機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第14話からの登場人物-

-ギルス・スォード-
 25歳。サイド3出身。ルザー・ヴァハークの元部下であり、ジオン共和国軍から出向して来た若き熟練兵。ルザーから送られた高機動型ザクIIに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案はX2愛好家先生。

-アンドラ・グレース-
 31歳。サイド3出身。戦後、「黒死霊」とは無関係に宇宙を放浪していた元敗残兵であり、温厚ながら情に厚い好漢。応急処置によって各部位が補修されているガルバルディαに搭乗する。階級は中尉。
 ※原案は試作強化型アサルト先生。



第14話 最狂の閃雷 -ギルス・スォード-

 突如として始まった、ムサイ級巡洋艦「サープリス」の裏切り。そして、その行為に激怒したビグザム級による「粛清」のメガ粒子砲。

 

『なッ……!? 馬鹿な、「サープリス」が何故ッ……!?』

『「黒死霊」同士の内紛、だと……!? あそこで一体何が起きているんだッ!?』

 

 その異変と一連の事態に気付いたスターイーグル隊と「黒死霊」の面々は、予想だにしなかった展開に瞠目していた。互いの命を刈り取ることにのみ注力していた彼らですらも、思わず手を止めてしまうほどの出来事だったのである。

 

 そんな混沌に乗じて「サープリス」から脱出していたコムサイは、ライミューダ派の者達を乗せて悠々と宇宙を漂い、スターイーグル隊のサラミス級を目指している。

 

 怒りの大型メガ粒子砲によって爆炎に飲まれ、沈み行く母艦の最期を見送りながら。裏切り者達を率いるライミューダは、冷や汗を拭いながら安堵の息を漏らしていた。

 

『ふぅっ……! 間一髪だったな、お前達。さぁ、後はスターイーグル隊に白旗を振って彼らに媚を――!?』

『――逃さんぞライミューダァッ! 俺達を裏切って連邦に恭順しようとは、惰弱にして愚劣の極みッ! 今この場でその大罪を贖えぇええッ!』

 

 だが、裏切り者への憎悪に燃えているのはリュウジだけではない。

 

『まずい、スミルの奴ッ……!』

 

 ライミューダ達を乗せたコムサイを捕捉していた「黒死霊」の1機――スミル・ダジャ機のザクキャノンが、「粛清」を完遂するべく急接近していたのだ。

 180mmキャノン砲とジャイアントバズを構えながら突撃して来るザクキャノンは、裏切り者達への制裁を加えるべく、その引き金を引こうとしていた。

 

『やらせるかぁああッ!』

『なにッ……!』

 

 だが、その二つの砲口が火を噴くよりも疾く。真横からビームサーベルを振るって割り込んで来た、1機のガルバルディαがスミル機の行手を阻んでしまう。

 全身の各部が応急処置によって辛うじて補修されているその機体は、「黒死霊」のものでもスターイーグル隊のものでもなかった。

 

『いい加減にしろよあんた達、元ジオン兵同士で何やってんだッ!』

 

 戦後の宇宙を放浪していた流れ者の敗残兵――アンドラ・グレース中尉の乗機だったのである。

 偶然にもこの戦闘に遭遇していた彼は、コムサイを攻撃しようとしているザクキャノンを目の当たりにしたことで、事情を知らないまま「同胞殺し」を阻止せんと動き出していたのだ。

 

『ええい、俺達とは違うただの流れ者か……! 事情も知らん部外者風情が悪戯に口を挟むな! これ以上邪魔立てするというのなら、貴様から先に始末するぞッ!』

『仲間を殺そうとしてる奴らの事情なんて、知りたくもないぜ……! やれるものならやってみろ、俺だってこのガルバルディαを任されたエースの1人なんだッ!』

 

 応急処置によって維持されている機体とはいえ、アンドラ機のガルバルディαはビーム兵器を搭載している高性能機。

 しかもスミル機のザクキャノンはスターイーグル隊との死闘でかなり消耗しており、これ以上の継戦は困難な状況に陥っていた。

 

 スミルとしては早々に無知な邪魔者を排除して、ライミューダ達を始末しなければならないのだが。それが簡単に出来るほど、アンドラ機も容易い相手ではない。

 

(不味い……! 今からこいつを始末するには、連邦の奴らに弾薬を使い過ぎてしまったッ! しかもこいつのガルバルディαにはビーム兵器もある……! 迂闊にやり合っても、撃破されるのはこちらの方かッ……!)

