機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第3話からの登場人物-

-ディートハルト・クリーガー-
 17歳。サイド3出身。「十指」の10位とも呼ばれる、フラナガン機関から派遣されたニュータイプであり、女性士官から人気を集めている中性的な美男子。アクトザクに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案はmikagami先生。

-ヴィレッツ・ハルトマン-
 29歳。サイド3出身。「十指」の7位としてルウム戦役から戦い続けているベテランであり、連邦軍が相手であろうと背を向ける者は撃たない主義の持ち主。グフ重装型に搭乗する。階級は大尉。
 ※原案はマルク先生。



第3話 純黒の烈風 -ディートハルト・クリーガー-

 ――だが、まだ戦いは終わりではない。ビッグトレーを1隻失っただけでは連邦軍の攻勢は止まらず、さらに無数のMS部隊が迫って来る。

 その軍勢が生む迫力は、ジオンと連邦の間にある、圧倒的な「物量差」を突き付けているかのようだった。

 

『ガリウス中尉、ご無事ですか! これより、そちらの援護に向かいます!』

「ディー、なのか!? なぜ貴君がここに……! HLVの打ち上げには行かなかったのかッ!?」

『死にかけているあなたを置き去りにして、おめおめと宇宙(そら)に上がれるわけがないでしょうッ!』

 

 だが、その差を覆さんと抗う者達は他にも居る。遠方で4連装マシンガンと3連ミサイルポッドを撃ち放ち、陸戦型ジムの群れと渡り合う、MS-11「アクトザク」のパイロット――ディートハルト・クリーガー少尉も、その1人だ。

 

 キシリア・ザビの命によりフラナガン機関から派遣され、この戦線に加わっていた彼は、並外れた反応速度を以て連邦軍の追撃をかわし続けている。

 「ニュータイプ」とされるその能力を活かすため、キシリア隊に配備される予定だったアクトザクと共に、マ・クベの元に送られた彼だが――本来ならば、優先的に宇宙に上がれる立場のはず。

 

「ディー……!」

『……伊達に、「黒い烈風」などと呼ばれていたわけじゃありませんよ。見ていてください、ガリウス中尉ッ!』

 

 にも拘らず地上に残り続けているのは、共に死線を潜り抜けてきた戦友達を思ってのことであった。特に、兄のような存在だったガリウスの窮地を、放っておくわけには行かなかったのである。それは、「十指」の10位としての矜持でもあった。

 

『おおぉおッ!』

 

 「黒い烈風」と恐れられてきた、漆黒に近しいアッシュパープルの機体が奔り。その両手に握られた大型ヒートホークと、ヒートサーベルが唸る。

 そこからさらに放たれたガトリングシールドの弾幕が、陸戦型ジムの群れを蜂の巣に変えていた。

 

 ――すると。彼らを襲う弾幕がさらに激しさを増し、MS部隊の進攻速度が僅かに鈍る。

 

 それは、ディートハルトのアクトザクが撃っていた、ガトリングシールドによるもの……だけではない。彼の後方から援護射撃をしていた、MS-07C-3「グフ重装型」の支援もあってのことだった。

 

『あまり突っ走るなよ、ディートハルト少尉! 戦闘濃度のミノフスキー下とこの砂塵の中で、迂闊に動けば迷子(・・)にもなりかねん! せっかく地上に残ってくれた貴重なアクトザクなんだ、無理して壊されてはかなわんッ!』

『りょ、了解しました、ヴィレッツ大尉……!』

 

 ディートハルトの上司にして、ルウム戦役から戦い続けてきたベテランであるヴィレッツ・ハルトマン大尉。

 グフ本来の持ち味である接近戦能力と運動性を犠牲にしている、重装型の欠点を知りながらも、彼はこの機体を巧みに乗りこなしていた。両手を形成している85mmフィンガーバルカンの砲火が、陸戦型ジムを次々と撃ち抜いていく。

 

『……やれやれ。ヴィレッツ大尉の甘さは、相変わらずのようですな』

『そんな悠長なことしてて、奴らに勝てるんですかい?』

『なんとでも言え。背を撃つのは俺のやり方ではない、というだけのことだ』

 

 だが、その弾が退却していくMSの背に当たることはなく。青紫に塗装された重装型はあくまで、戦意を持った連邦兵のみを狙い続けていた。

 連邦であろうと戦意のない者は丁重に扱う彼の姿勢は、部下からの不興を買うことも多い。アドラスやジェイコブも、そのスタンスには難色を示している。

 

 それでも「十指」の7位とされるヴィレッツが、己の矜持を曲げたことは一度もない。きっと、これからも変わらないのだろう。

 付き合いの長さ故、そこまで理解しているからこそ。アドラスもジェイコブも、それ以上文句を言うことはなく――ディートハルトとレノンも、笑みを隠して彼のやり方に付き合っていた。

 

『待たせたな、ガリウス。……どうやら「氷魔の蒼弾」様は、噂通りにタフだったらしいな』

「ヴィレッツ大尉、私は……」

『……俺はお前を、死神などと思ったことはない。ディートハルト少尉も、ニコラ少佐も……恐らくは、ここにいる者達も』

 

 実力を認めている部下達でさえ、呆れているその情の深さは、「氷魔の蒼弾」という悪名(・・)を背負うガリウスにも向けられている。

 強化された装甲にモノを言わせ、ガリウス機のザクを庇うように立つ重装型は。物量差すらも穿つほどの気迫を纏い、フィンガーバルカンを連射していた。

 

『死神なんぞのために捨てられるほど、俺達の命は安くはないんでなッ!』

「ヴィレッツ大尉……!」

 

 軽口も銃撃も絶やすことなく、自身を励まし続けるヴィレッツの背を仰ぎ。ガリウスは援護射撃すら出来ない今の自分の無力さに、唇を噛み締めている。

 




 今話も応募キャラ達の活躍回となっております。募集企画は明日の6月28日00:00まで続いておりますので、お気軽に遊びに来てくださいませー(о´∀`о)
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