機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第3話からの登場人物-

-ガンド・オロシュゲン-
 29歳。バールム出身。ビッグトレーの護衛部隊を率いる実直な指揮官であり、仲間達全員での生還に拘る好青年。防塵処理を施した陸戦仕様のジムガードカスタムに搭乗する。階級は中尉。
 ※原案はX2愛好家先生。

-ハテム・ザキ-
 25歳。ラゴス出身。アフリカ系黒人男性のパイロットであり、戦時中からアフリカで戦い続けてきたベテラン。デザートジムに搭乗する。階級は軍曹。
 ※原案はダス・ライヒ先生。

-リーガル・ウォルバーグ-
 16歳。ブライトン出身。戦時中から61式戦車に搭乗して戦っていた元現地徴用兵であり、当時の凄惨な経験故にやや寡黙になっている。デザートジムに搭乗する。階級は曹長。
 ※原案はピノンMk-2先生。

-アリア・ヤグモ-
 18歳。北海道出身。寒冷地の戦線から転属して来た狙撃の名手であり、腕は確かだが暑がりな余り「脱ぎたがる」のが玉に瑕。ミサイルランチャーを装備したジムスナイパーカスタムに搭乗する。階級は曹長。
 ※原案は団子狐先生。



第3話 砂上の城砦 -ガンド・オロシュゲン-

 「百獣鬼」。そう形容して差し支えないほどの気迫を纏って迫り来る死兵の大群は、他の部隊の眼にも凄まじい脅威として映し出されていた。

 無論そのように見えているだけであり、実際のところは通常のザクやドムの類と変わりはない。彼らも頭ではそれを理解していたのだが、それでも眼前の死兵達に戦慄を覚えずにはいられなかった。

 

『くッ……皆、絶対に死ぬなよ! ビッグトレーは守る、そして全員で生き残るッ! そのためだけに最善を尽くすんだッ!』

 

 ザクバズーカとジャイアントバズの砲口から撃ち放たれて来た、弾頭の豪雨。その猛火を大楯で凌ぎながら、RGM-79HC「ジムガードカスタム」は必死にビームスプレーガンで撃ち返していた。

 両前腕部と両膝から爪先にかけて、赤く塗装されている陸戦仕様のガードカスタム。防塵処理まで施されているその機体を駆っているのは、ビッグトレーの護衛を託されているガンド・オロシュゲン中尉だった。

 

『全く、隊長の理想論はいつもながら荒唐無稽だなァ! あんな連中を相手にしてるってぇのに、本気で全員で生き残ろうってのか! やっぱりあんた、ある意味大物だぜ!』

『口より先に手を動かしてください、ハテム軍曹。……僕に言わせれば、隊長の理想論に1番長く付き合って来たあなたも立派な「同類」ですよ』

『へっ、違いありませんなァ! リーガル曹長ォ!』

 

 彼の両脇を固めている2機のRGM-79F「デザートジム」も、防塵処理を施した専用ビームスプレーガンでの迎撃に徹していた。リーガル・ウォルバーグ曹長とハテム・ザキ軍曹は、軽口を叩き合いながらも臆することなく引き金を引き続けている。

 隊長(ガンド)の負担を少しでも軽くするため、ビームスプレーガンを連射しながら前進する2機の動きに、躊躇いはない。

 

 ガンドと最も付き合いが長いハテムは、生還に拘る彼の「綺麗事」に文句を付けながらも、決してその意向に逆らうことなく支え続けて来た最古参隊員なのだ。先の戦争で多くの死を目の当たりにしてきたリーガルにとっても、ガンドの綺麗事は是が非でも実現せねばならない「目標」なのである。

 

『食うためだけにしか命を張らねぇってのが俺の主義なんだが……ここで隊長に死なれちゃあ、せっかくの飯も不味くなっちまう。不本意ながら、今回ばかりはあんたの綺麗事にも付き合うしかねぇみてぇだなァッ!』

『オデッサ作戦のような地獄を、これ以上繰り返させるわけには行かない。僕より年下の子までもがロクイチに乗せられ、戦場に駆り出されていた……あんな地獄を、繰り返させるもんかッ!』

『ハテム、リーガル……!』

 

 2人はそれぞれの「理由」を胸に、操縦桿を強く握り締める。やがて彼らの愛機は、連射に耐え切れず破損してしまったビームスプレーガンを投げ捨て、レールキャノンへと持ち替えるのだった。

