機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

5 / 177
-第5話からの登場人物-

-マテウス・クルマン-
 26歳。ブランデンブルク出身。マドロックの実験にも携わっていた第2陸戦小隊の隊長であり、かつては鹵獲機のザクキャノンにも搭乗していた。ジムキャノンに搭乗する。階級は中尉。
 ※原案はザッキーハマー先生。

-パスカル・ネヴィル-
 32歳。ニューヤーク出身。中隊長補佐の1人であり、「地獄よりも恐ろしい女傑」とも呼ばれる鬼教官。以前はV作戦にも参加していた。ジムトレーナーと、その機体を格納出来る専用のGアーマーに搭乗する。階級は少佐。
 ※原案はザッキーハマー先生。

-キアギルク・ギルボード-
 17歳。ヒッコリー出身。野戦任官を経て昇進したマテウスの部下であり、弟の世話をよく焼いている。マーナム空軍基地に配備されている機体とは別個体である、ガンダムGT-FOUR5号機の武器管制を担当。階級は准尉。
 ※原案は蒼翼の雫先生。

-ラグナス・ギルボード-
 16歳。ヒッコリー出身。野戦任官を経て昇進したマテウスの部下であり、能天気なお調子者。マーナム空軍基地に配備されている機体とは別個体である、ガンダムGT-FOUR5号機の機体操縦を担当。階級は准尉。
 ※原案は蒼翼の雫先生。

-サイウン・レツ-
 24歳。トロント出身。ホワイトディンゴ隊に所属する天涯孤独の兵士であり、コロニー落としで故郷を失った過去を持つ。戦死した前任者に代わり、ホワイトディンゴ隊仕様のジムスナイパーカスタムに搭乗する。階級は兵長。
 ※原案は魚介(改)先生。

-エディン・ギルス-
 28歳。サンフランシスコ出身。長い軍歴を持つホワイトディンゴ隊の一員であり、サイウンの前任者とは相棒だった。ホワイトディンゴ隊仕様のジムストライカーに搭乗する。階級は准尉。
 ※原案は魚介(改)先生。

-ローズマリー・アクランド-
 24歳。ダブリン出身。カタヤイネンと同じく航空隊に所属しており、大物政治家の娘でもある。「北欧の荒鷲」と呼ばれるエースであり、セイバーフィッシュに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案はマルク先生。

-ユウキ・ハルカゼ-
 15歳。神奈川出身。戦争に巻き込まれたことをきっかけに、機密保持のためとして徴兵され、殉職者からテストパイロットを引き継いだ少年兵。北米戦仕様の装備に更新された、青と白の局地型ガンダムに搭乗する。階級は曹長。
 ※原案は八神優鬼先生。



第5話 非情の愚将 -ベルドド・デムス-

『パスカル少佐、ここは自分達が抑えます。部下達を連れて上空のガウを!』

 

 そんなリュータ達を他所に、マルティナ機に続いて攻撃を仕掛けていたRGC-80「ジムキャノン」。

 第2陸戦小隊隊長マテウス・クルマン中尉が搭乗する、そのジムキャノンの傍らを――1機の重戦闘機が抜き去っていく。

 

『あぁ、分かっている。……ここは任せたぞ、マテウス中尉』

 

 彼の上官である中隊長補佐の1人、パスカル・ネヴィル少佐。TGM-79「ジムトレーナー」を格納出来るよう改修された彼女のGアーマーは、ビームキャノンによる牽制でグフタンクを足止めしつつ、地下洞を抜けようとしていた。

 初期のV作戦にも参加し、地球でGアーマーの実地試験を行っていた彼女は、その経験を遺憾なく発揮している。10年以上に渡るキャリアは、伊達ではない。

 

「マテウス中尉……! お久しぶりです!」

『オデッサの時以来だな、リュータ少尉。……あのグフの大暴れに乗じて、上空のガウがさらに次のMS隊を降ろそうとしているようだが、そこはパスカル少佐と俺の部下達が対処してくれる。俺達は奴の撃破に集中するぞ!』

