機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第3話からの登場人物-

-セイラン・バーラン-
 20歳。サイド7出身。勝ち気で男勝りな女性パイロットであり、経験は浅いが数的不利であっても臆することのない女傑。先行量産型ジムに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案は魚介(改)先生。

-シェルーザ・ファウラース-
 19歳。サンディエゴ出身。「疫病神」という異名で呼ばれている女性ベテランパイロットであり、多くの格上を相手にしながらも、ソロモンまで生き延びてきた強者。ジムコマンドに搭乗する。階級は准尉。
 ※原案は秋赤音の空先生。



第3話 双銃の勇婦 -セイラン・バーラン-

 

 ミシュリーヌをはじめとする報道クルーを乗せたカプセルは、艦隊最後尾のサラミス級を目指して最高速度で移動している。

 だが、その退却を黙って見届ける「蛮紅隊」ではない。無数のリックドムが、彼らを狙っているのだ。正確には――彼らを守っている、連邦軍のMSを。

 

『……ちぃッ! こいつら、カプセル1隻相手に大人気ない攻撃してぇっ……!』

『10時の方向来ますよ、2発ッ!』

『分かってるわよッ!』

 

 そんな彼らの攻撃からカプセルを守らねばならないブロンズコンドル隊のMSは、防戦一方となっていた。

 カプセルの両脇に取り付き、牽制射撃を繰り返している2機のMSは、縦横無尽に飛び回るリックドムの挙動を懸命に捕捉している。

 

 当然、ジャイアントバズの弾頭が1発でも直撃すれば、カプセルの機体など容易く爆ぜてしまう。護衛の2機は四方八方から飛んで来る弾頭を、正確無比な応射で迎撃し続けていた。

 

『シェルーザ、そっちに行ったわ! ……ああもうっ、どこまでも卑怯な連中ね!』

 

 ――RGM-79[E]「先行量産型ジム」。その旧型機を駆るセイラン・バーラン少尉は、ノーマルスーツを内側から押し上げる豊穣な爆乳を揺らして操縦桿を握り締めている。

 彼女の愛機は、カプセルを執拗に狙うリックドムの群れに対し、2丁のビームライフルによる弾幕を張り続けていた。

 

『……でも、私に言い寄って来る馬鹿共に比べたら、「しつこさ」が足りてないわね。そんなしょっぱい包囲射撃(アプローチ)で、この私を落とせると思わないでっ!』

 

 シートに押し付けられた安産型のヒップはむにゅりと形を変えており、汗ばんだ極上の女体から滴る甘い匂いが、スーツの内側に充満している。

 ヘルメットのバイザー越しにリックドムを射抜く美女の眼差しは、士官学校を出て間もない新兵(ルーキー)とは思えない鋭さを秘めていた。

 

 その抜群のプロポーション故に多くの男性パイロットや整備士達から狙われて来た彼女だが、持ち前の気の強さを活かし、その手の下衆な手合いを悉く跳ね除けて来たのだ。

 故に彼女は未だ、誰にもその貞操を許したことがない処女(バージン)なのである。

 

『寄ってたかって嬲るしか能のないクズ共が……何かを成せると思うなぁあぁッ!』

 

 そして男勝りなその性格は、「蛮紅隊」のリックドム部隊に対しても遺憾無く発揮されている。

 数においては圧倒的に不利だというのに、彼女は恐れることも躊躇うこともなく、ただ実直にリックドムの挙動を追い続けているのだ。

 

 セイラン機のジムは、前期生産ロットの先行量産型――つまり「粗製濫造品」であることに加え、ビームサーベルも装備していないという非常に危うい機体なのだが。彼女はそんなハンデなどものともせず、「蛮紅隊」とも互角以上に渡り合っている。

 

『セイラン少尉、そちらのドムをお願いしますッ! ……コイツら、人の心ってものが無いのですかッ!』

 

 そんなセイラン機と共にリックドムを迎撃している、RGM-79GS「ジムコマンド」。

 宇宙戦仕様となっているその機体を駆るシェルーザ・ファウラース准尉も、リックドムを近寄らせまいと操縦桿を動かし続けていた。彼女の乗機は数機のリックドムを、ビームガンの閃光で矢継ぎ早に撃ち抜いている。

 

 操縦桿を振る度に、セイランと比べると僅かに小ぶりな乳房がぷるんっと弾み、ヘルメットの内側で瑞々しい汗が飛び散る。

 一見すれば可憐な美少女のようだが、彼女の戦歴には「疫病神」という物々しい異名が纏わり付いていた。

 

『もう、私だけが生き残るなんて結果はゴメンです……! 例え「疫病神」の汚名が拭えなくたって……私は、ここで折れるわけには行かないんですっ!』

 

 ルウムで初陣を飾って以来、幾度となくジオン軍のエースパイロット達と遭遇して来た彼女は、その度に乗機を撃破されながらも、持ち前の強運に救われ、生き残って来たのである。

 その一方で、被撃墜数が単独撃墜数より多くなってしまい、いつしか「疫病神」という異名を付けられてしまったのだ。だが、何度もエース級と遭遇しながらも生き延びて来た彼女の技量は、決して運だけのものではない。

 

『私を見出してくれた隊長のためにも、セイラン少尉のためにも……そして、私達に期待してくれているカプセルの人達のためにも! 絶対に、死なせはしないッ!』

 

 悪しき異名で謗られながらも、機種転換が不十分なまま次の機体を渡されながらも、彼女は腐ることなく戦い続けて来たのである。ミシュリーヌの声が彼女の機体に届いていたことも、その闘志を後押ししていた。

