憑依転生失敗話   作:天狗道の射干

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ウルが30話以降まで出番ないのは、その前にゲーム一本分のシナリオを入れるからだったりします。そんな訳で「KOUDELKA」編スタートです。


第8話 KOUDELKA

――1898年10月31日、英吉利はウェールズ――

 

 

 海岸線沿いに広がる草原を、一頭の馬に乗って駆け抜ける。夜風が吹き抜ける闇の中、馬を駆るのは一人の女だ。

 草木も寝静まる中、闇夜に蹄の音を響かせる。使い込まれて色のくすんだ外套に身を包んだ彼女が駆けるのは、彼女を呼ぶ声が今もするから。

 助けを求める亡霊の嘆き。応えてやる義理などはないが、無視してしまう理由も特になかった。

 

 彼女は幼い頃に生まれた村を追放され、時に褒められた物ではない行為に手を染めながら一人で生きてきたのだ。

 呪われた子と産みの親に拒絶された霊媒体質を用いて糊口を凌ぎながら、行く当てもなく放浪の旅を続けている。

 そんな女だ。だからこうして、夜闇の中で馬を駆っている。乞われたから向かうのだと、それ以外に理由もないから。

 

 蹄に返る音が変わる。草に覆われた野原から、土が露出した獣道へと。木々の緑が増えていく中へ、立ち止まる事なく進み続ける。

 景色に見覚えがあると感じてしまうのは、追われた故郷にも何処か似ているからか。感傷的になりそうな思いを押し込め、視線を逸らしたその先で女は人影に気付いた。

 

(子ども?)

 

 小さな影が、森の中を歩いている。白い外套を纏い、フードを目深にまで被っているが故に顔は見えない。けれど背丈を見るに、幼いと言うのは理解出来た。

 馬の歩みを遅らせながら、女は深い息を吐く。別に構う理由もないが、特に急ぐ必要もない。そう胸中で己に弁解する女は結局の所、悪人にも外道にもなり切れてはいないのだ。

 

 擦れている自覚は彼女自身にもある。厭世的な価値観を持っているし、神様なんて信じていない。そんな女ではあるが、目の前で困っている人や苦しんでいる人を放置出来ない。それは気分が悪いのだと。

 

 深夜に森を放浪する子どもらしき人物を捨て置けないのも、彼女にとっては同様の理由だ。

 迷子であるのか、それとも目的があるのか。どちらにしても己の過去を想起させるから、声を掛けずにはいられなかった。

 

「ちょっとアンタ、こんな所でこんな時間に何しているのよ?」

 

「……ん? それは私に言っているのですか、お姉さん?」

 

「アンタ以外に誰が居るのよ。この辺りには、会話の出来る死霊もいないわ」

 

 足を止めた白い外套の人物。声からすると少年だろうと当たりを付けながら、女は馬をゆっくりと歩かせて彼に並ぶ。

 軽い身のこなしで馬から降りると、手綱を右手に握りながら馬の胴に背を預ける。空いた左手で女がフードを脱ぐと、赤みがかったダークブロンドの髪が風に踊った。

 

「あたしはクーデルカ。クーデルカ・イアサント。アンタは?」

 

「……クーデルカ? ……まさか、闇の鍵? これは如何なる偶然だ」

 

 端正な顔立ちをした女が名乗ると、外套の少年は困惑した様にぶつぶつと小さな声で何事かを呟き始める。

 人の顔を見た瞬間に、これは失礼ではないか。クーデルカの機嫌は急激に落ち込み、傍目にも分かりやすい程に苛立ち始めた。

 

「あ、いえ、失礼しました」

 

 少年もクーデルカの苛立ちに気付いたのか、即座に頭を下げると彼女に合わせてフードを脱いだ。

 風に晒されるのは、女と同じく整った容姿とキャラメルブラウン色の髪。碧の瞳で女を見詰めて、法衣の少年は名を名乗る。

 

