-カナタ・アマサキ-
24歳。兵庫出身。ジャブローに居るヒダカ・アマサキの実兄であり、おおらかな佇まいで部下を引っ張る部隊の兄貴分。ブルーとダークブルーのツートンカラーで塗装された鹵獲機の陸戦型ゲルググに搭乗する。階級は大尉。
※原案はシズマ先生。
-イコ・シュタイナー-
19歳。メートリング出身。気怠げながら優れた射撃の腕を持つ女性パイロットであり、金髪碧眼でスタイル抜群な美女。高性能レーダーとクラスターミサイルを背部に増設した量産型ガンタンクに搭乗する。階級は少尉。
※原案は西園弖虎先生。
うつ伏せに倒れたレイン機を背後から叩き斬らんと、ジョウ機のザクがヒートホークを振り翳す。だが、その刃が振り下ろされる前に。枯れ色のザクは、真横から飛んで来る弾頭の風切り音を察知していた。
次の瞬間、ジョウ機の右肩に装備されているシールドが、激しい爆音と共に吹き飛ばされてしまう。彼の愛機は無防備となった右腕を庇いながら、スラスターを噴かしてその場から飛び退くのだった。
『……!』
『レイン、下がってなッ!』
それは、MS-14G「陸戦型ゲルググ」の腕部に搭載された、グレネードランチャーによる攻撃だったのである。旧ジオン軍から得たその鹵獲機を駆るカナタ・アマサキ大尉は、部下の窮地を救うべくこの場に駆け付けて来たのだ。
フロンレシア機とレイン機を除くカーマインパンサーの隊員達は現在、ペガサス級を狙う他の死兵達の迎撃に追われているのだが――「双天獅」のザクを捕捉した以上、見逃すわけにはいかないのである。
『……カナタ大尉!』
『アッハッハ、お前もなかなかやるじゃねぇかレイン! こりゃあ俺も負けちゃいられねぇなッ!』
ブルーとダークブルーのツートンカラーで塗装されたその機体の胸には、ナイフを咥えた黒い豹のエンブレムが描かれている。カナタの愛機であるその陸戦型ゲルググの機影を見つけたレイン機は、彼が作ったチャンスに乗じて素早くその場から体勢を立て直していた。
そして、スラスターを噴かして後退するレイン機と入れ替わるように。ビームナギナタを高速で回転させるカナタ機が、一気にジョウ機目掛けて斬り掛かっていく。
特別にチューンナップされている枯れ色のザクは、そのスピードを乗せた斬撃もヒートホークで受け止めて見せたのだが――デザートジムとは一味も二味も違うゲルググタイプの出力に、たまらず後退してしまう。
『ぐッ……まさか、ゲルググまで持ち出して来ようとはッ!』
『おおっと、厄介なのはゲルググだけじゃあないぜ?』
『なにィ? ……ぬぉッ!?』
そこから生まれた僅かな隙に勝機を見出したカナタ機は、鍔迫り合いのような体勢のまま、ジョウ機の胸に前蹴りを叩き込む。その衝撃により間合いを離された枯れ色のザクは、すでに「さらなる伏兵」のターゲットにされていた。
先ほどまで死兵達の対処に当たっていたRX-75「量産型ガンタンク」が、やや離れた位置からジョウ機の背後を狙っていたのである。
『さぁーて……パーティーを始めようか』
その機体のパイロットを務めているイコ・シュタイナー少尉は腰まで伸びている金髪を掻き上げ、鋭い碧眼をさらに細めていた。
彼女の薄い唇から「パーティー」という言葉が零れ落ちた瞬間――彼女の量産型ガンタンクは、背面に装備されたクラスターミサイルを撃ち出して行く。
高性能レーダーでジョウ機の位置を捉えていた彼女は、どれだけ素早く動けても決して逃げられない瞬間を、虎視眈々と狙い続けていたのである。ジョウ機の真上で爆ぜた弾頭から、無数の爆弾が降り注いだのはその直後であった。
『ぐぅうッ!? あの戦車擬き、クラスターミサイルの類を装備しているというのかッ!』
『どんなにてめぇがすばしっこくたって、この広範囲攻撃じゃあかわしようがねぇだろッ!?』
右腕のシールドを破壊された以上、防御することも叶わない。ジョウ機は直撃だけは回避しようと縦横無尽に飛び回るが、その装甲は確実に削られていた。カナタ機の陸戦型ゲルググは間一髪、爆撃範囲から脱出していたらしい。
『大尉、アタシの攻撃で得意げになるの止めてくれません? 大尉はさっさと逃げただけじゃないですか』
『アッハッハ、悪いなイコ! 部下の自慢話になると止まんなくなっちまうもんでなァ!』
『はぁ……しょうがない人ですねぇ、全く』
そんな彼に苦言を呈するイコは、何年付き合っても変わらない上官の振る舞いに苦笑を浮かべている。
戦時中、彼の底抜けの明るさに何度も救われた過去があるからこそ、彼女は今ここにいるのだ。その惚れた弱みには敵わない、ということなのである。
そんなイコの胸中など知る由もなく、カナタは2機のデザートジムに向けて声を上げていた。
『フロンレシア少佐ァ! こいつは俺達にまかせて、さっさと向こうの
