-ミシュリーヌ・ル・ベーグ-
19歳。パリ出身。ジャブローの第7陸戦小隊に所属しているヴィヴィアンヌ・ル・ベーグの姉であり、妹が属している連邦軍を応援したい一心から、戦場ジャーナリストとして戦場の様子を中継している。妹にも引けを取らない、推定Lカップの爆乳の持ち主。
-ビアンナ・ドバルド-
22歳。サイド3出身。「十指」に対抗意識を燃やしている「
第1話 褐色の蛮人 -ビアンナ・ドバルド-
――宇宙世紀0079、12月24日。
それはジオン公国軍の宇宙要塞「ソロモン」を舞台に、地球連邦軍の一大反攻作戦「チェンバロ作戦」が決行された日であった。
ティアンム中将率いる第2艦隊によって運用されていた対宇宙要塞戦支援兵器「ソーラシステム」により、ソロモンの防衛線は瞬く間に崩壊。要塞の制圧は時間の問題、かに見えた。
――その戦局を大きく揺るがしたのは、ドズル・ザビ中将が自らの手で運用していたMA-08「ビグザム」だったのである。
あまりに強大なその火力は第2艦隊旗艦「タイタン」をも撃沈し、この戦場にさらなる混沌を齎していた。
「な、なんなのだ……! あれは一体、なんだと言うのだッ!?」
「あぁ、『タイタン』が……ティアンム中将がッ……!」
瞬く間に連邦軍の艦隊を撃滅して行く、異形の怪物。その暴威を目の当たりにした後方の艦隊は、ただ慄くばかりであった。
スレッガー・ロウ中尉が駆る戦闘機と、アムロ・レイを乗せたRX-78-2「ガンダム」が、恐れることなくビグザムの巨躯に迫る中。後方の艦隊は、その勇姿をただ見守ることしか出来ずにいる。
「し、信じられません……! ジオンは、あんなものまで造り出していたというのでしょうか……!?」
その内の1隻であるサラミス級巡洋艦の
甘い匂いを漂わせるブラウンのショートヘアに、透き通るような色白の柔肌。誰もが振り返る絶世の美貌に、高貴なる血統を想起させる凛とした蒼い瞳。そして安産型のむっちりとした巨尻と、100cmを優に超える豊穣な爆乳。
そんな見目麗しい爆乳美女――ミシュリーヌ・ル・ベーグは、この艦内の男性人気を独占している戦場ジャーナリストであった。そして彼女は、連邦軍本部ジャブローに属する第7陸戦小隊の、ヴィヴィアンヌ・ル・ベーグの姉でもあるのだ。
(ヴィヴィー……! あなたはやはり、宇宙に上がらなくて正解でしたわ……! もし最前線であんな怪物と遭遇したら、命が幾つあっても……!)
ジオンの暴虐に対する義憤から軍に志願した妹のように、自分も何か出来ることをしたい。その一心からパリの実家を飛び出し、戦場ジャーナリストとなった彼女は、連邦軍の後方部隊に同行していたのである。
だが、そこで目の当たりにしたのは、「戦争」とは言い難い一方的な「殺戮」であった。
ビグザムの巨躯とその威力は、世間知らずの美少女に残酷な現実を知らしめるには、十分過ぎるものだったのである。
「き、君達は先に艦底の
「し、しかし艦長……!」
「かの大富豪……ル・ベーグ家の姫君をここで死なせたとあっては、どの道私の立つ瀬はないのだよ。さぁ、急ぎなさい!」
ミシュリーヌをはじめとする報道クルーは連邦軍を支持してはいるが、あくまで立場としては民間人である。ならば軍人として、民間人の命を守るために最善を尽くすのは当然。艦長も乗組員達も、その覚悟を以てミシュリーヌ達に退艦を促していた。
そこに後方部隊の男性人気を独占していたミシュリーヌが居るのなら、なおのこと、だったのである。男達は惚れた女を守るため、軍人としての矜持を奮い立たせていたのだ。
「……分かりました。艦長も、