「ニコラス・コンラドです。ニコルとお呼びください」

 

 10かそこらにしか見えない少年が、大人染みた口調で言葉を紡ぐ。イタリア訛りの混じった英語に、クーデルカは僅か眉を顰めた。

 不自然な所があると言うよりか、不自然な所しかない少年だ。一体どうしてイギリスはウェールズの山奥に、イタリア系とも思えない容姿の少年が居るのかと。

 

「ふぅん。で、ニコル。アンタなんで、こんな所に居るのよ? まぁ、迷子って言うんなら、近くの村まで送ってあげても良いけど」

 

 そんな当然の問い掛けと、同時に告げるは彼女の善意。往復すれば結構な時間が掛かると言うのに、態々送ると言うのだから。

 とは言え彼女に対してそれを指摘した所で、助力しない理由もないからだと嘯くのだろうが。その程度には、クーデルカは捻くれていた。

 

「いえ、御心遣いだけで結構です。少々、探している物がありまして」

 

 クーデルカの不器用な善意を察しながらも、ニコルは苦笑と共に言葉を返す。探している物があるから、戻る訳にはいかないのだと。

 

「探し物、ねぇ。この先には、何にもないらしいわよ? あるのは唯の、古びた修道院が一つだけ」

 

「……修道院、ですか? 修道院跡、ではなく?」

 

「直前に寄った村じゃ、閉鎖したなんて話は聞いてないわよ。尤も、此処から馬の足でも三時間は掛かるくらいに距離があるから、情報が遅いだけって可能性もなくはないけど」

 

 何を探しているのか知らないが、子どもが夜更けに一人歩くと言うのは不用心に過ぎる話だ。ましてや、この先にあると言う修道院は危険な場所である。

 霊媒体質のクーデルカには、今も其処で悲鳴を上げている誰かの祈りが聞こえていたから。そんな所に小さな子どもを行かせるなんて、後味が悪くて仕方がないのだ。

 

 だから暗に行かない方が良いと訴えるクーデルカだが、ニコルはどうにもおかしな所ばかりに意識を向ける。

 

「ふむ。奇妙な形の建物があると言った噂も?」

 

「聞かないわね。何よ、それ?」

 

「……これは、当てが外れましたか。いや、それとも」

 

 修道院が既にない筈だとか、奇妙な形の建物がある筈だとか。ニコルは首を傾げて、呟きながらも思考を回す。

 勝ち気な瞳でそんな少年を見詰めるクーデルカは、内心で一つ結論を付けていた。このガキは、とんでもなく変な奴だと。

 

 そして同時に、僅か思う。霊媒としての直感か。その瞳を見たからか。クーデルカは、もしかしたらと僅かに期待した。

 

「ともかく、アンタが何を探してるのかは知らないし興味もないけど、この先には多分ないわよ」

 

「かもしれませんね。ですが、向かってみる事にはします。情報、ありがとうございます」

 

 クーデルカの言葉は、完全に善意から端を発した物。だが、そんな捻くれた善意も少年には届かない。

 ニコルは一礼するとフードを被って、また修道院へと歩き出す。その背を見詰めて、クーデルカは深く深く嘆息した。

 

「はぁ……」

 

 綺麗な髪を手で掻きながら、女が思うはこの先に起きるであろう事。このままニコルを行かせてしまえば、きっと後味が悪いのだろうなと思ってしまう。

 さりとて引き留める言葉も聞かないとなれば、もう選択肢なんてない。手綱を引いて馬に跨ると、軽く歩かせ少年の隣へ。見上げる瞳を見詰め返して、クーデルカは馬の背を軽く叩きながらに提案した。

 

「乗せてってあげるわ。どうせ目的地は同じなんだし」

 

「ですが」

 

「子どもを置いて先に行くのは、正直気分が悪いのよ。運が良かったと思って、素直に言う事聞いてなさい」

 

