-エリムス・ナイドレイブン-
33歳。ブラウナウアムイン出身。残党狩りに執念を燃やす生粋のジオン嫌いであり、「火葬」の異名を持つ苛烈な武闘派。桜花色主体の砂漠迷彩を施し、頭部をガンダムヘッドに換装した量産型ガンキャノンに搭乗する。階級は大佐。
※原案は秋赤音の空先生。
――陸戦型ガンダムとは、かのRX-78「ガンダム」の規格落ち部品を基に組み立てられた急造の量産機であり。その背景故に、機体ごとのスペックに差があるケースも珍しいことではないとされている。
サイド3の進駐軍に属しているリュ・ルゥトゥ大佐は、その中でも特に「RX-78に要求される規格ライン」に近しい部品ばかりを使用した、「最高品質」の陸戦型ガンダムをアフリカの連邦軍に贈ろうとしていた。
かつて「三獣鬼」と呼ばれるジオン残党のテロリスト達と戦い、彼らのような死兵達の恐ろしさを肌で理解していた彼は、地上にいる同胞達の助けになればと同機を手配していたのである。
だが、その最高のプレゼントがアフリカ方面軍の連邦軍部隊に届くことはなかった。
それは今、同機を積んでいた
『き、さまァッ……!』
大型格納庫付近での遭遇から、僅か数秒で四肢を撃ち抜かれ、地に倒れ伏したリーフ機。そんなガンナーガンダムを無遠慮に踏み付けていたのは、「最高品質」の陸戦型ガンダムだった。
その外観は「RX-78の規格に最も近しい部品」で構成されていることもあり、「白い悪魔」に酷似している。
連邦軍の象徴たる絶対的英雄の姿は今、砂漠を統べる「王」として、その威光を誇示していた。
MSパイロットならば、誰もが畏怖の念を抱き得る「最強」にして「最恐」の機体。その姿形から放たれる圧倒的なプレッシャーは、同じガンダムタイプのパイロットであるリーフすらも飲み込んだのである。
『……連邦の輸送機から「これ」を見つけた時、何度その場で叩き壊してやろうと思ったか分からん。利用出来るものは利用するべきだとジョウ少尉が説得してくれなければ、俺は怒りと憎悪に抗えなかっただろう』
『利用、だと……。連邦軍の象徴たるガンダムを使って、俺達に意趣返しでもしようというのかッ!』
『意趣返し、か。確かにそれも良かろう。だが俺にはもう、そんなことに現を抜かしていられる余裕もないのだよ。こんなものに頼ってまで戦うと決めた以上、ロクな戦果もなしとあってはあの世の少尉にも申し訳が立たんのでな』
分類としては陸戦型ガンダムに当たるものの、その見た目と性能は正しく、ジオン軍を恐怖に叩き込んだ「ガンダム」そのものと言っていい。
そんな忌まわしい機体に乗ってまで、継戦の道を選んだブルース・ゲイボルグは、コクピットの中で深々とため息をついている。そのガンダムの手に握られたビームライフルの銃口は、リーフ機のコクピットに容赦なく向けられていた。
『……そこで、まずはお前というわけだ。これと同じガンダムタイプの首ともなれば、多少は良い土産話にもなろう?』
『ぐッ……! 俺達カーマインパンサーは、貴様のような奴には絶対ッ……!』
『カーマインパンサー……か。ふっ、豹が獅子に勝てると思うのか? 名は体を表すという言葉が真理ならば、お前達は気構えからすでに負けているのだよ』
ビームライフルの銃口に輝きが収束していく。発射の瞬間が徐々に近づいていく。ブルースはその中で不敵に、そして自虐的に口元を緩めて嗤っていた。
『……!?』
だが、その一閃がガンナーガンダムを貫くことはなかった。突如として
その際に発生した爆風で体勢を崩してしまった陸戦型ガンダムは、照準を乱され明後日の方向にビームを撃ち出してしまった。咄嗟に上空を仰いだ彼の視界に、天空を舞う1機の
そこのコンテナから身を乗り出していた量産型ガンキャノンが、頭上から240mmキャノン砲を撃ち込んでいたのだ。
桜花色を主体とする砂漠迷彩を施し、頭部をガンダムヘッドに換装しているその機体を目にしたブルースとリーフは、同時に戦慄する。
コンテナの中からツインアイを怪しく輝かせ、こちらを見下ろしているその姿はまさしく――「火葬」と恐れられた、最凶の残党狩り。エリムス・ナイドレイブン大佐の乗機だったのだ。
『その男の言う通りだな。豹では獅子には勝てねぇ』
『……!』
獰猛な本性を隠さない声色で、エリムスがそう呟いた瞬間。
コンテナから勢いよく飛び降り、地表目掛けて急降下して来るガンキャノンは、スラスターを噴かして減速しながら両肩のキャノンを連射して来る。
その猛攻をかわすべく、リーフ機のそばから咄嗟に飛び退いたブルース機は、シールドで直撃を避けながらビームライフルで応射していた。だが、エリムスの機体は鈍重な量産型ガンキャノンでありながら、彼の迎撃を紙一重で回避している。
「双天獅」にも全く引けを取らないその技量は、ジオンへの絶え間ない憎悪が為せる業であった。
(このガンキャノン……! まさか、マリアンネ大尉が言っていたあの情報は……本当だったのか!?)
「火葬」エリムス・ナイドレイブンが別の任務を終えた足で、このデザートキングダムに急行している。
後方部隊のマリアンネ・アケチ大尉から数分前に伝えられたその情報が、戦場の混乱から生まれたデマの類ではないことが判明してしまった。
その事実に困惑するリーフに、自分の存在が幻などではないのだと見せ付けるかの如く。エリムス機はブルース機に向けて両腕を突き出し――その前腕部に搭載された、火炎放射器に火を灯す。
『そして……獅子を含む獣とは得てして、火を恐れるもんだ』
そこから放たれたのは、「火葬」という異名の由来となった最凶の猛火。陸戦強襲型ガンタンクのものを転用しているその火炎放射は、ブルース機のシールドさえ蝋のように溶かしていた。
たまらずシールドを放棄したブルース機は、熱で暴発したビームライフルを放り投げると、真横に飛んで施設跡に身を隠していく。
その隙に着地したエリムス機は出て来る瞬間を待とうともせず、遮蔽物ごと溶かしてやると言わんばかりに、猛炎を放ち続けていた。
(なんという攻撃的な挙動だ……! 「双天獅」のガンダムも、あのガンキャノンの戦法を瞬時に把握して対応しているようだが……それでも奴の方が競り勝っているッ!)
ジオン残党を威圧するためにガンダムヘッドを載せてはいるものの、エリムス機そのもののスペック自体は、通常の量産型ガンキャノンから大きく逸脱しているわけではない。
にも拘らず彼の機体は、性能面で遥かに優っている「最高品質」の陸戦型ガンダムをも圧倒しているのだ。
エリムスは読者応募キャラとしては珍しく、最初からガッツリとした「悪役」として考案されたキャラでした。こういう「悪VS悪」みたいな構図も結構好みなのですよー。悪魔将軍VSザ・マンみたいな(*´꒳`*)