「はいッ!」

 

 パスカル機のGアーマーに続き、コアブースター状の重戦闘機が地下洞を抜け、ジャブローの地上へと向かっていく。どうやらその機体が、第2小隊に属するマテウスの部下達の乗機らしい。

 一方、パスカルは地上に向かう直前――倒れ伏しているカルマ機のジムを一瞥していた。

 

『ところでカルマ軍曹。バーニング少尉をはじめとする陸戦中隊の面々が、あのグフを相手に奮戦しているというのに……教え子のお前が早々に倒れているとは、どういうことだ?』

『ヒィッ!? い、いやその教官、これはですね……!』

『いや結構。ことの経緯はこの戦闘を終えてから……いや、再教育(・・・)を終えてから、じっくり聞くとしよう』

『ヒッ、ヒィェェァァ……!』

 

 「地獄よりも恐ろしい女傑」。そう呼ばれるほどの鬼教官として知られている彼女の一言は、元練習生のカルマを戦慄させるには十分過ぎるほどの威力を持っている。

 慄く教え子を他所に、両機を連れて上空へ飛び立つパスカル機のGアーマーは――ほどなくして、MS隊を降下させているガウを捕捉していた。

 

『やはりあのグフは囮だったか。仕掛けるぞ!』

『了解ッ!』

『了解でぇすッ!』

 

 無論、そのまま降下を許す彼女達ではない。Gアーマーとコアブースター状の重戦闘機は、護衛に当たっていたドップやルッグンもろとも、2門のビームキャノンで薙ぎ払っていく。

 

『か、回避、回避だッ! 回避しろぉぉッ!』

『ダッ、ダメです、間に合いませんッ! ぁ、あぁあぁあッ!』

『……おのれぇえッ! ブリゼイドの奴は捨て駒の分際で、一体何をしておるのだァッ! あの、あの死神めがぁあぁあッ!』

 

 ジャブローの青空に一条の閃光を描く、その裁きの炎は。ベルドド・デムスのガウを、瞬く間に焼き尽くしていた。

 躊躇いなく部下(ガリウス)を見殺しにしようとしていた、非情の愚将には相応しい――呆気ない最期である。

 

 だが、母艦が大破炎上していく中でも。すでに艦を離れていたザクやドムは、そのまま地上を目指していた。

 そのMS隊を追い――コアブースター状の重戦闘機が、変形を始める。

 

『ラグナス、任せたぞッ!』

『オッケー! 見てろよ兄貴ッ!』

 

 やがて完成したのは――ツインアイから眩い輝きを放つ、1機のMSだった。連邦軍初の可変MSとして研究が進められていた実験機「ガンダムGT-FOUR」は、今まさに初陣を飾ろうとしている。

 複座式のコクピット内で武器管制を担当する、キアギルク・ギルボード准尉の叫びに応じて。機体操縦を預かる弟のラグナス・ギルフォード准尉は、専用のビームライフルを豪快に構えていた。

 

『……1機たりとも、逃さねぇッ!』

 

 その銃口から翔ぶビームは、多くの課題を抱えた実験機というハンデを、全く感じさせないほどの火力であり――あと一歩というところで、ジオンのMS隊はジャブローの地を目前にして、全滅してしまう。

 

『やりぃ、全機撃墜ッ! さっすが俺ッ! ジオンなんざちょちょいのちょいだぜッ!』

『あんまり調子に乗るなよ、ラグナス! ……しかし少佐、地下洞(あっち)は大丈夫なんでしょうか。俺達もリュータ少尉の援護に戻った方が……』

『案ずるな。向こうにはマテウス中尉もいる、我々は降下の阻止に専念すればいい。……私が人生を預けると決めた男だ。上手くやるさ』

 

 本来のテストパイロットが戦死したことを受け、野戦任官によって昇進したギルボード兄弟は、それから間もなくオデッサ作戦にも参加していた。

 そこでかつてのリュータに窮地を救われたことがあったからこそ、この戦場にも駆け付けているのだが――パスカルはあくまで、GT-FOURの性能に応じた働きを要求する。

 

