-フィーネ・エイム-
26歳。アラスカ出身。多くのエースパイロットを輩出して来た教官職の女性パイロットであり、教え子達の成長と生還を見届けるために戦線に加わっている。ジム改に搭乗する。階級は少佐。
※原案はエイゼ先生。
-ラウラ・ヴァンクリーフ-
17歳。サイド3出身。ジャブロー第9陸戦小隊を率いていたアリサ・ヴァンクリーフの義妹。かつてはジオン軍のフラナガン機関でNT実験の被験体にされており、脱走後にヴァンクリーフ家に保護された過去を持つ美少女。眼帯を付けた黒猫のエンブレムが描かれている、黒と白で塗装されたジムドミナンスに搭乗する。階級は少尉。
※原案は紫翠 -シスイ-先生。
ユリネ・ダイゴ。ゲッカ・ヨナミネ。この戦場に駆け付けた最後の「増援」である彼女達は、どちらもジオン地上軍屈指のエースを退けるほどの猛者であった。
それは、アイアングース隊の窮地に駆け付けて来たジム改とジムドミナンスのパイロット達も例外ではない。
――否、それ以上だ。射撃戦を得意とするヴァイスの人格によって制御されたガルバルディは、大型ビームライフルでの強力な一閃を放ち続けていた。しかしジム改とジムドミナンスは巧みに夜空を舞い飛び、その悉くを紙一重でかわしている。
(チィッ……! 蚊蜻蛉ごときが忌々しいッ!)
(イライラしすぎだよ、ヴァイス! 近いところに居る奴から……ボクがバラバラにしてやる!)
縦横無尽に闇夜の森を跳び、大型ビームライフルでの射撃をかわし続けている2機の「増援」。その素早さに苛立ちを露わにしているヴァイスに代わり、シュヴァルの人格がガルバルディの制御を支配した。
アイアングース隊のレルフ機とティオネ機はすでに戦闘不能であり、パイロットも気絶している無防備な状態だ。そんな彼らにとどめを刺そうとしたところで邪魔が入ったこともあり、ヴァイスはそれまでの冷静さを欠いてしまっている。
『……ッ!? こ、のッ……!』
しかし、それはシュヴァルも同様だった。右手の100mmマシンガンと左手のバズーカで牽制射撃を仕掛けていたジム改。その「前衛」に目を付けたシュヴァル機は、ビームランスとビームベイオネットを振り上げてジム改に襲い掛かったのだが――ジム改はその素早い斬撃を、最低限の挙動ですり抜けるようにかわしてしまう。
背中に装備しているシールドの重みで、僅かながら動きが鈍っているはずだというのに。それでもジム改は軽やかにシュヴァル機の背後を取り、バズーカを撃ち放って来た。
『なんで当たらないんだよッ!? 動きは読めているはずなのにッ……!』
背後から迫る弾頭を咄嗟にかわし、シュヴァル機はビームランスを突き出す。その光刃を受け止めるべく、ジム改も瞬時の判断でバズーカを投げ捨て、ビームサーベルを引き抜いていた。双方の刃が激しく激突し、眩い閃光が迸る。
『読めているからどうした。例えどのような特殊能力があろうと、実戦で最後にモノを言うのは個人の技量。いくら私の操縦を読めたところで、お前自身の
一方。ジム改のパイロットであるフィーネ・エイム少佐は、シュヴァルとは対照的に怜悧な佇まいで鋭く目を細めている。ノーマルスーツを押し上げる豊満な爆乳が、激突の反動でばるんっと大きく上下に揺れ動いていた。成熟した肉体から分泌される濃厚な色香が、その妖艶な美貌に彩りを添えていた。
本来の乗機である陸戦型ガンダムに代わり、教え子のジャック・オコーネル大尉に渡るはずだったジム改に乗り込んでいる彼女は、不慣れな「借り物」であるはずのジム改を巧みに乗りこなしている。それは彼女自身の熟達した「技量」の為せる技なのだろう。
『なにをぉッ……!?』
(矮小なオールドタイプ風情が、よくも私とシュヴァルに対してそんな口をッ……!)
