-ヒダカ・アマサキ-
20歳。兵庫出身。第9陸戦小隊の元所属パイロットであり、普段は飄々としているが時折熱い一面を見せることもある。オレンジ色に塗装された鹵獲機のザクIIに搭乗する。階級は少尉。
※原案はシズマ先生。
-ゾネス・ゴルドー-
34歳。ワシントンD.C.出身。「切り裂き道化師」という異名で恐れられている、ルウム戦役から戦い続けてきたベテランパイロット。ビームダガーを装備した専用のジムに搭乗する。階級は大尉。
※原案はバッフロン先生。
-ミランダ・ヴェルテ-
19歳。テキサスコロニー出身。マルティナ・テキサスの従妹であり、現在はジオン軍人として連邦軍に立ちはだかっている。緑基調に塗装された鹵獲機の陸戦型ガンダムに搭乗する。階級は軍曹。
※原案は速水厚志先生。
-ユリウス・ヴォルケンシュタイン-
20歳。サイド3出身。少年のような小柄な体躯に反した、優れた操縦技術の持ち主。陸戦型ゲルググに搭乗する。階級は軍曹。
※原案はmikagami先生。
HLVを守るべく、マデラスの指揮下で戦っている防衛隊の兵士達。その中には陸戦型ガンダムを手土産に、連邦軍から寝返ってきた「裏切り者」も含まれていた。
『……「暴風」の異名で恐れられている、ジオン軍のミランダ・ヴェルテ。それはあんたで、間違いないな』
『そう……私のことは、連邦軍にも知れ渡っているのね』
その戦い振りから「暴風」という異名で恐れられていた、ミランダ・ヴェルテ軍曹の陸戦型ガンダムを前に。ヒダカ・アマサキ少尉は、低くくぐもった声色で「確認」していた。
オレンジ基調のザクIIと、緑基調の陸戦型ガンダム。鹵獲機同士の対決であるこの構図はまるで、双方の陣営が入れ替わったかのようであった。
『あんたのことを噂で知ってるのは、北米戦線にいるごく一部の兵士達だけさ。……ラッキーなことに、宇宙軍にまではあんたのことは広まっちゃいない』
『ラッキー……?』
かつて共にジャブローで戦った、マルティナ・テキサス中尉。彼女の面影を残しているミランダを前にして、ヒダカは溢れんばかりの「怒り」を。少しずつ、露わにしていく。
それはジャブローの第9陸戦小隊にいた頃、リュータ・バーニングやアリサ・ヴァンクリーフらの前で飄々と振る舞っていた彼とは、まるで別人のようであった。
『……なぜなんだ。なぜあんたは、ジオン軍にいる! マルティナ・テキサス中尉の従妹であるあんたが、そんなところで何してやがるッ!』
『……!』
その激情が完全に発露した瞬間。それまでは冷ややかな貌でヒダカ機と対峙していたミランダは、初めて目を剥いた。
かつては故郷で朗らかに笑い合い、共に同じ時間を過ごしていた最愛の従姉。その名前を出された事実は、凄まじい衝撃となって彼女の心を襲っている。
『そう……姉さんを知ってるのね』
『知ってるなんてもんじゃないさ……! よく聞かされてきたぜ、あの人がどれほど、生き別れたあんたの身を案じていたのかも! あんたを探すために、宇宙軍に行くことに決めたって話もな!』
『……そう……姉さんが……』
相手が従姉の知人と知り、一瞬でも飲まれかけていたミランダだったが。その脳裏に過る「過去」を思い返す度に、彼女は戦うしかないのだという結論に至っていた。
『……スペースノイドの私には、これしかなかったのよ。私は姉さんのように、出自に纏わる誹りに耐えられるほど強くはなれない。これが弱い私なりに見つけた、私の生き方なの』
『それでマルティナ中尉の仲間達を、大勢ぶち殺してきたってのか。あんただって、元々は連邦軍人だったろうにッ!』
テキサスコロニー出身の彼女達は、決して最初から歓迎されて連邦軍に入ったわけではない。「コロニー落とし」から日も浅く、親兄弟を失ったアースノイド達からの差別も激しい時期だったこともあり、ミランダもマルティナも苦難の連続だったのだ。
それでもマルティナは類稀な実力を以て信頼を勝ち取り、陸戦中隊でも名を馳せたが。味方に背を撃たれたミランダは、ジオン軍に流れるしかなかったのである。
『だったら……なんだっていうの。私を殺すの? それで満足?』
『俺の満足なんざ、どうでもいい』
だが、それを訴えたところで、自分の手が多くの連邦兵の命を奪ってきた事実に変わりはない。故にミランダは赦しを乞うわけでもなく、ヒダカの言葉を待つ。
『まずはあんたをその鹵獲機から引き摺り出す。そしてマルティナ中尉に直接詫びさせてやる! 今まで、心配かけてごめんなさいってなッ!』
『そんなこと言ったって……今更、もう遅いの。私はもう……戻れないのッ!』
やがて絞り出されたヒダカの言葉は、ある意味では救いだったのかも知れない。両者はヒートホークとビームサーベルを構え、互いに斬り掛かるが――ミランダ機の方が一瞬、出遅れていた。
『はぁあぁあッ!』
『……ッ!』
ザクIIと陸戦型ガンダムという、MSの性能差を鑑みても。元整備士のヒダカと、生粋の戦闘員であるミランダの技量差を考慮しても。