『へ? 人生を預ける?』

『バ、バカ、ラグナスっ! 少佐には色々あってだな……!』

『……ふっ。気にするな、キアギルク准尉。君達も歳を取れば分かる日が来る』

 

 それも、彼女が密かに結婚相手として狙っているマテウスを信頼してのこと、なのだが。その胸中は、10代の少年士官達には、些か理解しかねるものであった。

 

『……むッ!』

『わっ、と……新手ッ!? トリカゴ(・・・・)かッ!』

 

 するとそこへ、彼らを狙うメガ粒子砲が不意を突くように翔んで来る。間一髪、その一閃を回避した彼らの前に現れたのは――4脚のMA(モビルアーマー)、「アッザム」だった。

 トリカゴとも呼ばれるその機動兵器を前に、ギルボード兄弟は緊張を露わにする。先程までの攻撃でGT-FOURもGアーマーも、かなりのエネルギーを消耗していたのだ。

 

 このままMAとの連戦になれば、いかにGメカとガンダムタイプのタッグといえどタダでは済まない。眼前に聳える巨大兵器の前に、パスカルも息を飲む。

 

『――当てるッ!』

 

 その時だった。森林に潜み爪を研いでいた1機のジムスナイパーカスタムが、満を持して牙を剥いたのである。

 ホワイトディンゴ隊所属、サイウン・レツ兵長。亡き先人の「遺品」を駆り、戦場に立つ彼の白いジムは、その手に握られたスナイパービームライフルの火力を以て――アッザムの脚を1本、撃ち抜いてしまう。

 

『エディ准尉ッ!』

『上出来だぜ2代目(・・・)ッ! 冷却材は絶やすなよッ!』

 

 脚を焼き切られたことでバランスを崩し、MAの高度が落ち始めていた。

 その隙を縫うように飛び出す彼の相棒――白のジムストライカーを駆る、エディン・ギルス准尉。彼は亡き相棒の跡を継ぐ部下の声に応じ、スラスターを噴かして翔び上がっていた。

 

 高度が下がった今ならば、ジムストライカーの間合いになる。

 

『おらぁあぁあッ!』

 

 それを証明するかの如く。メガ粒子砲の迎撃を掻い潜り、アッザムの上部に取り付いたエディン機は、ツインビームスピアを素早く突き立てた。その切っ先はアッザムの中枢を焼き尽くし、内側から大火の中へと葬って行く。

 

 キルレンジに踏み込めば生きては帰れない、「霧の狩人」。その異名に違わぬ手腕が、遺憾なく発揮されていた。

 

『ふぅっ……MA、1機撃墜。やりましたね、エディ准尉』

『まだまだ。こんなもんじゃあ前任(ヤツ)の代わりには程遠いぜ、サイウン。……まだ向こうじゃ残存部隊が暴れてるって話だ。レイヤー隊長と合流するぞ』

『了解』

 

 だが、彼らの仕事はこれで終わりではない。白に統一された彼らの同胞は、今も別の戦域に身を置いている。

 故にエディン機とサイウン機は、上空の友軍機を一瞥しつつ。スラスターを噴かして、次の戦場へと飛び去って行くのだ。マスター・P(ピース)・レイヤー中尉を筆頭とするホワイトディンゴ隊の戦いは、まだ始まったばかりなのだから。

 

『す、凄い……!』

『……あれがホワイトディンゴ隊、か……』

 

 たった2機のジムでMAを撃破して見せた、ホワイトディンゴ隊。精鋭との噂に恥じないその手腕を目の当たりにしたパスカル達は、改めて嘆息するのだった。

 

『母艦を墜とされても、まだ抵抗する気……!? カタヤイネン隊長は無事かしら……!』

 

 一方。爆炎と轟音が絶えない上空では――カタヤイネンと同じ航空隊に所属している、ローズマリー・アクランド少尉のFF-3「セイバーフィッシュ」が、ドップの編隊を相手に孤軍奮闘していた。

