機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第2話からの登場人物-

-アドラス・セン-
 21歳。サイド3出身。「悲笑の亡者」と呼ばれるエースパイロットの1人であり、「十指」の9位に相当する実力者。飄々とした振る舞いだが戦闘になると容赦がない。陸戦高機動型ザクに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案は影騎士先生。

-ジェイコブ・ホーク-
 28歳。サイド3出身。海兵隊に所属しており、「コロニー落とし」に纏わるジオンの暗部に携わってきた過去を持つ。ドムに搭乗する。階級は曹長。
 ※原案はバイン先生。

-レノン・マーシュ-
 18歳。サイド3出身。ニコラ直属の部下であり、温厚で礼儀正しい好青年だが、ルウム戦役から戦い抜いてきたベテランでもある。ザクIIに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案はシズマ先生。



第2話 悲笑の亡者 -アドラス・セン-

 ニコラ機が見せた素早い回避運動に、陸戦型ジムの部隊が動揺する瞬間。

 

『そうそう。後はオレ達に任せて、ガリウス殿はそこで寝ててくださいや。下手に動かれると、流れ弾に当たっちまいますぜ!』

「アドラス……! 貴君も来ていたのか!」

 

 彼女の頭上を飛び越すようにスラスターを噴かす、1機の「新手」が戦場に飛び込んできた。

 

 MS-06G「陸戦高機動型ザク」。額に角が伸びているその機体は全体的に深い緑のカラーリングだが、スパイクアーマー状の両肩は濃い紫色で塗装されており、モノアイからは赤い輝きが放たれている。

 

 そのザクは、グフと同規格のシールドで100mmマシンガンの迎撃を凌ぎながら。ザクマシンガンの銃身下方に装備された銃剣状のヒート剣で、陸戦型ジムを串刺しにしていた。

 さらに背後から迫ってきた別のジムに狙いを定め、左脚に装備された3連ミサイルポッドを撃ち放つと――弾薬の尽きたザクマシンガンを投げ捨てながら、腰部から引き抜いたヒートランスで瞬く間に切り裂いてしまう。

 

『周りの連中は死神だなんだと好き勝手に言ってますがね、オレとしちゃあ見捨てるには早過ぎるんですよ。ベルドドみてぇな野郎には分からねぇでしょうけどッ!』

「アドラス……!」

『死んでいった仲間の名前をメモに残すってのがオレの日課だが……アンタの名前はまだ、書きたくないんでねッ!』

 

 その左肩には、「悲笑の亡者」と呼ばれる「十指」の9位――アドラス・セン少尉のパーソナルマークが刻まれていた。顔の右半分を笑顔の仮面で隠し、涙を流した頭骸骨の意匠は、見る者に不穏な印象を与えている。

 

『ザコ共がバラけてくれたおかげで、仕事が楽になったなァ。……アドラス少尉、こっちは俺が引き受けますぜ』

『おう、任せるよジェイコブ』

「……!」

 

 ニコラ機の狙撃を受けて散開したことで、陸戦型ジムの部隊は各個撃破される隙を与えてしまったのだ。その好機に乗じて動いているのは、アドラス機だけではない。

 ジオン海兵隊に属するジェイコブ・ホーク曹長の駆るドムもまた、この戦場に駆け付けてきたエースの1人なのだ。ヒートホークとザクマシンガンを両手に、黒い重MSは容赦なく陸戦型ジムに襲い掛かる。

 

「ジェイコブ……なのか? その眼……一体、貴君に何があったのだ!?」

『アンタは知らなくてもいいことですよ、ガリウス中尉。……死神って言ったって、同じスペースノイドを手に掛けてきたわけじゃないでしょう?』

「なに……!?」

 

 次々とジムを斬り裂き、撃ち抜いていく、その鬼神の如き強さよりも。かつては実直で真面目な好青年だった彼を知るガリウスは、モニターに映るやさぐれた彼の貌に、衝撃を受けていた。

 ――人類史上、最悪の悲劇を生んだ「コロニー落とし」。ジェイコブはシーマ・ガラハウの部下としてその実行に携わった後も、数々の「汚れ仕事」を命じられてきたのだ。彼らの指揮を執っていた技術将校・アサクラ大佐によって。

 

『クソッタレのアサクラに鉛玉をプレゼントしてやるまでは死なねぇって、そう決めてますんでね。アンタも死にたくなきゃあ、そこで休んでてください。アドラス少尉の言う通り、流れ弾で逝っちまいますよ!』

「ま、待てジェイコブ! 一体何が……くッ!」

 

 そういった背景もあり、「氷魔の蒼弾」という悪名を背負うガリウス以上に、彼は周囲に疎まれ続けてきたのである。だが、彼はその過去の一切を語ることなく、ホバーを噴かして陸戦型ジムに挑み掛かっていた。

 事情を問おうとするガリウスのザクに砂塵を吹き掛け、これ以上の問答は無用、と告げるかのように。

 

『……全く、バルヒェット少佐もアドラス少尉もジェイコブ曹長も、無茶な戦い方ばかりするんだから。ガリウス中尉、ご無事でしたか?』

「あぁ……その声は、レノン少尉か。見ての通りMSは酷い有様だが、私自身は大したことはないよ」

『その掠れた声でそんなこと言われても、信じるわけないでしょう。相変わらず、嘘が下手なんですから』

 

 そのドムの背に手を伸ばしていた、ガリウス機の傍らに。レノン・マーシュ少尉のザクIIが、スラスターを噴かして舞い降りて来た。

 ニコラの部下である彼のザクは、その全身をダークグレーに統一している。シールドにジオン公国のエンブレムを描いたその機体は、近づいてきた陸戦型ジムに素早くザクマシンガンを向けていた。

 

『――この砂塵の中なら視えない、とでも思いましたか』

 

 若年ながら、ルウム戦役の頃から戦い続けてきたベテランでもあるレノンにとっては、オデッサの砂嵐など目眩しにもならない。

 瞬く間に陸戦型ジムを蜂の巣にしてしまった彼は、別方向から迫る敵機にザクバズーカを撃ち放ちながら――100mmマシンガンを拾い上げる。

 

『へぇ……連邦も中々、良いモノ作るじゃないですかッ!』

 

 レノンは初めて触れた連邦軍の装備も、即座に構造を把握していた。その機転を活かした牽制射撃によって、行手を阻まれたジム達は、手負いのザク1機すら仕留め切れずにいる。

 

『死なせねぇってッ!』

『言ってんだろッ!』

 

 そして、その隙に間合いを詰めていたアドラス機のヒートランスと、ジェイコブ機のヒートホークが、背後からジム達を斬り捨てて行った。

 

『私の教え子が世話になったな。……これは謝礼だ、有り難く受け取るが良い』

 

 さらに、それと時を同じくして。ビッグトレーの艦橋(ブリッジ)に狙いを定めていたニコラのヅダFが、狙撃ライフルの銃口から――火を放ち。

 連邦軍の誇るその巨躯を、爆炎の海へと沈めていた。

 




 前回に引き続き、今回も応募キャラ達が大暴れしております。募集企画は6月28日00:00まで続いておりますので、機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)
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