-ユキノ・カツキ-
18歳。京都出身。古来より続く軍の名門・カツキ家の三女であり、愛国心故に親の反対を押し切ってまで連邦軍に入隊した過去を持つ美少女なのだが、命を奪うことへの忌避感はまだ拭い切れていない。ネットガン装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案はアルキメです。先生。
-リーサ・ヴァレンタイン-
18歳。ミシシッピ出身。エースパイロットを兄に持つ美少女であり、近接格闘戦における類稀な才覚は兄譲り。ツインビームスピア装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案はヒロアキ141先生。
-パッチワーク・ビギナーズ-
19歳。ブリストル出身。機械弄りを好む元傭兵であり、軽薄な拝金主義者であるかのように振る舞うが、実は情に厚い一面もある。ビームジャベリン装備のジムに搭乗する。階級は少尉。
※原案は影騎士先生。
遠方の京都基地から駆け付けてきたジムは3機。基地に残されていた武装を手当たり次第に持ち出して来たのか、その装備には正規部隊のような統一性が全く見られない。
スラスターの推力を活かした飛び方もまばらであり、その点からも、リューコ機の危機に駆け付けてきたこの3機が経験の浅い新兵であることは明らかであった。
部下達を倒されたジラハが、ミツヒサを討ち取ったように。今度はミツヒサの教え子達が、ジラハを討ち果たそうとしている。
その連鎖を目の当たりにした「パーブ」の隊長は、悲しみの色を滲ませた怒号を上げ、ザクマシンガンを連射していた。
『……揃いも揃って、命あっての物種って言葉を知らねぇ奴らだなッ! そんなつまらねぇ意地のために、こんなところで死のうってのかいッ!』
ミツヒサが何のために、死にもの狂いで戦っていたのか。
すでに京都は壊滅状態だったというのに、それでも彼は何故退かなかったのか。
勝ち目などないと分かりきっていたはずなのに、何故自分に挑んで来たのか。
彼が稼いだ時間は、何のためのものだったのか。
(奴は……お前達だけでも逃そうとしていたから! お前達に生き残って欲しかったから……俺に立ち向かって来たんだろうがよッ! そのお前達がここに来ちまったら、奴は何のためにッ!)
その全てをとうに察しているからこそ、彼は憤っているのだ。ミツヒサの覚悟を兵士として、戦士として汲み取った彼だからこそ。師の仇という大義を胸に立ち上がってしまった未熟者達の姿に、胸を痛めているのだ。
ここで無駄に命を散らしては、何の意味もないのに、と。
『……ぬッ!?』
――だが。その懸念が的中するのは、この新兵達のポテンシャルがジラハの見立て通りだった場合に限られる。
「焦熱の爀弾」ことリュータ・バーニングを輩出した戦友――コタロウ・ニシズミのように、優秀な後進を育てねばと躍起になっていたミツヒサが鍛え上げた若者達は。ジラハの予測を、遥かに凌ぐ動きを見せたのである。
ジラハ機のザクマシンガンから放たれた銃弾の雨は、せめて苦しむ暇だけは与えまいと、正確にコクピットを捉えていたのだが。3機のジムはその弾雨を、辛うじて回避してしまったのだ。
ミツヒサ機を打ち破った「パーブ」の隊長機の射撃を、新兵のジムがかわして見せたのである。まだ僅かに荒削りではあるものの、彼らは持ち前の
『リューコが命を賭して、教官の思いに報いようとしている時に……恐ろしいからと、立ち止まっているわけには参りませんッ! カツキ家が三女、ユキノ・カツキ……推して参りますッ!』
ザクマシンガンの弾幕を掻い潜り、真っ先に琥珀色のザクへと迫った1機のジム。その機体を駆るユキノ・カツキ少尉は、操縦桿を握るか細い手を震わせながらも、真っ直ぐな瞳を健気に輝かせていた。
タカスギ家よりもさらに古い歴史を持つ京都の名家・カツキ家の令嬢である彼女は本来、戦場とは無縁な生活を約束されていた身分であった。が、先人達への憧憬と愛国心の強さ故に、彼女は父の反対を押し切り連邦軍に入隊したのである。
(お父様、申し訳ありません……! こんな私にも、まだ……皆さんのために出来ることがあるのですッ!)
