機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第3話からの登場人物-

-キャロル・ジャヴォック-
 27歳。サイド3出身。開戦当初から戦い続けてきた地上軍のエースパイロットであり、「十指」には及ばないものの撃墜数は多く、連邦からは「青白の怪物」の異名で恐れられている。フィンガーバルカンに代わり3連装35mmガトリング砲とグフシールドを装備した、専用のグフ重装型に搭乗する。階級は中佐。
 ※原案はMegapon先生。

-ゲイル・ヴィクター-
 22歳。サイド3出身。開戦当初からキャロルの部下として戦い抜いてきたベテランの1人であり、クールな佇まいである一方で、仲間の命を重んじる人情家としての一面もある。フィンガーバルカンに代わり3連装35mmガトリング砲を装備した、深緑を基調とする専用のグフハンターに搭乗する。階級は少尉。
 ※原案は大剣先生。

-マイ・シマムラ-
 15歳。サイド3出身。最近になってキャロル隊に編入されたばかりの新兵であり、経験の浅さによる恐怖を拭い切れずにいるが、その奥底にはキャロル隊の隊員に相応しいポテンシャルが秘められている。ザクIIJ型に搭乗する。階級は伍長。
 ※原案はMrR先生。



第3話 青白の怪物 -キャロル・ジャヴォック-

 ロニー達よりもさらに多くのジムを撃破し、「炎葬隊」の侵攻を迎え撃つ3機のMSが居た。

 その先陣を切るキャロル・ジャヴォック中佐の愛機――MS-07C-3「グフ重装型」は、妖しく輝く一つ目(モノアイ)で前方のジムを真っ直ぐに射抜いている。

 

 MS-07G-2「グフ戦術強攻型」のテストベッド機である同機の右腕は、85mmフィンガーバルカンに代わりグフカスタムの3連装35mmガトリング砲とシールドが装備されており、マニピュレーターも5本指の通常型に換装されている。

 左腕にはグフ戦術強攻型と同型のガンパックがあり、脚部スラスターとバックパックも戦術強攻型と同系統のものに換えられていた。

 

 ボディの多くを青白色に塗装している一方で両肩のみが暗褐色であり、右肩には上下に鋭い牙が生えた笑っているような口と、上部に赤く爛々と光る目らしき物を描いた禍々しいパーソナルマークが描かれている。

 それこそがまさしく、「青白の怪物」の証なのだろう。彼女の愛機に続きスラスターを噴かしている2機のMSも、並々ならぬ気迫を放っていた。

 

『ゲイル、マイ! ……思い知らせるぞッ!』

『……了解ッ!』

『りょ、了解ですっ!』

 

 思い知らせる。その一言だけで隊長(キャロル)の意図を察した2人の部下は、最も近くにいる敵機を最速で撃破するべく、散開し始めていた。

 一方。猛スピードでこちらに向かって来る重装型を目にした「炎葬隊」のジム達は、その青白のボディに気付き、戦慄している。

 

『あ、あのMSはまさか……ジオンの「青白の怪物」かッ!?』

『う、撃てぇッ! 近付けさせるなァッ!』

 

 それから間もなく、接近させまいと火炎放射を仕掛けたのだが。キャロル機の左腕にあるガンパックに仕込まれた火炎放射器は、それ以上の火力を以てジム達を一瞬のうちに焼き尽くしてしまう。

 その光景はさながら、「炎葬隊」への意趣返しのようであった。

 

『……「青白の怪物」、か。フッ、敵ながらいいセンスだ』

 

 「十指」には及ばずとも、限りなくその域に近しい戦果を挙げてきた彼女は。連邦軍に付けられたその異名を気に入っているのか、敢えて自ら名乗っている。

 そんな「怪物」の首を取らんと、背後からビームサーベルを抜いて襲い掛かって来るジムも居たのだが――その伏兵も、彼女は容易く振り向き様に斬り捨ててしまうのだった。

 

『怪物なら、怪物らしく暴れんとな?』

 

 ヒートサーベルの一閃に切り裂かれたジムの上半身が、力無く地に落ちる。その様子をキャロルが静かに見届けた頃には――近くで「炎葬隊」と交戦していた2人の部下も、着実に撃墜数(スコア)を伸ばしていた。

 

『……お前達が「炎葬隊」か、色々と噂は聞いている。お前達を生かしておけば、ここではないどこかに地獄が訪れる。故に……ここで死んで貰うぞ』

 

 深緑色を基調としている、ゲイル・ヴィクター少尉のMS-07F「グフハンター」は通常機よりもさらに運動性が強化されているのか。素早く振り抜かれた彼のヒートサーベルは、火炎放射器を撃つ暇も与えることなく、次々とジムを斬り伏せている。