 銃身下部に4連装ミサイルランチャーをマウントした、火薬の宝庫。その全てを同時に解き放ち、これまでの「返礼」とばかりに弾頭の大群を撃ち出した彼らの「反撃」は、死兵の群れを瞬く間に爆炎の中へと沈めてしまう。

 

『……! しまった!』

『おい隊長、危ねぇぞッ!』

 

 だが、その爆風によって巻き上げられた砂塵は、ガンド達の視界まで塞いでしまっていた。爆死を恐れず突き進み、そんな彼らの背後に回り込んだ1機のザクが、ガンド機目掛けてヒートホークを振り上げる。

 

 刹那。遠方から飛んで来た一条の閃光が、瞬く間にそのザクを撃ち抜いてしまう。それは、ガンド達が守っているビッグトレーの艦上で片膝を着いていた、RGM-79SC「ジムスナイパーカスタム」による援護射撃であった。

 

『……仲間の背後を守るのは私の役目! 1機たりとも見逃しはしないッ! さぁ皆、避けて避けてッ!』

『アリア……!? ま、まずい! 各機、散開だッ!』

 

 R-4型ビームライフルでの狙撃。その一閃で隊長機の背を守ったアリア・ヤグモ曹長の愛機は、両肩に装備されたミサイルランチャーから無数の弾頭を連射する。

 

『……着弾、今ッ!』

『おわぁあッ!?』

 

 その攻撃を察知したガンド機は慌ててハテム機とリーガル機に指示を飛ばし、3機同時にスラスターを噴かしてその場から飛び退いていく。弾頭の雨が彼らに迫っていた死兵達に降り注いだのは、それから間もなくのことであった。

 

『あっ……ぶねぇでしょうが! 何やってんだよ曹長! あんたが1番の脅威じゃねーかッ!』

『これぐらい、あなた達なら余裕でしょ? ……ねぇ隊長、それより暑くなってきたのでそろそろ脱いでも良いですかぁ?』

『い、良いわけないだろッ! コンディションに関わる切実な問題かも知れないが、女の子がみだりに肌を出すものじゃあないッ!』

『やっぱりダメですかぁ……チッ』

 

 ヤグモはハテムからの抗議を無視して、ノーマルスーツのファスナーを胸元まで下ろしている。そこからは、白く豊満な胸と黒のブラジャーが露出していた。

 それ以上はダメだとストップを掛ける隊長に舌打ちしながらも、彼女はファスナーを上げようとはしない。扇情的に上気している自分の貌と、滴る汗が胸元を伝っている光景に、目を奪われてしまっている隊長の視線を愉しんでいるのだ。

 彼女が寒冷地から転属して来てから約2ヶ月。ガンドは新しい部下の「からかい」に、いつもこうして手を焼いているのである。

 

『……作戦中に何をやってるんですか、全く』

 

 隊長機にだけモニター回線を開き、またいつものように胸元をはだけているのだろうヤグモの「からかい(アプローチ)」に対して。音声だけで彼女の行動を察していたリーガルは、流れ作業のように眼前の敵機を撃破しながら、深々とため息を吐くのだった。

 

 ◇

 

 最も前線に近い「ヴァイス隊」や、彼ら「ガンド隊」の活躍により、死兵達は確実にその数を減らされている。

 はず、なのだが。彼らは度重なる同胞の死を目の当たりにしていながら、萎縮するどころかますます勢いを増し始めていた。

 

 ブルース大佐と共に死ねるなら、どんな死に方でも構わない。ただその一点のみを共有している彼らは、その命を絶たれるまで決して止まらない魔獣と化しているのだ。

 

(奴ら、生半可じゃない……! ヴァイスの隊は無事だろうな……!?)

(こんなところでくたばるんじゃねえぞ、ガンド……!)

 

 隊長として、その戦局を見据えていたヴァイスとガンドも、とうに気付いている。

 この戦いは、オデッサ作戦すら凌ぐ地獄絵図にもなりかねない、過去最悪の修羅場なのだと――。

 




 現在、作者の活動報告にて本章に登場する新キャラを募集しております! 機会があればお気軽に遊びに来てくださいませ〜(о´∀`о)

Ps
 デザートジムを知らなかった作者も本企画で初めてその存在に辿り着くことが出来ました。読者参加型って勉強にもなるんだなぁ←※ただの無知
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