だが、蝶よ花よと育てられてきた箱入り娘であった彼女は、命を奪うという行為への忌避感を未だに拭い切れずにいた。そんな彼女の機体がこの戦場に持ち込んで来たのは――対象の捕獲を目的とする、ネットガンであった。
RGM-79[G]「陸戦型ジム」が運用しているものと同じその非殺傷兵器は、間合いに入り込んだジラハ機のボディを瞬く間に網で絡め取ってしまう。
『ネットガンだと……!? こんなもので、この俺を潰せると本気で思ってやがるのかッ!』
だが、当然ながらネットガンだけで捕獲出来るほど「パーブ」は甘い相手ではない。ジラハ機はヒートホークを振るい、機体に絡みつく網を斬り払おうとする。
それでも、ユキノは怯まない。彼女の機体はネットガンを構えたまま、臆することなくジラハ機の
『……私は、軍に志願していながら人を傷付けることを躊躇っていた。そんなことだから、この期に及んでもこんな装備に頼っている……』
『なにィ……!?』
『でもリューコさんは……そんな私の「甘さ」を、きっと誰かを救うためにあるのだと認めてくれたのです! そしてその時は……今をおいて、他にありませんッ!』
恐れを振り切り、声を上げるユキノ。そんな彼女に気を取られていたジラハは、ユキノ機と共に来ていたはずの2機が姿を消していたことに気付く。
(残りの2機はどこへッ……!?)
ユキノ機に続き、ジラハ機に迫っていたはずの2機のジム。その内の1機が、突如ザクの真横から飛び出して来た。
京都の街を焼く陽炎を、RGM-79HC「ジムガードカスタム」の大盾で突き破りながら突撃して来た、その機体の手には。絶対にこの場で仕留めるという信念を帯びた、ビームジャベリンが握られていた。
『そういうこった……! ユキノの甘ったれは今日、こいつをブチ倒すためにあったのよッ!』
『ぬぅッ……!?』
その機体を駆るパッチワーク・ビギナーズ少尉は、ジラハ機が咄嗟に振るったヒートホークを弾き飛ばすと、ザクマシンガンの銃身を一瞬のうちに切り落としてしまう。
機械弄りが趣味の元傭兵、という独特な背景を持つ彼はMSパイロットとしては確かに新米だが、実戦経験そのものは豊富なのである。その経験に基づく直感を頼りに、彼は人生初のMS戦でありながら、「パーブ」の隊長機とも渡り合って見せていた。
『初陣早々にエースを仕留めたとなりゃあ、年内の昇進だって夢じゃねぇッ! そうすりゃ給料アップ間違いなしって寸法よォッ!』
『……随分と擦れた小僧が出て来たもんだなッ! そんな理由でくたばっちまうことを、無駄死にって言うんだよッ!』
ユキノが作った絶好の機会をモノにするべく、ビームジャベリンを突き出すパッチワーク機。その一突きをかわしたジラハ機は、ネットガンの網に絡まった状態のまま、ビームジャベリンの柄の部分を掴んでしまう。
これならばパッチワーク機はビームジャベリンを手放さない限り、逃れることは出来ない。しかし、最大の武器を躊躇いなく捨てられる兵士など、そうはいない。
『げッ……!?』
『その機体、果たしてどこまでコイツに耐えられるかなッ!』
故に、その僅かな隙が命取りとなる。そこに勝機を見出したジラハ機はビームジャベリンを掴んだまま、腰にマウントしていたザクバズーカを取り出していた。
この至近距離ならば、外す方が難しいだろう。片手で構えられているザクバズーカの砲口は、パッチワーク機のコクピットへと向けられていた。ビームジャベリンを手放すという判断を躊躇ったがために、パッチワーク機は絶体絶命の危機に陥っている。
『むッ……!?』
だが、その砲口が火を噴くことは――なかった。ジラハ機が引き金を引くよりも速く、反対方向から最後の1機が突っ込んで来たのである。
『でやぁあぁああーッ!』
パッチワーク機よりもさらに疾い、雷電の如き踏み込み。その加速の中で突き出されたツインビームスピアの一閃が、ザクバズーカの砲身を真っ二つに切り裂いていた。
その
『長物のビーム兵器が、もう一つだとッ……!?』
『……逃すかァアッ!』
