-デューク・ラングレイ-
19歳。サイド3出身。ジャック・オコーネルの元部下であり、フィーネ・エイムの教え子でもある献身的な好青年。ガンキャノン重装型タイプDに搭乗する。階級は准尉。
※原案はエイゼ先生。
-ダイト・アロン-
22歳。バーミンガム出身。イギリス名家に代々仕える執事の家に生まれた、冷静沈着な凄腕パイロット。水中型ガンダムに搭乗する。階級は准尉。
※原案は影騎士先生。
パリの郊外に設けられた、大森林を舞台とする模擬戦用のフィールド。その広大な戦場を駆け巡るMS達は、ペイント弾を積んだ100mmマシンガンを手に、木々の隙間を縫うようにスラスターを噴かしていた。
『ここは……』
RX-77-3D「ガンキャノン重装型タイプD」の鈍重な着地音を響かせ、緑に囲まれた蒼い湖畔へと辿り着いた、デューク・ラングレイ准尉もその1人。
アリサ率いるAチームの一員として、この雄大な自然界に飛び込んだ彼は。木々を抜けた先に待っていた絶景に、思わず見惚れ――
『エイム少佐やオコーネル大尉の元で、特訓を受けてきたそうですが……詰めの甘さは相変わらずですね!』
『……! ダイトッ!』
――る暇もなく。湖畔の水面から飛び出してきたRAG-79-G1「水中型ガンダム」の奇襲を受けてしまう。アンヴァルに跨る騎士の紋章を右肩に刻んだ、その愛機を駆るパイロットの名はダイト・アロン准尉。
先の戦争では「悲笑の亡者」アドラス・センと何度も矛を交え、生き延びてきた手練れであった。その当時からの戦友だったデュークに対しても、彼は冷徹かつ正確に、ペイント弾を掃射している。
『くッ……!』
『彼女達の痴話喧嘩に付き合わされて、あなたも迷惑していることでしょう。無駄な抵抗をやめて頂ければ、早々に終わらせて差し上げますよ……デューク』
『……僕は今度こそ君に勝つために、この模擬戦に参加すると決めたんだ。つまらない痴話喧嘩だろうが、構うものか!』
咄嗟にシールドで初撃を凌ぎながら、スラスターを噴かして回避に徹するデューク機だが。鈍重な重装型ではかわしきれるはずもなく、全身のあらゆる箇所に次々とペイント弾を撃ち込まれていく。
水中型の猛攻をかわすには、湖畔に飛び込むしかない。だが、水陸両用機を相手にその判断は自滅でしかない。万事休す、とはまさにこのことだろう。
『……そうですか、ならば仕方ありません。私も友として心を鬼にするまで! これで私の12勝0敗ッ――!?』
『その記録も……ここまでだァッ!』
しかしそれは、ジャック・オコーネル大尉の元で訓練を受ける前までの彼の話だ。
過酷な特訓を乗り越え、師の教えから
『なにィッ!?』
『ダイトおぉおぉおーッ!』
湖畔に機体を傾け、掃射から逃れるために飛び込もうとしている、ように見せ掛けたデューク機は。望み通りに水中戦で決着を付けてやろうと、機体を降下させたダイト機の虚を突いて、一気に全速力で飛び掛かったのである。
当然ながら重量で勝る重装型に体当たりを仕掛けられては、水中型といえどひとたまりもない。それにいくら水中戦では優位に立てると言っても、ゼロ距離で組み付かれたままではその持ち味も活かせない。
そこまで計算済みで動いていたのだと悟り。諦めや感心、友の成長を間近で実感できた喜びなど、あらゆる感情を包括した微笑を浮かべて。
ダイト機はコクピットにペイント弾を浴び、湖畔に没していく。1勝12敗という記録を打ち出したデューク機が、水中型の手を引いたのは、その直後だった。
『……奇襲を受けたのは、私の方でしたか』
『今まで、いきなり訳もわからないままやられてた、僕の気持ちが少しは分かった?』
『ふふ……よく分かりましたよ。最高にムカつきますね、これは』
『あははっ、そうだろう?』
Aチーム、デューク機の勝利。これが、最初に始まった遭遇戦の結末であった。
『……やれやれ。あなたといい
強引な手段で初の勝利をもぎ取った友の姿に、
◇
――それと同時刻。パリ基地内のMS格納庫では、この基地に所属しているMSパイロット達が模擬戦の行方を見守っていた。
これまでダイトには一度も勝てなかったデュークの逆転勝利を目の当たりにして、整備士達がどよめく中。彼らは同じMSパイロットの1人として、それぞれに思いを馳せている。
「デューク准尉、やっと勝てたんですね……良かった……」
「むむ……? シロガネ曹長ー、なんだかラヴィエル少尉……すっごく嬉しそうですね?」
「あぁ、特務少尉はご存知なかったのですか。ラヴィエル少尉はずっと、彼のことを応援していましたからね」
「ほほーう!? それは根掘り葉掘り、色々と隅々まで追及しなくてはなりませんなぁ!?」
