世界を救った仮面ライダーだけど、今は職がないのでとりあえずUber Eatsで食いつないでみた。   作:三麻でトばされた男

3 / 3
承:世界を救った仮面ライダーだけど、今は職がないのでとりあえずUBER EATSを始めてみた。

 天気は予報通りの晴れ。

 こんなご時世でなければまさにツーリング日和というくらいだ。

 少し汗ばむくらいの陽気とは言え、夜になれば走行風などで身体が冷えかねない。わりと服装は厚めにしておく。

 エンジンキーを回し、クラッチを切ってからセルボタンを押す。

 小気味よい単気筒の振動とともにゴキゲンなエンジン音を奏でる。

 今日に備えてオイルも新品に交換し、少し入念にメンテナンスを行った。

 その甲斐もあってバイクの調子はすこぶる良し。

 左足でギアを一速に入れ、軽くアクセルをふかしクラッチを離すと軽々とバイクは前進する。

 もちろんチェーンもしっかり油をさしているため走りだしも軽やかだ。

 なんか遠足を楽しみにしている小学生みたいなノリだが、やはり最初は出来るだけノントラブルで行きたいものだ。

 少なくともバイクはトラブルとその時点で立ち往生確定だしな。

 

 ――走り出したバイクの走行風が気持ち良い。

 立ち止まったら汗ばむような陽気もこの風がすべてを吹き飛ばしてくれる。

 しかもこのご時世だ、車の通行量も少なめで路が空いている。

 本当に絶好のツーリング日和だと思う――まぁ実際は仕事しに行くんだけどな。

 適当に走らせること数十分。

 都心に近づいたとこでバイクを停めスマホアプリでオンラインにする。

 これで先ずは店からの依頼を待つ状態になった。

 通知はヘルメット内に仕込んだインカムで音声として発信してくれるので、最悪走行中でも鳴ってるのには気づくことができる。

 後は路肩に止めて確認すればいいだろう。

 すぐには来ないだろうと適当に走らせていたらものの数分でけたましい電子音がヘルメットの中で響き渡った。

「マジか……」

 始めた時間が昼飯時というせいもあるのかオンラインにして数分で鳴り出した。

 再びバイクを停めスマホ画面を確認すると「4分」という記述とともに受けますか? というボタンが表示されていた。

 とりあえず最初から選りすぐりしても仕方ない。ボタンを押し依頼を受ける。

 距離はここからおよそ1.5キロ。しかもこのまま真っすぐだというので最初から難しい事はなさそうでよかった。

 しかも店もマック。大きなお店というのはとりあえず安心する。

 いきなり個人商店とかの系列系でないとこだと構えてしまうからな。

 とりあえずバイクを走らせ、店に到着。

「すいません、Uber Eatsです」

 そう言って入店すると、流石大手チェーン店。

 若干緊張気味の俺と違い、手慣れた対応で

「番号をお願いします」

 ここでいう番号とは注文番号の事である。

 依頼を受けると、店の名前とその注文番号が5ケタの英数字で表示される。その言葉を言うと更に手慣れた作業で

「こちらが冷たい飲み物、こちらが温かい食べ物になります」

 後々に恒例化されるこのやり取り、とは言え今は新鮮な渡され方をして商品を受け取る。

 鞄に内蔵されていた断熱のパテで区切り冷たいドリンクと温かい食べ物を分けて入れ、空いた隙間に買っておいたサバイバルシートを詰め込む。断熱制抜群のため冷たい飲み物は冷たいまま、温かい食べ物も温かいままを保ちつつ、間に入れることによりお互いの温度の干渉も防げる。

 やはり買っておいて正解だな。

 

 荷物を詰めてバイクにまたがる。

 注文を受け取ったボタンをスワイプすると、ここで初めて届けるべき客の住所の詳細が示された。

 付属のマップでは非常に分かりにくいので、連動してあるGoogle Mapで位置を確認する。

 ピンうち形式なのが若干不安ではあるが、住所の詳細には番地名とマンション名が詳細に書かれていたので恐らく大丈夫だろう。

 逸る気持ちを抑えながらアクセルを捻る。

 あくまで安全運転だ。緩衝材で固めてるとは言え、段差や轍でガクンと揺れたら飲み物の蓋とかが取れるかもしれない。

 一応、お店の方も蓋にシールとかで対策はしてくれているが、こちらが無策というのもアレだ。

 

 ――そんな事を考えながら運転すること十分弱。とりあえず配達先と思われる場所に到着した。

 マンションの入り口を探し、表札のマンション名を確認する。

 スマホに書いてあるマンション名と同じであることを確認し、オートロックに部屋番号を入力。

「Uber Eatsです」

 応答と同時にそう答えると、ロックが解除。そのまま指定された部屋へと行く。

 玄関に着いた先でもインターホンを押し、同様のやり取りで商品を渡す。

 笑顔というわけではないが愛想だけはよく振る舞う。さすがに不愛想だと向こうも不愉快だろうしな。

 まぁマスクしてるかわよくわからんかもしれんが、それでもやる事に越した事はない。

 そんなこんなで何とか最初の配達を終えた――。

 

 ――と

 

 配達完了のボタンを押したと同時に近いタイミングで次の依頼が飛び込んできた。

 こんなに頻繁に来るのかと驚く。

 確かに時間はお昼時ではあるのだが、それにしてもこんなにひっきりなしに来るのか。

 今度はお弁当のお店だ。幸いにも汁物ではないのはありがたいが。

 とりあえず次の店に向かうため再びヘルメットを被り、アクセルをふかす。

 コロナとは言え昼時で若干混みだした道路への合流に気を使いながら次の店に向かう事にした。




来週は作者取材のため休載させていただきます
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。