ヒダカ機には、万に一つも勝ち目がなかったはずなのに。すでにヒートホークの光刃は、ミランダ機の首を捉えている。
(……姉さん。マルティナ姉さん……ごめんね。ごめんなさい。弱い従妹で、ごめんなさい)
それは心のどこかで、敗北を願うほどに追い詰められていたが故の、イレギュラーであった。もはや何を以てしても許されない、咎を背おうが故の。
『ぐッ……!?』
『落ち着け、ミランダ! お前らしくもないッ!』
『ユリウス……!』
だが、そんな今の彼女にも、死なせまいと動く仲間がいる。MS-14G「陸戦型ゲルググ」を駆るユリウス・ヴォルケンシュタイン軍曹の檄が、ミランダを我に帰らせていた。
彼の愛機が握っているビームナギナタの光刃は、ヒダカ機のヒートホークを容易く受け止めている。ただでさえミランダ機だけでもかなりの脅威なのに、ゲルググタイプまで増援に来たとあっては、ヒダカには為す術もない。
『元連邦兵だろうが、こいつはもう俺達の仲間なんだ! 今更、見殺しになんかしてたまるか――ッ!?』
『見つけたぞッ! 今度こそ苦しむ間もなく、コクピットを焼き切って即死させてやるッ!』
だが、彼らの戦いが引き寄せた機影は、ユリウス機だけではなかったのである。ヒダカ機に光刃を向けていた陸戦型ゲルググは、自分を先程まで狙っていた「追手」の殺気を敏感に感じ取っていた。
ナイフを持ったピエロのエンブレムを右肩に施した、1機のジムが現れた瞬間。戦局は、さらに激しく変化する。
『ヒダカ少尉、下がれ! あの新型は少々手強いぞッ! ジオンに残った北米の拠点はもはやこのキャリフォルニアベースだけだ、奪われたものは全て取り戻すッ!』
『ゾネス大尉ッ!』
『くッ、もう追い付いてきたのかッ!』
ゾネス・ゴルドー大尉の愛機であるそのジムは、2本のビームダガーを振るいユリウス機を圧倒していた。「切り裂き道化師」という異名を、体現するかの如く。
『才能は充分、気勢も申し分なし。……だが経験は足りていないようだな。敵同士であること、惜しく思うぞッ!』
『ぎ、技量が違い過ぎるッ……! こいつ、本当にただの量産機なのかッ!?』
後にユーグ・クーロ大尉に並ぶ、北米奪還の英雄として名を馳せる武人の刃は。才能に秀でた若獅子という芽を、容赦なく摘み取ろうとしていた。
『生憎だが、接近戦は俺の十八番なのだよッ!』
『くそッ、このままじゃ殺られるッ……!?』
全ては、先のキャリフォルニアベース防衛戦で命を落とした同胞達を、弔うために。
『……! ユリウス、聞いた?』
『あ、あぁ……! HLVの発射も秒読みに入ってる、そろそろ俺達も引き上げよう!』
その時、ユリウス機とミランダ機に、ガルド機からの通信が入ってくる。沿岸部に待機している
ヒダカ機のザクだけならともかく、ゾネス機のジムまで加わった今では、継戦も困難。ならば、もはや選択の余地などない。
と、言わんばかりに。ユリウス機とミランダ機は、腕部グレネードランチャーとロケットランチャーで牽制射撃を繰り返しながら、スラスターを噴かして後退し始めていく。
ヒダカ機とゾネス機も、ブルパップマシンガンと79F-1型ビームスプレーガンで追撃するが、その連射は1発も当たることなく――とうとう、見えなくなってしまった。
『なッ……! この期に及んで逃げるってのか、ミランダ・ヴェルテッ!』
『ヒダカ少尉、深追いするな! 我々の目的はあくまで、HLVの発射阻止だ。……決着を付ける機会は、いずれ訪れる』
『くッ……ちくしょおッ!』
マルティナの苦悩を知るが故に、なんとしてもミランダを捕らえたかったヒダカは。ゾネスの励ましに耳を貸す余裕もなく、コクピットの壁を殴り付けている。
キャリフォルニアベースに轟く爆音は、そんな彼の慟哭さえも掻き消していった。
(あの人……すごく、怒り慣れてない感じだった。本気で戦おうとはしてたけど……私を殺そうとは、してなかった。怒ることも、私を倒そうとすることも……本意じゃなかったんだ)
一方、ユリウスと共にヒダカ達の追撃を振り切っていたミランダは――胸中にズキリと走る痛みを覚えながら、戦火の中で対峙していたヒダカの様子を思い返していた。どこか不器用だった彼の姿に、幾度となく想いを馳せて。
(それなら、その優しさは……全部、姉さんのために使ってあげて欲しい。どうしたって私はもう……「殺すべき敵」なのだから)
それでも彼女は、今の仲間達と肩を並べ、脱出を目指している。もう戻れないのだと、改めて己自身に突きつけるかのように――。
活動報告にある通り、連邦軍及びジオン軍の新オリキャラ募集企画は1月15日00:00まで続いております。機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)
Ps
陣営選択式というのはシリーズ初の試みなのですが、これはこれで「どの組み合わせが1番面白いか」というシチュエーションを考えるのが楽しくなってきちゃいますね(*´꒳`*)