 論舌が得意ではないクーデルカでは、ニコルの道を阻めない。ならば一緒に行って、彼の望みを手助けしてやれば良い。死なせたくはないのなら、離さず傍に居させれば良いのだ。

 

 それに、ちょっとした下心もある。もしかしたらこの子は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()、と。

 理屈ではない、直感だ。敢えて理由を付けるのならば、覗き見た瞳が少しだけ寂しそうに見えたから。鏡で見る己の瞳に、少し似ていると思えたから。

 だからと言って、子どもが危険に晒されるのを望んでいる訳ではない。唯、少しだけ―――――――――なのだ。

 

 そんな風に内心で言い訳しながら、クーデルカはニコルに向かって手を伸ばす。差し出された掌を見詰めて、ニコルが迷ったのはほんの数秒。だが彼が結論を出すよりも、クーデルカの辛抱が尽きる方が早かった。

 掴むべきか、掴まぬべきか。どちらが都合良いのだろうか。迷うニコルの右腕を、クーデルカは掴んで引いて持ち上げる。華奢な見た目には似合わぬ強さで。

 

 左の腕で持ち上げて、浮いた身体を手綱から離した右手で支える。そうして高い高いと赤子をあやす様な姿勢から、腰を回して己の前へと座らせる。

 諦めた様な色を瞳に浮かべて、無抵抗で居るニコル。そんな少年の頭を雑に撫でた後、捕まってなさいとニコルに手綱の一部を握らせて、再び馬を走らせた。

 

 腕で抱き締めた少年の小さな身体に、少しだけ温かさを感じながら。クーデルカは森を駆け抜け、高台の上にある草原へと。

 雲に覆われた空の下、微かに差し込む光が照らす。切り立った断崖の程近く、聳え立つ巨大な修道院。それこそが、彼女達が目指した――

 

「此処が、ネメトン修道院」

 

 闇の扉が開く場所。人の嘆き悲しみに満ちた、全てが終わってしまった土地。やがてネアメートへと至る惨劇の舞台。

 ネメトン修道院。英吉利はウェールズの奥地にあるこの場所で、一つの物語が幕を開く。一人の異分子たる少年を加えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――1898年10月1日、露西亜はサンクト=ペテルブルグ――

 

 

 皇族が住まうエルミタージュ宮殿内を、ニコルは一人歩き進んでいた。煌びやかな殿内を子どもが一人歩いていても、呼び止められる事はない。

 それ程にラスプーチンの力が、露西亜国内で強まっていると言う証左であろう。ニコルは複雑な感情を胸に抱えたまま、目的となる部屋を目指す。

 

 獅子宮と呼ばれる宮殿の一区画。その直前にある客間の一つで、ラスプーチンは身を休めている事が多い。今回ニコルが呼び出されたのも、同じ部屋である。

 宮殿を歩く中、皇族と鉢合わせなかった事実に安堵と落胆を覚える。遭遇したとしても、気付かれる事はないのだろうが。そんな愚にも付かない思考を回しながら、少年は扉の前に辿り着く。

 

 ノックを三度、返る言葉を聞いてから扉を片手で開く。瞬間、溢れ出すのは噎せ返る様な性の臭い。ベッドで寝ている裸の女に、ニコルは僅か眉を顰めた。

 それも一瞬、微笑の仮面を被って隠す。一歩進むと後ろ手で扉を閉めて、そのまま二歩三歩。椅子に腰掛け珈琲を嗜むラスプーチンの下へ、教会式の礼と共に跪く。

 

「マスター。お呼びと伺い、参じました」

 

「よく来た、ニコル。お前を呼んだのは他でもない、お前にして欲しい事があるからだ」

 

 ニコルの礼を鷹揚な態度で受け、ラスプーチンは顔を上げる事を許すと直ぐに本題へと入る。

 立ち上がって姿勢を正した彼に視線を向け、カップを傾け香りを楽しみながらに告げるのは他国の重要機密。

 