そんな彼らの想いを受け止め、ミシュリーヌは報道クルーを率いて艦橋を後にする。そして、彼女達を乗せた大気圏突入用カプセルがサラミス級を発ってから――間も無くのことであった。
「……!? あ、あぁっ……!」
つい先ほどまで、ミシュリーヌ達が身を寄せていたサラミス級が。自分に想いを寄せる男達を乗せた艦が。まるで戦場を彩る
あとほんの少し、脱出の判断が遅れていたら。その指示を艦長が出していなければ。彼女達も今頃は、サラミス級を焼く炎の中に飲み込まれていたのだろう。
「艦長、皆っ……!」
「ミシュリーヌさん、俺達も早く逃げましょう……! ここまで来てこのカプセルまで墜とされたら、艦長達の覚悟も……!」
「……う、うぅっ……!」
世間知らずの美少女には、あまりにも残酷で、重過ぎる光景であった。妹はこんな地獄を何度も味わっているのか……という苦悩も加わり、ミシュリーヌは両膝を着いて泣き崩れている。
だが、報道クルーの仲間達の言う通り、悲しみに暮れて立ち止まっている場合ではない。ビグザムに突撃しようとしているガンダムがそうであるように、戦いはまだ終わってはいないのだ。
「……行きましょう、皆様のためにも……!」
艦長達が命懸けで紡いでくれたこの命に、意義を見出すためにも。今はただ、生き残ることを考えねばならない。
その決意を胸に涙を拭ったミシュリーヌは、Lカップの爆乳と巨尻をどたぷんっと弾ませて立ち上がる。彼女の蠱惑的な肉体から漂う甘い女の香りに、報道陣は頬を込めて目を背けていた。
「……ッ!?」
「あ、あれは……!」
――その時。
サラミス級を焼き尽くす爆炎の向こうから、MS-06「ザクII」が飛び出して来る。陽炎を突き破るように現れたその機体は、全身が赤褐色に塗装されていた。
肩部のシールドには、斧を携えた獰猛な戦士の絵が刻まれている。その不気味なエンブレムを目にした瞬間、ミシュリーヌ達は直感で理解した。
自分達が乗っていたサラミス級を沈めたのは、ビグザムではない。その砲火が齎した混沌に紛れて接近していた、このザクだったのだと。
『あーっはっはっは、まぁだこんなところに生き残りが居たのかい! 連邦の雑魚共も、しぶとさにかけてはなかなかのものじゃあないかッ!』
その機体を駆る褐色の美女――ビアンナ・ドバルド少尉は赤い長髪を掻き上げ、獰猛な笑みを浮かべている。
彼女を乗せた赤褐色のザクは、妖しい輝きを放つ
「赤褐色のザク……! ま、まさか、このザクは……!」
例え民間の輸送船であっても連邦軍に協力的であれば容赦なく撃沈する残忍さから、地球のメディアを頻繁に騒がせていたジオンの特殊部隊――通称、「
その象徴であるエンブレムを目の当たりにしたミシュリーヌ達は全員、顔面蒼白になっていた。赤褐色を基調とするビアンナ機のザクは紛れもなく、その隊長機だったのである。
「ば……『蛮紅隊』のザクじゃないかぁっ! よ、よりによって何でここにぃいっ!」
間近で「蛮紅隊」のMSを目の当たりにした報道クルーはその巨躯を仰ぎ悲鳴を上げ、カプセルの機内は瞬く間に阿鼻叫喚となって行く。豊かな胸元の上に手を乗せているミシュリーヌも、濡れそぼった瞳に恐怖の涙を溜めていた。
『お仲間を見捨てて自分達だけ逃げ出そうなんて、酷い奴らだねぇ? ……それがまかり通っちまうくらいのお偉いさんでも、乗ってるのかい?』
「ま、待て! 我々は軍に同行していただけの報道クルーだ、民間人だ! 分からないのかッ!?」
『んんー? 何を言ってるのかイマイチ分からないねぇ。この辺はちょーっとばかし、ミノフスキー粒子が濃過ぎるのかもねぇ?』
白々しいその口振りだけで、意図が透けて見えて来る。この女はミシュリーヌ達が、本当にただの民間人なのだと理解した上で、素知らぬフリをして撃墜しようとしているのだ。
