機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第5話からの登場人物-

-アルカ・M(ミカヅチ)・カルヴァーン-
 18歳。京都出身。ゼファー・アルビオンの義理の妹であり、コロニー落としで失った姉の復讐に執心している一匹狼の少女兵。赤を基調とする陸戦型ガンダムに搭乗する。階級は曹長。
 ※原案はカイン大佐先生。

-スナイパー-
 16歳。出身、本名不詳。連邦海軍に協力していた「ノーフェイス」と同じ傭兵であり、寡黙ながら確かな射撃の腕を持つ少女兵。モスグリーンを基調とするジムスナイパーIIに搭乗する。傭兵であるため、階級を持たない。
 ※原案は蹴翠 雛兎先生。



第5話 報復の凶剣 -アルカ・M・カルヴァーン-

 光の凶剣を振るい、執念に満ちた死兵達をそれ以上の「憎悪」で捩じ伏せている、アルカ・M(ミカヅチ)・カルヴァーン曹長。ゼファー・アルビオンの義妹にして、コロニー落としで最愛の姉を奪われた「遺族」でもある彼女は、その無念をビームサーベルに乗せて残党達を矢継ぎ早に斬り捨てていた。

 

『……!』

 

 だが、いくら気迫でも性能でも死兵達を凌いでいるとはいえ、多勢に無勢であることに変わりはない。特に目立つカラーリングである彼女の陸戦型ガンダムは、その強さを危険視した残党達に完全包囲されてしまうのだった。

 すると、彼女を背後から抜き去るかのように、何発ものビームが飛び込んで来る。その閃光は瞬く間に、アルカ機を取り囲んでいた残党達を一掃してしまうのだった。

 

 それは、ビッグトレーの艦上に座していたジムスナイパーIIによる、遠方からの援護射撃だったのである。レティシア機とは違いモスグリーンに塗装されているその機体は、「スナイパー」と呼ばれる傭兵の少女の愛機であった。

 

『……1人で突っ込んで死ぬのは勝手だけど。私の射線に立たれたら、邪魔でしょうがないんだよね』

『う、うるさい……! 傭兵風情が、私の復讐に口出しするなッ!』

 

 窮地を救われたアルカだったが、正規の連邦兵でもない傭兵に「借り」を作ってしまったのが屈辱的だったのか。礼すら言わず、砂塵を巻き上げて迫り来る「第3波」の群れに飛び込もうとしていた。

 

『よさねぇか、アルカ! 大事な姉貴の敵討ちに、口を挟む気なんざねぇが……俺達はお前の憂さ晴らしに付き合うために、ここまで来てるんじゃあねぇんだぞッ!』

『チャ、チャンッ……!?』

 

 それを間一髪で阻止したのは、彼女の行手を塞ぐように飛んで来たチャン機の量産型ガンキャノンだった。その両腕に肩を掴まれたアルカ機は、全く身動きが取れなくなってしまう。

 死兵達の「第3波」に対処するため、射撃位置から動けずにいる隊長のレティシアに代わり。アルカの独断専行を阻止するべく駆け付けて来たチャンは、戦時中からの戦友として彼女を懸命に説得していた。

 

『辛えに決まってる。大事な家族が骨も残らず消えちまっただなんて、耐えられねぇに決まってる! そんな真似した奴らが許せねぇってのは、俺も同じだ! 皆そうだ! けどな、死人には何も出来ねぇんだよ。許すのも許さねぇのも、幸せよりも復讐を選ぶのも、生きてる奴だけの特権だ! お前が死んでも、お前の望みは何一つ叶わねぇんだよ!』

『……ッ』

『だから今は、生き延びることだけを考えろ! 生きてここを乗り切れる戦い方を選べ! お前が好きにして良いのは、そっからだ!』

 

