-フェザール・スコッツマン-
27歳。アバディーン出身。表向きはショウ達の遊撃部隊を率いる隊長だが、実は連邦軍内部での暗殺という特別な密命を帯びており、残党狩りに加わる一方でエリムスの動向を追い続けていた。ジム改をベースとする専用のジムナイトシーカーに搭乗する。階級は大尉。
※原案は速水厚志先生。
――RGM-79V「ジムナイトシーカー」。
敵基地への奇襲を主目的とするその機体は、本来なら通常のジムがベースとなっているのだが。75mmスナイパーライフルでエリムス機とブルース機の脚を撃ち抜いた機体は、RGM-79C「ジム改」をベースとする特殊仕様となっていた。
(……聞いた覚えがある。ジム改が基盤になっているナイトシーカーは、連邦軍の癌となり得る重度の規則違反者を始末している、暗殺者なのだと……!)
他のナイトシーカーとは明らかに異なるそのシルエットを目の当たりにしたリーフは、戦時中から度々耳にしていたとある「噂」を思い起こす。
それは戦場という混沌の中で幾つも生まれた、根も葉もない出鱈目の一つに過ぎない――はずであった。今こうして、噂のナイトシーカーが「火葬」ことエリムスの機体を攻撃して見せるまでは。
(あのナイトシーカーはまさか……エリムス大佐を追ってここに来た、上層部の刺客ッ……!?)
正直、心当たりならあり過ぎる。
エリムスのあまりに過激で苛烈な行動の数々は、ジオン憎しで残党狩りに奔走していた他部隊のパイロット達までもが我に返ってしまうほどのものなのだ。
彼の蛮行がメディアに取り上げられたことで、現地の連邦軍に対する逆風が生まれたことも一度や二度ではない。
上層部もそんなエリムスに対する警告は続けていたのだが、それでも彼の姿勢が変わることは終ぞなかったのである。
是が非でもジオン残党を滅ぼさんとするエリムスに、上層部もついに愛想を尽かしたということなのか。
その可能性に思い至るリーフを他所に、エリムス機は片膝を着きながらも闘志の炎を絶やすことなく、殺意に満ちたツインアイでナイトシーカーを睨み付けていた。
だが、ナイトシーカーのパイロットは毛程も怯むことなく、むしろ挑発するような薄ら笑いを浮かべている。
「火葬」の名を耳にするだけでも大抵のパイロットは背筋が凍るというのに、彼はエリムスの憤怒を愉しんですらいるようであった。
『……連邦軍にとって不都合な輩を消すための「機関」があるって噂は聞いた覚えがあったが。まさか、このアフリカ方面軍にまでその刺客が潜んでいたとはなァ。しかしお前、こんな時にまで俺を撃ってる場合かい? この状況が分かってねぇのか?』
『心外ですね、エリムス大佐。私はあくまで遊撃部隊の一員として、「双天獅」の首を取りに来たまで。その射線上にたまたま居合わせたというだけで、言うに事欠いて暗殺者扱いとは……そちらの方こそ、被害妄想が過ぎるのではありませんかな?』
ショウやブランが所属している遊撃部隊の隊長にして、件のナイトシーカーのパイロットでもあるフェザール・スコッツマン大尉。
彼は露骨なまでに白々しい態度でエリムスを煽りながらも、ブルース機に対する狙撃を続行していた。
『ぐ、ぉっ……! 何という精度だ、あのガンダムタイプの他にもこんな奴が居たとは……!』
『……自分が1番強いと思っている輩が嵌りがちな罠さ。油断などしていないつもりでも、心のどこかで詰めが甘くなっている。どうやらそいつは、「双天獅」ですら例外ではなかったらしいな』
初撃から弾道を予測していたブルース機は、そのほとんどを辛うじて回避しているのだが、脚を最初に撃ち抜かれたのが効いているらしく、焼け爛れた装甲を徐々に削られている。
(ほう……そうかいそうかい、そんなに俺の「火葬」に混ぜて欲しいのかい)
「双天獅」を倒しに来たという主張も、自分を消しに来たという疑惑も、紛れもない真実。
彼の言動と冷笑からその確信に至ったエリムスは、目を見開き青筋を浮き立たせながら、愛機をゆっくりと立ち上がらせていた。
『……ハッ、上等だ虫ケラが。こいつを片付けたら、次はてめぇの番ッ……!?』
まずは「双天獅」を焼き、それから小賢しい「裏切り者」を潰す。
その「確定事項」を実行に移すべく、エリムス機は残された片腕とキャノン砲をブルース機に向けたのだが。
『……ぬぉおぉあぁあッ!』
『てッ、めぇえぇッ!?』
その時すでに、ビームサーベルを引き抜いた陸戦型ガンダムが、エリムス機の懐に飛び込んでいたのである。
装甲を炙られた上に何発もの実弾を浴び、満身創痍と成り果てた「王」はその最期の威光を灯さんと、決死の光刃を振り上げていた。
咄嗟に撃ち出された砲弾が、頭部の脇を掠めていく。火炎放射器の猛炎が、至近距離から陸戦型ガンダムを焼き尽くしていく。
『……!? なぜだ、なぜこれほど焼かれても止まらんッ! 止まれ、止まらんかァァッ!』
『まだ俺は……終わってはおらんぞぉおおッ!』
それでもブルース機は止まることなく、ビームサーベルを振り下ろしていた。咄嗟に防御しようとした腕もろとも、エリムス機の片脚が両断されていく。
『こ、のッ……ゴミクソ野郎がぁあぁッ!』
かつて業火を以てジオンの残党を焼き尽くしてきた「火葬」の愛機は、その残党の「王」たる機体の刃に倒れ伏したのだった。
今話を以て、採用出来る全ての読者応募キャラが登場しました! 虎の子のエリムスがまさかの展開でダウンし、物語もクライマックスに近づいてきております。実はエリムスとフェザールの案を頂いた時から彼らの関係性は構想にあったのですが、いざ実際にお話として書いてみると、これが予想以上に楽しいのですよ〜(*´ω`*)