 

 そのことを理解しているが故に攻勢にも踏み切れず、スミル機はアンドラ機の妨害に手をこまねいていた。そんな追手の窮状を目にしていたコムサイの前に、さらなる「救いの手」が現れる。

 

『……こちらはスターイーグル隊所属のギルス・スォード少尉だ。あんた、ライミューダ・アゲインだな? ルザー少佐から聞いたことがある』

『スターイーグル隊……!? いや、だけどその高機動型は……!』

 

 肩部のシールドにスターイーグル隊のエンブレムを刻んだ、MS-06R-1「高機動型ザクII」がライミューダの眼前に接近して来たのだ。その機体に「既視感」を覚えていたライミューダは、思わず目を丸くしてしまう。

 

『これはルザー少佐から託されたのさ。いつかこの日が来た時、あんた達の助けになるように……とね』

『……そう、ルザー少佐が……』

 

 ザクに並々ならぬ執着を見せていた将校――ルザー・ヴァハーク少佐。ガダルカナル島で共に戦っていた彼が設計・開発に携わっていた専用の高機動型ザクは今、その元部下であるギルス・スォード少尉の手に渡っていたのである。

 

 リュウジをはじめとする「黒死霊」の危険性を元上官のルザーから聞かされていた彼は、リュウジ達を止めるべくジオン共和国軍からスターイーグル隊に出向していたのだ。

 そんなかつての部下のために、ルザーは自身が仕上げた高機動型ザクを彼に託していたのである。

 

『……やはり、少佐の見立て通りの事態に発展してしまっているようだな。戦うことでしか満たされないような奴らなど、所詮はこんなものか』

『ふっ……くく、それで自身が仕上げた高機動型を用意してくれていた……というわけなのね。あの人らしいわ、全く』

 

 ザクこそが最高の名機と豪語していたルザーだからこそ、「黒死霊」を阻止し得る傑作MSとして、この高機動型ザクを手配したのだろう。

 戦況の推移を冷めた眼で一瞥しているギルスを他所に、ライミューダは思わず笑みを溢していた。……だが、まだ安心できる状況ではない。

 

『ライミューダ、それにスォード……! 貴様ら、揃いも揃ってジオン兵の風上にも置けん真似を重ねおって……! 大義無き者など、所詮はその程度ということか……!』

『エルヴィンッ……!』

 

 裏切り者達を始末するべくここまで後退して来たのは、スミル機だけではなかったのである。エルヴィン・ケーニッヒ機のザクフリッパーも、満身創痍の身でありながらこの場に急行して来ていたのだ。

 

『ふん……あんたほどの男が、随分と痛め付けられてしまったようだな? エルヴィン中尉。スターイーグル隊の連中はそんなに手強かったのか?』

『黙れ……! 大義を理解できぬ輩に何をどう思われようと、一向に構わんッ! 貴様のような卑劣漢だけは、生かしては帰さんぞッ!』

『そいつは俺の台詞だ。……戦後処理で慌ただしいこの時に、面倒ごとばかり起こしやがって。元先輩だろうと、容赦はしないぜ』

 

 ギルス機はコムサイを庇うようにエルヴィン機の前に立ちはだかり、ザクマシンガンの銃口を向ける。ロングレンジビームライフルの銃口が、ジオン共和国軍に属する道を選んだ裏切り者(ギルス)へと狙いを切り替えたのは、その直後だった。

 

『……ライミューダ中尉。戦う意思のない奴らを引き連れているあんたが、今やるべきことは……分かってるだろうな?』

『えぇ……ルザー少佐と、あんたに拾われたこの命。無駄に散らしたりなんかしないわ、絶対に』

 

 ここは俺に任せて、サラミス級の元へ急げ。そんなギルス機の意図を察したライミューダは、同志達と共にコムサイでこの宙域を離脱していく。

 その後方では、ザクマシンガンとロングレンジビームライフルによる苛烈な撃ち合いが始まっていた――。

 

 ◇

 

 ――そして。「サープリス」を撃沈したビグザム級が、再びスターイーグル隊の方向へと向き直った時には。

 

『ち、ぃいぃッ……!?』

『今度こそ……決着を付けてやるぞッ! 「黒死霊」ッ!』

 

 この混乱に乗じて、ビグザム級の頭上を取っていたヴァイス機が――2本のビームサーベルを振るい、最後の突撃を仕掛けようとしていた。

 




 行きつけの中古屋で偶然にも高機動型ザクの旧キットを見つけたのが、この企画を始める前日のことでした。ガンプラの出会いってのは運命で決められてるのかも知れねぇな……!( ^ω^ )
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