-カルロ・ジェノヴェーゼ-
32歳。ベネツィア出身。第10陸戦小隊に所属していた歴戦の砲手であり、ナイスバディな美女には目がないプレイボーイ。陸戦強襲型ガンタンクに搭乗する。階級は少尉。
※原案はmikagami先生。
-イサミ・チネン-
17歳。沖縄出身。格闘戦を得意とする若手のエースであり、物静かながら気の強いナイスバディの持ち主。黒紫を基調とするジムストライカーに搭乗する。階級は准尉。
※原案はエクシリオン先生。
ジルバート・ブーガンヴィルの手で、ジョウ・ヒューガに引導が渡された頃。ペガサス級の側に展開されているビッグトレーにも、大勢の死兵達が「道連れ」を求めて群がっていた。
その大群に臆することなく真っ向から立ち向かう1機のジムストライカーは、ツインビームスピアを振るい迫り来る数機のザクを一瞬のうちに斬り伏せている。
『はぁああッ!』
黒紫色に塗装され、カンヒザクラのマークを施しているその特別機は、ビッグトレーを護衛しているイサミ・チネン准尉の愛機だった。彼女のジムストライカーは修羅の如くその大槍を振るい、死兵達を寄せ付けまいと奮戦し続けている。
道連れを求めている以上、「犬死」だけは避けたい残党達は、立ちはだかる彼女を前に攻めあぐねているようだった。そうして足を止めてしまった機体は死を意識する暇もなく、後方からの「支援砲撃」に撃破されているのである。
『……ヒュウ、さすが俺のイサミだぜ。残党の野郎共、死ぬのも怖くねぇって勢いだったのに。イサミの強さを目の当たりにした途端、あのザマとはな』
それはビッグトレーの側で220mmキャノン砲を連射している、RTX-440「陸戦強襲型ガンタンク」の仕業であった。そのパイロットを務めているカルロ・ジェノヴェーゼ少尉は、先陣を切って戦う戦乙女の凛々しい背中に口笛を吹いている。
『……ちょっと、カルロ少尉。いつ私があなたの物になったんですか? デタラメ抜かしてると……消しますよ』
だが、日頃から自身のプロポーションに喉を鳴らしている彼からの視線は許し難いのか。眼前のザクを片付けた後にカルロ機の方へと振り返ったイサミは、露骨に怪訝な表情を浮かべていた。
青みが掛かった黒髪をポニーテールに纏めているナイスバディな美少女は、冷たい眼差しで無精髭の男を射抜いている。
『いいねぇ、その勝気な返事。それくらいの気骨がねぇと、口説き甲斐がないってもんだ』
『意味分からないんですけど。「双天獅」よりも先に少尉からご退場願いましょうか?』
本人なりの恋愛願望はあるものの、カルロのようなタイプは「お断り」であるようだ。
だが、ヴィヴィアンヌ・ル・ベーグからのぞんざいな扱いを受けてもめげなかった彼にとっては、彼女からの罵倒など可愛い挨拶のようなものなのだろう。鋭く冷たい声色で拒絶されてもなお、彼は余裕の笑みを浮かべている。
『んっ……!?』
『なんだとォ……?』
すると。別の部隊の隊員からの通信を耳にした2人は、思わずその場で立ち止まってしまった。ビッグトレーを必死に守り続けていた彼らにとっては、最悪のニュースだったためだ。
『……カルロ少尉、今の聞きましたか。マリアンネ大尉のホバートラックからの連絡』
『あぁ、こっちも拾ってるぜ。……左翼の端を進行していたビッグトレーが、「双天獅」のザクに沈められたって話だろう』
とうとう、MS隊の守りを突破した死兵達が、1隻のビッグトレーを沈めてしまったらしい。覚悟していたことであるとは言え、イサミとカルロの表情には陰りが現れている。
ペガサス級を中心に展開されている数隻のビッグトレーには多くのMSが搭載されているのだが、その護衛機全てにエースパイロットが乗り込んでいるわけではないのだ。精鋭達ですら苦戦するこの状況においては、ある意味当然だったのかも知れない。
だが、頭でそうと分かっていても。これは決して、容易く受け入れられるような話ではない。共にあの地獄のような戦争を生き延びた同胞達が、勝って当然の掃討戦で帰らぬ人となってしまったのだから。
『……妙、ですね』
そんな中、イサミは通信の内容に疑問を覚えているのか。眉を顰め、耳にした状況を呟いていた。
『「双天獅」のザクは両方共、中央のペガサス級に向かっていたはず。左端のビッグトレーを沈めに行けるはずがない。ということは、奴らに匹敵するエースが他に居るとでもいうのでしょうか……?』
『ハッ、いくらなんでもそんな奴らがここまで来るかよ。大方、砂漠戦仕様のザクと見間違えたんだろう。「双天獅」の片割れのザクは
『……了解』
もし本当に「双天獅」以外にも、それに相当し得る脅威がこの戦場に紛れ込んでいるのだとしたら。カーマインパンサー隊を擁している今回の大部隊ですら、危ういかも知れない。
そんな懸念のせいでコンディションに影響が出ないようにと、カルロは単なる「現場の見間違い」と判断してイサミに帰還を促していた。だが彼自身もイサミも、本心ではすでに察していたのである。
「双天獅」とは異なる「エース」の影が、この戦場に忍び寄っているのだということを。
次回以降はいよいよ、本章のラスボスであるブルース戦がお話の主軸となって行きます。お楽しみに!٩( 'ω' )و