艦これ英雄伝説   作:こーま

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原稿が電子の海に消えたので初投稿です。


プロローグ 1-5

国連統合軍士官学校極東支部は旧自衛隊防衛大学の施設を流用している。三浦半島東南端の小原台に位置し、西に富士の霊峰を仰ぎ、東に房総の山々を望み、眼下には東京湾を見下ろす景勝の地だ。施設を流用する事で予算を低減出来ると財務省には説明していたが、施設の老朽化のための改装・単純な収容能力不足による増築・艦娘関連の新施設の新築の必要性と極東支部の士官学校を誘致した軍上層部の意地が融合し、結局一期生の入学式直前に突貫で学校全体をオーバーホールした。「現代の墨俣城」とも呼ばれ、妖精さんの威力をこれ以上なく証明したが、一人?でも多くの妖精さんを欲している前線からはしょうもないことで妖精さんを酷使するのはやめろと当然の抗議が殺到したという愉快なエピソードがあったりする。

 

 そんなフル改装から10年も経っていないピカピカの士官学校の門の前に黒塗りの公用車が止まり、中から軍服姿の若い男と改造セーラーを軽く着崩した少女を吐き出す。 

 

「まさか、またここに帰ってくる羽目になるとはなぁ…」

 

 山田は大きく溜息を吐く。逃げるように卒業した士官学校への配属が嫌だった。この心理的ダメージを見越した人事異動だとすれば、「艦隊派」には噂通りハラスメントの達人が揃っているのだろう。

 

「まぁまぁ、スピード出世で事務次長として帰ってきたんですから錦を着て昼行くってやつですよ」

 

 そして、当然のように自分の横にいて無責任な事をのたまう夕張が余計頭痛を悪化させた。夕張は技官として大尉相当官だったが、今回士官学校の教官と山田の秘書官になるに当たって一般兵科の中尉になった。元々中尉として戦場にいたが、後方に下がる際に前線の上司が手を回して階級を一つ上げてくれたらしい。それでいいのか人事部とも思うが、彼女の装備開発研究部での苦労を考えると必要な小細工だったのは認めざるを得ない。

 

 それはともかく、山田が彼女に対して階級が逆転しても変わらずに敬語で話していたが敬語を使わないでほしいと言ってきたので、人前で山田の事を【提督】呼びをしない事と引き換えに崩した口調で話すことになった。着々と退路を塞がれている気がするが努めて考えない様にしている。

 

「…士官学校には顔を会わせるのが気まずい人が何人かいるんだよ」

 

「何やらかしたんですか?」

 

「おい、なんで俺がやらかした事が前提何だ?」

 

「実際装備開発研究部でやらかしたから、ここに飛ばされたんじゃないですか」

 

「……」

 

 切れ味抜群の言葉のナイフで心臓を一突きされた山田は、押し黙るしかなかった。

 

「あー、言い過ぎました。こんな美少女連れての凱旋なんだから機嫌直して下さいよ」

 

「ふん!」

 

 山田は強引に会話を切り上げて、さっさとセキュリティゲートに向かった。

 

 

------

 

 

 職場である事務局は士官学校の本部庁舎の一階にある。が、その前に士官学校の校長に顔を見せなければいけない。どんな人だったかと頭を捻るが、1年と少しの月日は山田の記憶から母校の校長の顔と名前を綺麗に削除させていた。興味の無い事については極めて憶えの悪い次期士官学校事務局長であった。

 

 まぁ、これから顔を合わるんだからその時に確認すればいいかと思考放棄した山田は校長室へと足を向ける。勝手知ったる懐かしの母校だ。というか、本部庁舎は正門の目の前にあるのだから迷いようがない。敷地の外周を教官にどやされながら行進訓練をする若々しい一年生を尻目に敷地をずんずん歩いていく。夕張は置いてかないでよぉ!とぷりぷり怒りながら小走りで後ろからついてくる。彼女には悪いがなるべく人に会わずに校長室まで真っ直ぐに行きたい。今日からここで毎日働くのだから、全く無駄な努力かもしれないがそんな正論聞きたくもなかった。

 

