-エイジ・レンフォード-
17歳。サイド2出身。ブリティッシュ作戦によって家族と故郷を奪われた過去を持ち、悲劇の連鎖を食い止めるべく戦い続けている。灰色を基調とするジムガードカスタムに搭乗する。階級は少尉。
※原案はエイゼ先生。
-ダフネ・ガルシア・ペレス-
19歳。マドリード出身。ペドロ・ガルシア・ペレスの妹であり、兄譲りの才能に溢れた近接戦闘の天才。頭部を赤に塗装したジムコマンドに搭乗する。階級は中尉。
※原案はクレーエ先生。
-アクセル・ウィルマン-
22歳。グラナダ出身。かつては第10陸戦小隊の隊長を務めていた寡黙な青年であり、若年ながら数々の戦場を渡り歩いて来た。黒と紺を基調とするジムドミナンスに搭乗する。階級は中尉。
※原案はmikagami先生。
-ヨウヘイ・チネン-
21歳。静岡出身。荒々しい言動が目立つ好戦的なパイロットであり、上官の口癖である「命は宝」を信条としつつも、家族を奪った「三獣鬼」への復讐に燃えている。薄い灰色を基調としたジム改に搭乗する。階級は中尉。
※原案はエクシリオン先生。
-イクサ・アンクブレス-
40歳。メキシコシティ出身。かつては外宇宙開拓のために各宙域を飛び回っていた技術士官であり、MSの操縦においても高い適性を待ち合わせている第6部隊の隊長。右腕を失っている鹵獲機のザクIIに搭乗する。階級は大尉。
※原案は魚介(改)先生。
炎に崩れ、沈み行くブリゼイドタウン。その渦中に立つゼレド機のザクは、第6部隊のMSに完全包囲されていたが――町を焼く陽炎に身を隠し、全ての銃弾を巧みにかわしている。
『これはいい……連邦如きに、ここまで昂るとは思わなかったぞ。牙を抜かれた共和国風情では、話にもならんかったからな』
その絶妙な緊張感すら愉しんでいるゼレド機を他所に、エイジ・レンフォード少尉のRGM-79HC「ジムガードカスタム」は、建物に取り残された人々の救助に当たっていた。
炎から逃れようと屋上にまで登っていた人々を掌に乗せ、避難場所であるブリゼイド邸に続く道に彼らを下ろした後。灰色に塗装された彼の愛機は、ようやく諸悪の根源であるゼレド機に向き直る。
『なんでよりにもよって、この町でこんなこと……! また戦争がしたいんですか! あんた達はァッ!』
元々、領主であるブリゼイド家がダイクン派だったばかりに、この町はザビ派による重税に苦しめられていた。その根源であるザビ家が滅び、ようやく町全体が前向きになろうとしていた矢先に、このような事件が起きている。
その不条理に怒るエイジ自身も、先の戦争で故郷のサイド2を家族もろとも失った過去を秘めていた。そんな彼だからこそ、のどかだった町の惨状には強く心を痛めているのである。
かつての師であるジャック・オコーネル大尉に託された、リックドムに乗っていたという元学徒兵の少女。彼女の身柄をこの町に送り届けた時から、彼は心に決めていたのだ。
あのような惨劇に苦しめられるような犠牲者は、自分を最後にしなければならない。悲しみを繰り返させてはならないと。
その怒りを胸に挑み掛かって来るエイジ機のビームサーベルを容易くかわし、ゼレド機はカウンターの回し蹴りを放って来た。エイジ機もガーディアンシールドで咄嗟に防いだものの、衝撃を殺しきれず転倒してしまう。
『そうとも、よく分かっているではないか。死に瀕する戦場に居てこそ、生への渇望が滾る』
『なにッ……!?』
『そして勝利への道を求め、昂る。その快感を知らぬお前達ではあるまい?』
『……分かるもんかよ! 分かって、たまるかよぉッ!』
とどめを刺そうと振り下ろされたヒートホークを辛うじて受け止めながら、エイジ機はゼレド機を押し返そうとしていた。しかし、銀灰色のザクはびくともしない。
