第十一章 対DEM
第十一章 対DEM
「兄上!?」
秀真はひどく困惑した。いるはずのない、確かにこの手で殺した兄がすぐ目の前にいるのだ。
「さすがに驚いているようだね、二度も殺した兄がそこにいるんだから、決着をつけたければ展望台へ来るといい、ハハハハハ」
秀真はしばらくそこへ立ち尽くすしかなかった・・・。
「はああああああ!」
「ふん、こんなものですか」
ロビーでは真那とエレンの争いが続いていた、他の精霊たちもバンダースナッチの攻撃に耐えていた。エレンも真那も一歩も引かずギリギリの攻防を繰り広げていた。
「はぁはぁ・・・・やっぱり強えでいやがります。世界最強の魔術師《ウィザード》とはよく言ったものです」
「あら?もう終わりですか?意外にあっけなかったですね、そろそろ終わりにしましょうマナ」
次で決まる・・・真那はそう感じるとレイザーブレードの握る力を込めた。
「行きますよ!」
エレンは突然突進してきた。真那は構える。しかし攻撃の直前で地鳴りがしたと思うとエレンは攻撃をやめた。
「時間ですか?残念です、ここで葬っておきたかったのですが、また会いましょうマナ」
エレンはそう言うと窓を突き破り屋上へ行ってしまった。
「待ちやがれです!」
しかし精霊達が押されていたため真那は追いかけることができなかった。
「はぁはぁ、もう少しです篝さん」
「ええ、急ぎましょう、はぁはぁ」
士道と篝は永遠に続くのではないかと言うようなDEM社の階段を駆け上がっていた。そう八面王の破壊には篝が必要なのだ。下も心配であったが十香たちを信じて秀真の元へ急いだ。
「いたぞ!ここだ!」
DEMの警備員達が追いかけてくる、士道は鏖殺公《サンダルフォン》を構え・・・
「せいやあああああああ」
力一杯横に振り切った。
「うわあああああああああああ」
警備員達は衝撃波で様々な場所に吹き飛んでいく。そしてその隙に先へ進む。
「士道さん!ここからものすごい魄の気配が!」
「ここか!」
士道達は勢いよく扉を開けた・・・
しかしそこには呆然と立ち尽くす秀真と倒れた八面王の姿しかなかった。
「秀真さん!」
「士道・・・・」
秀真は事の
「奴らを追う、士道、力を貸してくれ」
「はい!」
この世界を黄金城事件、関東大震災と同じようにはしてはいけない。兄との全ての決着をつけ篝と一緒に元の世界へ帰るため。展望台への一歩を踏み出した。
精霊全員との再会を果たした士道は安堵していた。
「みんな、無事で良かった。もう少し力を貸してくれ」
「うむ!もちろんだ!」
元気いっぱいの十香の返事に士道は思わずニコッとしてしまった。
一行は展望台への歩を早めた。道中式神が現れていたがこのメンバーで数匹の式神など容易いものだった。
展望台へと到着し階段を駆け上がる、すると式神、バンダースナッチ隊が大量に沸いていた。
「まだこんなにもいるのか・・・」
「くそ!あと少しなのに!」
「一気に倒す」
秀真達は一斉に攻撃を始めた。しかし際限のない敵数にまたもや苦戦を強いられてしまった。
「くっ、霊力が切れてしまいそうだ」
それもそのはず先ほどの戦いでかなりの霊力を使ってしまった十香たちはもうほとんど力が残っていないのである。敵を倒し再現なく威力を発揮する悪食を使う秀真と違い十香たちは霊力を使い武器を顕現させているのだ。さらに士道に力を封印されているため限定霊装しか使えないため苦戦を強いられているのだ。
「このままでは・・・・」
そのとき奥の方からあの二人が現れた。
「ハハハハ、やはりきたか、イツカシドウ久しぶりだね」
「アイザック・・・ウェストコット・・・・」
「今回はアイクの勝ちです。ついでにあなた達も始末してしまいましょう」
エレンがそう言い終わるとレイザーブレードを携え、いきなり切り掛かってきた。十香はエレンの攻撃を防ぐとそのまま攻防戦が始まった。二人とも一進一退の攻防を続けるが霊力が少ない十香が少し押され気味である。
「あなたそろそろ限界ですね。これで終わりにしましょう。あなた達の弱点は知ってます」
エレンは十香の隙をつき十香を切りつけ吹き飛ばした。
「ぐあっ・・・」
十香はそのまま倒れてしまった。
「十香!」
「イツカシドウ、あなたから先に葬ってあげます」
エレンは士道に狙いを定め素早く駆け抜けるとレイザーブレードを振りかぶりそして・・・・・
「シドオォォォォォ!」
ガキン!
鈍い音がし士道は瞑っていた目を開く。するとそこには––––––––––––
「十香・・・?」
滅殺皇《シェキナー》を装備した十香がいた。
「ぐぁ・・・」
少女は困惑した。大切な人を守れないことに。
「十香!」
少女を呼ぶ彼の声が聞こえる。
「イツカシドウ、あなたから先に葬ってあげます」
このままでは彼が殺されてしまう。そんなのは絶対に嫌だ。
力を・・・彼を守れる誰にも負けない力を・・・・
「力が欲しい?」
ふと脳内に囁き掛けられた。
「お前は誰だ?」
「今はまだ言えないな、君たちの呼び名だとファントムというべきか」
「!?お前、何が目的だ?」
ファントムは脳内に囁き掛けた。
「彼を失うのは嫌でしょう、私も嫌。そこで力を貸すよ、今回だけね。あなたにはまだ頑張ってもらわないと」
「待て!まだ話は終わってない!」
しかしファントムからの返信はない。その代わり十香の体に力が溢れてきた。
いける!これなら!十香はそう思うと天使を顕現し愛する者の名前を呼びながら敵へと向かって行った。
「十香・・・?」
士道はそういうと目の前の状況を理解した。十香が鏖殺公《サンダルフォン》 滅殺皇《シェキナー》を装備しエレンの攻撃を防いでいた。
「十香、霊力は大丈夫なのか?」
「うむ!ファントムが助けてくれたのだ!」
「なんだって!?」
「シドー!訳は後で話す、今はこの女を!」
エレンは状況が少しまずくなったのか後ろに後退した。
「ふん、なぜ強くなったのかわかりませんがやることは同じです、行きますよ!」
十香とエレンは先ほどの戦いよりもさらに一筋も二筋も上の戦いをしていた。
「はあっ!」
ガキンッ!
「せいっ!」
キンッ!
どちらも一歩もひかぬ戦いを繰り広げていた。しかしエレンがとある方を見たことで戦いはあっけなく終わってしまった。
「アイク!」
エレンは飛び出し自分の主であるウェストコットのそばへ駆け寄った。
ウェストコットは血を出して倒れており動けずにいた。
近くには血がついた悪食を手に取った秀真がいた。