自分の
「あ……あなたは、悪魔です……!」
『……あっははは、そうかいそうかい! 敵にそう言って貰えるなんて、アタシも随分と人気者になったもんじゃあないか!』
対話の余地がまるで見えない怪物。そのような存在を前にしながらも、ミシュリーヌは必死に声を絞り出そうとしていた。例え無駄だと分かっていても、彼女に出来ることはそこまでが限界だったのである。
「……っ!?」
すると、その時。
ザクマシンガンの銃口をカプセルに向けようとしていたビアンナ機のザクは、即座にスラスターを噴かして後退してしまう。彼女が居た座標を「ビーム攻撃」が横切って行ったのは、その直後だった。
やがてその
カプセルの危機を察知した連邦軍のMS隊が、救援に駆けつけて来たのだ。遥か遠方のマゼラン級戦艦から出撃して来た3機のMSが、こちらに急接近しようとしている。
『……おっ、来たね来たねぇ。こういう真似してりゃあ、正義ヅラした雑魚共が湧いて来ると思ってたところさ!』
「……!」
報道クルーが援軍の到来に沸き立つ中、ミシュリーヌは不敵な笑みを零しているビアンナの言葉に、ハッと顔を上げていた。
ビアンナ機の後方からは、彼女の部下達が搭乗する赤褐色の機体――MS-09R「リックドム」が続々と現れている。
ビアンナの真の狙いは、ミシュリーヌ達のカプセルを利用し、後方艦隊のMS隊を引き摺り出すことにあったのだ。
ケンジロー・カブト少尉を擁する特務部隊や、ヴァイス・ヴァレンタイン中尉が率いる「スターイーグル隊」のような精鋭達は、そのほとんどが最前線に投入されている。
ならば、この最後方の宙域に配置されているMS隊の練度は、彼らに比べれば劣っている可能性もある。
(……「
オデッサで名を馳せたエースパイロット集団「十指」。
彼らへの対抗意識を燃やしていたビアンナは、そんな後方艦隊のMS隊を狩ることで撃墜数を
赤褐色のザクを筆頭に、20機以上ものリックドムで編成されている「蛮紅隊」。
彼らはミシュリーヌ達のカプセルを保護すべく向かって来るMS隊を「獲物」と認識し、臨戦態勢に入っていた。
「ダ……ダメっ! この人達の本当の狙いは、あなた達なのですっ! 来てはダメぇえっ!」
ビアンナの思惑に気付いたミシュリーヌは、「蛮紅隊」に迫るMS隊に向かって悲痛な叫びを上げる。だが、その声が届くことはない。そして届いたとしても、彼らが引き返すことは決してない。
「蛮紅隊」がそうであるように――彼らもまた、自分達が敗れるとは微塵も思っていないのである。その機体の肩部には、青銅色の鳥を描いたエンブレムが刻まれていた。
――地球連邦宇宙軍所属、第14特務支援小隊「ブロンズコンドル」。ティアンム中将によって後方に配置されていた、「最後の砦」たる
彼らは自分達を侮っている「蛮紅隊」に「現実」を見せ付けるべく、この宙域に突入して来たのだ。例えミシュリーヌの声が届いていたとしても、彼らには退けない理由がある。
「タイタン」が沈んだ今でも。後方の友軍を護衛せよというティアンム中将の最後の命令は、続いているのだから。
現在、作者の活動報告にて本章に登場する新キャラを募集しております! 機会があればお気軽に遊びに来てくださいませ〜(о´∀`о)
なお、本章は完結後、外伝「ダーティー・ウルフ」と第3.5部「アイアン・キャットファイト」の中間辺りに移動させる予定です。ご了承くださいm(_ _)m
Ps
アムロの階級とスレッガーの乗機をボカしているのは、TV版か劇場版かでその辺が変わってくるためですね。どちらの世界線なのかは読者様の解釈にお任せ致しますm(_ _)m