これだけでも、「三獣鬼」のザクが特別にチューンナップされた高性能機であることは明らかだった。見掛けはほとんど通常のザクとは変わりないからこそ、今までの部隊は油断していたのだろう。
だが、もうこの場にザクだからと舐めて掛かる者はいない。陽炎を突き破り、ゼレド機目掛けて突進してきたジムコマンドのパイロットも、その1人であった。
『じゃあ、まずはあなたに消えてもらおうかな。この勝利が齎す、私の昂りのためにねッ!』
『ほう、なかなか良いご趣味のレディーがいたものだな。……だが、少々気が逸りがちのようだ』
頭部を赤く塗装している、その機体のパイロット――ダフネ・ガルシア・ペレス中尉は、ビームサーベルとドムから鹵獲したヒートサーベルの二刀流で、ゼレド機に襲い掛かる。
ジャブロー陸戦中隊を率いていた、ペドロ・ガルシア・ペレス少佐の妹である彼女は、兄譲りのセンスを以てその光刃を振るっていた。ジャンプして回避に徹するゼレド機を追い、彼女の愛機も軽やかに宙を舞う。
空中であっても乱れないどころか、さらに鋭さを増していく彼女のサーベル捌きは、誰もが認める疾さであった。エイジも彼女の腕前を知っているからこそ、迂闊に近づいて邪魔になることがないようにと距離を取っていたのだが。
彼女の猛攻を浴びているはずのゼレド機は、そのボディの各部に擦り傷を残すのみであり。二刀流の僅かな隙を縫うように、ヒートホークの刃を振るっていた。
攻撃の手数は間違いなくダフネ機の方が多いのに、装甲の損耗は彼女の方が早い。その奇妙な状況にエイジが気づいた時には、すでにゼレド機はヒートサーベルを弾き飛ばしていたのである。
『ダフネ中尉ッ! なんて奴だ、ダフネ中尉の動きに完全に付いていってる……! いや、むしろこれじゃあ……!』
『こいつッ……!?』
『生憎、俺もレディーの扱いに長けているわけではなくてな。……この程度のエスコートで、ご容赦願いたい!』
接近戦の天才とまで称されたダフネでさえ、仕留めきれなかった。そんな現実を突き付けられたエイジ機の眼前に、蹴り飛ばされたジムコマンドが飛んで来たのは、その直後であった。
『きゃあぁあッ!』
『中尉ッ! おおぉおッ!』
咄嗟にダフネ機を受け止めたエイジ機は、そのまま転倒しながら即座にガーディアンシールドを突き出す。ゼレド機が追撃のザクバズーカを向けている姿が、視界に入っていたためだ。
咄嗟の防御が功を奏して、ダフネ機を狙った砲弾はシールドに阻まれ、事なきを得る。だがそれと引き換えに、ガードカスタム最大の特徴は、粉々に打ち砕かれてしまうのだった。
『エイジ、ごめんっ……!』
『大丈夫ですよ、中尉! それにしても、ガードカスタムのシールドを一撃で吹き飛ばすなんてッ……!』
『……良かったな。随分と身軽になったではないか』
間違いなく、ただのザクバズーカではない。そしてガーディアンシールドを失ったエイジ機とダフネ機に、再びその砲口が向けられる。
しかし、ゼレド機が引き金を引くよりも早く。その手に握られた砲身は、銃弾の嵐によって真っ二つにされてしまうのだった。
『――!』
視界の外から飛んできたのは、ブルパップマシンガンの銃弾であり。その得物を握るRGM-79C「ジム改」のパイロットである、ヨウヘイ・チネン中尉の仕業であった。
薄い灰色を基調とする彼の愛機は、瓦礫と灰の山に身を隠しながら、虎視眈々とゼレド機を狙っていたのである。ダフネ機との交戦でゼレド機が跳び上がり、陽炎の中から姿を現したことで、ついに撃破のチャンスが巡って来たのだ。
『チッ……怯える暇もなく、楽にしてやろうと思ったのによ』
