機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第3話からの登場人物-

-ディアーヌ・デュボア-
 23歳。 ロッテルダム出身。愛機の推力を活かした接近戦を得意とする熱血な女性パイロットであり、広告塔(アイドル)に採用されたこともあるスレンダーな美女。ダークブルーとスノーホワイトを基調とするジムスナイパーIIに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案はただのおじさん先生。

-ヴャチェスラフ・イワノヴィチ・ボブリコフ-
 29歳。モスクワ出身。気が小さく臆病な小太りの男だが、いざという時には勇敢な一面も見せる。千人針の風習にあやかった虎のパーソナルマークを刻んだジムに搭乗する。階級は軍曹。
 ※原案は富幸先生。

-トキノ・カズラ-
 31歳。サイド3出身。ルウム戦役の頃から戦い続けて来た寡黙なベテラン兵士。ザクマシンガンを携行したリックドムに搭乗する。階級は中尉。
 ※原案はピノンMk-2先生。

-フェオドラ・アドリアーノヴナ・ペトルーシュキナ-
 19歳。サイド3出身。チェンバロ作戦で父が戦死して以来、連邦憎しの精神で戦い続けてきた長身の女傭兵。黒を基調とつつ、ゲルググキャノンやゲルググJの部品で補修された現地改修機のゲルググに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案はゲオザーグ先生。



第3話 隻眼の女狼 -フェオドラ・アドリアーノヴナ・ペトルーシュキナ-

 

 敗戦を認めないジオンの残党、と一言で片付けるならば哀れな敗残兵達に過ぎないと思う者は多い。だが「黒死霊」の構成員達は全員、どのような形であれア・バオア・クーの煉獄から生き残った豪運と実力の持ち主ばかりなのだ。

 

 戦争に勝利したとはいえ、物質的にも精神的にも消耗し切っていた今の連邦軍にとって、「黒死霊」の亡霊達は――哀れな敗残兵と言い切れるような甘い相手ではないのである。

 戦争が終わった今もなお、その死地に身を投じている者達のほとんどは、エースと呼べる力量に到達しているのだから。

 

『数が多い上に雑魚が1人も居ない……ってのは厄介ね、全くッ! ディアーヌさん、柄にもなく本気(マジ)になっちゃいそうだよッ!』

 

 ダークブルーとスノーホワイトを基調とする、ジムスナイパーII。ビームサーベルを咥えた鷹のエンブレムを肩に描いているその機体は、連邦軍の広告塔(アイドル)を務めたこともある美女――ディアーヌ・デュボア少尉の愛機だ。

 ビームガンを絶え間なく連射している彼女の眼前では、1機のリックドムが絶え間なく左右に飛び回り、閃光の弾幕を難なくかわし続けている。両手に構えたザクマシンガンとジャイアントバズを同時に連射しながら、その機体は徐々にディアーヌ機との距離を詰めていた。

 

『……それは褒め言葉として受け取っておくとしよう。言っておくが、この俺を含む主力メンバーの撃墜数(スコア)は「四海竜(しかいりゅう)」よりも上だぞ』

『殺した数の自慢なんて、趣味まで最ッ悪ッ! ディアーヌさんのタイプじゃあないねッ!』

 

 トキノ・カズラ中尉を乗せたそのリックドムは、パイロットの意思を反映させるかの如く。眼前に迫った好敵手(ライバル)を屠らんと、スラスターを噴かして一気に接近する。ジャイアントバズを手放し、ヒートサーベルでの斬撃に切り替えたのはその直後だった。

 だが、ディアーヌ機も負けてはいない。彼女の愛機は即座に2本のビームサーベルを引き抜き、トキノ機との剣戟にもつれ込んで行く。

 

『ひ、ひぃいぃっ! く、来るなぁあっ! わ、私のところに来るんじゃあないぃっ!』

 

 ――その頃、ディアーヌ機とトキノ機の近くでは。「黒死霊」の主力メンバーに狙われていた1機のジムが、懸命に逃げ回りながら牽制のビームスプレーガンを連射していた。

 

 「千人針」という日本の古い風習にあやかった、虎のパーソナルマークを胸に刻んでいるジム。その機体を駆るヴャチェスラフ・イワノヴィチ・ボブリコフ軍曹は、小太りの腹を揺らしながら恥も外聞もなく泣き喚いている。

 

 日本の友人に教わった願掛けがなければ、まともに出撃することも出来ない。

 そんなスターイーグル隊の隊員としては非常に珍しい小心者である彼は、よりによって「黒死霊」の主力メンバー達の中でも、特に攻撃的で獰猛な手合いに遭遇してしまったらしい。

 

『ノコノコと私の前に現れておいて、今さら怖気付いてんじゃあねぇぞッ! 男ならいい加減覚悟を決めて、掛かって来なァッ!』

 

 黒を基調としたMS-14A「ゲルググ」をベースに、様々な部品を加えて改造を施した現地改修機。

 その機体を駆るフェオドラ・アドリアーノヴナ・ペトルーシュキナ少尉は、Jカップの豊穣な爆乳を弾ませながらも激しく吼え、ヴャチェスラフ機を執拗に追い回していた。

 