無論、シュヴァルとヴァイスも非凡な才能と操縦技術を有している。そんな彼女達には卓越したニュータイプ能力まで備わっており、専用のガルバルディは彼女達の能力を遺憾無く発揮出来る性能に仕上がっている。
しかしフィーネ・エイムというこの女は、特別な能力など持たない
『どういう理屈かは分からんが……激しい動きの変化を見るに、どうやらお前には接近戦と射撃戦に秀でた「二つの人格」があるようだ。それぞれの得意分野を持つ2人のエースを同時に相手にしている状況に
『……知った風なクチをッ!』
その上、フィーネはガルバルディの挙動を観察する中で、シュヴァル達の特性まで見抜いている。ニュータイプと呼べる能力があるわけでもないというのに、単なる「直感」だけでそこまで思い至っているフィーネに嫌悪感を露わにしたシュヴァルは、迅速に彼女を排除しようとする。
彼女を乗せたガルバルディはスラスターを噴かして一直線にジム改へと迫り、ビームランスとビームベイオネットを同時に突き出して行く。強力なリーチと威力を誇るこの二つの光刃を、ジム改の推力を遥かに超えるスピードで繰り出せば、確実に仕留められるはず。
『だが……
『……ッ!?』
しかし、それはあまりに強力な兵器を持つが故の「誤算」だった。シュヴァル機の光刃が届く間合いにまで接近した瞬間、ジム改はその場で咄嗟に身を屈め、スライディングのように低い姿勢からの蹴り足を突き出して来たのである。
その思考をシュヴァルが読み取った時には、すでにガルバルディは最高速度に達していた。この一瞬だけでは、スラスターの制御など間に合わない。フィーネの狙いが読めても、それに対応した自機の操縦が追い付かなかったのである。
『きゃぁあっ!』
そして、次の瞬間。自らの急加速でフィーネ機の蹴り足に突っ込んだシュヴァル機は、その腹部にジム改のキックを受けてしまう。ジム改の推力を上回る自身のスピードを逆に利用されたガルバルディは、その反動で大きく転倒してしまった。
シュヴァルの小振りなお椀型の乳房が、転倒の衝撃でぷるるんっと揺れ動く。そんな彼女のガルバルディを冷たく見下ろすフィーネは、釣鐘型の巨乳を揺らして鋭く目を細めていた。
『あぐ、ぅッ……! こ、このボク達が……そんな、馬鹿な……!』
『お前が何故、
『な、に……!?』
シュヴァルとヴァイスは互いの長所を活かし合い、1機のガルバルディを2人の人格で運用している。それは確かに、2人分のエースを同時に相手している状況に近い。彼女達の特性に気付けたとしても、並のパイロットでは全く太刀打ち出来ないだろう。
だが、それは片方の人格がガルバルディを支配している間、もう片方は頭の中から助言することしか出来ないということでもある。互いを
『どれほど優れた能力を持った人格をいくつ拵えようと、その人格が動かせる肉体は一つだけ。お前の足りないところを補ってくれる仲間達は、お前の頭の中にしか居ない。お前はどうあっても、本質的には
『……!』
『だがお前は、それすら自覚出来ないままここまで来ている。
結局相手が1機なら、どんなパイロットが乗っていようと関係ない。その癖を見抜き、隙を突き、倒すだけ。それは普遍的な連邦軍の将兵らしい、極めて俗物的な考え方だとも言えるだろう。しかしフィーネは、シュヴァル達が相手であろうとそれを実践出来るほどにまで、その「一般論」を「信念」として練り上げているのだ。
(ただの人間に……こんな奴に、ボク達の能力が通用しない……!? そんな、そんなことって……!)