『……ふむ、いい殺意だ。あの少年といい、俺だけは絶対に殺すという信念すら感じられる』
『当然だろうが。……てめぇは今まで、あまりにも奪い過ぎた。『命』って、『宝』をなッ!』
ブリティッシュ作戦によって家族を失ったエイジにとっても、先の戦争で戦友達を殺されたヨウヘイにとっても、「三獣鬼」の一角であるゼレドは因縁の仇敵であった。
その過去に由来する殺気に触れていながら、愉悦すら感じているゼレドのザクは、ヨウヘイ機目掛けて猛進する。無論、ヨウヘイもマシンガンでの迎撃を試みるが――銀灰色のザクはどれほど傷付いても、足だけは止めることなく走り続けていた。
『気勢は十分、技量も申し分ない。……確かに、優れたパイロットなのだろう』
『くそったれがッ……! なんで、なんで仕留め切れねぇッ!』
装甲を削られ、内部の機械が露出しても止まらないその姿は、さながら
『ぐぉあぁッ!』
『敢えて敗因を挙げるならば……背を向けていた俺を初撃で仕留め切れなかったことだ。その武装、狙撃には向かなかったと見える』
たった一撃でダウンしてしまったヨウヘイ機は、廃屋にめり込んだまま動けなくなってしまった。町への二次被害を避けるためとは言え、強力な火器をほとんど持ち出せなかったことが、この結果に響いていたのである。
『ならば今度こそ仕留め切ってやろう。……この俺の手でな!』
『ぬッ……!』
だが、消耗しているのはゼレド機も同じ。勝機は今とばかりに、陽炎の向こうから2連ビームキャノンの閃光が飛んで来る。
アクセル・ウィルマン中尉のRGM-79DO「ジムドミナンス」が、炎の壁を突き破って現れたのは、それから間も無くのことであった。
前足に剣を持ったグリフォンのパーソナルマークを右胸に刻み、黒と紺のツートンに塗装された彼の愛機は。第6部隊最強の刺客として、ゼレド機の前に立ちはだかっている。
『面白い……お前が1番遊べそうだなッ!』
『ええい、今のをかわすとはッ!』
だが、ゼレド機はビーム兵器による奇襲を受けても、倒れることなく。直撃だけは回避しながら、満身創痍のまま戦闘を続行していた。
両肩のシールドやスパイクアーマーを吹き飛ばされても、構わずヒートホークを振りかぶって来るその姿は、理解し難い不気味さを纏っている。
ビームサーベルを握っている手首を斬り落とされたアクセル機は、矢継ぎ早に腕部のボックスタイプのビームサーベルに切り替え、真横に薙ぎ払った。が、その一閃すらもゼレド機は間一髪で受け止めてしまう。
刹那、手首を返して振り抜かれたヒートホークによって、ボックスタイプを搭載した腕も斬り落とされるのだった。
『その切り替えの速さ、かなりの手練れと見た……! 俺でなければ、初撃で終わっていただろうなッ!』
『これでも……落ちんのかッ!? で、えぇいッ!』
接近戦では競り負けると判断したアクセル機は、後方に飛び退きながらビームライフルによる牽制射撃に切り替えようとしたのだが。その挙動を読んでいたゼレド機に片足を掴まれ、後退すら許されないまま、瓦礫の山に叩き付けられてしまうのだった。
『が……ぁッ!』
『……さすがはサイド3にまで派遣されるような奴らだ、気骨が違う。あの世で存分に誇るがいい、お前がこの戦いの犠牲者第1号だッ!』
もはや、逃げることすら叶わない。アクセル機の上で馬乗りになったゼレド機は、ヒートホークをコクピット目掛けて振り翳す。アクセルの死はもはや、決定的であった。
その光刃を振るう腕が、吹き飛ばされるまでは。
『なッ……!』
『綺麗に避けてるように見えても、しっかり装甲は削れていたようだねぇ。これしきの攻撃でもやられちまうんだからッ!』
