機動戦士ガンダム -烈火のジャブロー-   作:オリーブドラブ

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-第5話からの登場人物-

-ウモン・サモン-
 「クロスボーン・ガンダム」に登場する、後の宇宙海賊でもある連邦軍パイロット。知恵と勇気とホラを武器に、幾多の修羅場をくぐり抜けてきた。Bガンダムに搭乗する。階級は不詳。
 ※本作オリジナル設定原案は黒子猫先生。

-ユウキ・ハルカゼ-
 15歳。神奈川出身。ジャブロー防衛戦やキャリフォルニアベース奪還作戦の後、宇宙へ渡り戦い続けてきた歴戦の少年兵。かつて搭乗していた局地型ガンダムのパーツを応用した、ヘビーガンダム試作1号機に搭乗する。階級は曹長。
 ※原案は八神優鬼先生。

-バルソー・ブレンダン-
 32歳。インディアナポリス出身。「アムロ・レイを超えたニュータイプ」を自称する自信家だが、そのプライドの高さに違わぬ実力の持ち主でもある。陸戦型ガンダムの頭部を流用したジムコマンドに搭乗する。階級は中佐。
 ※原案はバイン先生。



第5話 歴戦の獅子 -ユウキ・ハルカゼ-

 それは間違いなく、RB-79「ボール」。なのだが、その前面部は丸々ガンダムの顔へと偽装されていたのだ。

 

「……!」

 

 ふと、ケンジローの脳裏に。チェンバロ作戦中に聞いた、「ある噂」が過ぎる。

 

 ――とあるボールのパイロットが、ジオンを威嚇するために自機の顔をガンダムに改修してしまったらしい。

 

 同僚達のそんな話を耳にした当時は、混乱の中で生まれたデタラメの一つだろうと流していたのだが。現実に目の当たりにしてしまった以上、もはや無かったことにはできない。

 そんな真似をやってのけるような男は、本当にいたのだということを。

 

『へへっ、やっぱりジオンの奴ら、いい具合に騙されてやがるぜ! 行ける、今度もおれは生き残ってやるぞぉおお!』

「いや、いくらなんでもあれでガンダムと言い張るのは無理があるだろ……。さすがにあんなのに騙される奴なんて居るわけ――」

『な、なにィィッ!? ガンダムはシャア大佐が抑えていたはずッ! ま、まさか、赤い彗星が敗れたとでも言うのかッ!?』

「――居るんかい」

 

 パイロットのウモン・サモンによって、「Bガンダム」と名付けられたその機体は。あっさりと騙されたレゾルグ機をマニピュレーターで掴むと、至近距離からの低反動キャノン砲をお見舞いする。

 

『ぬぅぉあぁッ!』

『やりぃッ!』

 

 僅か一瞬でも動揺すれば、それは大きな「隙」となる。

 そんな紙一重の分かれ目を熟知しているからこその、現地改修機なのだろう。不意を突かれたザクレロは顔面に被弾し、視界を乱されていた。

 

『……よく見てみれば、ただの戦闘用ポッドではないか。ふざけた真似をしおってェッ! 引き摺り出して八つ裂きにしてくれるわァアッ!』

『やっべ、来た来た来たぁッ! お2人さん、後は任せるぜッ!』

 

 とはいえ、その「隙」に相手を仕留めきれなくては逆上を招いてしまう。怒り心頭といった様子でBガンダムを追い掛けるザクレロは、ミサイルランチャーを乱射していた。

 

『当てさせないッ!』

『落ちろッ!』

 

 だが、その弾頭は逃げるBガンダムの背を目前にして、全て撃ち落とされてしまう。FA-78-2「ヘビーガンダム」試作1号機のビームキャノンと、RGM-79G「ジムコマンド」のビームガンによって。

 

『クッククク……どうやらついに、「アムロ・レイを超えたニュータイプ」たるこの俺の実力を、見せる時が来たようだな!』

『またそれですか、バルソー中佐……。だいたい、その()はどうにかならなかったんですか』

『奴に勝つにはこれくらいの箔が必要であろう! ガンダムを任せられた君ならば分かるはずだ!』

『僕は別に、箔が欲しくてガンダムに乗ってるわけじゃないんですが……』

 

 ミサイルを撃ち落とした後。ヘビーガンダムのパイロットであるユウキ・ハルカゼ曹長は、隣でビームガンを構えているバルソー・ブレンダン中佐のジムコマンドの姿に、なんとも言えない表情を浮かべていた。

 

 本来ならジム系統のバイザー式であるはずのその頭部は、陸戦型ガンダムのものに差し替えられていたのだ。彼が地上で愛用していた部品を、そのまま流用したのだという。

 ユウキ自身も、先のジャブロー防衛戦で搭乗していた局地型ガンダムの部品を、今のヘビーガンダムに流用しているのだが。元がジムコマンドなだけに、バルソー機の異質さはユウキ機のそれを大きく上回っていた。

 

『次から次へとガンダム擬きが、雁首揃えてよく集まったものだ……! この中に本物が混じっていようが、もはや関係ないわッ! 片っ端から皆殺しにしてやるまでよッ!』

 

 先程、ウモンのBガンダムに一杯食わされたこともあってか。バルソー機を目にしたレゾルグは、もう2度と怯みはしないという決意を胸に、拡散ビーム砲を撃ち放つ。

 その閃光の嵐を掻い潜り、散開したバルソー機とユウキ機が、同時に武器を構えた。銃口は確実に、ザクレロを捉えている。

 

『……僕達の機体に、擬きも本物もないッ!』

『誰がなんと言おうと、このマシンはガンダムなのだッ!』

 

 アムロ・レイに近しい境遇故に、周囲からのプレッシャーに晒されてきたユウキ。アムロ・レイをライバル視し、その背中を追い続けてきたバルソー。

 形や経緯は違えど、共にガンダムの影響を受け続けてきた彼らは。この戦争の中で培ったその成果を、発揮せんとしていた。

 

(君に祈るなんて、身勝手な話だけど……!)

 

 その中で。懐に仕舞い込んでいる認識票(ドッグタグ)の持ち主を想うユウキは、この戦争の犠牲者達の「痛み」を胸に。バルソーのタイミングに合わせ、引き金を引く。

 

(この一瞬だけで良い! 力を貸してくれ、フランベッ!)

 

 彼の脳裏に過る認識票の持ち主―― 「FLAMBE(フランベ) ROUZIERE(ルジェイル)」の悲鳴が。その指先に纏わり付く「躊躇い」を、消し去っていた。

 

 やがて放たれる、フレームランチャーとビームガンの一閃。その威力は肉迫するザクレロを吹き飛ばし――鉄壁のIフィールドバリアをも、綻ばせていく。

 

『ぬぐぅうぅッ! こ、このままでは我輩のIフィールドがッ……ん?』

 

 次第に追い込まれていく中で、歯を食いしばるレゾルグは――やがて、遠方で戦っている友軍機を視認する。

 それは。クーディアの学友でもある、学徒動員兵の機体であった。

 




 活動報告にある通り、キャラ募集企画は7月26日00:00まで続いております。機会がありましたらお気軽にどうぞー(о´∀`о)

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