機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第3話からの登場人物-

-ミック・ゴートン-
 20歳。ロンドン出身。サラミス級巡洋艦で機銃射手を務めていた過去を持ち、射撃戦を得意としている。ハンドグレネードを装備したジムキャノンに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案はピノンMk-2先生。

-キアラ・パーシング-
 20歳。ミズーリ出身。星一号作戦で初陣を飾った新兵であり、実戦経験は浅いが負けん気が強い。ジムに搭乗する。階級は伍長。
 ※原案はダス・ライヒ先生。

-ダイト・アロン-
 22歳。バーミンガム出身。イギリス名家に代々仕える執事の家に生まれた、冷静沈着な凄腕パイロット。ガンダムヘッドに搭乗する。階級は准尉。
 ※原案は影騎士先生。

-リュ・ルゥトゥ-
 27歳。北京出身。狙撃能力に秀でた前線指揮官の1人であり、ミックをはじめとする第8部隊を率いている。ジムスナイパーIIに搭乗する。階級は大佐。
 ※原案はリオンテイル先生。

-ジルバート・ブーガンヴィル-
 31歳。パリ出身。代々続く名門出身の誠実な士官であり、ルゥトゥの片腕として幾つもの死線を潜り抜けてきた。花を守る犬のパーソナルマークを施した、専用のジムコマンドに搭乗する。階級は中尉。
 ※原案は赤犬先生。



第3話 猛火の砲手 -ミック・ゴートン-

 突如として、理不尽な暴力によって戦火に包まれたブリゼイドタウン。その窮地に駆け付けて来たのは、近辺をパトロールしていた3機のMSだった。

 町からは距離を置いて欲しい。そう言われながらも、町を守るための働きに手を抜いていなかったからこそ。彼らは、この場に間に合ったのである。

 

『なんで共和国軍のザクが、サイド3の町を襲ってるのよ……!? ねぇ、ミック少尉っ!』

 

 ザクがサイド3を襲う、という異常事態に困惑しているジムのパイロット――キアラ・パーシング伍長は、経験の浅さ故か、操縦桿を握る手を震わせていた。

 

『分からないけど……! とにかく俺達で対処するしかない! ダイト、今の攻撃は俺達にしか当たってないよな!? チトセさんは無事か!?』

 

 そんな彼女を庇うように、乗機を一歩前進させているミック・ゴートン少尉は。愛機であるRGC-80「ジムキャノン」を、ダンテ機のザクに向かい合わせていた。

 

『えぇ、我らの被弾状況もごく軽微なもの……問題ありません。チトセ嬢の無事も確認しております』

『そうか、よかった……!』

 

 燃え盛る炎の壁を隔てて、睨み合うジムキャノンとザク。その様子を一瞥しながらも、RGM-79/GH「ガンダムヘッド」を駆るダイト・アロン准尉は、冷静な佇まいで周囲の被害状況を確認していた。

 

 彼らはダンテ機がチトセをザクマシンガンで吹き飛ばす直前、彼女の前に立ち、各々のシールドで全ての弾雨を凌いでいたのである。腰を抜かしていたチトセは、他の町民達に助け起こされながら、移動を再開していた。

 

『あなた方はそのまま屋敷まで避難してください! そこにだけは……俺達が絶対、行かせませんッ!』

「ミック、様っ……!」

 

 町から離れた基地に常駐して欲しい。そんな要求を出して来たチトセの心情を慮り、真っ先に周囲の説得に動いていた進駐軍の士官――ミック・ゴートン。

 彼の優しさに改めて触れたチトセは、町民達の肩を借りて歩み出しながら、その頬に大粒の雫を伝わせている。心の底から、この町に来たのが彼で良かったと、想いを馳せて。

 

『ハッハハハ、かぁっくいー! あのデカ尻メイドも、まさか連邦から白馬の王子様がやって来るとは思わなかっただろうぜ!』

『……こんなことして、何がしたいんだ。共和国軍のあなた達が、何のためにこんなことをッ!』

 

 そんな彼女の姿を嘲笑うダンテに怒りを燃やし、ミックは声を荒げるが――彼も、彼の仲間達も、全く怯んでいない。それどころか、ミックの怒号さえも愉しんでいるようだった。

