テラをかける少女   作:NBRK

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誤字報告ありがとうございました。

それから、アンケートに回答してくださった皆さん、ありがとうございます。結果としては3000字程度が1番票数が多かったので、これからも1話の長さは変えずに進めていこうと思います。ただ、思ったよりも僅差だったので、少し長めに書くことは意識していくつもりです。

長くなってしまいすみませんでした。それでは本編始まります。


第六話 亀裂

「俺の名は…スカルシュレッダー。裏切り者め…ミーシャは返してもらうぞ…!」

 

 奴のその言葉を合図として、レユニオンの集団がじりじりと包囲の輪を縮め始めた。しかし、当の本人は手に持ったグレネードランチャーのトリガーを引く様子はない。恐らくアタシのすぐ傍にミーシャが居るからだろう。それなら勝機はある。

 

「ミーシャ、アタシが道を作るから絶対に離れるなよ。……ミーシャ?」

 

 しかし、アタシの声かけにミーシャは反応しなかった。振り向くと、ミーシャはアタシの服の端を掴み俯いていた。

 

「……どういうこと?」

 

「は?」

 

「裏切り者って…どういうこと?ハイネはあの日、チェルノボーグにいたって言うことなの?ハイネは…あの日街を襲った人たちの仲間だったってこと?」

 

「なっ!?それは…!」

 

 そう聞かれた瞬間、心臓がドクン、と鳴った音がした。しまった、ミーシャにはまだその事を話していなかった。アタシの反応を見たミーシャが不信感を露わにする。

 

「…やっぱり本当なんだ。ねえ、どうして黙ってたの?」

 

「それは…ミーシャが傷付くと思って。」

 

「傷付くなんて今更でしょ…?じゃあ何、ハイネは私が感染者になったから優しくしてくれたってことなの?」

 

「違っ!?なんでそうなるんだよ!」

 

「だってそうでしょ!?あんなに沢山の罪のない人を殺したんだよ!?そんな人が私と仲良くする理由なんて…私が感染者だから以外に何があるの!」

 

「それは違うぞ、ミーシャ。」

 

 答えに窮していたアタシに助け舟を出したのは、意外なことにスカルシュレッダーだった。

 

「罪のない人?ハッ、そんな者はチェルノボーグ、いやウルサスには居ない!あいつらの誰が隔離政策に反対した!?俺達感染者が凍えるような採掘場で野垂れ死ぬのを待つことに反対した奴がどこに居た!あいつらは、殺されるのに当然の事をして来たんだ!」

 

 そのあまりの剣幕にミーシャの体がビクリと震えた。そしてアタシはその言葉を聞いて静かに目を伏せた。その気持ちが痛いほどに分かってしまったからだ。

 

「…すまない、怖がらせてしまった。だがミーシャ、お前だって本当は分かっているんだろう?それに…今はもうお前も感染者なんだ。」

 

「あなたは…まさか。」

 

「こっちに来い、ミーシャ。レユニオンはいつだって感染者の自由のために戦っている。俺達がお前のことを守ってやる、だから…。」

 

 ミーシャの瞳が揺れている。話の途中からミーシャは何かに気付いたようで落ち着かない様子を見せていた。奴と面識でもあるのだろうか。

 

 数秒の沈黙の後、ミーシャの足が動いた。まずい、止めなければ!と思ったまさにその時、突然包囲の一角から悲鳴が上がった。

 

「こ、近衛局だ!くそ、ぐぁぁぁ!」

 

「ー追跡対象と保護対象を発見。レユニオンに包囲されていたので交戦しました。……了解。戦闘許可が出た!これよりレユニオンを殲滅する!」

 

 あれは…!龍門に来た日にアタシを追って来た奴らか。あの龍女と鬼はいないようだが…。何にせよ今はラッキーだ。

 

 突然の出来事に足を止めたミーシャの手を掴み声を掛ける。

 

「ミーシャ!逃げるなら今しかない!アタシが信頼できないのは今はもういい。でも、ミーシャを助けたいって気持ちは絶対に本心だ。ロドスに行けばお前の病状も良くなるはずなんだ。…だから、今はアタシを信じろ!」

 

「………わかった。」

 

 スカルシュレッダーの方を見て何かを悩んだいたミーシャだったが、最終的に渋々といった様子で従ってくれた。ミーシャを抱き抱え、アタシは包囲の崩れた場所へ全力で走り出した。

 

「くそっ!近衛局のクズ共のせいで…。行かせるかっ!」

 

 その瞬間、背後から発射音が炸裂した。あの野郎っ、ミーシャが居るのに撃ちやがった!まずい、避けられない…。アタシは再びミーシャに覆い被さり、ぎゅっと目を瞑った。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 しかし、予想した衝撃は来なかった。何が起きたのかと振り返り見ると、そこには青いジャケットを身に纏ったヴィーヴルが、アタシとミーシャを庇う様に盾を構えて立ち塞がっていた。

 

「無事ですか?ハイネさん、ミーシャさん。」

 

「リスカム…!ということは…。」

 

 周囲を見渡すと、目当ての人々は建物の屋上に立っていた。そしてリスカムに続き、アタシ達を囲む様に次々と降り立った。

 

「お待たせしました、ハイネさん。事情はあの男の子から聞きました。ここからは私達に任せてください!」

 

 そうアーミヤが言うと、ロドスのオペレーター達が戦闘を開始した。ここに居る面子はロドスで顔を合わせた奴らばかりだったが、流石に練度が高い。スカルシュレッダーの爆撃をものともせず、鮮やかな連携でレユニオンを屠っていく。堪らずレユニオンの1人が声を上げた。

 

「くっ、スカルシュレッダー!これ以上は無理だ!撤退するしかない!」

 

「くそっ、…あと少しなんだ…。あと少しであいつを…!」

 

「スカルシュレッダー!」

 

「…分かった、撤退する。…覚えておけ、ロドス。お前達だけは…絶対に許さない。感染者の裏切り者め…。」

 

 そう言い残し、レユニオンは撤退を始めた。その背中を見ながら、アタシの横のミーシャが口を開いた。

 

「あれが…ロドス…?」

 

「ああ、そうだ。あいつらならきっと、お前の鉱石病も…。」

 

「…そうなんだ。」

 

 その呟く様に放たれた声は、ぞっとするほど冷たかった。




3000字とか言っておいていきなり2000字程度しかありませんでしたね…。申し訳ないです。

次回更新は火曜日か水曜日の予定です。
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