機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

17 / 177
-第6話からの登場人物-

-ギーア・ギア-
 22歳。沼津出身。自身が「カメ公」と呼ぶ愛機と共に、5ヶ月に渡りカリュブスを追い続けて来た熱血漢。ジムスループに搭乗する。階級は准尉。
 ※原案はX2愛好家先生。

-マサミ・カイエダ-
 24歳。鹿児島出身。冷静沈着で規則に厳格なコバルトキャリバー隊の副隊長であり、クセの強い隊員達に日々手を焼いている苦労人。より水中戦用に特化した専用の水中型ガンダムに搭乗する。階級は中尉。
 ※原案はサンシタ先生。

-シャンデルローズ・アラベスク-
 25歳。ボン出身。コバルトキャリバー隊の隊長であり、ギーアと共にカリュブス達「四海竜」を追い続けて来たクールビューティー。ジムダイバーに搭乗する。階級は大尉。
 ※原案は秋赤音の空先生。



第6話 鉄甲の衛盾 -ギーア・ギア-

 因縁の始まりは宇宙世紀0079、12月15日。キャリフォルニアベース奪還作戦の渦中だった。

 

 「四海竜」と仲間達を率いて、基地からの脱出を図ろうとしていたカリュブス・トゥーケス。彼が駆るズゴックと遭遇した1機のジムは、ビームスプレーガンを1発も当てられないまま、アイアンネイルで頭部を破壊され、呆気なくダウンしてしまっていた。

 だが、カリュブスはそのジムにとどめを刺すことなく、足早に仲間達を引き連れて、キャリフォルニアベースから立ち去ったのである。あまりに未熟な操縦から新兵だと見抜かれたジムのパイロットは、情けまで掛けられていたのだ。

 

 以来、そのジムのパイロットだったギーア・ギア准尉はコバルトキャリバー隊の一員として、キャリフォルニアベースでの雪辱を果たすべく、今日までカリュブス達を追い続けて来たのである。

 5ヶ月にも及ぶ、「四海竜」を追う航海の日々。その中で幾度となく繰り返された出会いと別れを噛み締め、かつての未熟者はついにこの決戦の場へと辿り着いたのだ。

 

『あんただけは……絶対にここで倒すッ! 俺は……俺達は、そのためにこの海を渡って来たんだッ!』

『来やがったなァ、坊主。あの時のひよっこが、まさかここまで付いて来るとはさすがに予想外だったぜ? まともに動けもしなかったような奴が……この5ヶ月で、随分と成長したもんだ』

 

 キャリフォルニアベースで小破させられた後、水中用機として生まれ変わったギーア機のRGM-79U「ジムスループ」。先頭を進むその機体を目にしたカリュブスは、5ヶ月前とは見違えた青年の声色にほくそ笑んでいる。

 そんな彼の両脇を固めているのは、コバルトキャリバー隊を統率している「隊長」と、その補佐を務める「副隊長」の機体だった。

 

『腐れ縁もこれで終わりです。……下らないジオニズムとやらの巻き添えも、これで最後と致しましょう』

『ギーア、気持ちは分かるが前に出過ぎるなよ! ……全く。他の連中といい、この部隊は変わり者ばかりだな』

『運用や整備に余計なコストがかかる水中機は今後、二線級になっていくでしょう。……そんな中でも彼らを追わねばならないのです。私達は変わり者くらいが丁度いいのですよ、マサミ中尉』

 

 隊長を務める、シャンデルローズ・アラベスク大尉。彼女が搭乗しているRGM-79D「ジムダイバー」の傍らを、副隊長ことマサミ・カイエダ中尉専用の水中型ガンダムが潜航している。

 

『それに……私に言わせれば、あなたの機体が1番の変わり者ですよ』

『……隊長、茶化さないでください。私はただ、これ以上部下を死なせないための最善を尽くしているだけです』

 

