テラをかける少女   作:NBRK

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初投稿です。おそらく投稿は不定期となりそうですがよろしくお願いします。


0章 プロローグ
アザゼルの医師の言葉


 ー鉱石病、それは現代医学においては治療不可の死病とされる感染症。

 原石との接触を大元の原因とし、感染者の死と共に感染を広げるこの病は人々から深く恐れられ、感染者たちは各国から隔離、排除され、差別の対象となった。

 人権を失った感染者たちは日の当たる世界から必死に隠れ、明日すら見えないスラムで身を寄せ合って暮らしていた。

 

 しかし世界はそれすら許さなかった。

 

 鉱石病がこの世界に現れて間も無く、致死率100%という脅威を恐れた国々は、封じ込めのために「感染者狩り」を行った。

 捕らえられた感染者たちは人里離れた収容所に送られ、1人残らず生きたまま焼却処分となった。死体を焼く事が、この時判明していた唯一の鉱石病対策だったからだ。

 

 研究が進み、感染者が生きている間は鉱石病を広めることはないと分かった現在では、ここまでの人道を外れた処置をする国は減ったものの、未だに過激な対策を取っている国もまた存在する。

 

 礼を挙げるならば、まずここウルサス帝国がまず上がるだろう。この国は今でも感染者を収容所に送る政策を取っている世界有数の感染者差別の色濃い国家だ。いや、流石に今では殺処分などはしていない。果たして殺されないのが幸せなのかはわからないが。

 

 ウルサスの体質を象徴するものとして、数年前にこんな事件があった。移動式住居を用いた感染者たちの集落が、軍によって一方的に焼き払われたそうだ。気の毒なことだ。彼らは迷惑をかけず、人里離れた土地を転々としていただけであったのに。

 この件は指揮官の独断であったそうだが、当然帝国により隠蔽され世間に報道されることはなかった。やはり悲しい事に感染者に味方してくれる者はここには居なかったそうだ。

 

 え?何故私がそんなことを知っているかって?それはここには沢山の人が来るからね。表じゃ感染者撲滅を訴えてる政治家だって秘密裏にここにやってくる事が有るくらいだし、幾らでも情報は入ってくるさ。

 

 あぁそういえば、その集落の生き残りを名乗る少女が居たという話を聞いたことがある。話によれば黒髪金目のサルカズで、とてつもない怪力の持ち主らしいが、詳しくはわからない。まあただの噂かも知れないがもし出会ったなら気をつけたほうがいい。憎しみは争いを呼ぶものだ。

 

 …そうか、それならばいいさ。そうだ、ロドスはそうして意志を貫くのがいい。さて、私はもう行こう。次に会うことはないかも知れないな。最近何かと物騒な噂が聞こえてね、なんなら直ぐにでも何か大きなことが起こりそうだ。

 

 君たちが無事にチェルノボーグを出て、そして感染者の明日を切り開くことを祈っているよ。

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