機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第5話からの登場人物-

-カタリナ・キャスケット-
 20歳。エアーズ出身。ジオン軍に故郷を占領されて以来、生き別れた家族との再会を目指して戦い続けてきたボーイッシュな美女。ジムスナイパーIIに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案はスノーマン先生。

-アズラ・R(レイズ)・アルカリア-
 45歳。サイド3出身。レゾルグ・バルバに心酔していた狂信的な人物であり、一度激昂すれば止まらなくなる凶悪な危険人物。度重なる改修を施した、鹵獲機のジムコマンドに搭乗する。階級は准尉。
 ※原案は影騎士先生。



第5話 実弾の名手 -カタリナ・キャスケット-

『全く、「放っておけない男」っていつもあんな感じだから困っちゃうんだよね。ボク達の気も知らないでさ……』

 

 「魔王の遺産」と呼ばれる超大型MAを討つべく、メガ粒子砲の豪雨を掻い潜り敵陣に突入して行くヴァイス機とエイジ機。

 その2機の機影を一瞥するジムスナイパーIIのパイロット――カタリナ・キャスケット少尉は、切なげに頬を緩めていた。

 

 星一号作戦の後、ルナツーでの補給を経てスターイーグル隊に配属されていた彼女も、この戦いに参戦していたのである。

 密かに想いを募らせていた男(ケンジロー・カブト)を想起させる男達の蛮勇を目の当たりにした彼女の瞳は、複雑な色を湛えていた。

 

『やれやれ、戦闘中に余所見などしていてよろしいのですかな? 連邦の駄犬様。この私を相手にしておいて、随分と余裕がおありのようですが』

 

 そんな彼女と対峙している「黒死霊」の一員――アズラ・R(レイズ)・アルカリア准尉は、ジムスナイパーIIの横顔を冷たく嘲笑している。

 

 彼の乗機は鹵獲されたRGM-79GS「ジムコマンド」をベースとしているのだが、改修に改修を重ねたその外観は、撹乱を目的としたジムの偽物「ゲムカモフ」を彷彿させる歪なものとなっていた。

 その無惨な姿にかつての乗機(ジムコマンド)の面影を視たカタリナは、冷酷な怒りを宿した眼差しでアズラ機を射抜く。Aカップの慎ましい胸を張り、不遜に鼻を鳴らす彼女は、露骨なまでにアズラを挑発していた。

 

『……終戦協定にも従わない跳ねっ返り風情が、偉そうな口を叩くじゃないか。そっちこそ良かったのかい? ボクを墜とせる千載一遇のチャンスは、たった今潰えてしまったんだけど?』

『ふふ、ふ、そうですかそうですか……こっちが下手に出ていればつけ上がりやがってぇえッ! 良いだろう、お望み通り鏖殺の時間だッ! この俺の温情を捨てた事、ヴァルハラで後悔することだなッ!』

 

 心の底から軽蔑し、冷たく嘲るカタリナの声を耳にした瞬間。まんまと乗せられた(・・・・・)アズラは一瞬のうちに豹変し、押し込められていた殺意の奔流を剥き出しにして行く。

 

 アズラ機のジムコマンドがビームガンを連射する瞬間、カタリナ機のジムスナイパーIIも素早く身を屈めながらブルパップマシンガンを構え、引き金を引いていた。

 ビームガンの閃光がカタリナ機の頭上を通過するのと同時に、ブルパップマシンガンの銃弾がアズラ機の全身に命中する。歪な外装が剥がれ落ち、ジムコマンドとしての本来の姿が暴かれていく。

 

『うご、ぉッ……!?』

『……宇宙での戦闘が、いつまでもそっちの十八番だと思わないで欲しいね。だいたい、あんたのご主人様はあの「魔王」じゃなかったの? こんなテロに手を貸して何になるんだか』

 

 かつてレゾルグ・バルバに仕えていた私兵達の中でも特に狂信的な人物だったアズラは、「魔王」と戦った経験を持つカタリナにとって、決して見逃せない危険人物であった。そんな魔物がレゾルグではなく、リュウジに追従している現状に、彼女は眉を顰めている。