 その畳み掛けるような言葉の数々に、アルカは我に返ったかのように蒼い目を見開く。絹のような黒髪を靡かせる彼女は、最愛の姉が遺した言葉を独り思い返していた。

 「今は、宿題を片付けることだけを考えなさい。あなたが好きに遊んで良いのは、それからよ」。それは幼少の頃、宿題を放置して遊びに行こうとしていた自分を叱った、姉の言葉であった。

 

『……う、うぅっ』

 

 時には、自分の望みよりも考えなければならないことがある。

 それを教えた姉の言葉を、図らずして胸の内に甦らせたチャンの前で。いつしかアルカは薄い唇を噛み締めて、涙を溢していた。復讐に堕ちる前の、可憐な少女としての貌で。

 

『……第3波はすぐに来る。今は一旦、防衛ラインを全員で立て直さなきゃならねぇ。俺達もすぐに隊長のところに戻るぞ。いいな』

『……うん、ありがとうチャン。スナイパーも、さっきはごめんなさい』

『別に気にしてない。「借り」だと思ってるなら、これから「仕事」で返してよ』

 

 やがて涙を拭い顔を上げたアルカは、毅然とした表情を徐々に取り戻し始めていく。彼女からの謝罪を受けたスナイパーの態度は、冷たくあしらっているようにも伺えたが――その口元は、微かに緩んでいた。

 彼らのやり取りを遠方から見守っていたレティシアも、柔らかな微笑を浮かべている。

 

『……分かってるよ! 今度こそ、姉さんに恥じない戦い方で生き延びて見せる!』

『よぅし、その意気だぜアルカ! レティシア隊の本領はこっからだ!』

 

 スナイパーの辛辣な言葉にも、気丈に応えてみせたアルカの陸戦型ガンダムは。まるで憑き物が落ちたかのような挙動で、ビッグトレーの近くへと引き返していく。

 

『……チャン。幸せになるのも、復讐に走るのも、生きてる人間の特権だって……言ったよね』

『あん? あァ、言ったな。その特権は、命あってのもんだ。軽い気持ちで捨てて良いもんじゃあねぇ。俺だって、ソノ・カルマのヘビーガンダムとやらをこの目で見るまでは、捨てたくなんかねぇしな』

『そっか……』

 

 その帰路の中で。スラスターを噴かして前方を飛んでいるチャン機を、背後から見つめていたアルカは。いつしかその眼差しに、生まれて初めて抱いた「感情」を乗せていた。

 

『じゃあ……その権利、いつか絶対使うから。覚悟しててよね、チャン』

『覚悟……? まぁ、好きにしろよ。こんな世の中なんだ、生きてるうちに好き勝手しとかねぇと損だしな』

 

 どことなく意味深な彼女の言葉に小首を傾げながらも。チャンはさして気にすることもなく、隊長が待つビッグトレーを目指し続けている。

 そんな彼の背を負うアルカの貌は。本人すらも気付かぬうちに、「女」のそれに変わりつつあった。

 

『うん……好きに、する』

 

 幸せか、復讐か。それを選ぶのも生きている人間にのみ許された特権であるならば。その特権を行使する「相手」も、決めねばならない。

 その想いに行き着いた瞬間から。アルカ・M・カルヴァーンの中ではすでに、選ぶ道が決まっていたのである。

 

『……ねぇ、レティシア。私達、一体何を見せられてんだろ』

『あら、なかなか悪くない組み合わせだと思わない? 美女と野獣……私は好きよ、そういうの』

 

 一方。同じ「女」としての直感で、そんなアルカの「変化」を察知していたレティシアとスナイパーは。モニター越しに顔を見合わせ、微笑とため息を同時に零したのだった。

 




 現在、作者の活動報告にて本章に登場する新キャラを募集しております! 機会があればお気軽に遊びに来てくださいませ〜(о´∀`о)

Ps
 なかなか本筋の「双天獅」戦が始まらなくて申し訳ない……! もうそろそろお話の主軸が見えてくるかと思われますので、今しばらくお待ちくださいませ……!(>人<;)
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