あの後、俺は熱を出してしまってなんとなく閉まらないままお開きという形になった。
ユーノがいうには今まで使ってきてなかったリンカーコアが急稼働した結果、体に異常が起きたとのこと。
いわゆる筋肉痛みたいな感じか。
まあすぐに治ると言ってたから大人しく休みますか……
看病しようとするなのはを何とか帰らせて寝る準備をした。
流石にそこまでして貰うのはな……恭也さんが怖いし。
ベッドに横たわりながらそんな事を考えていた。
……あの時の力。
朧気でよく覚えていなかったがあれは正しく仮面ライダーの力だった。
そして……
「まだ入り口に立っただけ……か」
夢の中で言われた言葉が脳裏に響く。
覚悟は決めたはずだ、なのはを守るという覚悟が。
「それでも足りないのか」
暗闇の中で月明かりが部屋を照らしている。
しかし俺の瞳には光ではなく影しか映らなかった。
♦
「完全回復!」
布団から飛び起きる。
熱が収まったのはすぐだが数日経ってようやく元通りになった。
士郎さん達心配してたからな……顔見せに行くか。
「映司君大丈夫だったかい?」
翠屋に行くと士郎さんは心配してたようで仕事を放ってこちらに駆け付けた。
「はい、唯の風邪みたいだったので。心配させてすみません」
「そっか……なら良かったよ。今日はどうするんだい?」
「それなら……っ」
と言った瞬間キッチンから鋭い眼差し。
視線のみを動かすとそこには桃子さんが笑っていた。
……目は笑っていなかったが。
「……今日は修行の方も止めておきます。本調子ではないので……」
本音を言えば早速でもやりたいが。病み上がりだから大人しくしてた方がいいだろう。あまり無駄な心配かけたくないし。
「そうだな。それがいい」
横から恭也さんにも言われる。
「それじゃあ俺はこれで。なのはにもよろしく言っといて下さい」
余り長居しても迷惑だろう。
顔見せだけ済ますと早々に出ていった。
「……映司の奴どうしたんだろうな。父さんも思っただろ?」
出ていった扉を睨みながら呟く。
「まあ確かに……何かきっかけがあったのは確かだね」
父さんも同じことを思ったのか頻りに頷いた。
俺達に修行を頼み込んだ時と同じ顔をしていた。
「なのはも何か抱えてるようだし。何かあったのかな……」
父さんが言っている通りなのはも最近になってから顔つきが少し変化していた。
兄として何とかしてやりたいが……
「映司君と同じ悩みならいいんだけどね」
「聞いても答えてくれないだろ」
映司もだがなのはも意外と頑固な所がある。一体誰に似たのやら……
ため息が混じる。
「頼ってくれないのか……」
情けない言葉しか出てこない。
♦
翠屋を去ると俺は近くの公園に来ていた。
いつもなら親子連れで賑わっている場所だが今日は誰もいない。
ある店を除いてだが。
「こんにちは。今日も客来ないんですね」
ワゴンショップ『ど~なつや はんぐり~』
様々な種類のドーナツが販売していて味もとても美味しいのだがこの店にはあまり客が来ない。
何でかというと……
「あら~いらっしゃい映司クン!」
この人が原因だ。
奇抜なヘアスタイルにオネエ口調、しかも名前、年齢、性別共に不詳の店長。
見るからにやばいというのが分かる。
……ドーナツは旨いんだけどな。
「今日のお勧めは……リリカルどーなつわよ!」
「それはいらない。プレーンシュガー一つ頂戴」
もう一つ、悪癖というのか色々なドーナツを創作してる。
前に一度食べさせて貰ったがあれ以降プレーンシュガーしか食べてない。
……流石にハバネロドーナツは駄目だろ。
「んもう、またそれね映司クン!」
「いつものことじゃん」
まあこれは美味しいからいいんだけど。
店長から受け取ろうとすると視界の端に金色が映った。
視線を合わせると公園のベンチに同い年ぐらいの少女が座っていた。
他の人とは違う金色の髪、愁いを帯びた表情。
此処ではなく何処か別の場所を見ているようだ。
「あの子ね……私が来た時からずっとそこにいたの。話しかけても知らんぷりで」
「そりゃそうでしょ」
俺だってこんな人に話し掛けられたら無視する。
逃げ出さないだけいい方だ。
「ねえ映司クン。これ彼女に渡してきてよん」
ショーケースから幾つかドーナツを取り出して渡してくる。
ってちょっと待て。
「俺が?」
「そうよ、彼女一人じゃ寂しいじゃない。中にプレーンシュガー入れといたから。よろしくねえ」
「そうは言ってもなあ……」
見るからに外国人っぽいし……俺英語話せないんだけど。
ため息交じりに彼女の方へ向かう。
「えっと何だっけ……きゃんゆーへるぷみー?」
「……」
……無視。
分かっていたが辛いな……
どうすればいいんだこれ……
店長に救援を求めるがファイトと口パクされる。
いや無理だろこれ。
「はあ……まあいいや。君が何も言わないのは分かったから。……これ、食べなよ」
「……?」
首を傾げる少女。
強引に渡すが何か分かっていない様子だった。
「ドーナツだよ。あの店長が作ったやつ。……見た目きついけど悪い奴じゃないから。」
「聞こえてるわよ!」
向こうから店長の罵声が聞こえる。
地獄耳かよ……
言い争いをしていると少女がポツリと零した。
「……いいです。お金持ってないから」
小さい声だったが鈴の様に綺麗な声色だった。
……って日本語話せるのか。
「別にいいよ店長の奢りだし。君が食べなかったら家族にでもあげればいい」
勝手に奢りにしたけどまあいいだろう。
ちゃっかり俺の分も含めてるけど。
「……ありがとうございます」
立ち上がり公園を後にする彼女。
それを店長と一緒に見送る。
「そういえば名前聞いていなかったな」
まあいつか会えるだろう。
さてと俺はプレーンシュガーを食べるとするか……
「あら、さっき袋の中に入れたじゃない。映司クンったら忘れん坊ね!」
……忘れてた。
俺のプレーンシュガー……
♦
「……何だったんだろうあの人たち」
先程の公園での出来事を思い出す。
今日地球にやって来た私は地形を把握するためにこの町を歩いていた。
公園で休んでいたら行き成り変なお姉さんがこちらに話し掛けてきた。無視してたら後から男の子も来たけど……
「……何だろうこれ?」
彼から貰った袋を開けるとそこには色とりどりのドーナツが入っていた。
「綺麗……」
変な恰好をしていたけどいい人達だったな。戻ったらアルフと一緒に食べよう。
此処での拠点に戻る道を歩いているとふと思い出した。
「名前……聞いていなかったな」
これを渡してきた彼。
私と同い年のようだけど……
「……そんなことより早くジュエルシードを探さなきゃ」
首を振って出てきた考えを消す。
私の使命はジュエルシードを探す事なんだから。
あとがき――
遅くなってすみませんでした。
授業が本格的に始まったのでこれから忙しくなりそうです……
とりあえずエタらないで最低でも無印編は終わらせるつもりです。
感想・評価よろしくお願いします。