 

『何のためぇ? ……何のためでもねぇさ。強いて言うなら、俺達が楽しむためってところだな』

『た、楽しむ……だって?』

『コイツら、イカれてるっ……!』

『……楽しんでどうなる。貴様らの行いは、連邦軍のみならず共和国軍も敵に回す結果にしかならん。わざわざ我々に「処分」されるために暴れているようにしか思えんぞ』

 

 その常軌を逸した返答に、ミックとキアラが戦慄を覚える一方で。ダイトは鋭い眼差しでダンテ機を射抜き、冷淡に彼らを糾弾していた。すでにその手に握られた2連装ビームライフルは、安全装置を外されている。

 そこへ、銀灰色のザク――ゼレド機が現れ、ダンテ機の傍に着地する。グルス機の常盤色のザクも、それに続いて来ていた。

 

『ご名答。どうやら連邦の使い走りにも、少しは話の分かる手合いが居たようだな』

『だが、ちょっとだけ間違いがあるな。……確かに俺達は全員漏れなく、最後には抹殺されるだろうさ。んなこたぁ、覚悟の上で暴れてる』

『……何が言いたい』

 

 含みのある笑みを零しながら、品定めするかのようにダイト機を見遣るゼレド機とグルス機。その不気味な佇まいに苛立ちを覚えたダイトが、低い声で凄んだ――次の瞬間。

 

『てめぇらのようなケツの青いガキ如きじゃあ――俺達は狩れねぇって言ってんだよッ!』

『ぬッ――!?』

 

 ダンテ機の罵倒が合図となり。3機のザクが同時に、動き出したのである。しかもその疾さは、ザク本来のスペックを遥かに逸脱したものであった。

 

『ぐぉあぁあッ!』

 

 僅かに反応が間に合ったダイト機は、咄嗟にシールドを構えて防御態勢に入ったが――3機同時の飛び蹴りにより発生した衝撃は、到底それだけで凌ぎ切れるものではない。

 彼の愛機は丘に叩き付けられ、そのまま地を抉るようにめり込んでしまう。悪鬼達の嗤いが天を衝いたのは、それから間も無くのことだった。

 

『ダ、ダイトッ!』

『こっ……こいつらぁあッ!』

 

 もちろん、仲間を攻撃されて黙っているミック達ではない。360mmロケット砲とビームスプレーガンの一斉射撃で、3機全てを撃破しようと試みたのだが――ダンテ達は同時に散開し、容易く回避してしまう。

 ダイト機も丘にめり込んだまま、2連装ビームライフルを連射していたのだが。その閃光は掠りもせず、ダンテ達は町を焼く陽炎の中へと消えてしまった。

 

『くッ……ダイト、動けるか!?』

『この程度で屈しはしません……! ミック少尉、キアラ伍長、奴らはすぐにまた仕掛けて来ます! 我々だけでは……!』

『分かってる! キアラ、大至急基地に連絡を取ってくれ! ルゥトゥ大佐に救援を要請するしかないッ!』

『りょ、了解……! 2人とも、絶対に死なないでよねっ!』

 

 パイロットの技量もさることながら、ザクとは思えない高機動も脅威的であった。このままでは全滅もあり得ると判断したミックは、町から離れた基地にいるリュ・ルゥトゥ大佐に、増援を要請することに決める。

 その使命を帯びたキアラ機は、通信中に攻撃されないように現場から距離を取るべく、スラスターを噴かしていく。

 

『いいぜぇ……どんどん呼びなァ。その方が、この祭りも盛り上がるってもんよ』

 

 その挙動は、ダンテ達「三獣鬼」にも見えていたのだが。彼らは敢えて増援要請を妨害することなく、燃え盛る町の中で悠然と相手の出方を伺っていた。

 建物の瓦礫や倒れた風車に腰掛けているその姿は、寛いでいるようにすら見える。そんな狂気に満ちた彼らの姿に、ミックとダイトは改めて息を飲むのだった。

 

(なんなんだ、コイツらはッ……!)