 異名に纏わる悪評に苛まれながらも、弛まぬ努力によって培われた技量という「積み重ね」が評価されているからこそ、彼女はこのブロンズコンドル隊に所属しているのだ。

 

『まずい、下にッ……!』

 

 そんな中――数機のリックドムがヒートサーベルを引き抜き、カプセルの下部から斬り掛ろうとしていた。死角からの攻撃に反応が間に合わず、シェルーザが声を上げる。

 

『私に……任せなッ、さぁあぁいッ!』

 

 その時。滑り込むように真横から襲い掛かったセイラン機が、2丁のビームライフルによるゼロ距離射撃で、リックドムのボディを次々と撃ち抜いてしまうのだった。二つの銃口から絶え間なく連射される熱線の豪雨が、リックドムの全身を貫いて行く。

 

『ホラホラホラホラァアッー!』

 

 瞬く間に蜂の巣にされた重MSの機体が勢いよく爆ぜ、その爆炎を背にしたセイランが、どたぷんっと爆乳を弾ませる。背面に装備したシールドが、爆炎の熱を凌いでいた。

 そんな彼女を背後から討ち取ろうとした不埒なリックドムは、軒並みシェルーザ機のビームガンで撃ち抜かれている。

 

『ふんっ、ざまぁないわねッ!』

『セイラン少尉、お見事ですっ!』

『まっ、あなたの援護があればこんなものよ。この調子でガンガン行くわよ、シェルーザ!』

『……ありがとうございます、セイラン少尉。「疫病神」と言われて来た私を……この部隊に引き入れてくれて。隊長とセイラン少尉が居なかったら、私……』

 

 カプセルの側から離れられなかったシェルーザ機に代わり、セイランの機体はカプセルの死角を見事にカバーして見せていた。そんな彼女の手腕に、シェルーザも称賛の声を上げている。だが、この攻撃はセイラン1人では実現出来ないものであった。

 

『……隊長も私もいつも言ってるでしょ? 「疫病神」だの何だの、そんな迷信よりも目の前の結果が大事だって! つまらない異名なんか気にしないで、私達でサッサとその結果を引き寄せるのよ! シェルーザッ!』

『セイラン少尉っ……!』

 

 「疫病神」の異名など意に介さず、シェルーザ個人の力量のみに目を向けているからこそ、セイランは彼女を信頼し、己の背中を任せたのだ。

 その期待に応えて見せたシェルーザ機に向けて、彼女はたゆんっと乳房を弾ませ、にかっと朗らかな笑顔を向ける。そんなセイランの屈託のない姿勢に、シェルーザも頬を綻ばせていた。

 

 一方、セイラン機の鮮やかな接射を目の当たりにしたことで、リックドム部隊は戦法の見直しを余儀なくされたのか。彼らは一旦攻撃の手を緩め、彼女達の機体から距離を取り始めていた。

 

『……気を付けてください、セイラン少尉! コイツら、頭数にモノを言わせてるだけではないようです……!』

『ハッ……そりゃあそうよね。曲がりなりにもここまで突入して来るような奴らが、まるっきり雑魚なわけないわ……!』

 

 だが、決して楽観出来る状況などではない。すでに10機近くは撃墜しているが、まだ半数以上が残っているのだ。

 対するセイランとシェルーザは、どちらも集中力がすり減っている。2人の愛機も、すでに弾が底を尽きかけていた。

 

「ひっ、ひぃぃいっ……! か、神様ぁあ……!」

「お、俺達っ……本当に最後尾のサラミスまで辿り着けるのかぁあっ……!?」

 

 一方。セイラン機のゼロ距離射撃を目の当たりにした報道陣の面々は、リックドムの爆散による衝撃でカプセル内を揺さぶられ、再び阿鼻叫喚の渦に飲まれてしまっていた。

 

「諦めてはいけませんっ! 先ほども言ったでしょう、私達が絶望するわけには行かないのですっ! 最後の最後まで信じましょう、彼らなら絶対に……絶対に守り抜いて下さるとっ!」

 

 機内の激しい振動に振り回され、特大の爆乳と巨尻を躍動させているミシュリーヌは、パニックに陥るクルーの仲間達を懸命に励ましながら、操縦桿を握り締めている。

 

(ミライ……! あなたのようには、行かないでしょうけれどっ……!)

 

 ル・ベーグ家とも親交がある名家、ヤシマ家の令嬢――ミライ・ヤシマ。

 友人である彼女と共にスペースグライダーのライセンスを取得していたミシュリーヌは、この土壇場でその手腕を遺憾無く発揮していた。

 

 ――そんな彼女の視線は今、頭上の宙域でビアンナ機と交戦している隊長機に向けられている。

 

(あぁ……! どうか、どうか早く……!)

 

 エース仕様に改修されているビアンナ機のザクは常軌を逸した機動性を誇り、隊長機のMSを圧倒している。

 だが、一刻も早く彼女を倒してこのカプセルの防衛に合流しなくては、撃沈も時間の問題だろう。

 

(ヴィヴィー……! どうか私達に、あの方々に、生還という未来をっ……!)

 

 ミシュリーヌは白くか細い指で操縦桿を握り締め、ただ真摯に祈りを捧げるのだった。

 自分達の生還と、ブロンズコンドル隊の勝利。その奇跡に、希望を託すように。

 




 次回は隊長機同士の対決を描いて行くお話となります。どうぞお楽しみに!٩( 'ω' )و
 ブロンズコンドル隊に属していない他の3名については、終盤辺りで駆け付けてくれる助っ人小隊として登場する予定です。彼らの活躍もどうぞよしなに!(о´∀`о)
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