――1900年6月6日、上海――
列国の租界と広がる難から逃げ延びた貧困層が集い、華やかさと退廃さの坩堝と化している魔都・上海。
東洋のヨーロッパとも呼ばれるこの町は、常は不夜の城と化す。日差しの高さに関係なく、行き交う人は多いが故に。
されど今は静寂の中、夜も更けてきたとは言え灯り一つない光景は異様に過ぎる。居並ぶ摩天楼に灯るネオンが、どれもこれも消えているのだ。
ウルが以前に見た時にはあった筈の、猥雑な空気が欠片もない。一体何故と、問いを投げる必要性はないだろう。見れば分かる。一目で分かる程に、此処はもう地獄であった。
〈供物は何処じゃ、腹が減って溜まらんのじゃ〉
〈いかんいかんぞ。飯を探すのではなくて、敵を探さねば怒られてしまう。怒られてみんなに食べられるのは嫌だ〉
無人の町を我が物顔で、練り歩くのは妖怪変化。狐狸妖怪の類と思われる毛皮を纏った怪物は、涎を垂らしながらも町の巡回を続けている。
その背に続くは、無数の異形。同じく獣が変じたものもあれば、もう生きてすらいない蠢く屍人も歩いている。一体彼らが何を探しているのか、これもまた問うまでもないことだろう。
〈Oaaaaaaaaaaaaaaaaaa〉
〈羨ましいなぁ、羨ましいなぁ。アイツは腹ぁ一杯食ってるのに、おではもう腹が減って仕方がないぞ〉
腐乱した犬が町中で、地に転がる何かを一心不乱に貪っている。直ぐ近くの民家の扉が壊れていて、中に人気を感じないのは無関係ではないだろう。
バラバラになって転がる手足が、その末路を示している。腸を食らって腹を満たす巨大な犬を見て、かぶその一匹は腹を撫でる。足りないなぁ足りないなぁと、呟く化外は所詮獣。長く耐える事など出来ず、命を忘れて近くの家屋に。そして悲鳴が町に響いた。
(徳壊……っ!)
人種の坩堝が所以の魔都が、真実魔性の都となった。その元凶は紛れもなく、この大陸の支配者である大邪仙。
満足に身動き出来ぬが故に彼は、警戒網の類として小妖達に命を下した。足りぬ質を数で補って、やがて来るであろう敵への備えとしたのだ。
故に今、この都市には死が満ちている。転がる血肉が、積み上がった人骨が、嗤い喰らう畜生達が、背徳の宴を繰り広げる。此処には生の香りがしない。
まるであの日のようだと、ウルは静かに拳を握る。暗く沈みかえった家屋の中では、一体どれ程の母子が恐怖に震えていようか。彼らはあの日のウルなのだ。それにどうして、何も思わずに居られよう。
「迷彩は完璧ではない。分かっていますね、ウルムナフ」
「……ああ、分かってるよ。動くなって言うんだろ」
鬱血する程に強く、拳を握り締めるウル。そんな彼の肩を叩いて、ニコルが静かに窘める。彼らが纏う迷彩は、ニコルが言うように完全無欠のものではないから。
これを使っている限り、他者は目の前に使用者が居ても気付けない。だがしかし、実際に消えているのではなく認識され難くしているだけな為、気付かれる危険は常にある。
攻撃などして意識が向けばその時点で分かってしまうし、そうでなくとも洞察力に優れた者ならば違和感で気付けてしまう。本来ならば、こうして言葉を交わす事すらリスクであろう。
「分かってんだよ、くそが……」
仕掛けるならば、孤立した相手に。周囲に助けを呼ばせない為にも、可能な限り一撃で。そういう条件が整わなければ、静寂の魔都にて震える人々を助けに行く事すらも出来やしない。
そしてそこまでして助けた所で、結局元凶を如何にかせねば意味がない。ならば可能な限り見付からずに行ける場所まで、進んだ方が合理的な話である。助ける事が出来ないのだから、悲鳴なんて聞き流してしまえば良い。そんな事、分かってはいるのだ。
「ならば、拳を解きなさい。流れ落ちた血は、痕跡として残ってしまう。その行為は無駄ですらない害悪です」
震えるその手は既に血が滲んでいて、それさえ今は不利に働く。そうと言われてから歯を食い縛り、それでもゆっくりとだがその拳を解いてみせる。