 

 ◇

 

 その頃。ブリゼイドタウンから遠く離れた森林地帯に拠点を設けていた、進駐軍第8部隊は――白昼堂々とテロ行為に及んだ3機のザクを撃破するべく、緊急出動(スクランブル)体勢に入っていた。

 

「元ジオンの連中がサイド3を攻撃して、我々がその被害を抑えねばならないとは……皮肉な話があったものだ」

 

 部隊を指揮するリュ・ルゥトゥ大佐も、愛機のRGM-79SP「ジム・スナイパーII」に乗り込もうとしている。

 その隣に立ち並ぶRGM-79G「ジムコマンド」にも、ジルバート・ブーガンヴィル中尉が素早く駆け付けていた。その機体の左胸には、花を守る犬のパーソナルマークが施されている。

 

「蓬色のザクを筆頭とする、3機体制のMS小隊……か。確かに奴らなら、やりかねないことではあるな」

「ルゥトゥ大佐、件のテロリストについて何かご存知で?」

 

 ふと呟かれたルゥトゥの言葉に引っ掛かるものがあったのか、ジルバートが声を掛けると。先の戦争で「三獣鬼」と交戦した過去を持つ猛者は、その当時の記憶に眉を顰めていた。

 

「……他の同胞達が次々と逃げ出していくような局面に至っても、全く退く気配を見せなかったような連中だ。あの戦場のどこかで死んでいた方が、奴らにとっても幸せだったのかも知れん」

「大佐……」

「町の防衛を担当していた共和国軍の部隊とは、先程から連絡が取れなくなっている。……つまりは、そういう(・・・・)ことだ。連邦政府に睨まれ、装備を制限されている今の共和国軍では、奴らには歯が立たん」

「故に俺達の手で、引導を渡すしかない……ということですか。急ぎましょう、このままではミック達が危ない」

 

 両者は頷き合うと同時にコクピットに飛び乗り、愛機を起動させる。バイザーに眩い光が灯り、彼らを乗せた巨人達が続々と格納庫から身を乗り出して行った。

 

『コロニー内では大火力の装備は使えん。だが、奴らの方は何でも利用して好き放題に暴れ回るだろう。……厄介な戦いになる。抜かるなよ、ジル』

『えぇ。ならば他の都市に進駐している部隊にも、今のうちに増援を要請しましょう。……私も、嫌な予感がしますから』

『そうだな……俺としても、お前に万一のことがあっては「菫の君」に合わせる顔がない。お前達の式を見届けるまでが、俺の生き甲斐だからな』

『……大佐、こんな時に茶化すのはやめて頂きたいのですが』

 

 地球に残して来た想い人――ヴィオレッタ・エバーグリーンの美貌を写した、ロケットペンダントを握り締めて。ジルバートは、剣呑な面持ちで「現場」の方角を見据えていた。

 

『茶化してなどいないさ、死なせたくないというのは本心だからな。……俺達に次いで現場から近いのは、第6部隊と第3部隊か。あそこにも腕の立つ奴らが何人か居たはずだ、すぐに呼び出してくれ』

『了解。ズムシティの第1部隊にも、かなりのエースが居たと記憶しておりますが……』

『第1部隊は確かに一流揃いだが、些か遠過ぎるからな。要請は出すが……間に合うかどうかは賭けになる』

『常に最悪の事態には備えておけ、と教えたのはあなたでしょう。賭けだろうと何だろうと、打てる手は全て打つべきかと』

『ふっ、お前こそ言うようになったじゃないか』

『伊達にここまで付き合って来たわけではありませんから』

 

 戦力の逐次投入、という後手に回る対応を避けるため。他部隊への応援要請も出しつつ、両者は同時にスラスターを噴かして、森林地帯の基地から飛び出していく。

 

『ジルバート・ブーガンヴィル、ジムコマンド発進します!』

『リュ・ルゥトゥ……ジムスナイパーII、出るぞ!』

 

 戦争を忘れられない哀れな猛獣達に、今度こそ引導を渡すために――。

 




 活動報告とあらすじにある通り、連邦軍の新オリキャラ募集企画は5月1日00:00まで続いております。機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)

Ps
 エピソードの並び的には第3部と第3.5部の中間辺りに相当するお話なので、完結後にはそちらの方に並び替えようかと思います。……今とそんなに変わらないですね(´ω`)
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