 マサミの機体は原型機よりもさらに機動力と火力の向上を目的として改修されており、地上での運用が不可とされるほどにまで変容していた。

 両脚部と背部に搭載された大型のハイドロジェット。ランドセルと接続することで、ジェネレーター直結による大出力を得た偏向ビームライフル。水圧を逃すために曲面状のものを多用した装甲。両腕部に装備されたシールド。

 それらを得ているマサミ機も、カリュブス機に劣らぬ気迫を放っている。この決戦に賭ける思いは、彼もギーアと同じなのだ。

 

『最期の相手がお前らとは、なかなかオツなもんじゃねぇか。……いいぜ、掛かって来なァッ!』

 

 コバルトキャリバー隊、屈指の精鋭。そんな3機を前に、好戦的な笑みを浮かべるカリュブスは一気に操縦桿のスイッチを押す。

 次の瞬間。蘇芳色のザクマリンタイプの両手に握られた、2丁のサブロックガンから無数の弾頭が連射された。数え切れないほどの軌跡が水中を駆け抜け、3機に襲い掛かって行く。

 

『……もはや制空権が確保出来ている以上、「四海竜(エース)」さえ居なくなれば潜水艦対策は対潜攻撃機(ドンエスカルゴ)で十分。あなた達も私達も、この海に咲く最後の徒花……ということです』

『違いねぇなァ、大将。……じゃあ徒花らしく、あんたも華々しく散ってみるかいッ!?』

『私は結構です。どうぞ、お先に』

 

 イーサン機すらも凌ぐ、圧倒的な「手数」。にも拘らずシャンデルローズ機は、こともなげに全弾をかわしながら、その隙間を縫うように水中用グレネードランチャーを放っていた。

 

『あんた達が好き放題暴れて来た分のツケ……ここで全部払って貰うッ! 生まれ変わった、「カメ公」の力でなッ!』

『やっぱりその機体、キャリフォルニアベースでフッ飛ばしてやった時の奴か! へっ……坊主に似て、なかなかガッツのあるマシンじゃねぇかよッ!』

 

 ギーア機のジムスループも、紙一重で弾頭を回避しながら、ハープーンガンの銛を連射しているのだが。カリュブス機の装甲はそれらを受けてもなお、その形状を維持している。

 だが、バーン達の攻撃による微かな亀裂は、徐々に広がり始めていた。

 

『貴様らがさっさと投降さえしていれば、この海だけでも平和になっていただろうにッ! 意地でも黙らんというのであれば、この私の手で永久に眠らせてくれるッ!』

『旦那も分かってねぇなァ、カチカチの堅物はこれだから困るぜ! 俺達が黙ろうが黙るまいが、レフェリーも居ねぇ試合にまともな決着なんざあるわけねぇだろうがッ!』

 

 曲面状の装甲とシールドで被弾を最低限に抑えつつ、大出力の偏向ビームライフルを放つマサミ機。

 そこに敢えて1丁のサブロックガンを投げつけ、ビームに誘爆させたカリュブス機は、爆発に伴う水泡に紛れて一気に接近していく。その速さは、アスピード機すらも超えていた。

 

『ぬぅッ!?』

『俺達のサブロックガンは並の装弾数じゃねぇからな。……戦闘中にそいつが爆ぜちまったら、もう何も見えないねぇ?』

 

 水泡による目眩しに気付いたマサミ機は即座に射撃を中断し、眼前に飛び込んで来たカリュブス機を迎え撃つべく、シールドに内蔵されたクローを突き出した。

 

『させるかァッ!』

『おぉっとォッ!』

 

 だがカリュブス機は刃が届く前に、マサミ機の腕を掴んでしまう。鋏状のクローはザクマリンタイプの首を目の前にして、ピクリとも動かなくなってしまった。

 

『な……なんだ、こいつのパワーはッ!? 私のクローが……通らんだとッ!?』

『……生憎だが、こっちも特別製でねぇ。ザクであって、ザクじゃねぇんだよッ!』

 