『「双天獅」の1人と言っても、こいつはただの使いっ走りじゃないですか。本気でこの戦いを止めようってんなら……こんな奴に構ってる暇なんてないんじゃないですかぁ?』
そんな彼に続き、イコも2人に「先に進め」と促している。敵も味方も可能な限り死なせることなく、この戦いを終わらせたいと真剣に願って来た彼らの姿を知っているからこそ、カナタもイコも背中を押しているのだ。
『カナタ、イコ……済まぬ! レイン、朕に続け! なんとしても、もう1機のザクを捕まえるのだ!』
『は、はいッ!』
そんな彼らの想いを汲んだフロンレシア機は、耐熱コーティングを施しているマント状の布を翻し、第4ナミブ基地――「デザートキングダム」を目指して飛び立って行く。その後ろに続くレイン機も、素早くスラスターを噴かしていた。
一方、その様子を見送っていたジョウ機のザクは満身創痍のまま、カナタ機とイコ機に視線を移している。この者達だけは、最優先で潰さねばならないのだと認識を改めて。
『使い走りか……ふっ。事実とは言え、この私も随分と舐められたものだ』
『なんだ、怒りに任せて突っ込んで来るかと思えば……思いの外素直じゃねぇか。その調子でお前だけでも大人しく投降してくれりゃあ、こっちも手荒な真似をしなくて済むんだがなァ』
『生憎、その言葉を信用出来るような身の上ではなくてね』
『つれねぇこと言ってくれるなよ。フロンレシア少佐は確かに甘っちょろいお嬢様だが、その人気と発言力だけはバカにならねぇんだぜ?』
カナタの説得に対し、諦念の笑みを溢しているジョウも、フロンレシアの人気や求心力を知らないわけではない。彼の言葉を信じていないわけでもない。今すぐ投降して彼女の庇護下に入りさえすれば、残党のテロリストという身の上でも命だけは助かる可能性もある。
そこまで分かっているからこそ、絶対に乗ろうとはしないのだ。その選択はもはや、ジョウ・ヒューガという1人の人間そのものを否定することにも等しいのだから。
『ノートン家の娘はああ言ってくれたが、我々のようなテロリストは南極条約に保護されるべき存在ではない。ならば、それなりの「死に方」というものがあろう』
『……だっさいねぇ。命よりも大事な矜持、って奴かい? どんな御託を並べたところで、死んだら……おしまいじゃないか』
『矜持? ……そんな高尚な志など、残党風情は持ち合わせておらんよ。これはただの、ケジメというものだ』
そんな自身に対して、呆れ返ったような声を漏らすイコの言葉にも動じることなく。ジョウ機は腰部から取り出したクラッカーを2人の前に投げ付け――その爆破に伴う砂塵の嵐で、彼らの視界を封じてしまった。
『砂の目眩し……!? おいおい、「双天獅」様ともあろうお方が随分とつまらん手を……ッ!?』
『大尉、危ないッ!』
砂嵐によって視界が遮られたのは、およそ20秒程度。その間、爆風の近くにいたカナタ機は大したダメージを負うこともなく、体勢を立て直すべく距離を取ろうとしていた。
だが、より遠い位置から高性能レーダーで「砂嵐の向こう側」を観測していたイコ機は、約20秒もの間に起きていたジョウ機の「異変」を察知していたのである。
その真相に気付いた彼女が声を上げた頃にはもう、カナタ機の頭部が吹き飛ばされていた。
『ぐ、おッ……!』
『大尉ッ! ……んなろォッ!』
砂嵐に隠れていた「新手」が放った、奇襲のビーム攻撃。その一撃に倒れたカナタ機を目にした瞬間、イコ機は怒りに任せて両肩の120mm低反動キャノン砲を撃ち放っていた。
だが、砂塵に紛れて左右に飛び回る「新手」は、彼女の砲撃を容易く回避している。4連装ガンランチャーによる掃射も、掠ってすらいない。
『は、速い……うッ!?』
やがて砂塵の嵐が鎮まり、視界がクリアになった頃には。
左肩と頭部を枯れ色に塗装し、それ以外の部分を真紅に統一しているその機体も、紛れもないジョウ・ヒューガの乗機だったのである。彼は砂塵の目眩しでカナタ機とイコ機を撹乱している間に、砂中に隠していたこの機体に乗り換えていたのだ。
『砂の下に……あんなモノ隠してやがったのか!?』
『……そちらもゲルググタイプを持ち出して来たのだ。よもや今になって、卑怯などとは言うまいな?』
その離れ業に瞠目するイコ機を前に、ジョウ機のゲルググキャノンはこれからが本番だと言わんばかりに、妖しく
太陽の日差しを浴びて煌めく右肩のビームキャノンはすでに、機動力で劣る量産型ガンタンクに狙いを定めている。
現在、作者の活動報告にて本章に登場する新キャラを募集しております! 本日が募集最終日となりますので、機会があればお気軽に遊びに来てくださいませ〜(о´∀`о)
Ps
20秒で支度しな!( ゚д゚)