これは徳壊と、そして自分達が招いた結果。そうと知るが故にこそ、心は確かに乱れている。だがだからこそ、無駄にしてはならないのだ。ウルは確かに、そう思う。
上海の町並みを越えた先、外れに聳え立つは傀骸の塔。彼の地を拠点とする邪仙こそ、感じた全てをぶつける相手。故にウルは、睨みながら進んでいく。
それでも背後から聞こえる悲鳴に、感情を抑え切れないのが彼だ。一体どれ程以前から、この地はこの状況だったのか。思う度に心を痛めてしまうのがウルである。
されど迷うは、少年だけ。彼の仲間達は迷いなく、塔に向かって進んでいる。心情的に最もウルと近いのが、徳壊の打倒を急がねばと決意しているマオであろうか。
ニコルは予想していた程ではなかったと割り切っているし、痩せているヒルダに至っては何も考えてすらいない。そんな彼らに数歩遅れる形で、悲鳴が聞こえる度に立ち止まりながらも、それでもウルは進んでいる。勝たなくてはいけない、理由が増えた。
「ちっ、アイツら動こうとしないね。……仕掛けるよ」
「ですね。ええ、合わせます」
塔の目の前、牙王門と呼ばれる場所。其処まで如何にか戦闘を避けてきた一行だが、此処から先はそうは行かぬと確信する。
門へと続く階段に、陣取る2匹の狐狸妖怪。虚ろな瞳をした畜生達は、欲求を極限にまで薄められた特殊な個体。主の指示が無ければ決して動かぬ見張りの番。
個としての性能は大した物ではないが、その役割は警報機の代用だろう。故にこれより先に進むと言うなら、先ず排除をすべきは大前提。
即座にそう断じたマオが動いて、背後に回って拳を一閃。気付かれないという利点を活かした延髄打ちに、狸の妖怪は泡を吹いて地面に倒れた。
それと全く同時のタイミングで、狐の妖怪が命を失う。大きな耳の穴に突き立てられたニコルの指より、放たれた白魔法の光がその脳内を焼き切ったのだ。七孔から煙を上げながら、狐妖怪は即死した。
「こ、殺したのかニャ」
「ええ、小細工の為にも。死んでくれた方が都合が良い」
脳だけが焼け焦げた死体をツンツンと突きながら、疑問を零すヒルダに冷たく返す。そうしてニコルは狐の体に魔法陣を刻み付けると、隣に倒れる狸の息の根を止めてから同じ処理をした。
「……僵尸かい?」
「分かりますか、流石ですね」
その処置に覚えがあったのか、マオがあからさまに顔を顰める。死体を怪物へと変える秘術は、武漢にて学んだもの故に、九天真王の色が強く残っていたのだ。
「さて、これで死体が誤情報を送ってくれる。運が良ければ、気付かれずに侵入することも出来るでしょう」
狐狸妖怪は見張りであった。それを排除してしまった以上、見張りが居ないという証拠が残る。これはその証拠を少しでも誤魔化す為の小細工だ。
死んだ筈の妖怪達はキョンシーとして動き出し、生きているという反応を監視役へと送り続ける。結果として異常は起きていないと、徳壊が誤認すれば儲けものと言う訳である。
動く死体をその場に残して、ウル達は階段を上っていく。先頭を歩いていたニコルは片手を向けて少し待てと呟くと、もう片方の手を門の扉に当てた。そうして数秒、時間をおいてから門がゆっくりと開き出す。
「……何も出てこねぇな」
「こういう門って、開くとぐわーーって化け物が襲って来るのがお約束なのに。何も出て来ないとか、サボりかニャ?」
「門にも少し小細工しただけですよ。本来なら今頃、結構面倒な化け物が呼び出されていたでしょうね」
合鍵もなしに門を開け、警報機能の類も全て麻痺させた。あっさりとそれを成し遂げた少年は、武漢の仙境にて実力を更に磨いていたのだろう。
嫉妬の情も僅かに湧くが、今はそれ以上に頼もしい。微笑みながら歩を進めるニコルに続いて、ウル達も傀儡塔の中へと大きく足を踏み入れた。
「んで、どこから行くんだい?」
入って直ぐの大広間から、別れる道は三通り。右と左には階段が、龍の絵が描かれた柱の裏には更に奥へと続く道。
右と左の階段は、共に上階へと繋がっている。詰まりは二択。この階を探るか、このまま先へと進んでしまうか。