「数年前、バチカンから三冊の秘術書が盗み出された」

 

 茶飲み話の様に平然と、法王庁の失態を嗤いながらに語る。その発言を理解したニコルは、即座に思考を切り替えた。

 これは何時もの気紛れではなく、とても重要な話であると。バチカンから盗まれた秘術書とは、原作にも出て来て物語を大きく動かした物の一つ。

 

「数百年は法王庁で厳重に封印されていた禁書だ。名を、『エミグレ文書』『バルスの断章』『ルルイエ異本』と言う」

 

 エミグレ文書。古代フォモールの秘術を記した禁書は、時間を回帰させ過去に失った死者さえも蘇生させる。

 不老不死さえ実現する秘術に、嘗て多くの者らが魅入られた。そしてその誰もが失敗し、失った者を取り戻せずに破滅した。

 

 バルスの断章。星の地脈を操る術と、惑星の意志が具現化した星の守護者である古神を呼び出す儀式が記された書。

 原作においては主人公の父を殺した徳壊なる邪仙の手で、この儀式を応用した裏鬼門御霊会なる大禁術が上海の地で行われた。

 

 ルルイエ異本。ネアムと呼ばれるウキを浮上させ、宇宙から外なる超神を召喚する秘術を記した魔導書。

 クトゥルフ神話をモデルにしたであろう超神は、世界の全てを滅ぼし作り直せる程の力を有する怪物だった。

 

「下手人は判明している。アルバート・サイモン枢機卿。嘗て不遜にも我が師ヨウィスと共に私に歯向かい、無様に敗れた後に鼠の如く溝川を逃げ隠れしていた男だ」

 

 内の一冊ですら大災厄を引き起こせる秘術書を、纏めて盗み出した男が居る。名をアルバート・サイモン枢機卿。

 原作シャドウハーツにおいて、ラスボスとして君臨していた魔術師。破壊神アモンを内に宿す、ラスプーチンと同格の存在だ。

 

「奴の企みは明らかだ。秘術書を用いて、私に復讐をせんと望んでいるに違いない」

 

 続編のシャドウハーツ2において語られる彼の意図とは、世界全土を巻き込む大戦の引き金を引こうとしていたラスプーチンの討伐。

 嘗て一度敗れ地を舐めたアルバートは、必ず勝てる力を求めて大事件を引き起こした。それこそがウルムナフを主役とする、シャドウハーツの物語。

 

「対策はある。故に泳がせても良いが、これも良い機会であろう。奴の企み、お前の試験に利用する」

 

 超神の力を以ってラスプーチンを倒し、腐敗し切った世界全土を作り直そうと画策していたアルバート・サイモン。

 彼を再び地に下し、もう二度と逆らえぬ様に『ヤドリギ』と言う聖遺物を用意していたグレゴリオ・ラスプーチン。

 

 世界でも片手の指で数えられる程の魔術師同士が殺し合えば、言語を絶する程の被害が全世界を襲うであろう。

 それ程の存在である事を知識で知るが故に、ニコルはゆっくりと唾を飲む。原作と同じ命が下されるのかと、戦慄と歓喜を僅か覚えながら。

 

「アルバート・サイモンを、私に討て、と?」

 

「……いや、無理だな。私には劣るとは言え、奴もそれなりには優れた魔術師。今のお前では、一太刀入れるが限界だろう」

 

 問い掛けて、返る言葉に安堵し落胆する。アルバート・サイモンとグレゴリオ・ラスプーチンは、完全に同格の魔術師だ。

 詰まりアルバート・サイモンに勝てないと言う事は、グレゴリオ・ラスプーチンにも勝てないと言う事。まだ遠いのかと、分かり切った事実に内心で歯噛みする。

 

 それでも、表面上は爽やかな笑みを浮かべたまま。そんなニコルを見詰めて口角を歪めたラスプーチンは、己の望みを命と言う形で口にした。

 

