ED騎士スバル ~漢の勇気と誇り取り戻すための戦い~ 作:ZZR
「いひぃ! いひっ……いひひひっ……! ナツキさん、それ反則ですよ!」
「笑うな……」
「だってそんな……勘弁して……!」
「笑うな!」
ベッドの上で笑い転げるオットーを俺は目を細めて睨みつける。こんな事、いくら親友と言えども相談したのが間違いだったのだろう。だから、そっと去ろうとした俺であるが、その手はオットーの手によって引き留められる。彼はぷるぷる震えながらも、どうにか表情を落ち着かせようとしていた。
「ナツキさん、確認なんですけど……悪質な冗談か何かではないんですか?」
「オットー、冗談に見えるか?」
「ご、ごめんなさい!」
ベッド上で正座をし、俺が教えたジャパニーズドゲザを披露する彼を俺は優しく撫でる。それから、近くの椅子を引っ掴んでそこへ腰を下ろす。こちらを見るオットーの顔はいつにも増して真剣だった。
「どうした、笑わないのかオットー……」
「ナツキさんの悩みが本当なら僕は笑いませんよ。でも、正直今回は力になれません。素直に医者か何かに診てもらった方がいいんじゃないですか?」
「よし、オットー。もし、お前がこの年で勃起不全になったら……すぐに医者へ行けるか?」
「す、すいませんすいません!」
「頭を上げろ……とにかく、それは最終手段だ。それ以外でどうにか……どうにかならんのか……」
思った以上にこの問題は俺……『ナツキスバル』にとっては重要な問題であった。正直、エミリア達のためならアレの機能を犠牲するくらいは構わない。しかし、やはり俺も男だ。アレが役立たずな現状を自覚してしまうと自然と無力感に苛まれ、無気力になってしまう。こんな覚悟では騎士なんて務まりはしないのだ。
「ちなみにいつから……?」
「そうだな、気がついたらこうなっていた。少なくとも、聖域にいた頃はまだアレをおったてる事はあった。でも今は……」
「何か怪我が原因で……とか……」
「分かるだろうオットー? 自分自身でも分かるんだが、これは『心』の問題な気がするんだ。実際に、たちはしないが、ピクリとする事はあるんだよ」
「なるほど……ちなみにどんな時にピクリとするんですか?」
そう聞いてきたオットーに俺は内心でしまったという後悔に苛まれるが、親友である彼も真剣な表情をしている。それならば、真剣に返すのが親友として、男として当然だった。
「例えばの話だ。それは、エミリアに抱きしめられた時……」
「ええ、そこはナツキさんなら当然ですね」
「レムが記憶を取り戻し、頑張った俺にお礼としてご奉仕してくれた……という夢を見た時……」
「うーん……まあナツキさんも男ですしそういう夢も……」
「ベアトリスとペトラにガチで逆レイプされそうになった時……」
「ん……?」
「お前を揶揄った時とかだな……」
「えっ……えっ!?」
顔を紅潮させ取り乱すオットーは男の俺からしても素直に可愛いと思う。しかし、流石にこの姿を見てアレを反応させるほど俺も男は捨てていないのだ。
「オットー、最後のは冗談だ。とにかく、たまにピクっとなるのは確かだが、おったてるまでには行かねえ。おかげで、なんだかイライラが溜まってるのが自分でも分かる。それに男としての自信もなくしてきたんだ」
「ナツキさん……」
「だからお前のオナネタを教えろ。ちなみに、エミリアとレムとベア子とペトラをネタにしていた場合はこの場で殺す」
「真顔で何言ってるんですかナツキさん!? まったく……でも期待には応えられないです。僕は男としての機能を失ってはいませんが、『無駄撃ち』はここに来て一度もしていませんから」
「おい、お前はそれでも男なのか?」
「その言葉はナツキさんに返します。それに、貴方もそうなんじゃないですか?」
顔を真っ赤にさせながらも、どこかヤケクソ気味に返してきたオットーであるが、その言葉は非常に鋭い物であった。この世界に来る前、引きこもりだった俺はもちろん『無駄撃ち』を日に数回、猿のように行っていた。しかし、エミリアの元にお世話になるようになってからは残念ながらそういったストレス解消は出来ていない。
命をやりとりしてきた忙しい日々の中でそんな事をする暇はなかったし、何よりレムの存在があった。彼女は俺が何とか暇と一人になれる時間と場所を作ったとしても、貴重な『無駄撃ちタイム』に顔を紅潮させ、息を荒くさせながら乱入してきたものだ。
『レムはスバル君のえっちな匂いが大好きです!』