 左腕のフィンガーバルカンに代わって装備されている3連装35mmガトリング砲も、絶えず火を噴き続けていた。

 

 そんな彼の傍でザクマシンガンを連射しているMS-06J「ザクIIJ型」も、的確にジムのコクピットのみを撃ち抜いている。

 最小限の弾数で、確実に敵機を撃破する。口で言うのは簡単だが、それは並大抵のパイロットに出来る芸当ではない。

 

『戦うのは怖い……でもッ! 家族のためにも、私を拾ってくれた隊の皆のためにも……負けられませんッ!』

 

 その技を実践しているマイ・シマムラ伍長は、「パイロット不足を補うための急場凌ぎ」としてキャロル隊に加わった新米の少女兵なのだが。

 実際は、若くしてこの技術を物にしていることを見抜いていたキャロルによって引き抜かれた「原石」なのである。ゲイルも彼女も、キャロルによってその才覚を見出された「次代のエース」なのだ。

 

 ――だが、その原石はまだ磨かれている途中であり。ダイヤの域に至るまでには、経験という研磨が足りていない。

 

『しまっ……きゃあぁっ!』

『マイッ!』

 

 背後から迫るもう1機のジムに気付けずにいた彼女のザクIIは、左腕をビームサーベルで斬り落とされてしまったのだ。その窮地にいち早く気付いたゲイル機は、スラスターを噴かして滑り込むようにヒートサーベルを振るい、ジムのコクピットを叩き斬る。

 倒れ掛けていたマイ機の背を抱えたのは、その直後だった。

 

『ゲ、ゲイル少尉……!』

『……周りに頼れ、マイ。誰かに頼ることは、決して甘えではない。キャロル隊にお前が居るのは、単なる数合わせなどではないということを忘れるな』

『は、はいっ……!』

 

 口調こそ冷淡だが、その声色には仲間を気遣うゲイルの優しさが滲んでいた。マイはそんな彼の言葉に頬を赤らめながらも、心遣いに応えようと精一杯声を張り上げている。

 そんな部下達の「成長」に口元を緩めているキャロルの前では――四肢を破壊されて死を待つ達磨と化したジムが、見苦しくのたうち回っていた。

 

『バ、バカなッ……! お、俺達は、無様な敗残兵共を狩るために来たんだぞ……! こ、こんな、こんなところでくたばるわけがッ……!』

『……そうか? なかなか似合いの末路だと私は思うぞ。お前達のような、地獄が相応しい下衆共にはな』

 

 そのジムを冷たく見下ろすキャロル機は、無造作にヒートサーベルでコクピットを串刺しにしてしまう。島ごと焼き払おう、などと企む下衆に掛ける情などないのだと、言わんばかりに。

 

 やがて、この場に束の間の静寂が訪れると。キャロル機は駆け寄って来た部下達と共に、「炎葬隊」が上陸したという島の東部へと視線を向けていた。

 

 その方向からはまだ多くのジムが接近して来ているようだが、彼らの中には「隊長機」らしき機影は見えない。つまりキャロル達が先程倒した連中と同様に、「頭」を欠いたまま進軍して来ているということなのだろう。

 

『さて……ここに奴らの「頭」が来ていないということは、やはり「そういうこと」なのだろうな』

 

 当然、この事態に動いているのは西部の部隊だけではない。キャロル達よりは上陸地点から近い位置に居る北部の部隊と南部の部隊も、「炎葬隊」の迎撃に動いているはず。

 

 その二つの部隊が、「炎葬隊」の2大巨頭を足止めしているのだとすれば。一般隊員達のジムが「頭」を欠いたまま進軍していることにも、説明がつく。

 

 彼らは自分達の隊長が負けるはずがないと「過信」しているからこそ、ここまでの速さで突撃して来ているのだ。

 エリムス・ナイドレイブンとマッチ・シュッポーならば、容易く敗残兵共を蹴散らして、自分達と合流して来るはずなのだと。

 

『……頼んだぞ、皆』

 

 それが如何に愚かな思い違いなのかを示せるのは、2大巨頭と対峙している「北部の部隊」と「南部の部隊」をおいて他にない。

 

 彼らなら必ず、「炎葬隊」の息の根を止めてくれる。

 その可能性に望みを賭けるキャロルは部下や仲間達と頷き合うと、迫り来るジムの大群にヒートサーベルの切っ先を向けるのだった――。

 




 次回からはいよいよ、マッチ達とのバトルが本格的に始まっていく予定です。お楽しみに!٩( 'ω' )و
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