「ニコル。時間と自由はくれてやる。期限は三年、各国のサピエンテス・グラディオも好きに使って良い」

 

 最初に語られたのは、破格と言える程の好条件。とは言えこの破綻者が、唯で好条件を与えてくれる筈もない。

 ならばあるのだ。それが必要となる程の試練が。そのくらいの助力が無ければ、為せないであろう程の困難が。

 

「どれでも良いぞ。三冊の秘術書の内、一冊を必ず回収しろ。そして、私の下へと持って来い」

 

 唯一冊ですら、世界のバランスを歪め得る秘術書。ラスプーチンと同格の男が今も持つか、或いは世界の何処かで今も悲劇を引き起こしているであろう物。

 それを探して持って来いと、ラスプーチンは望んでいる。彼の目には一体何が見えていると言うのか。分からずとも、ニコルに返せる答えはたった一つしか存在しない。

 

「出来るな、ニコル?」

 

「猊下が、それをお望みならば」

 

 今はまだ、ニコルは悪魔に飼われる玩具に過ぎない。だから従う他になく、しかし同時にこれは好機とも言える。

 三年の自由。それを最大限に活かせば、多くの物が手に入る。サピエンテス・グラディオの組織力。それを正しく活かせば、探せぬ筈はなかったから。

 

「では早速ですが、猊下。一つ御許可を頂きたい」

 

「ほう。何だ、言ってみろ」

 

 命を受けた以上は、一刻も早く立ち去りたい。グレゴリオ・ラスプーチンと顔を合わせると言う行為は、慣れた今でもニコルにとっては負担であった。

 だがしかし、これ程の好機は滅多にない。彼はサピエンテス・グラディオを好きに使えと言ったのだ。ならば広義的に解釈すれば、この望みも許されるであろう。

 

「聖なるヤドリギを、バチカンより持ち出す許可を」

 

「……キ、キヒヒ。そうか、そうだったな。お前は知っているのだったな」

 

 聖なるヤドリギ。それは人の記憶と心を塗り潰し、特異な力すらも封じ込める呪術の媒体。

 一度解き放たれたが最期、神を殺した男ですらも抗えずに死を迎えるしかなかったと言う禁忌の聖遺物。

 

 格上ですら、殺せる武器。そう。アルバート・サイモン枢機卿だけではなく、グレゴリオ・ラスプーチン大司教すらも殺せる武器だ。

 詰まりニコラス・コンラドは、グレゴリオ・ラスプーチンにこう言ったのだ。()()()()()()()()()()()()と。

 

「良いぞ。あれもサピエンテス・グラディオの一部だ。お前の好きに使え」

 

「感謝致します。猊下」

 

 そんなニコルの言葉にも愉しげに、一言で許可を出すラスプーチン。それは油断や傲慢か、或いは破滅の願望か。

 考えも答えは出ないのだから、考える必要はない事だ。そう割り切るとラスプーチンに一礼して、ニコルは身を翻した。

 

(さて、先ずは何から手を付けましょうか)

 

 煌びやかなエルミタージュ宮殿を、肩で風を切って進む。足取りが来た時よりも軽いのは、この先に待つ未来を思えば当然の事。

 同時に思考を回すのは、三冊の内どれを最初に狙うのか。ヤドリギを回収してから向かう以上は、ヨーロッパにある物から狙うべきだろう。

 

(サピエンテス・グラディオに情報収集を任せるのは当然として、そうですね。手に入れやすい物から、狙っていくことにしましょう)

 

 原作知識を思い浮かべる。もう大部分が色褪せて虫食いとなっているが、それでも秘術書についてならば多少は覚えている。

 

 エミグレ文書は原作にて、ジャックと言う男が所持していた。彼に秘術書を渡したのは、アルバート・サイモン本人である。

 それ以前にネメトン修道院で事件を起こしているのだが、ニコルにはシャドウハーツの前日譚であるクーデルカの知識がない。故に当然、そんな事が分かる筈もない。

 