「これもお約束なら、ボスは天辺に居そうだニャ」
「……馬鹿と煙は、ってやつかい。今の徳が、そんなに単純かねぇ」
「進めんなら、さっさと先に行くべきだろ」
何処か楽し気に言うヒルダに、呆れと不機嫌さを隠さぬ声で反応するマオとウル。数秒目を閉じて考えていたニコルは、開くと同時に判断を下す。
「奥に行きましょう。こうした場では、進行を阻む仕掛けがあるのもお約束ですからね。基点を弄れないかどうか、少し調べてみようと思います」
「ああ、確かに。妨害装置全部止められんなら、そっちの方が早く進めそうだね」
「ええ、それに個人的な用もあります。他にも幾つか、仕掛けを残しておきたいので」
「分かった。なら、さっさと進もうぜ」
一時的には遠回りであっても、結果として早くなると言うのならば異論はない。皆が頷くのを確認してから、奥の部屋へと一行は進んだ。
其処には、大きな機械が一つと小さな本棚が幾つか。暗い室内には雑多に物が放られても居て、押し入れや物置と言った言葉が似付かわしい状態だった。
「暫し時間を頂きます。皆さんは周囲を警戒を」
そう言い捨てて返事も待たずに、ニコルは機械を調べ始める。彼が手を当ててから数秒程すると大きな球体が点滅を始め、塔全体の照明が一瞬消えた。
恐らくは先の宣言通り、仕掛けられた妨害工作を不正な手段で解除していっているのだろう。そうと分かれど助力する能力も持たないウルとしては、果たして何をしていたものかと。
「って、そういう訳にもいかねぇか」
扉越しに、迫る足音が無数に聞こえる。怪異がやって来るのだろう。秒に満たぬ異常であっても、流石に照明が落ちれば気付かれると言う訳だ。
ならば細工に動けぬニコルの代わりに、対応するのが自分達の役目であろう。手首を軽く回して準備運動代わりに、構えを取ったウルはその瞬間を待ち受ける。
ドンと音を立てて、眼前の扉は破られた。
〈Uooooooooooooooooooo〉
低い呻き声を漏らす、異形の顔が覗いている。頭髪や眉など毛が一切ないこと以外は、一見唯の人間にも見紛う顔立ち。だが、異様な程に膨れ上がっている。
そんな首を180度回転させながら、入り込んで来る異形。その体躯は優に2メートルを超えていて、臍の位置には男性器を思わせるような突起が隆起していた。
〈Oooooooooooooooooooo〉
怨真羅。そして哀真羅。その異形は2体居て、背を向きながら迫って来る。どうして真っ直ぐ来ないのか、不条理な動作は理解し難いが故に気色が悪い。
されどこの場に居る者達は、そんな不快さだけで動けなくなるような繊細な神経をしていない。気色が悪いんだよと吐き捨てながら、ウルは拳を握って駆け抜けた。
「おらっ!」
先ずは一発。右の拳で牽制し、そのまま時計回りに回り込む。左の拳で狙うのは、如何にも怪しい突起物。それを思いっ切りに打ち抜いて、ぐちゃりと叩き潰した。
青褪めた表情で、苦悶の呻きを漏らす哀真羅。その動きが止まった隙に、跳び上がって両足蹴りを。雑多な物を巻き込みながら、異形の巨体は床に転がった。
「よっ、はっ、ほいっと」
残る怨真羅を相手取るのは、武勇に秀でた猫妖だ。浮かされて、そのまま殴られ続ける。その光景は、まるでお手玉でもしているかのように。
一方的な攻撃から抜け出せないと言うのなら、異形の消滅は時間の問題。大した苦もなく撃退されて、しかしこの場は敵の本拠地。迫る怪異は、2体程度で済む筈もない。
扉の向こう側には、既に無数の怪異が集っている。町を徘徊していたかぶそ達が数十と、中には一際大きな二足歩行の畜生妖怪。仙狸と呼ばれる怪物が、3体程混じっている。
「やれやれ、切りがないねぇ。幾ら雑魚が相手でも、流石に骨が折れそうだ」
「何だよ姐さん、年なんじゃねぇの? このくらい、準備運動にもなりゃしねぇって」
「はん、生意気な事を言うね。ウル坊」
面倒だなとマオが愚痴れば、ウルが揶揄して不敵に笑う。そんな言葉を交わしている間にも、敵の数は刻一刻と増えていく。