 大物政治家の娘ながら、政略結婚を嫌い連邦軍に入隊した彼女は、「北欧の荒鷲」とも呼ばれるエースパイロットだが――さしもの彼女といえど、多勢に無勢。背後から迫るドップの追撃をかわすのがやっと、という苦境に立たされている。

 

『……お父様の言いなりになんてならない。私は、私の道を行くッ!』

 

 本来ならばホワイトベース隊に配属されるはずだった彼女は、父の権力によって前線から外され、後方(ジャブロー)の航空隊に飛ばされていた。それでも腐らずに鍛錬に励んでいたことは、この戦いで積み重ねられた彼女の撃墜数(スコア)が証明している。

 

 父の思い通りになどならない。こんな奴らに屈しはしない。その気勢の赴くままに、ローズマリー機のセイバーフィッシュは旋回し――反撃に転じる。

 

『おぉぉおおッ!』

『――!?』

 

 その瞬間。ドップの編隊による機銃掃射から、ローズマリー機を庇うように。青と白のツートンカラーに塗装された、局地型ガンダムがこの上空に翔び上がって来た。

 クロー状のシールドで機銃を凌ぎ、そのまま頭上を取れるほどの高さまで上昇した同機は、一気にMS用マシンガンの銃口を振り下ろす。

 

『ローズマリーさん、下がってッ!』

『ユウキ……!』

 

 パイロットを務めるユウキ・ハルカゼ曹長の叫びと同時に、銃弾の雨が降り注ぎ――ドップの編隊は、瞬く間に一掃されてしまった。

 ローズマリー機を追ううちに、彼らは局地型ガンダムの射程内へと入り込んでいたのだ。

 

『そうか……スラスターの増設、間に合ったのだな。ユウキ』

『はい! 怪我はありませんか、ローズマリーさん』

『私の方は問題ない。……この高さまで翔んで来るとは、さすがガンダムタイプと言ったところか』

 

 ――日本でテストされていた局地型ガンダムを巡る、ジオンの襲撃事件に巻き込まれたことをきっかけに。

 殉職したテストパイロットに代わって、ユウキが同機を引き継いで以来。ローズマリーは彼の姉として、その成長を導いてきた。

 

『そのためのガンダムですからね。それよりさっき、とんでもない大きさのグフ……みたいなMSが、地下に潜って行くのを見たんです! このままでは本部の陸戦中隊が襲われます、リュータさんを助けに行かないと……!』

『……いや、我々にはジオン降下の阻止という使命がある。ここは、地下に向かったカタヤイネン隊長を信じよう』

『ローズマリーさん……』

『私も、君の働きを信じたい。……応えてくれるか、ユウキ』

『……分かりました、応えて見せます! 僕と、このガンダムでッ!』

 

 そんな彼女の危機とあらば、例え遥か上空であろうと必ず駆け付ける。その決意を証明するかの如く、北米戦仕様のスラスターを増設された局地型ガンダムは、青空の彼方へと舞い上がっていた。

 




 いつも本作を楽しんで頂き、誠にありがとうございます! 予定よりかなり早くなってしまいましたが、ある程度案が纏まったので、もう1話だけ更新させて頂きました(о´∀`о)
 本企画は元々、グフタンク1機を倒すために駆けつけて来た友軍機を募集する、というものだったのですが。作者の想定を遥かに上回る応募数になってきたことを受け、そろそろ「グフタンク硬すぎだろ」という声が聞こえてきそうと判断しまして。今話に関しては思い切って主な舞台を地上へと移し、主人公がほとんど出てこないエピソードとして描かせて頂きました。地下ではイマイチ映えない機体もあったことですし(´ω`)
 そんな調子でアドリブをかましながら完結を目指している本作ですが、最後まで見届けて頂ければ幸いであります。5月29日まで募集企画は続いておりますので、機会がありましたらどうぞよしなに……(´-ω-`)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。