんたは頭いいのよ?」
そんなこと言われてもねえ……
別に授業に集中していればそこそこの点数は取れるし、塾を通うにもお金が掛かるからな……
「俺のことはいいから、早くいかないと遅刻するぞ。」
「はわわ、そうだね。また明日ね映司くん!」
「映司君またね。」
なのは達を見送ると自分の家に戻る。
さて、あのフェレットはどうしようかね。
♦♦♦
夜ご飯を食べ終わると日課でもあるランニングをしに街を走っていった。
ちょうどコースを半分走り終わった直後、
(ぼくの声が聞こえる方……力を貸してください……)
またあの時の声が聞こえた。
一体何なんだこの声は。
その声がする方向へ走っているとそこには……
「なんでお前がいるんだ?」
「あ、映司くん!」
なのはがフェレットと共に話していた。
というかフェレットって話せるんだな。
「……っそうだった!映司くん危ない!」
「は?」
その言葉と同時に病院から黒い雲のような化け物が病院に埋まっていた。
なんだこいつ?
「お願いがあります!ぼくに力を貸してください……」
「ええ……?」
「どういう事だ?」
正直疑問しか出てこない。
「お願いします!お礼は必ずしますから!」
「お礼なんて言ってる場合じゃないでしょ!」
「いいからさっさと逃げるぞ!」
走りながらフェレットと話を続ける。
「お願いします。今のぼくの魔力じゃあいつを止められない、代わりにあなたなら。」
「魔力?」
魔力ってなんだ?ゲームで出てくるあれか?
混乱しながら考えているとなのはが声をあげた。
「どうすればいいの?」
「!ありがとうございます。これを使って下さい。」
「ってちょっと待てって!」
俺の事は無視するようにあいつらは話を進めていた。
「心を落ち着かせてぼくの言葉に続けて。」
「「風は空に、星は天に」」
何やら詠唱っぽいのを唱えていた。
「「不屈の魂はこの胸に、この手に魔法を」」
なのは達に光が溢れる。
化け物がそれに怯えているのかたじろいでいた。
「「レイジングハート、セットアップ!」」
『standby lady set up!』
その瞬間辺りは光に包まれた。
【side なのは】
「成功した……」
「ふえ?」
光が収まると私の手には杖が握られていた。
その他にも姿が今までの服と変わって学校の制服のような格好になっていた。
「ええーーー!なんなのこれ!」
「来ます!」
フェレットくんが声を荒げると黒い雲みたいなお化けがこっちへと向かってきた。
ってどうすればいいの!
慌てて顔を伏せると、
『protection』
杖から声がするとまるでバリアが張られたように私とフェレットくんを守った。
「一体なんなのぉ……」
お化けとバリアが競り合っているとお化けのほうが根を上げたのかバラバラになった。
「あれは忌まわしき思念体です。あれを停止するにはこの杖を使って元の力に戻す必要があります。」
「良く分からないけど……どうすればいいの?」
「封印するには二つあります。一つは接近して封印すること、もう一つは大きな魔法をぶつけることです。」
その言葉が終わると元に戻ったお化けが私たちを見つけたのか突進してきた。
「またさっきのを使ってください!」
「えっと……こう!」
『protection』
先ほどと同じようにお化けを止める。
「今です!ジュエルシードを!」
「ジュエルシード封印!」
『sealing』
封印ができたのかお化けは小さい宝石のような姿に変わっていた。
「まだです、ジュエルシードにレイジングハートを近づけて。」
「うん……」
杖を近づけると宝石は吸い込まれていった。
『receipt no.18 no.20 no.21』
「良かった……」
封印が終わると同時にフェレットくんが倒れた。
「って大丈夫!?」
やっと終わったというの慌ててしまった。
【side 映司】
「なんなんだこれ……」
いきなり話を進めるや否やなのはは良く分からない格好になるし、化け物は石になるわ。
それに魔法?そんなものが存在するのか?
だが実際に見てしまったのだから本当の事なのだろう。
「くそ……ちゃんと話して貰うからな。」
俺はあいつらの元に駆け寄った。
勝手に進めやがって、ふざけんなよ。
それよりも怒りに満ちていたのは、
(畜生……)
あの場で何もできなかった自分自身だった。
物語は針を進める、少年を置き去りにして。