さて先ずはどいつから仕留めてやろうかと肩を回すウルはふと、自分とマオしか戦っていない事実に気付く。はて、あの蝙蝠はどうしているのかと周囲を見回して。
「ひゃっはーっ!? エロ本見っけーっ!!」
「少しは手伝え、糞蝙蝠! ってか何やってんだよ、お前!?」
見付けたのは、両手に戦利品を掲げている問題児。際ど過ぎて絶版になった貴重品、伝説の純文学系写真誌上海天国がそこにはあった。
「ほほう。これは際どい。これはヤバい」
ペラペラとページを捲り出したヒルダの姿に、ウルですら思わず頭を抱えてしまう。周囲に無数の本が散乱していたり、盗んだ本が何冊か胸元から見えていたり、ツッコミ所ばかりである。
正直思春期の少年として、ウルも際どい本には興味がある。とは言え此処は戦場で、上海の地には今も苦しんでいる人達が居るのだ。故にと苦言の一つも言いたいが、そうこうしている余裕もなかった。
〈GAaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!〉
「ちっ、邪魔くせぇ」
至近にまで迫っていた仙狸が、咆哮を上げて襲い来る。舌打ちと共に身を捻って爪を交わし、返す刃代わりの拳を一発。されどその分厚い毛皮と脂肪を前に、小さな拳では威力が足りない。
大して怯みもせず、鋭い爪を振り下ろす巨大な獣。その鈍重な動きを数歩後退して躱しながら、ウルは再び舌打ちする。次から次へと増えていく敵の数に、これでは撃破速度が追い付かない。そうと気付いたが故である。
「なら、フュージョンだ」
此処での最適解は、撃破速度の向上である。そう判断したウルは、その心の内に宿る闇を開放する。常ならば、頭を殴られるような痛みや内臓がひっくり返るかのような吐き気、闇に飲まれるような恐怖が伴う降魔化身。
しかしどうしてだろうか、苦痛は何一つとしてなかった。包み込むような闇に対して、恐怖ではなく安らぎさえ感じる。目を閉じて、そして開く。そんな瞬きにも等しい時間の後には、その姿は変じている。4本の腕を持つ炎の鬼へと。
〈へへ、何が何だか分かんねぇけど。絶好調ってやつだな、これは!〉
炎武の拳が殴り付ける。小さなかぶそ達ではその一撃にすら耐えられず、骨を圧し折り血肉を潰してその拳は貫通する。巨大な仙狸ですらも、一撃受ければ即死はしないが意識を保てない程に消耗して崩れ落ちる。
ならば、其処に起きるは単なる無双。戦いにすらならない一方的な蹂躙で、怪異は数を減らしていく。傷一つ負わずに敵を蹴散らすウルの姿に、マオは口笛を吹いて賞賛しながらフォローに回る。獣の道理で生じる隙を武の境地が塞ぐなら、付け込める場所など何処にもない。
「ソレミウス、ソレミウスソレミウス」
そんな一方的な蹂躙に、更に加わる光の雨。小細工を終えたニコルは微笑みながら、敵を蹴散らすウルとマオに合流する。
「こちらは準備完了です。仕込みは上々、細工も十分。セキュリティの類も全て解除出来ましたので、最上階までフリーパスで行けますよ」
「……徳の術を、この短時間でかい。ウル坊と言い、ニコ坊と言い、最近のガキはとんでもないね」
「なに、彼の邪仙殿は小細工が苦手なのでしょうよ。世界最強の力があれば、小手先の技術など不要なのですから」
敵は一掃され、道は開けた。この場に留まればまた新たな敵手が現れようが、態々留まるような理由も残ってない。人の姿に戻ったウルも、酒杯を傾けるマオも、どちらも既に準備完了だ。
「ヒルダ、そちらの手筈は?」
「OKだニャ。ニコルの指示通り、何か貴重そうな本は全部パチったニャ」
「……あれ、お前の指示かよ」
「ふふふ、今宵で多くを失う邪仙殿。その旅路に貴書の類を巻き込むのは、聊か勿体無いでしょう?」
「ほんっと、良い性格してるわ。お前」
上海に来るより前に、敵の拠点に貴重そうな書物があれば躊躇なく盗めとヒルダに命じていたニコル。そんな腹黒さを欠片も見せない彼の笑顔に、ウルは思わず半眼となってぼやく。