普段から無口で物静かなラヴィエル・アリアドゥネス少尉が、珍しく華やかな笑みを咲かせている姿を訝しんでいたセツカ・カザマ特務少尉は。クライオゼニア・シロガネ特務曹長から得た情報に目を見開き、にやにやと薄ら笑いを浮かべている。
そんな彼女にクライオゼニアが苦笑を浮かべる一方で、当のラヴィエル本人はセツカの悪戯っぽい眼差しに気付くことなく、モニターに映し出されたデューク機だけを見つめていた。
彼女達の背後に立ち並ぶゲルググ、ザクフリッパー、ジムコマンドの3機も、主人と共に模擬戦の行方を静かに見守っている。
「おおーっ、とうとうデューク准尉が勝っちまったのか。いつかはやってくれるんじゃねーかなって気はしてたけどよ」
「……地の利を得たと油断すれば、そこに足を掬われる。ダイト准尉としても、良い教訓となったわけだ」
「こうして誰かの糧になるなら、あの2人の痴話喧嘩もまんざら悪いもんじゃあないのかもねぇ。巻き込まれたアイツらはたまったもんじゃないけどさ! だははははっ!」
普段通りの武骨な佇まいで、デュークの勝利に口元を緩めるチャン・ズーロン曹長の隣では、イ・ホジュン曹長が静かにこの模擬戦の意義を悟っていた。酒を片手に観戦を楽しんでいるリン・シャオ曹長も、けらけらと快活な笑い声を上げている。
3人の愛機である量産型ガンキャノンと陸戦型ジム、専用の陸戦型ガンダムS型は、いずれ訪れるであろう「出番」に備えて眠り続けていた。
「しかしあの2人だけでなく、残りの参加者達も手練れ揃いだ。この模擬戦、まだまだ荒れるぞ」
「俺も兄貴のようなエースになりたいし……勉強させてもらいます!」
「そうそう、その意気ですよヨシト准尉。……成長を止めたら、永久に差は埋まらない。ちょうどイイ見本じゃないですか。ねぇ、DD少尉?」
「クズミ……そのあだ名、やめろと言ってるだろう」
他の参加者達の力量を知るフィリップ・
そんな彼の背を押すマコト・クズミ少尉のからかいに、フィリップが眉を潜める一方で、模擬戦の内容はさらに激しさを増していた。士官候補生の妹を持つが故に、ヨシトの成長にも期待を寄せているフィリップは、この模擬戦が彼らのような若者達の血肉に繋がってくれることを祈り、戦況を見つめ続けている。
彼がその命を預けてきたジムスパルタンの左右には、ヨシトの愛機である白と緑のジム改と、マコトが愛用しているトリコロールカラーのジム改が立ち並んでいた。この3機もまた、パイロット達の意を汲むように模擬戦の推移を静観している。
「……ボクに言わせりゃあ、まだまだだけど。イイ動きするじゃん、あの2人」
そして、格納庫の奥では。地球重力下でのデータ収集のため、鹵獲機として運用されている紺とクリームイエローのゲルググが、静かに待機していた。
そのコクピットに座しているカタリナ・キャスケット少尉は、すらりと伸びた小麦色の美脚を組んで、模擬戦の状況を見据えている。先の戦争でア・バオア・クー攻略戦に参加し、ケンジロー・カブト少尉と共に「魔王」レゾルグ・バルバとも戦った彼女は今、鹵獲MSの運用データ収集のため、このパリ基地に転属していたのである。
士官学校時代から変わらない同期2人の痴話喧嘩に、懐かしさを覚えることもあれば。かつては同期の中でも落ちこぼれであり、自分が守ってあげる存在だったはずの男が、宇宙軍の中でめきめきと成長していることに寂しさを感じることもある。
そんな戦後を送ってきたカタリナにとって、この模擬戦は過去を振り返る良いきっかけだったのだろう。直情的で無鉄砲なデューク機の挙動に、放っておけない男を重ねたカタリナは、優しげに目を細めていた。
「ほんっと……いるんだよね、そういうヤツ」
一体今頃、どこで何してるんだか。そんな想いに耽る彼女を他所に、模擬戦は新たな局面を迎えようとしていた――。
第4弾キャラ募集企画にご参加頂いた皆様! この度は本企画にご協力頂き、誠にありがとうございました!(*≧∀≦*)
今回に関しては募集枠数に上限があったため、大変残念ながら模擬戦参加者としては採用出来なかったキャラ案もありましたが……それでもどうにか物語に組み込んでいきたいと思いまして。今話における観戦者サイドでの一幕での補完とさせて頂きました。何卒ご容赦を……m(_ _)m
本エピソードのラストを飾る次回の内容で、残りの採用枠に入り込んだキャラ達が大暴れしますぞ。最後までどうぞお楽しみにー!٩( 'ω' )و
Ps
祝ッッ! シリーズ通算全50話達成ッッッ! (人物紹介には明記していないチョイ役も含めて)読者応募キャラ総数、シリーズ通算100名達成ッッッッ!(゚∀゚)