ニュータイプ能力という神秘の奇跡を根底から否定するかのような、ただの人間の単なる技術。それは、フラナガン機関に愛着を持っているシュヴァル達にとって、何よりも許し難い存在であった。
『……シュヴァルの侮辱は許さないッ!』
自分達のアイデンティティを脅かすフィーネの前に、ヴァイスは苛烈な殺意を露わにする。目の前の相手がシュヴァルの接近戦能力を上回っているのなら、射撃が得意な自分が代わるしかない。
そう判断したヴァイスはシュヴァルの肉体を介して、ガルバルディの制御を支配する。素早く大型ビームライフルを構えたヴァイス機の挙動に反応したフィーネ機は、100mmマシンガンで牽制射撃しながら素早く後方に飛び退き、ヴァイス機からの一閃をかわす。
『だが、私達は違う。私達はお前のように「個」として突出しているわけではない。だからこそ、互いの至らぬ部分を傍で補い合うことが出来るのだ。このようにな!』
『あっ……ぐぅッ!?』
次の瞬間、ヴァイス機のボディに実弾の嵐が襲い掛かって来た。フィーネ機の僚機であるジムドミナンスが、左手のブルパップマシンガンで射撃して来たのだ。
フィーネ機に気を取られていたヴァイス機は、反応が間に合わずまともに全弾を浴びてしまう。それだけで撃破されるガルバルディではないが、この弾雨で決して浅いとは言えないダメージを負ってしまったようだ。
『……シュヴァル、ヴァイス。もう、終わりにしよう。これ以上、あなた達と戦いたくない……』
黒と白で塗装されたボディに、眼帯を付けた黒猫のエンブレムが描かれている、専用のジムドミナンス。ジム改の後方から援護射撃していた、その「後衛」のパイロットであるラウラ・ヴァンクリーフは、静かにシュヴァル達に降伏を勧告している。
薄紫の髪を短いポニーテールに纏めている彼女は、赤い瞳で傷付いたガルバルディを見つめていた。実は彼女もシュヴァル達と同じく、フラナガン機関で被験体にされていたニュータイプ能力者だったのだ。
しかし、機関の中でも優秀と言われていたシュヴァルやルティラ達とは違い、彼女は落ちこぼれの烙印を押されていた。そして「失敗作」として追放された後、連邦軍の捕虜となり地球へと降り立ったのである。
だが、知る者も頼る者も居ない天涯孤独の孤児だった彼女には、行くあてなど無かった。そんな彼女を引き取っていたのが、ジャブロー防衛を担う第9陸戦小隊の隊長――アリサ・ヴァンクリーフ少尉だったのである。
フラナガン機関の実験体に過ぎなかった、ただの「ラウラ」は。差し伸べられたアリサの手を取り、「ラウラ・ヴァンクリーフ」に生まれ変わった。シュヴァルやルティラとは、異なる道を選べたのだ。
アリサを輩出した連邦軍の名門・ヴァンクリーフ家の養女となったラウラが、「恩返し」のため連邦軍に志願したのは、それから間も無くのことであった。落ちこぼれの敵兵だった自分を受け入れてくれたアリサとヴァンクリーフ家のためにも、彼女はかつての友人達と戦う道を選んだのである。
『ラウラ……! フラナガン機関を去ったあなたが、まさか連邦の軍門に降っていたなんて……なんと嘆かわしい! かつての友として、引導を渡してあげましょう!』
『……
シュヴァルに代わってガルバルディを制御しているヴァイスは、相手のパイロットがかつての旧友であると気付き、忌々しげに声を荒げている。一方、フラナガン機関での歪んだ教えに異を唱えるラウラは、自分を養女として受け入れたアリサの言葉を思い返していた。
――失敗作だろうと何だろうと、あなたはもうヴァンクリーフ家の一員なのよ! 地球最高峰の名門に恥じないレディーに育ててあげるから、覚悟しておきなさい。この私……アリサ・ヴァンクリーフの
――どうして、私なんかをそんなに……。
――私の
(
大好きな
(そのためにも……私、誰が相手でも戦うよ。こんな私にもきっと……何か出来ることがあるって、そう信じたいから!)
「失敗作」として捨てられた自分に巡って来た、唯一無二の奇跡に対する感謝を胸に。彼女は恐れることなく、かつての友であるフラナガン機関の優等生――シュヴァル達と対峙する。その双眸に、迷いの色は無い。
特別な異能とか全く持ってなくて、ただ純粋に腕が良いスーパーパイロットって良いよね……って思います。ガンダムAGEのアセム編とか好きでした(*´꒳`*)