-ミナト・ヒヤジョウ-
26歳。沖縄出身。第8陸戦小隊に所属している元テストパイロットであり、かつてはボクサーとしても名を馳せていた。右肩を赤、左腕を黒に塗装した専用の陸戦型ガンダムに搭乗する。階級は大尉。
※原案は風渚先生。
-セフィラ-
8歳。アテネ出身。ジオン軍が研究を進めていたニュータイプの少女であり、かつては実験動物のように扱われていた過去を持つ。オデッサ作戦でリュータに救出された後、連邦軍に保護されていたが……?
※原案は赤い夢先生。
「焦熱の爀弾」は、狂人などではない。それを知る彼らは戦友として、上官として、ガンタンクの進む道を守り続けている。
『お待たせ、レオ! この機体、調整に時間が掛かっちゃってさァッ!』
『遅いぞミナト! 遅れた分だけ、しっかり働いて貰うからなッ!』
『了解ッ!』
レオのピクシーに続き、この戦場に加わった1機の陸戦型ガンダム。そのパイロットであるミナト・ヒヤジョウ大尉も、その1人だった。
右肩を赤に、左肩を黒に塗装した彼女の専用機。その手には、試験段階のジャイアントガトリングが握られている。
試験部隊から第8陸戦小隊に引き抜かれてからも、新武装の試験運用を任されて来た彼女にとっては、制式装備よりも馴染んだ得物なのだ。
それを裏付けるように、彼女の愛機は身の丈に迫るほどの巨大な銃身を、移動しながらも正確に構えている。
『……でっかい的ね。外す方が、難しいったら!』
105mmマシンガンの弾幕を擦り抜け、スラスターを噴かして接近しながらも。回転する銃口から絶え間なく火を放つ、彼女の陸戦型ガンダムは――1発たりとも無駄にせず、グフタンクに弾雨を浴びせていた。
やがて全弾を撃ち尽くし、迷いなくその銃身を投げ捨てると。背面から取り出された試作型ツインビームスピアが、光刃を露わにする。
『なん……のォッ!』
スラスターの推力で上昇し、頭上を取るミナト機を迎え撃つべく――グフタンクも右腕の内部から、ヒートロッドを伸ばすが。
元ボクサーとしての感覚を活かし、咄嗟に身を翻した彼女の機転により、コクピットへの直撃だけは免れていた。
その一閃に左腕をもがれながらも、怯むことなく残された右腕で槍を振るい、切っ先を突き立てる。急所を逸らされ、左肩に沈み込んだその光刃が、グフタンクの腕を内側から焼き尽くしていた。
『……全く、どんだけ硬いのよ』
それでも致命打には至らない、常軌を逸したグフタンクの装甲強度に嘆息しながらも。
ツインビームスピアを引き抜き、距離を取る陸戦型ガンダムの中で――ミナトはかつてない強敵を前に、ボクサーらしく好戦的な笑みを零している。
『……リュータ、今だよ。今なら、あの人を止められる。あの人を、助けてあげられる』
「……ッ!? なん、だ……今の声。もしかして、セフィラ……なのか!?」
『そうだよ……リュータ。ほら、急いで。このままだとあの人、死んじゃう。あの人を助けてあげられるのは、リュータだけなんだよ』
そんな中。グフタンクの猛攻に耐えていたリュータの
聞き覚えのあるその「声」に思わず目を見張り、彼は顔を上げる。
――先のオデッサ作戦の渦中。部下達を失いながらもガリウス機のグフを退け、敵基地の内部にまで進入していた彼は、その最奥でとある1人の少女を保護していた。
彼女の名はセフィラ。当時、オデッサのジオン軍基地で進められていたニュータイプ研究の被験者として、
リュータによってジオン軍から救助された後、彼女は連邦軍によって安全圏に保護されたはず。ジャブローにいるはずがないし、ましてや戦闘中のリュータと交信する手段などないはず。
「……ジオン軍が君を閉じ込めていたのは、その力が理由だったのか。ニュータイプとかいうのは、俺には今ひとつよく分からなかったが……これじゃあ、まるで……」
『超能力、なんかじゃないよ。人と人が、分かり合うためにあるもの。ただ、それだけ』
「……けど、けどさ、セフィラ。あいつは、俺の仲間達を……」
『セフィラ、分かってるよ。リュータ、復讐なんか望んでない。セフィラを迎えに来てくれた、あの日の優しいリュータのまま。セフィラには、それが1番嬉しいの。大切なことだって、思うの』
だが、幻聴などとは片付けられないほどに。セフィラの優しげな声はリュータの脳裏を通して、魂にまで響いて来る。それはまるで、天啓のように。
これが彼女の「力」だというのなら。彼女がそれを行使する理由は、眼前のグフタンクにあるのかも知れない。あのグフタンクに乗っている、ジオン軍パイロットに。
「……君は賢い子だね、セフィラ。大人の俺よりもずっと、何が大切かを知っている」
『リュータは、最初から知っていたことだよ。……セフィラは、ただ思い出して欲しかっただけ。リュータが教えてくれた、あったかい気持ちを』
「……そうか。そうかも、知れないね。上手くいくかは分からないけど……精一杯、やってみるよ!」
そこに思い至る瞬間、操縦桿を強く握り締めたリュータは。微笑を浮かべる少女の笑顔を、幻視しながら――その遥か先で荒れ狂うグフタンクを、毅然に見据えていた。
少し前まで、倒すべきモンスターとして認識していたはずの仇敵が。今は救いを求めてのたうちまわり、苦しんでいるかのように見えている。
その可笑しな現象に、微かな笑みを零しながら――この戦いに最後の決着を付けるべく、リュータは「
「ヴィヴィー、行けるかッ!」
「はいッ! ……このヴィヴィアンヌ、少尉とならどこへでも参りますッ!」
その呼び掛けに報いるべく、ヴィヴィアンヌは操縦桿を倒し、ガンタンクを前進させていく。
巧みな操縦で、グフタンクの迎撃をかわす彼女は。ジャイアントバズの砲弾と105mmマシンガンの掃射を見切りながら、艶やかな声を張り上げていた――。
予定では今回が最終話になるはずでしたが、その前にさらにもう1話ほど追加させて頂きました。なんだか終わる終わる詐欺みたいになってしまい、申し訳ありません(><)
ですが、次回こそ本当の本当に最終話を迎える……はず。本作の肝であるキャラ募集企画も、今日中で締め切りになりますので。最後まで本作を見届けて頂ければ、幸いであります!( ̄Д ̄)ノ
お楽しみに!(`・ω・´)