その爆炎に紛れて網から脱出していたジラハ機は、弾き飛ばされていたヒートホークを拾い上げるのだが――それと同時に、ビームジャベリンを握るパッチワーク機が追撃を開始していた。
先ほどツインビームスピアでザクバズーカを破壊した、リーサ・ヴァレンタイン少尉のジムもその後に続いている。ビームを帯びた槍を振るう2機のジムが、同時にスラスターを噴かして飛び掛かったのはその直後だった。
『そいつは確かにどうしようもない金の亡者だけどさぁ……無駄死になんてするようなタマじゃあないんだよッ! 私の目の前でそんなことになったら、兄貴に笑われちまうッ!』
『ぬぅあぁッ……!? こ、こいつら……本当に新兵なのかッ!?』
連邦軍の希望を背負う、名だたるエースパイロット達。その1人であるヴァイス・ヴァレンタイン中尉を兄に持つ彼女は、近接戦を得意としていた兄を想起させる立ち回りを披露していた。
決して一瞬たりとも退くことなく、ただ真っ直ぐに前進し、得物を振るう。獰猛なまでに攻撃的なその戦法は、彼女が紛れもなくヴァイスの妹であることの証明となっていた。
『リーサてめぇ、誰が金の亡者だッ! 食って行くためなら誰しも金は必要だろうがよッ!』
『あんたの場合は機械弄りのために使う金でしょうが! ちっとは他の連中を見習いなッ!』
『てんめッ……後で覚えてやがれよッ!』
『ふ、2人とも喧嘩はやめてくださ〜いッ!』
そんな彼女の戦法にぴったりと息を合わせ、反撃の暇を与えまいとビームジャベリンを振るうパッチワーク機も、リーサ機と共にジラハ機を圧倒している。2機のジムが連続で繰り出してくる刺突の嵐に、ヒートホークでの
口先では喧嘩ばかりのリーサとパッチワークだが、いざ戦うとなれば互いの隙をカバーし合う抜群のコンビネーションを発揮するのだ。
後方でなんとか宥めようとしているユキノの声には全く耳を貸さないまま、2機のジムはついにジラハ機の片腕を斬り落としてしまった。
『こいつらッ……!?』
いつしかジラハ機はザクマシンガンとザクバズーカだけでなく、片腕まで失っていた。つい先程撃破されたミツヒサ機のように、今は琥珀色のザクが満身創痍となっている。
(操縦技術は荒削りもいいところだが……「気迫」が違うッ! 新兵共が持ってるような殺気じゃあないッ!
リューコ達を憐れみながらも、心のどこかで彼女達を侮っていた「パーブ」の隊長は――その微かな油断を突かれたのだ。この初陣でMS戦のイロハを一気に掴んだ新兵達の成長は、彼の見立てを遥かに上回っていたのである。
そして、数歩後退りしたジラハ機にとどめを刺すかのように。ビームサーベルを引き抜いたリューコ機が、後方から一気に飛び込んで来た。
『はぁあぁあーッ!』
咄嗟に体勢を反転させながらヒートホークを横薙ぎに振り抜くが、彼女はすでにその一閃を見切っていた。
(ユキノ、リーサ、パッチワーク……ありがとう! 皆のためにも、必ず断つッ! この刃でッ!)
可動域の限界に達するまで体勢を低くしていたリューコ機は、頭上を刃が掠めて行った瞬間――その光刃を全力で振るい、ジラハ機の両脚を斬り裂いていく。
『うぐ、おッ……! ば、馬鹿なッ……!? この新兵達の、成長速度はッ……!』
当然ながらMSの脚は、飾りなどではない。その2本の脚を奪われた琥珀色のザクは、力無く倒れてしまうのだった。
『はぁ、はぁ、はぁッ……や、やった……やりました、教官ッ……!』
今回が初の実戦となった4人の新米パイロットは――この初陣で、「パーブ」の隊長機を仕留めたのである。それは教え子達の成長を何よりも重んじていたミツヒサ・ヤマダに対する、至上の報いであった。
今回のキャラ募集企画にご参加頂いた皆様、この度は本企画にご協力頂き誠にありがとうございました!(*≧∀≦*)
ジラハ機との戦いには一応の決着が付きましたが、本章はまだ終わりではありません。まだ作中に登場していない残りの3名もいずれ登場しますので、最後までどうぞお楽しみにー!٩( 'ω' )و
……そういえば今日は4月6日、ジムの日でしたね。皆! ジムはいいぞ!(゚∀゚)
Ps
劇場版「ククルス・ドアンの島」が楽しみで夜勤明けの朝しか眠れない(ノД`)