 MS-14JG「ゲルググJ」のスラスターを活かした推力で距離を詰め、MMP-80マシンガンの連射で撃墜を狙う。そんな彼女の左眼は、火傷で瞼が癒着した隻眼となっていた。

 

 ――かつてはジオン高官の娘という「やんごとなき身分」だった彼女は、チェンバロ作戦で父を失ったことをきっかけに運命を狂わされ、今は残党組織の一員と成り果てている。

 その荒み切った人生が、可憐で活発な少女だったフェオドラを、獰猛な猟犬に変えてしまったのだ。茶色の長髪を振り乱す長身の女狼は、右の四白眼で標的を鋭く射抜いている。

 

『非戦闘員を大勢巻き込んで、今度は弱そうな相手を狙っていたぶろうってわけ? ディアーヌさん、そういうのは好かないなぁ!』

『ディ、ディアーヌ中尉ありがとうございますぅぅう!』

『あぁッ!? 無差別に誰彼問わず襲うコイツらと一緒にするんじゃあねぇッ!』

 

 それでも、非戦闘員である整備兵まで巻き込む「黒死霊」のやり方には同調できないのか。トキノ機を振り切り、ヴャチェスラフ機の救援に飛び込んできたディアーヌ機の言葉に激昂し、彼女は激しく怒号を上げている。

 

 ビームガンによる牽制射撃を巧みにかわし、ディアーヌ機とヴャチェスラフ機から一旦距離を取ったフェオドラ機は、トキノ機と合流して反撃体勢へと移行していく。

 

『フェオドラ、そいつから片付けるぞッ! 雑魚は後でいいッ!』

『ちッ……しゃあねぇなッ!』

 

 雑魚のヴャチェスラフ機など後で始末すればいい。敵方の主軸であるディアーヌ機さえ仕留めて仕舞えば、何とでもなる。それがトキノ機の判断だった。

 

 「黒死霊」の言いなりになることについて釈然としない感情を抱えながらも、ザクマシンガンを連射するトキノ機の援護射撃に乗じて、フェオドラ機は一気にディアーヌ機との距離を詰めていく。ビームガンとビームスプレーガンによる牽制射撃を、紙一重でかわしながら。

 

『チッ……!』

『親父の仇討ち……くたばりやがれぇえぇッ!』

 

 やがてディアーヌ機の懐に飛び込んだフェオドラ機は、彼女を確実に仕留めるべくシュツルムファウストを構える。近距離でこのロケット弾を撃ち込まれては、ジムスナイパーIIといえどもひとたまりもない。

 覚悟する暇もなく迫る、死の運命。その光景にディアーヌが瞠目した、次の瞬間。

 

『ぬぅッ……おぉおおッ!』

『な、何ィッ!?』

 

 ビームスプレーガンを放り投げたヴャチェスラフ機が真横から飛び込み、シュツルムファウストを握るフェオドラ機の腕に掴み掛かったのである。

 その弾みによってフェオドラ機の狙いが逸れ、シュツルムファウストの弾頭はディアーヌ機の脇腹を掠めると、そのまま明後日の方向へと飛び去ってしまうのだった。

 

 一歩間違えれば自分もディアーヌ機と共に吹き飛んでいたというのに。彼は皮肉なことにもこの土壇場で、フェオドラが望んでいた通りの「男」を見せたのである。

 

『シュツルムファウストの軌道を変えたッ……!? あのMS、先程までとはまるで動きのキレが違うぞッ!』

『……死なせねぇ、って意地が成せる技ってか。やるじゃねぇかよ……!』

 

 切り札だったシュツルムファウストを台無しにされたフェオドラ機は咄嗟に飛び退き、再びトキノ機と合流する。

 

 雑魚と侮っていたヴャチェスラフ機に計算を狂わされたトキノは、想定外の展開に冷や汗をかいていた。

 一方、自分の狙いを外されたフェオドラは、ここぞというところで見せ付けられた「男」にえもいわれぬ高揚感を覚えている。

 

『やらせはせん、やらせはせんぞぉッ! 私はまだ……ディアーヌ中尉のサインを貰えておらんのだからなァアッ!』

『……そんな理由で張り切られても、リアクションに困るんだけどなぁ』

 

 そんな中、当のヴャチェスラフは広告塔時代からファンだったディアーヌのサインを貰うためならばと、独り熱く闘志を燃やしていた。その隣で苦笑いを浮かべているディアーヌも、内心では彼の頼もしさに頬を緩めている。

 

『……生き残ってくれよ、皆ッ……!』

 

 そんな部下達の奮戦を一瞥しながら。両脚をもがれているヴァイス機のジムは、スラスターを全開にしてリュウジ機のMAを目指していた。

 

 全方位に絶え間なくメガ粒子砲を乱射し、この宇宙を闘争の色に染め上げている「魔王の遺産」。その暴走を、なんとしても阻止するために――。

 




 活動報告にある通り、連邦軍及びジオン軍の新オリキャラ募集企画は4月24日12:00まで続いております。機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)

Ps
 映画「ククルス・ドアンの島」にはジムの新たなバリエーションも登場しているのがジム好きとしては嬉しい限り。皆! ジムはいいぞ!(゚∀゚)
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