機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-前編からの登場人物-

-レイチェル・マスタング-
 19歳。ワシントンD.C.出身。かつてはジャブローで第5陸戦小隊の隊長を務めていた、パリ防衛隊の一員。類稀な美貌と豪快な性格を併せ持つ肉食系。リュータから引き継いだ陸戦型ガンダムに搭乗する。階級は中尉。
 ※原案はMrR先生。

-アリサ・ヴァンクリーフ-
 19歳。マルセイユ出身。かつてはジャブローで第9陸戦小隊の隊長を務めていた、パリ防衛隊の一員。名家出身のお嬢様だが、「七光り」と呼ばれることを嫌い連邦軍に入隊した。ジムライトアーマーに搭乗する。階級は中尉。
 ※原案はシズマ先生。



第3.5部 アイアン・キャットファイト -0080年7月某日-
前編 北米の女豹 -レイチェル・マスタング-


「レイチェル! 今度という今度は許さないわ! 誰もがあなたのように、肌を晒すことに抵抗がないわけじゃないのよ! 皆のためにも、少しは自重なさいっ!」

「アリサはいつも許してくれないでしょ〜……。別に広報部のお誘いなんて嫌なら断ればいいんだし、ヴィヴィーだっていつもそうしてるじゃない?」

 

 宇宙世紀0080、7月。花の都・パリに常駐している連邦軍の基地ではこの日、2人の女傑がかつてない衝突を繰り広げていた。

 

 快晴の日差しを浴びて眩い輝きを放つ、艶やかなブロンドの髪を掻き上げるレイチェル・マスタング中尉。その豊満過ぎるバストは今日も、制服の前を閉められない彼女の白い谷間を強調させていた。

 一方、濃緑の髪を振り乱して怒号を上げているアリサ・ヴァンクリーフ中尉は。色々な意味で開放的に振る舞う同期の姿に、何度目か分からない説教を浴びせている。

 

「広報部のセクハラ紛いな任務だけが問題じゃないの! 防衛隊の皆で真面目な集合写真を撮る時、あなたの胸元を隠すためだけに前に立たされる私の気持ちが分かる!? SNSに『ディフェンスに定評のあるアリサ』だの『自主規制中尉』だの書かれてる私の心労が、あなたに分かるのッ!?」

「あなた結構愛されてるのね、同期として嬉しいわ」

「私はこんな愛され方、想定してないわよッ!」

 

 士官学校時代から犬猿の仲だった彼女達の関係は、パリ防衛隊の一員として脚光を浴びるようになった今でも変わらず。周囲の仲間達も、また始まったと呆れ返っていた。

 

 ――だが。今日の対決は、これまでの軽い口喧嘩とは次元が違う。

 

「とにかく、このままでは私達全員の沽券に関わるのよ。……こうなったらあなたの得意な、模擬戦で勝負なさいっ!」

「……ふぅん? まぁ、私は別に構わないわよ。ちょうど最近ヒマだったし」

 

 今まで一度もレイチェルには勝ったことがないのにも拘らず、アリサはMSでの模擬戦を挑んできたのである。そんな彼女の気迫を汲み取ったレイチェルも、スゥッと目を細めて妖艶な笑みを浮かべていた。

 先ほどまで日常茶飯事とスルーしていた周囲の軍人達も、まさかの展開に目を見張っている。ここまでの大事にするだけの理由が、アリサにはあったのだ。

 

 ――彼女達を含むパリ防衛隊が、1月中旬に起きた事件を契機にメディアの注目を集めるようになってから、約半年。ヴィヴィアンヌ・ル・ベーグ少尉にも引けを取らないレイチェルの突出したプロポーションは、本人の性格もあってセクシーなグラビアモデルとして活用されるようになっていた。

 

 それがレイチェル個人の問題で済めばまだ良かったのだが、彼女もれっきとしたパリ防衛隊の一員なのだ。広報部に誘われるがまま、ノリノリでモデルの任務を引き受ける彼女の気性が災いして、ヴィヴィアンヌを含む他の女性隊員達にまで声が掛かるようになってきたのである。

 

 挙句、アリサの妹までもがレイチェルの影響で、歳不相応に色気付いた下着を買うようになってしまったのだ。そういった個人的な危機感もあり、アリサは不利を承知で模擬戦を挑むことにしたのである。

 こんなことに上官のパスカル・ネヴィル中佐まで巻き込むわけにもいかない以上、自力で彼女の言動を改めさせるには、もうこれしかないのだと。

 

 そんな彼女の不退転の決意を前に、レイチェルも茶化すべきではないと判断したのか。いつものような笑みを消すと、規格外な胸を張ってアリサと真っ向から相対していた。

 彼女の豊かな胸に、自分のそれをむにゅりと押し当てるかのように。

 

「マルティナ大尉、止めなくてもよろしいのでしょうか……」

「放っておけ、彼女達の問題だ。……模擬戦の場所と人員の確保なら、私がミナト少佐に掛け合っておく」

「で、でも……!」

「……遅かれ早かれ、こういうことになっていた。白黒付けるには、良い機会」

「もうっ、アッシュ中尉まで……!」

 

 そんな彼女達を遠巻きに見守っていたヴィヴィアンヌを尻目に、マルティナ・テキサス大尉とアッシュ・ヴァンシュタイン中尉は、模擬戦に使うエリアを手配するべく踵を返していた。

 戦時中から好戦的な言動を繰り返していたミナト・ヒヤジョウ少佐なら、二つ返事で了承するのだろうとため息をつきながら。

 

 ◇

 

「模擬戦? もちろんオッケーに決まってんじゃん! 2人纏めて、どっからでも掛かってきなァ!」

「ミナト少佐……これ以上話をややこしくしないで頂きたい」

 

 そして案の定、模擬戦の実施があっさりと決定され。連邦軍の広告塔(アイドル)である「パリ防衛隊」の美女2人が、それぞれのチームを率いて対決するということで、この件はパリ基地に属する軍人達の注目を大いに集めていた。

 ある者は、先のジオン独立戦争を戦い抜いた猛者達の手並みを拝見するために。またある者は、推し(・・)の試合を応援するために。

 

『アリサ・ヴァンクリーフ、ジムライトアーマー行きますッ!』

『レイチェル・マスタング、陸戦型ガンダム行くわよッ!』

 

 それから、1週間後。パリの郊外に広がる大森林を舞台に――アリサ率いるAチームと、レイチェル率いるBチームによる模擬戦が、ついに幕を開けるのだった。

 




 今回のお話は「ガンダムレガシー」で描かれたノエルとミユの模擬戦エピソードが元ネタとなっております。あのお話、今でも大好きなんですよねー(о´∀`о)
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