第六章 デート
「秀真様、本当に大丈夫ですか?」
「ああ、心配かけたな」
秀真にとって守恒の存在は大きかったが、今は篝とのデートの心配をしなくてはならない。
「私先に行ってますね」
「あ、ああ」
「秀真くん少しいいかね?」
秀真は令音に呼び止められた。
「どうしたんですか、令音殿」
「君にこれを渡しておこうと思ってね、インカムだ。デートの最中は我々ラタトスクがサポートする、また今回はデートのスペシャリストのシンや他の精霊たちにもバックアップを頼んだ。君たちのことは逐一監視する」
「わかりました、サポート感謝します」
インカムを受け取ると秀真は自室に戻り準備をする、この日のために士道に見繕ってもらったがこの服が似合っているのか?と疑問に思いつつもその服を身につけ髪をセットする。
「時間だ、急がねば」
約束の時間より少し遅れていることに気づき、秀真は急いで部屋を飛び出した。
♢
待ち合わせの5分前、篝は困惑していた。
秀真とのデートはとても楽しみであったが、さまざまな心配が彼女の脳裏を駆け巡るのだ、
「こんな服を着るのは初めてだわ、似合っているのかしら.....」
篝は今まで着たことのない服を着ることに困惑していた。今まで巫女服しか許されてこなかった篝にとっては今時の若者が着る服が新鮮だったのだ、身なりを気にするのは当然である。篝が待っていると向こうの方からこちらへ向かって走ってくる者がいた。秀真だ。
「秀真様!」
「篝!、悪い遅くなって」
「大丈夫ですよ。あ、あの秀真様どうですかね?」
「ん?なんだ?」
秀真がすっとぼけたことを言うとインカムから盛大なブーイングが来た
「何を言ってるのよ、女の子が服の感想を聞いているのに!」
「ああ、そう言うことだったのか(ゴニョゴニョ)」
「待ちなさい、選択肢が出たわ」
フラクシナスのAIが3つの選択肢を出す
①よく似合ってるよ
②すごく可愛いよ
③ぐへへへー俺の悪食が暴走寸前だ
「総員選択!」
三つの選択肢が円グラフ上に結果に出された。
「やっぱり①が多いわね、って誰よ③に入れたのは!」
なんとこの案に入れたのが二人もいたのだ、それは.....
「はい!もちろん私です!」
「私も」
折紙とフラクシナス副官
「とりあえず意見を聞いておくわ、まず神無月」
「ああいう子はこういうと思いっきり引っ叩いてくれるもんです!ああああ」
神無月が言い終わる前に琴里のタイキックが炸裂した。
「あああ、大きいのありがとうございますう」
「はあ、次折紙、なんでこれにしたの?」
「うぶな子ほど実際むっつりな子が多い、そこからは私の用意したプランでピーーーーピーーーー(自主規制)」
「黙りなさい!、それ以上言ってはいけないわ!、秀真①で行くわよ!」
「わかった」
通信をやめ篝の方に向き直る、
「篝、その、よく似合ってる////」
「あ、ありがとうございます/////」
実際、篝の格好は誰が見ても美人だと秀真は感じた。整った髪型に肌色のブラウス黒色の長めのスカート。自分にはもったいないくらいの美人だと感じた。その理由に街ゆく人が篝を見て美人だとかモデル?なんて言うレベルだ。篝は顔を真っ赤にして俯いている。
「篝、行こう」
「はい////」
篝の手を取ると秀真は一目散にその場から離れた。
♢
「秀真様、それで今日はどこに?」
「ああ、俺は今まで食を意識したことがなくてな商店街に行ってみたいんだが、ダメか?」
「ええ、私もそういうことはやったことなかったので憧れていました、秀真様いきましょう」
少し歩くと食べ物の匂いがふたりの鼻腔を貫く。するとコロッケ屋の店主が声をかけてきた。
「あらお二人さん、美男美女ね、まるでモデルさんみたい、安くしておくから食べてっておくれよ」
「コロッケか、御婦人、かたじけないコロッケを二つ」
「毎度」
受け取ったコロッケを早速食べてみる。
「とても美味しいです」
「ああ、外はサクサクで中はふんわりしているな、とても美味だ」
その様子をみていたフラクシナスの艦内で一人の少女が二人を、いやコロッケを見ていた。
「むうなんと羨ましいデェトなのだ!」
「羨望、とても楽しそうなデートです」
「あの子意外に食べるのね.....」
とフラクシナスの艦内で精霊たちは盛り上がっていた。
コロッケ屋を後にした秀真と篝は商店街にある食べ物屋を回った、小籠包、たこ焼き、その他もろもろの店を周り、時刻は夕方を迎えた、士道に勧められたパン屋できなこパンを買う、そして展望台へ向かう。
「今日はありがとう篝、とても楽しかった」
「いえ、私も楽しかったです。あ、もうこんな時間なんですね。帰りましょう秀真様」
「ああ、篝!」
「?」
「また一緒にデートしてくれないか?」
「はい、もちろんです」
♢
「まああまりサポートはなかったけど結果は大成功ね」
「ああ、陽の感情、嬉しさのグラフはとても高い位置にいる、これなら抑制するのは十分可能だ」
「あとはどれくらい期間が伸ばせるかね、二人が帰宅したら早速やるわよ」
帰宅した秀真と篝はさっそく悪食の抑制を始めた。篝が式神を使い悪食へ陽の感情を送る。
「これでタイムリミットが増えたわね」
「ダメです、これでは.........」
「なんですって!?」
「送れたには送れたのですがあまり期間を伸ばすことができませんでした.......」
「どれくらい伸ばせたの?」
「1日です.......」
「そう、でも1日は伸ばせたってことよね。もう一度やって1日増やしましょう、期限はあと一週間はあるはずよね?」
「はい、1日伸ばせたのなら後一週間はあるはずです、でももう限界です、私の力が弱まっているのです」
「なんですって!?でもどうして?」
「私もわかりません。すぐ次の案を出さないと」
「とりあえずあなたたちはまたデートよ」
「ああ、篝また頼む」
「はい」
♢
二日後また秀真と篝のデートが行われた。週末ということもありショッピングモールをデート場所に選んだ秀真だったが、不思議な店が多いと感じた。またそれは篝にとっても同じだった。
「秀真様あれはなんですかね?」
「ゲームセンター?遊べるらしいな、少し寄ってみよう」
二人はさまざまなゲームを楽しんだ、元の世界にいたらこんなことは出来なかったろう、そんなことを考えていると篝がとある機械を見つけた。
「秀真様、写真が撮れるみたいですよ、やりましょう」
「あ、ああ」
そうプリクラである、秀真は篝の近さにドキドキしつつもなんとか写真を撮った。
「私、これずっと大事にしますね」
「ああ、俺もだ」
二人はそんなことを話しつつもデートを続けた、しかしこれから起きる悲劇に秀真はまだ知る由もなかった。