機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第4話からの登場人物-

-ボーン・アブスト-
 「第08MS小隊」に登場する、ヨーロッパ方面軍所属のガウの艦長。オデッサから撤退中の部隊を回収するべく、救援に駆け付けてきた。試験運用中だったケンプファーに搭乗する。階級は大尉。
 ※本作オリジナル設定原案はヘイトリッド先生。

-アンナ・ブリューネル-
 36歳。サイド3出身。開戦当初から戦い続けているベテランパイロットの1人であり、戦火の中で夫を失った未亡人でもある。グフカスタムに搭乗する。階級は中尉。
 ※原案はMrR先生。

-チョー・コウ-
 42歳。香港出身。元猟師のアースノイドであり、現地でスカウトを受けジオン軍に加わった寡黙な男。ザクマリンタイプに搭乗する。階級は伍長。
 ※原案はオラクルMk-II先生。



第4話 熱砂の闘士 -ボーン・アブスト-

 ――その激戦の渦中。ガリウス達の頭上を飛ぶガウのハッチから、見慣れないシルエットのMSが降下してきた。

 

『いいぞ……ここからなら、よく狙えるッ!』

 

 オデッサで試験運用中だった、その試作機の名は――MS-18E「ケンプファー」。

 専用ショットガンとシュツルムファウストを、矢継ぎ早に持ち替えながら撃ち放ち。地上に展開している陸戦型ジムを薙ぎ払うように撃破しながら、その機体は砂塵の戦場へと降臨する。

 

『ここまで来て死ぬなよ、ガリウス! 死神呼ばわりされてきたツケは、生きて返すんだッ!』

「アブスト大尉!? ガウの艦長だったあなたが、なぜッ……!」

『任されていたこいつ(・・・)のテストが、まだ終わっていなくてなッ!』

 

 本来なら、ガリウス達の頭上を飛行しているガウの艦長であるはずの、ボーン・アブスト大尉は。窮地の戦友達を救うべく、自身が預かっていたケンプファーを持ち出していた。

 

『どうやら連中、このケンプファーが気になって仕方がないようだな。……いいだろう、捉えられるものなら捉えてみろッ!』

 

 ザクともグフともドムとも違う、その独特なシルエットは連邦軍の目を強く引き付けている。そしてそれこそが、陽動を買って出たアブストの狙いだった。

 オデッサから退却中の部隊を、1人でも多くガウで回収するために。彼は指揮官でありながら、前線に立つ道を選んだのである。

 

『おぉおおぉッ!』

 

 近づく陸戦型ジムにチェーンマインを巻き付け、次々と爆破していく。その姿は、新型の撃破という戦功を狙う連邦兵達を戦慄させていた。

 

 だが陽動の成功は、アブスト機への狙いが集中することも意味している。如何に高性能なケンプファーといえども、多勢に無勢では勝ち目がない。

 

『アブスト大尉、援護します! ガリウス、伏せろッ!』

「アンナ中尉……!? 了解ッ!」

 

 そこへ、アブスト機に続くかの如く。ガウから飛び降りてきた1機のグフカスタムが、ザクマシンガンを手に急降下して来た。アンナ・ブリューネル中尉が搭乗しているその機体は、すでに傷だらけになっている。

 

『ブリューネル、お前は出て来るなと言っておいたはずだ!』

『この状況で、大尉だけを行かせるわけには参りません! ……夫の良き戦友だった、あなたならば尚更です』

「しかしアンナ中尉、あなたのグフカスタムはすでに……!」

『分かっているさ、ガリウス。……それでも私は、夫に恥じない戦いをすると決めたんだ。見ているだけなど、私には出来ん』

 

 あまりの物量差に押され始めていたケンプファーを庇うように、砂埃を巻き上げ舞い降りたその機体は、ザクマシンガンによる牽制射撃を試みていた。どうやら、グフカスタム用の装備もないまま運用しているらしい。

 

『……ジオンの未来を担う若者達は、必ずこの手で守り抜く。それが夫と交わした、約束なのだから!』

 

 長い戦いの中で夫を失い、それでも気丈に新兵達を守り続けてきた彼女は。ノーマルスーツを押し上げるたわわな巨峰を揺らして、金色のショートポニーを振り乱し、敵方を睨み据える。

 

『はぁあぁあッ!』

 

 一瞬の隙を突くように投げ飛ばされたヒートホークは、前方から肉迫する陸戦型ジムの顔面に、深く沈み込んでいた。素早く間合いを詰め、そこから得物を引き抜いた彼女のグフカスタムは、次の標的(ジム)へと一気に襲い掛かっていく。

 

「……! アンナ中尉、危なッ……!?」

 

 その背後から忍び寄る、陸戦型ジムの新手。アンナ機を狙う彼の銃口に気付いたガリウスは、思わず声を上げるが――それよりも(はや)く。

 

『……全くあの人は、自分が傷付くことなんて全く厭わないんだから……困ったもんだ』

 

 チョー・コウ伍長が駆るMS-06M「ザクマリンタイプ」の3連装ガトリングガンによって、蜂の巣にされてしまうのだった。

 

 オデッサの戦場にはそぐわない、倉庫番のような機体。紅葉のような鮮やかな迷彩。そして、肩に塗装されたメープルシロップのエンブレム。

 それらを目の当たりにしたガリウスは、即座にそのパイロットの「正体」に気付く。

 

「貴君は……チョー伍長か!? 良かった、無事だったのだな!」

『それはこちらの台詞ですよ、ガリウス中尉。そんなボロボロのザクで、よく今までご無事でしたね』

「無事、とは少し言い切れんが……とにかく、貴君が生還していてくれて何よりだ。我々が……いや、私が不甲斐ないばかりに、アースノイドの貴君をこの戦争に巻き込んでしまったのだから」

 

 現地でスカウトを受け、ジオン軍に加わったという異色の経歴を持つ、チョー・コウ。

 彼はその背景故に、高い実力の持ち主でありながら不遇な扱いを受け続けていた。自身も死神として扱われてきたことから、そんな彼に対してシンパシーを覚えていたガリウスは、この状況下でも彼を案じ続けていたのである。

 

『……巻き込まれた、なんて思ったことは一度もありませんよ。俺は自分の意思でジオンに入り、自分の意思でここにいる』

「チョー伍長……」

『不甲斐ないと思うのなら。生きて次の戦場に、その命を繋いでください。それが出来ずに死んでいった、兵士達に代わって』

 

 だが、それはチョーにとっても同じであった。

 アースノイドである自分に対しても偏見を持つことなく、誠実に接してきたガリウスを守るため。彼のザクマリンタイプはヒート剣を手に、陸戦型ジムの群れに斬り掛かって行く――。

 




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