 一方、手痛い反撃を浴びせられたアズラは怒りが一周したのか、愚問だと言わんばかりにくぐもった笑みを溢していた。

 

『……くっ、くくく。誰が成したかはもはやどうでもよいのです。あの方、レゾルグ様の「遺産」が大業を成せば……あの方を英霊として祀ることが出来る。それこそが、今の私の悲願なのですよ』

『なんだって……ぐッ!?』

 

 レゾルグを抵抗の象徴として祀ることさえ出来れば、そのための過程など全て無視する。そこまで強硬かつ先鋭的な思想に取り憑かれていたアズラには、もはやどのような言葉も届かないのだろう。

 

 不意を突くような応射を片脚に受けたカタリナ機は、大きく体勢を崩してしまっていた。その隙に乗じてビームガンを投げ捨てたアズラ機は、一気にスラスターを噴かしてカタリナ機に急接近して行く。

 

『だからこそ……あの憎きケンジロー・カブトだけは、この私の手で磔刑に処さねばならないのだッ! そこを退いてくたばれ小娘ぇぇえッ!』

 

 自らが信奉する「魔王」を討ち取った「勇者」――ケンジロー・カブトだけは必ず己の手で抹殺せねばならない。

 

 その信念を糧に生き恥を晒して来た「魔王の私兵」は、ビームサーベルを引き抜きながらスラスターの推力を全開にしていた。

 

(ケンジロー……! あんただけは、絶対にボクがッ!)

 

 だが、その光刃がジムスナイパーIIを両断する直前。

 左手でビームサーベルを握る手を掴んだカタリナ機は、寸前のところで斬撃を阻止してしまう。

 

 愛する男の名を耳にした戦乙女は、絶対に負けられないという覚悟を新たにしていたのだ。

 その意志の力を体現するかの如く――ジムスナイパーIIはそのまま、ビームサーベルを持つジムコマンドの腕を、握り潰してしまう。

 

『ぬぅうッ……!?』

『……そうかい、よく分かったよ。おかげでボクも……躊躇いなくあんたを消せる』

 

 その声の冷たさには、狂信と妄執に取り憑かれたアズラですら慄くほどの殺意が込められていた。

 

 ブルパップマシンガンの銃口がジムコマンドのコクピットに押し当てられた瞬間、彼女の宣言通り――躊躇いなどない無数の銃弾が、アズラ本人へと襲い掛かって行く。

 

 当然、ジムコマンドの装甲ではゼロ距離射撃に耐えられるはずもなく。コクピットの先に隠れていた生身の人間は、瞬く間に巨大な銃弾の前へと曝け出されてしまうのだった。

 

『ぬぉああぁあッ……! こ、この浅ましいメス豚がぁあぁあーッ! 貴様なんぞに、貴様なんぞにこの私が、このアズラ・R・アルカリアがぁぁあーッ!』

 

 その断末魔が轟くと共に。完全に沈黙したジムコマンドの残骸は、宇宙の彼方へと流されて行く。

 

『……地獄の底で崇めてろ、あんたの「魔王」様を』

 

 やがて。狂信者に相応しいその末路を見届けたカタリナは、情などないと言わんばかりに冷たい言葉を吐き捨てるのだった。

 

 後の歴史に誕生する地上の聖戦士達(ティターンズ)を想起させる片鱗はすでに、この当時から顕れていたのである――。

 




 先日の4月24日を以て、オリキャラ募集企画は終了となりました! 本企画にご参加頂いた全ての皆様、ご協力誠にありがとうございます!(*≧∀≦*)
 まだまだ連載は続いておりますので、どうぞ最後までお楽しみにー!٩( 'ω' )و

Ps
 ジョジョ3部のヴァニラ然り鬼滅の刃の黒死牟然り、ラスボスに忠誠を誓ってる側近キャラって妙な魅力があるんですよねー(*´꒳`*)
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