 ルルイエ異本は原作にて、儀式に成功するまでずっとアルバート自身が持ち続けていた筈である。

 今のニコルが彼から奪い取ろうと言うのは、余りにも現実的ではない発想だ。これは後回しとするべきだろう。ならば――

 

(原作では確か、彼が持っていた筈だ。『バルスの断章』古の星神を呼び出す禁書を)

 

 残る一冊、バルスの断章。アルバートの手から徳壊の手に渡り、その後に如何なる経由を辿ったのかある男の下へ。

 その男こそ、歴史に名を残す大魔術師。アルバート・サイモンの師にして、グレゴリオ・ラスプーチンすらも超える叡智の持ち主。

 

「ロジャー・ベーコン」

 

 グレゴリオ・ラスプーチン。アルバート・サイモン。ヨウィス・エイプラハム。

 原作に出て来た優れた魔術師たちも、総合力と言う一点においては彼の足元にも及ばない。

 

 ロジャー・ベーコンとは、それ程の人物だ。700年と言う時を生きた不死身の魔術師程に、学ぶに相応しい者もいまい。

 仮にまだ『バルスの断章』を持っていないのだとしても、彼との友誼は必ずや高みを目指す糧となってくれるであろう。

 

 斯くして、ニコラス・コンラドは秘術書回収の任を帯びる。先ず最初に望むのは、三冊の内が一冊『バルスの断章』。

 目指すは、英吉利のウェールズ。其処に隠棲しているであろう、大魔術師ロジャー・ベーコン。彼の伝説から叡智を得て、更なる高みへ至る為。

 

 

 

 

 




現在の憑依ニコルは、相打ち覚悟でラスプーチンに一撃当てられるくらいの実力です。
そして一撃入れれば、確定で相手を破滅させられるヤドリギを手に入れました。

大分死ぬ可能性が高まって来た所為か、何時殺しに来るのかとオラワクワクして来た状態な猊下。
でもヤドリギの効果が出るのには時間が掛かるので、現状で挑めば憑依ニコルも死ぬのは確定しています。
なので死ぬ気は全くない憑依ニコルには、ワクワクしてる猊下に放置プレイを噛ます予定しかありません。


~原作キャラ紹介 Part6~
○クーデルカ・イアサント(登場作品:KOUDELKA(ゲーム版), クーデルカ(漫画版), シャドウハーツ)
 ゴシックホラーRPG「KOUDELKA」の主人公。外伝漫画とシャドウハーツにも登場する。「KOUDELKA」開始時の年齢は19歳。
 各媒体でそれぞれ性格が違うとは良く言われる。年代が異なっているので、様々な経験をした事で変わったと言われれば納得出来なくもない。

 原作ゲームでの性格は、気が強く皮肉屋で口が悪い。だが助けを求められれば、律儀に手を出し助力するお人好しな一面も。もしかして、ツンデレ?
 赤毛に近い金髪と、青み掛かったグレーの瞳。何処か浮世離れした程に整った容姿を持つ美女。出身はイギリス。公式設定では過去に、ジャック・ザ・リッパーと出逢っているらしい。

 生まれついての膨大な霊力を持っていて、幼い頃から未来視やヒーリングの異能を使えた。その所為で、村を追放される事になる。
 誰からも愛された事がない。そんな痛みを胸に抱えている為か、原作ではシャルロッテと言う名の少女に一方的な共感を抱いていた。

 またシャルロッテやヨシュアへの対応を見るからに、子どもには甘い人物でもある模様。共感や忘却と言った理由があったにせよ、心根が優しい人物なのは明らかだろう。


今後のストーリー展開は次の内どれが良いですか?

  • ヒロインは一人。純愛ルート。
  • ヒロイン複数。ハーレムルート。
  • ヒロインは甘え。求道者ルート。
  • ウルと二人で漢祭りルート。
  • 宿命の兄妹対決! ニコルとアナスタシア!
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