揃って平常運転な仲間の姿に、呆れと同時に思うのは自省だ。これより挑む窮地を前に、自分は気負い過ぎていたのかもしれないと。過度な緊張は自身の性能を下げてしまう。ならばいっそ、普段通りの方が余程良い。
「さて、それではこれより決戦です。敵の首魁への道は開けた。ならば後に必要なのは、心に覚悟を定めること」
そんなウルに向かって、微笑むニコルはそう語る。これより先は決戦だ。此処に、幼い少年の宿した宿命は、大きな岐路を迎えている。
「敵は世界最強の大邪仙。堕九天真王地行仙、徳壊上人」
挑むべき敵は、信じ難い程に強大だ。日ノ本を守る為に神より力を授けられた犬神の系譜。その最高傑作と言うべき日向甚八郎を、生身で倒してみせた至高の術師。
術師殺しの降魔化身術の使い手を、神に頼らず倒したのだ。相性最悪の相手ですらも滅ぼしてのけたその力量は、全ての魔術師が望み目指すべき到達点へと至っている。そう、当代最強などではない。史上最強の術師であるのだ。
「向かう我らはたった4人。戦力差は明白で、勝機は1割――と言うのも言い過ぎでしょう」
立ち向かうは、僅か4人。100年を超えて生きる吸血鬼も猫妖も優れた存在ではあるが、どちらも邪仙と比すれば赤子のような存在だ。
大魔術師の直弟子たる少年は、まだ己が師にも僅か及んでいない。世界が愛する宿命を背負った少年は、しかし未熟に過ぎる幼さである。
4人全員を足して合わせたとしても、日向甚八郎一人に届かぬ総合力。先に語った1割の勝機など、余りに甘い見積もりだった。
「されど、我らの宿命は戦を求めている。ならば、立ち向かうとしましょうか。死を必すれば則ち生くと、死中にこそ活はある」
されど、挑まないという道はない。誰もが己の事情を抱えて、この先の決戦を望んでいる。故にこそ、これは宿命と呼ぶべきなのだ。
「行きましょう。最強を倒しに」
「おう!」
ニコルの言葉に、ウルは強く頷き返す。そうとも、どれ程に相手が強大であろうとも、今更に退路などはないのだ。だから進むだけで良い。
ニコルを先頭に扉を駆け抜けた4人は、真っ直ぐに頂上を目指して階段を駆け上がる。道を阻むものなど何もない。今更に迷う者など居はしない。だから進むだけで良い。
2階、3階と抜けてその場所へ。大きな扉を抜けたその先に、広がる巨大な儀式上――――その中央で、椅子に腰掛け待ち構える老人が一人。これより、亜細亜における最後の戦いが幕を開こうとしていた。
最上階で出待ちする徳壊さん。
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マオ「……馬鹿と煙は、って〜~~」
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そっと階段を降り始める徳壊さん。
次回、VS徳壊。亜細亜編ももう直ぐ終わり。
因みにニコルは勝率1割とか言ってますが、真面にやったら10割負けます。
無数の策と全ての手札をぶつけて、とんでもない幸運や奇跡に恵まれて、それでも勝機は億や兆に1つもない戦いとなるでしょう。
今後のストーリー展開は次の内どれが良いですか?
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ヒロインは一人。純愛ルート。
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ヒロイン複数。ハーレムルート。
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ヒロインは甘え。求道者ルート。
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ウルと二人で漢祭りルート。
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宿命の兄妹対決! ニコルとアナスタシア!