機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第17話からの登場人物-

-フィーネ・エイム-
 27歳。アラスカ出身。カーマインパンサー隊の隊長であり、「十指」の1人との因縁を持つ歴戦の女傑。砂漠戦仕様の陸戦型ガンダムに搭乗する。階級は少佐。
 ※原案はエイゼ先生。

-キョウイチ・ヤクモ-
 29歳。島根出身。「凶鳥」の異名で恐れられているカーマインパンサー隊の副隊長であり、「十指」の1人に苦戦した過去を持つ近接格闘戦の達人。砂漠用迷彩を施した陸戦用ジムに搭乗する。階級は少佐。
 ※原案はサンシタ先生。



第17話 紅豹の勇姫 -フィーネ・エイム-

 スピード、装甲、パワー。

 ブルース機のドムはその全てにおいて、原型機であるトロピカルテストタイプのスペックを遥かに凌駕していた。

 

 直に交戦し、その力を肌で痛感した者達は皆、彼の機体が「ドムの皮を被った何か」であることを否応なしに思い知らされていたのである。

 

『……なるほどな。ジェイムズが一瞬で倒されるわけだ……!』

『俺達でさえ、このザマとあってはな……!』

 

 それは「No.3」の戦闘力であるジェイムズ機の窮地を察して駆け付けて来た、カーマインパンサー隊の「ツートップ」でさえも例外ではなかった。

 

 頭部を握り潰されダウンしたゲルググを守らんと、ブルース機の前に立ちはだかる2機のMSは、すでに満身創痍となっている。

 

『……これが「奴ら」を育てたパイロットの力、ということか。(ディーネ)をここに連れて来なくて正解だったよ。我々でなければ、この程度では済んでいなかったからな……!』

 

 砂漠戦仕様の陸戦型ガンダムに搭乗する、フィーネ・エイム少佐。

 

 カーマインパンサー隊の隊長である彼女は先の戦争において、「十指」の1人と激戦を繰り広げたこともある歴戦の女傑なのだが。共に幾つもの死線を潜り抜けてきた愛機は、すでに傷だらけとなっている。

 

 ビッグトレーの護衛に就いている妹――ディーネ・エイム中尉の身を案じるが故に、彼女は汗だくになりながらも薄ら笑いを浮かべているのだが。陸戦型ガンダムの装甲はすでに、内部機構が露出するほどにまで損耗している。

 

 右手に100mmマシンガン、左手に360mm ハイパーバズーカを装備している彼女の機体は、後方からの不意打ちに対応するため、背部に小型シールドを装着していたのだが。その「保険」もとうに破壊され、死への「リーチ」をかけられている状況なのだ。

 

『俺の弟子を相手に生き延びてきただけのことはあるな。……先程の1発で確実に殺した気になっていたよ。手の内を知っているジェイムズさえ潰してしまえば後は容易いものと思っていたが、そう簡単な話ではなかったようだ』

『生憎だが……私は戦時中の頃から、しぶとさにだけは定評があってな』

 

 このデザートキングダム内の施設跡を遮蔽物として使いこなし、ホバー走行に伴い発生する砂塵で目眩しを仕掛けながら背後に周り込み、ジャイアントバズの砲弾を叩き込む。

 

 そんなブルース機の「必勝法」の前では、彼女の事前策など死期を延ばすだけの悪足掻きに過ぎなかった。

 

『……なるほどな。おかげで俺も、久々に死にゆく者の気分を味わえた』

『そのままくたばってくれても、構わなかったのだぞ』

 

 だが、彼女もただやられていたわけではない。背後を取られ「保険」のシールドを吹き飛ばされた瞬間、仕留めたと油断したブルース機に振り返り、マシンガンとバズーカの一斉射撃を撃ち込んだのである。

 

 ブルース機は直撃こそ回避したものの、その予期せぬ反撃でジャイアントバズを失ってしまったのである。だが、彼の愛機の出力を以てすれば、ヒートサーベル1本でもかなりの脅威となるのだ。

 

『当然と言えば当然だろうが……こいつの戦闘力はやはり、「十指」すら凌いでいるのだな。これほどまでのプレッシャーは、戦時中ですら味わったことがない。……まさか戦後になって、過去最大の敵と相見えることになろうとはな』

 

 砂漠用迷彩を施した、RGM-79F「陸戦用ジム」を駆るキョウイチ・ヤクモ少佐。

 

 カーマインパンサー隊の副隊長としてフィーネを支えてきた彼も、「十指」との交戦経験を持っているのだが――そんな彼から見ても、ブルース機の戦闘力は逸脱していたのである。

 

 戦時中から「凶鳥(きょうちょう)」の異名で恐れられてきた彼の愛機は、砂漠用迷彩の塗装に加え、左肩に八咫烏のエンブレムが刻まれている。

 さらに両拳にはナックルダスター、両肘と膝部には打突用のスパイクまで備えられている特別機であり、その外観の通り近接格闘戦に特化している機体なのだ。

 

『俺もまさか、この地で弟子を知る者達に出逢えるとは思わなかったぞ。願わくば、あいつらの武勇伝でも聞かせて貰いたいところだ』

『……残念だが、貴様が楽しめるような話が出来る自信などないのでな』

 

 そんな彼の愛機が誇る、マグネットコーティングにより向上した運動性を以てしても。ヒートサーベルを振るうブルース機のスピードには、付いて来れなかったのだ。

 

 無惨に斬り落とされている片腕が、その凄惨な太刀合わせの結末を物語っている。残された手で握り締めているビームダガーも、その輝きを失いかけていた。

 

『楽しいかどうかは話してみなければ分からんよ。お前ほどの者が弟子達とどのような死闘を繰り広げたのか、実に興味がある』

『ならば今すぐそのMSから降りて、地べたに這いつくばって耳を澄ましてみるがいい。生憎、この通信機は聞こえが悪くてな』

『ハッハハハ、言うではないか! お前のような太々しい輩は、俺の弟子にも数人いてな。懐かしい気持ちにさせられる』

 

 だが、ブルース機も決して無傷というわけではない。フィーネ機やキョウイチ機ほどの損耗ではないにしろ、その装甲の各部には深い傷が幾つも残されている。

 

 片腕を失おうとも怯むことなく、至近距離での格闘戦に挑み続けたキョウイチ機が付けた傷は、確実にブルース機に届いているのだ。

 彼の執念と闘志に敬意を表しているからこそ、ブルースは彼の不遜な物言いにも笑い声を上げているのである。

 

(……妙だ。ジェイムズを倒した瞬間、俺の方に向かってきた「熱源」は3つ(・・)だったはず。残りの1機は逃げ出したのか……?)

 

 その一方で、拭い切れない違和感に眉を顰めてもいた。万感の思いを込めてゲルググの頭部を握り潰した瞬間、彼が捕捉したMSの数と合わない(・・・・)のだ。

 




 「Code Fairy」のアニメが個人的に凄い好みな雰囲気なので、今はそれも執筆のモチベーションになっております。Switch勢だからあくまでエアプなんですけどね!(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
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