 ポルセ機よりもさらに上を行く、圧倒的な出力。そのパワーにはMA同然の巨躯を誇るマサミ機すらも、押し負けていた。

 さらに、至近距離という決してかわせないこの状況で。カリュブス機は一切の迷いもなく、胸部のロケットポッドから弾頭を連射する。

 

 ゴッグの装甲を流用して製造された、黒鉄の鎧。その増加装甲に守られている彼の機体なら、自爆同然の接射にも耐えられるのだ。自身もダメージを受けていた、イーサン機のようにはいかない。

 

『うおおぉおッ!』

『あんたみたいな堅物には……これぐらいが丁度いいだろうがッ!』

 

 その絶え間ない爆発に吹き飛ばされたマサミ機は、衝撃のあまりカリュブス機に掴まれた腕を引きちぎられてしまう。だが、それでも彼は諦めることなく、残された腕で偏向ビームライフルの引金を引いていた。

 

『ぐッ……!? 装甲が……ぐおぉッ!?』

『フッ……見ての通り、私の方も特別製でなッ……!』

 

 ビームコーティングが施された増加装甲すら貫通する、大出力の一撃。真っ向からそれを浴びせられたカリュブス機の鎧が、ついに崩壊してしまう。至近距離まで近付いたのは、カリュブスにとっても悪手だったのだ。

 激しく傷付き死に瀕しながらも、攻撃を続けていたバーン達の「積み重ね」が今、この瞬間に顕れたのである。

 

『マサミ中尉ッ……! これ以上の継戦は危険です、一時退却を!』

『しかし、奴もかなり消耗しています……! この機を逃せば、より戦闘が長引く可能性も……!』

『俺が行きます! 隊長はマサミ中尉をッ!』

 

 半壊状態の増加装甲をパージして、身軽になりながら後退していくカリュブス機。その機影を追うギーア機に加勢するには、マサミ機はあまりにも傷付きすぎていた。偏向ビームライフルと繋がっているジェネレーターも激しく損傷しており、このまま戦闘を続行すれば暴発する恐れもある。

 隊長として、それを見過ごすわけにはいかない。それが、マサミ機に肩を貸しているシャンデルローズ機の判断だった。しかし彼女としても、ギーア機を単独で向かわせるのは本意ではない。

 

『ローズ、ここは私に任せてちょうだい! ギー坊は必ず、私が連れて帰って見せるわ!』

『レーナ……!』

 

 そんな彼女に代わり、ギーア機の護衛を引き受けたのは――連邦海軍の別働隊を率いていた、親友のレーナ・タイカ大尉であった。

 彼女が搭乗しているダークレッドの重戦闘機「Gファイター」は水中用に改修された特別機であり、どの機体よりも速く水中を疾走している。

 

 瞬く間にシャンデルローズ機を抜き去り、ギーア機に続こうとしているレーナ機。その遥か後方には、ロウアー機のグラブロが現れていた。

 

『自力で海上に上がれない機体は、今すぐ私に掴まってください! 皆さん、こんなところで死んではなりませんよっ!』

『ロウアー曹長、ありがとうございます……! 動けない機体から先に彼女のカーゴへ! 急いでッ!』

 

 その巨躯には、損傷している機体を回収するためのカーゴが備え付けられている。

 被弾により一時退却していた彼女は隊長(レーナ)の要請を受け、危険を承知で友軍機を救助するために戻って来たのだ。彼女のカーゴにマサミ機を運びながら、シャンデルローズは周囲に撤退を命じていく。

 

『ギーア、レーナ……! 必ず、必ず帰って来るのですよ……!』

 

 そして、かけがえのない部下と、親友の生還を祈る彼女の瞳は。ジムスループとGファイターの機影を、見えなくなるまで映し続けていた。

 




 今話でようやく、全ての読者応募キャラが出揃いました……! そしてカリュブス戦もいよいよクライマックスです! 恐らく次回辺りが最終話になるかと思われますので、どうぞ最後までお楽しみにー!٩( 'ω' )و


Ps
 沼津……サンライズ繋がり……うっ頭が(ノД`)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。