-キョウイチ・ヤクモ-
28歳。島根出身。「凶鳥」の異名で恐れられている、近接格闘戦の達人。グレーを基調とする陸戦用ジムに搭乗する。階級は大尉。
※原案はサンシタ先生。
-ヨシナオ・シンジョウ-
23歳。北海道出身。戦果よりも生還を優先して戦い抜いてきた、「命は宝」を信条とするエースパイロットの1人。白と黄色を基調とする陸戦型ガンダムに搭乗する。階級は中尉。
※原案はエクシリオン先生。
サナル率いる防衛隊は、その名の通りHLVの発射を護衛することを任務としている。そして彼らに託された1機はすでに、打ち上げの瞬間を目前に控えていた。
だが、連邦軍の火力は侮れない。打ち上げが成功する瞬間まで、彼らの任務は終わらないのだ。
『……やはりサナル大尉は、持ち場を離れてしまっているか。まぁ……すぐに熱くなられて歯止めが効かなくなるのは、いつものことだがな』
その方舟を背に、HLVから最も近い場所で戦っていたマデラス准尉のザクIIは。遥か遠方でレオ達と死闘を繰り広げている、サナル機の機影を一瞥していた。
独断専行が絶えないサナルから一時的に指揮権を預かり、隊員を率いて防衛に当たっている彼は。部下達に対しては任務遂行よりも生還を優先せよと命じながらも、自身は一歩も引き下がる気配を見せず、独り戦い続けている。
『さて……お前達はいつまでそうしているつもりだ。突っ立っているだけでは敵は倒れんぞ』
だが、決して犠牲になるつもりはない。
ジェネレーターを強化して、ヒートサーベルの運用を実現している彼の専用機は。その赤い高熱の刃を、連邦軍の尖兵達に向けていた。
一方。彼と対峙しているキョウイチ・ヤクモ大尉と、ヨシナオ・シンジョウ中尉は、難攻不落の鉄人を前に苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている。
グレーを基調とする陸戦用ジムと、白と黄色を基調とする陸戦型ガンダムのボディには、すでにいくつもの傷跡が残されていた。焼き切られた跡からは今も、黒煙が立ち込めている。
『……すぐにでもHLVに狙いを定めたいところだが、この男はその瞬間を確実に狙って来る。僅かでも視線を外せば、瞬く間に狩られてしまうな』
『まずは奴から仕留めなければ、我々はHLVに辿り着けない。そういうことになりますね』
相手が「十指」の一角、それも「五指」に最も近い6位とあっては、ザク1機でもかなりの脅威となる。その事実を物理的に思い知らされたエース達は、マデラス機に狙いを集中させ――同時に襲い掛かる。
『そういうことだッ!』
『……良い殺気だ。その研ぎ澄まされた殺意。それがなくては話にならん』
リーチに秀でたヨシナオ機のビームサーベルと、ゼロ距離での接近戦に特化したキョウイチ機のビームダガー。双方の長所が存分に生きる間合いに飛び込み、両者は逃げる暇も与えまいと光刃を振り抜いた。
だが、マデラス機はその両方の剣閃を即座に把握し、対応している。キョウイチ機のビームダガーは左腕のヒートホークで、ヨシナオ機のビームサーベルは右腕のヒートサーベルで。
容易くいなして、斬り払い――最も近い位置にいたキョウイチ機の胴に、片膝を突き込むのだった。
『ぐッ……!?』
『だが、それだけで私を屠れるとは思わぬことだ。……どこの世界に、当たらぬ攻撃で死ぬ兵士がいる』
『キョウイチ大尉ッ!』
その衝撃による一瞬の怯みが、命取り。スパイクアーマーによる追撃を浴びたキョウイチ機は、後ろから受け止めようとしたヨシナオ機ごと巻き込んで吹っ飛ばされてしまう。
ザク自体にもかなりのチューンナップが施されているとはいえ、2人にとっては初めての経験であった。たった1機のザク相手に、これほど苦戦を強いられたのは。
一方、マデラス自身もキョウイチとヨシナオに対しては驚嘆しており――これまで撃退してきた連邦兵達とは違う何かを、彼らに感じているようだった。
『これまでも連邦軍の兵士達が、このHLVを沈めに来たことはあったが……これほど粘ったのはお前達が初めてだな。……
『……死ねば、兵士は戦えん。勝ち目のない戦いで悪戯に命を散らしても、無駄に戦力を損耗するだけだ』
『ほう?』
マデラスとしては、ただキョウイチ達を称賛するため、引き合いに出しただけだったのだろう。だが、命というたった一つの「宝」を重んじるヨシナオは、その発言を挑発と受け止めていた。
キョウイチ機に肩を貸しながら立ち上がる陸戦型ガンダムは、すでに満身創痍でありながら、その双眸に眩い輝きを灯している。
『……確かに彼らには、お前を打ち破れるだけの力はなかったのだろう。だが、戦果より生還を優先できる知性がある。己の命という「宝」の値打ちを知っている。肉体が資本の兵士にとって最も肝心なのは、その自覚だ』
『命は宝……か。物は言いようだな。どんな御託を並べようが、逃げてばかりでは敵は倒せんのだぞ』
そんな彼らに、マデラス機は再び二振りの刃を向ける。キョウイチ機とヨシナオ機も、再び各々の光刃を構えていた。
命は宝。その重さを知る者達に託された役割を、今こそ完遂するために。
『そう。だから
『……
その覚悟と気迫を肌で感じていたマデラスも。エンジンの点火まで秒読みに入っているHLVを背に、最後の責務を果たさんとしていた。
『もう逃げ出すことはない、ということか。……良いだろう、ならば私にも証明して見せろ。その「宝」の値打ちとやらをなッ!』
男達の意地が、その手の刃に宿る時。戦いはより、激しさを増していく――。
活動報告にある通り、連邦軍及びジオン軍の新オリキャラ募集企画は1月15日00:00まで続いております。機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)
Ps
戦後のエピソードである第1.5部ではゲルググに膝蹴りを入れていたキョウイチですが、戦時中である今話においては逆にマデラスに膝蹴りを入れられております。ここから至近距離戦の要領を得たのだと思って頂ければ(´ω`)