機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第13話からの登場人物-

-ジェイムズ・キャラウェイ-
 29歳。サイド3出身。元ジオン軍人にしてブルースの旧友だった人物であり、連邦軍に恭順している現在は彼に投降を促すためにカーマインパンサー隊に加わっている。ホバー機能を増設した専用のゲルググに搭乗する。階級は特務大尉。
 ※原案はザッキーハマー先生。

-ダイナ・スレイヴ-
 17歳。サイド7出身。「十指」の1人を叔父に持つボクっ娘であり、叔父に会うための手掛かりを求めてこの戦闘に参加している。戦時中に叔父が使用していた専用の陸戦高機動型ザクに搭乗する。階級は曹長。
 ※原案は影騎士先生。



第13話 覇道の残影 -ジェイムズ・キャラウェイ-

 ペガサス級の苛烈な弾幕をかわしていくうちに、徐々にデザートキングダムへと引き返し始めていたブルース・ゲイボルグのザク。その群青色のボディに狙いを定めているカーマインパンサー隊の刺客は、執拗に敵の首魁を追い続けていた。

 

『……少尉。お前までもが、俺を置いて行くのだな』

 

 その猛攻を紙一重でかわしながら。「双天獅」の片割れの死を悟った最後の将は、その呟きに微かな悲哀の色を滲ませている。

 

『あれほどお前に忠実だった、ジョウの奴まで地獄に付き合わせて……お前は一体何がしたいのだ! 何を望もうというのだ、ブルースッ!』

 

 だが、そんな感傷など気に留めるような「残党狩り」ではない。MS-14S「ゲルググ」を駆り、「かつての旧友」を追い詰めているジェイムズ・キャラウェイ特務大尉は、怒りとも悲しみともつかない叫びを上げている。

 連邦軍仕様のパーツや装備を身に付けている彼のゲルググは、スラスターを噴かしてブルース機を追い掛けながら、ビームスプレーガンを連射していた。その閃光を紙一重でかわしながら、群青色のザクもザクマシンガンで絶え間なく撃ち返している。

 

『……ジェイムズ。俺達には、俺達にしか分からない死に様というものがあるのだよ。自分の物差しで全てを決めてしまうその悪癖、変わらんな』

『今のお前にだけは言われたくないッ!』

 

 ――先のジオン独立戦争における、オデッサ作戦の直前。その当時すでにジオンの敗走を予感していたジェイムズは、ブルースとその教え子達を救うため、連邦軍に恭順するよう呼び掛けていた。

 だが、先見の明があり過ぎた(・・・・・)彼の主張が受け入れられることはなく、ブルースと決別したジェイムズは独りで連邦軍に投降したのである。

 

 その後、ブルースが鍛え上げた10人の教え子――「十指」は、オデッサの激戦に身を投じて劇的な活躍を果たしたが。現在ではその多くが戦死、あるいは消息不明となっている。

 

 もしジェイムズがジオン軍に残り続けていれば、彼らすらも上回るエースとして連邦軍を震え上がらせていたことだろう。だがその場合、彼も「十指」と同じ末路を辿っていたに違いない。

 オデッサの防衛を担っていた部隊の中でも、特に優れた撃墜数(スコア)を挙げていた10人の教え子達。彼らのことを慮っていたが故に、ジェイムズは今、ブルースへの怒りに燃えているのだ。

 

 そして、その思いを胸に愛機を走らせているのは彼だけではない。

 

『そこのザク……待ったぁあっ!』

『……!』

 

 ジェイムズ機の背を追い、彼を抜き去るように飛び出して来たMS-06G「陸戦高機動型ザク」も、後期型のザクマシンガンを連射しながらブルース機を猛追している。

 

 深緑を基調としつつ、その両肩に濃い紫のスパイクアーマーを装備しているその機体は――ブルースの教え子である「十指」の1人、アドラス・センがかつて愛用していた機体であった。

 だが、今のこの陸戦高機動型に搭乗しているのは、その本来の持ち主ではない。

 

『見つけた……! あんた、ジェイムズ大尉が言ってた「十指」の師匠だね! アドラス叔父さんはどこ!? ボクの前に連れて来なよッ!』

『……! ダイナ、前に出過ぎるな! 奴の機体もお前のものと同様、ただのザクではないのだぞッ!』

 

 搭乗しているのは「つるぺた」にして「ボクっ娘」な連邦軍パイロット――ダイナ・スレイヴ曹長だったのだ。

 アドラスの姪である彼女は、生き別れた叔父と再会するための手掛かりを求めて、叔父の師がいるというこのデザートキングダムの攻略作戦に参加していたのである。

 

 そして彼女の狙い通り、「十指」を育てた砂漠の王――ブルース・ゲイボルグが現れた。ならば後は、是が非でも彼を捕まえて叔父の居場所を吐かせるのみ。

 その一心でザクマシンガンを連射している彼女の機体は、執拗にブルース機の脚部を狙い続けていた。そんな彼女の猛攻に晒されているブルース自身は、全てを察したかのように感嘆の息を漏らしている。

 懐かしみ、悲しみ、嘆いているのだ。

 

『……そうか、お前はアドラスの姪なのか。死んだものと聞いていたが、どうやら根も葉もない噂に過ぎなかったようだな』

『なんだって……!? いや、そんなことはどうだっていい! それより叔父さんはどこっ! あんたなら知ってるんだろっ!?』

『生憎、知らんよ。むしろ生きているのか、死んでいるのかは……俺が知りたいくらいでな。お前が動かしているアドラスの機体を見ていると……胸が張り裂ける思いだ』

『……!』

 

 その言葉を耳にしたダイナは、叔父の生存が絶望的だと言われているような錯覚に陥り、眉を吊り上げ操縦桿を震わせる。2本のヒートサーベルを引き抜いた彼女の機体が、がむしゃらに突っ込んだのはその直後だった。

 

『ウソだ……ボクは騙されない! 叔父さんはどこかで生きてるんだ、絶対にそうだ! あんたを捕まえて、意地でも吐かせてやるっ!』

『いかん、下がれダイナ! 奴の本気はこんなものではッ……!』

 

 咄嗟に制止の声を上げたジェイムズの言葉にも耳を貸さず、ダイナ機は真っ直ぐにブルース機目掛けて斬り掛かっていく。ブルース機はザクマシンガンを投げ捨てると、ヒートサーベルを振り上げたダイナ機の両腕を掴み、直前で斬撃を阻止してしまった。

 

 刃を振り抜く前に両腕を掴まれたダイナ機は、無防備な体勢になってしまう。その腹部にカウンターの膝蹴りを叩き込まれたのは、それから間もなくのことであった。

 

『あぐぅ……ぁああッ!?』

『ダイナッ!』

『……意気込みだけは買うが、その程度の技量ではアドラスのザクが泣くぞ』

 

 両腕を掴まれているため衝撃を逃がせず、ダイナ機のコクピットは大きく揺さぶられてしまう。

 ジェイムズが声を上げた瞬間、そのまま2撃目の膝蹴りを受けた彼女の機体は、両腕を引きちぎられていた。

 




 ついに始まりました、本章のラスボスことブルースとのバトル。ようやく物語も佳境に入って来ましたので、今後もどうぞお楽しみに!٩( 'ω' )و
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