そう言ってのしかかって来るレムの誘惑から逃げ続けた自分自身を褒めたい。そして、レムが暴食の被害にあった後は、自分を律するためにも自然と禁欲を行っていた。おまけに聖域後は陣営にガーフィールとフレデリカが加入している。彼らはもちろん鼻が効く。彼らもわざわざそれを指摘するよう事はしないだろうが、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
「ガーフィールならまだいい。でもフレデリカにバレるのはなあ……」
「ですよねナツキさん。それに、ラムさんに気づかれでもしたら今よりヒドイ目で見られそうですね」
「確かに、姉様は千里眼持ちだし、こういう時だけしっかり見られて辱めを受ける気がするんだよな」
「世知辛いものですねぇ……」
オットーと二人、このエミリア陣営で過ごす男の辛さをぐちぐちと語り合った。そうしていくうちに、自分自身で性機能の衰えの原因を知ることが出来た。つまりはそういう事をするのに後ろめたさがあり、尚且つその行為がバレる事が嫌でこうなってしまったのであろう。やはり、親友に相談して良かったと納得していた俺に、オットーはどこか得意気な表情を浮かべてこっそり耳打ちしてきた。
「ナツキさん、実は僕も貴方のそっち方面の心配をしていたんです。日々忙しいナツキさんが無理をしないためにも、実はガーフィールと協力して『秘密基地』を作ったんです。貴方への贈り物として準備していたんですが、明日にはそこをお見せしましょう」
「ほう、くわしく……」
「へへへっ……任してくださいよナツキさん!」
「くくっ……お主も悪よのう……」
俺は親友との固い握手を交わした。
翌日、俺は屋敷近くの森をオットーの案内で突き進んでいた。たどり着いたのは森を小さく切り開いた広場であった。そこには以前パルクールの練習等に使っていたアスレチックと似たようなものが数点存在していた。俺達を出迎えたのはエミリア陣営筆頭武官ことガーフィールであった。逆立った金髪は爽やか汗に濡れ、鋭い目つきは俺の方を見てニヤニヤと目尻が下がり始めた。
「よぉ大将、オットー兄ィに話を聞いて早くも来ちまったみたいだなァ!」
「正直、助かる。俺もなんだかんだで男という醜い生き物なんだ……」
「そんな顔をすんじゃねェ大将。とにかく、ここは俺様監修の『聖域』だ。ドカンとイッパツ、最初の一撃を喰らわせてくれやァ」
そう言って微笑むガーフィールから俺はこの施設の説明を受ける。まず、ここは表向きは身体訓練を行うために建設されている。周囲のアスレチックは一種のダミーだ。そして、そのうち一つアスレチックの下に小さな地下空間が掘られている。壁は素掘りであるが、そこには身体を休める事が出来る藁束と、ガーフィールがかき集めた『敏感な者達』をごまかすための香草が積まれ、何かしらの緊急時に飛び込んで全ての証拠を隠滅できる泥風呂も設置をされていた。
そして、使用者以外の二人は地表で訓練を行い偽装と周囲への監視も行う徹底ぶりだ。難点は不快とまではいかないが地下空間の匂いはキツイものであった。しかし、ここは本当に貴重な『男の聖域』である事は変わりなかった。
オットーとガーフィールはニヤニヤとした笑みを浮かべながら俺をそこに押し込める。その男の友情に涙を流しながら、地下空間での精神修行に励む事にした。
とは言っても、オカズは何にもない。そこは自分の想像に身を任せるしかないのだ。無論、引きこもりの頃は猿のように無駄撃ちしていた俺には、その程度は簡単なものであった。
「俺の誇りを取り戻してくれ! 蒼井〇ら!」
脳裏に浮かぶのは地球でお世話になった女神の事だ。彼女は何度目になるか分からない処女喪失を俺の愚息でなそうとしている。
「なっ……お前も俺を助けてくれるのか麻美〇ま!」
処女女神に淫乱女神も参戦だ。やはり彼女達は素晴らしい。異世界にて彼女達に盛大なラブコールを送り、精神を高ぶらせた俺は……!
頭上からドンドンと木製ハッチを叩く音がする。俺が上を見上げるのと同時に、木製ハッチが開かれる。そこには心配そうな表情を浮かべるオットーの姿があった。
「ナツキさん、流石に三時間は長いですよ……そんなにもよかったんですか……?」
「まあ、そんなとこだ」
ズボンを履きなおし、全体的に衣服を整える俺の姿を、オットーは申し訳なさそうな表情で見守っていた。
「あの……もしかして……ナツキさん……?」
「…………」
「ナツキさん、反応しなかったのですか!?」
「知らない名ね! 私はナツミ・シュバルツよ!」
「ナツキさん!? ちょ、変な事言いながら壁に頭をぶつけるのはやめてください! くっ……ガーフィール! 早く来てください! ナツキさんが壊れました!」
遠のく意識の中、俺は自覚する。
もう、これはダメかもわからんね……
更新は2~3日を目標にしますね~