それは、遠方から部下達に指示を出してきた第6部隊の隊長――イクサ・アンクブレス大尉による攻撃だったのである。
戦後に鹵獲された隻腕のザクIIを駆る彼女は、狙いが不安定になるにも拘らず。左腕だけで構えたザクマシンガンの弾を、一つ残らずゼレド機の腕に当てて見せたのだ。
『隊長……!』
『アクセル、それにお前達……しっかりしな。四十路のババアを酷使すんじゃないよ、全く』
『……ふっ、これは傑作だな。この俺がまさか、隻腕のザク1機に不覚を取るとは……!』
思わぬ伏兵に片腕を奪われたゼレドは、自嘲するような笑みを溢すと――残された腕でヒートホークを拾い上げ、イクサ機に襲い掛かって行く。
彼女がこの部隊の司令塔であることを見抜いたゼレドは、「頭」から潰すことを目論んだのだ。
『だが……まだ足りん! まだ俺は満たされてはおらんぞッ! このゼレド・ケルベルガーが、たった1人の道連れもなしに果てると思うかッ!』
『隊長ッ!』
だが、ゼレド機の行手を阻むように――エイジ機のガードカスタムが、ビームサーベルを手に斬り掛かって来る。やがて両者は互いの刃をぶつけ合い、決着の瞬間を迎えようとしていた。
『俺の昂りも、快楽も! 今が1番の味わい時なのだ! 付き合ってもらうぞ、満ち足りる瞬間まで!』
『だったら……あんた達の戦いは、この瞬間を最後にしてやるッ!』
本来の技量差で言えば、まずエイジに勝ち目はない。だが、ゼレド機もすでに半死半生の状態であり、まともに動いているのが奇跡とも言える有様となっていた。
『おおぉおッ!』
『でぇッ……やあぁあぁあッ!』
故に、今となっては両者は互角。勝敗の行方は、より強い殺意を宿した一撃を振るえるかどうかに懸かっていた。
元より、迷いなどないゼレド。守りたいもののために、迷いを捨てたエイジ。彼らの激突はやがて――ゼレド機の胴体を真横に両断した、エイジ機の勝利に終わる。
『これだ、これだよ、私が欲しかったのは! この身を焦がす炎の熱さ、肉が焼ける痛み! やっと私もあの日、散って逝った戦友達と同じ――!』
迫る爆炎に飲まれゆく中で、ついに欲していた「死」を手にしたゼレドは。最期の瞬間まで、何一つ恐れることも悔いることもなく、愛機と共に爆散するのだった。
その光景を目の当たりにした第6部隊の面々は、ようやくゼレドを倒したことに安堵し、僅かに息を吐く。だが、まだ戦いは終わりではない。
『……まずは1機、撃破。やったよ、皆っ……!』
ゼレドを倒したことで、サイド2以来の雪辱を果たしたエイジにとっても、これはまだ始まりに過ぎないのだ。「三獣鬼」はまだ、2人も残っているのだから。
『なぁーに終わった気になってんだいバカタレ! ほれお前達も! 他の奴らのサポートに向かうよッ!』
『は、はいッ!』
『へいへい……ったくよォ、あのババアも人使い荒いぜ』
『なんか言ったかい!?』
『いえ何も!』
その現実を改めて突き付けるように、イクサが声を荒げた後。隊員達は傷付いた機体を引きずるように、他の部隊の応援へと向かっていく。
そんな彼らの後ろには、墓標のように瓦礫の山に突き刺さっている、ゼレド機の片腕が残されていた――。
活動報告とあらすじにある通り、連邦軍の新オリキャラ募集企画は5月1日00:00まで続いております。機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)
Ps
今なら一年戦争時の連邦にも、これだけMSのバリエーションがあるっていうのも凄いことですよね。1st放送当時なんて連邦サイドの量産機といったら、せいぜいジムかボールくらいのものだったのに(´ω`)