 防衛大学の本部庁舎は左右シンメトリーの正面玄関と二階分の階高のコロネードを連続して配置させることで力強さや威厳、緊張感を相対した者に与える。つまり、典型的な古臭い軍事的建造物で山田は嫌いだった。政府は歴史的・芸術的な価値を考えて本部庁舎は多少の改修で済ませたそうだが、これこそ建て直すべきだったと山田は思う。建造されて100年程度では歴史的価値は小さい、それにそもそも戦時下に芸術的価値を軍事施設に求めるとか正気か?と当時の責任者に一日問い詰めたかった。機能性全振りで良いだろと敏腕な若き軍官僚は考える次第である。

 

 受付で校長との面会を求めると直ぐに校長室に通された。山田は校長室の扉の前でふと背後の存在を思い出しノックしようとした動きを止める。振り返れば夕張中尉がきょとんとした顔で何故ノックしないのかと不思議そうな顔をしている。

 

「おいおい、着任の挨拶にも着いてくる気か?」

 

「え?だって私もここに着任するんですから一緒に挨拶しちゃえば一度で済むじゃないですか」

 

 何か問題ありますか?と言わんばかりの夕張の態度に山田は色々諦めて扉を叩いた。

 

「入れ」

 

「失礼します」

 

 校長は如何にも海の男といった浅黒い肌を持つ初老の男だった。筋骨隆々とした体格の持ち主で椅子に座っているから確かではないが、立ち上がれば2m近くあるだろう。自身の直属の上司となる人は校長先生より特別海兵隊のベテランの方が似合いそうな御仁であったから山田は混乱した。流石にこんな個性の塊の様な人が校長だったら多少記憶に残っているはずである。どういう事だ?と思いながらも敬礼と挨拶を済ませるべく軍隊生活に慣れた体は勝手に動く。

 

「本日、士官学校事務局に着任しました山田俊二大尉であります」

 

 校長は答礼を返してから、視線を山田から夕張に移す。

 

「「「……」」」

 

 いつまでも夕張が挨拶をしないので不自然な沈黙が部屋に流れる。今度は何だ?と山田は視線だけを彼女に向けるとあんぐりと口を開けてフリーズした夕張中尉がいた。山田は再び頭痛を感じながらも、軽く咳払いをして覚醒を促す。

 

「ッ!失礼しました、同じく夕張中尉であります」

 

「うむ、私がこの士官学校の校長の内海賢一中将だ。よろしく」

 

 山田は夕張のおかげでまだ互いに名乗っただけなのに、疲労感を感じていた。それにしても夕張のあの反応、彼女と内海中将は面識があるのだろうか?

 

「と言っても私もここに赴任したばかりで、あまり詳しい事は言えないのだがね」

 

 内海はニヤリといたずらが成功した子供の様に笑ってみせる。どうやら多少は話せるお人らしいと山田はホッとする。前回の職場で上司に苦労した彼からすると大変ありがたかった。それに内海も異動直後らしい、なるほど通りで記憶に無いわけだと。

 

「山田大尉は前の職場では随分と活躍したそうじゃないか、ここでも活躍の予定はあるのかね?」

 

 前言撤回、初対面で腹芸を仕掛けてくる面倒な狸爺だ。

 

「あれは偶々ですな。…偶々で無いと困ります」

 

「その通りだ、あんな事頻繁に起こってもらっては困る。」

 

 校長は深々と溜息をつきながら答える。この爺様も例の事件の後始末に駆けずり回った一人なのかもしれない。ざまぁみやがれと顔にはおくびにも出さずに山田は心の中で悪態をつく。おそれにしても、さっきから校長の視線が頻繁に夕張へと向かうのだが、やはり顔見知りなのだろうか?

 

「ここで何かする時は、私に何か一言言ってからするように」

 

「はぁ…」

 

 なんともアバウトな内海の指示に山田の返事はどうしても力の抜けたものになる。そもそも、どいつもこいつも自分が何かやらかす前提で話すのが不愉快で、不本意の極みだった。

 

「夕張中尉は教官と山田大尉の秘書官を兼任するようにとの辞令だが、基本的には教官がメインになると考えて欲しい。後方にいる艦娘は貴重だからな、ここのカリキュラムを確認したが艦娘関係の単位が全く足りてないように見えた。卒業後に戸惑う様な事が無いように生徒達の指導を頼む」

 

 内海の言葉に夕張は今にも飛び掛かりそうな顔で彼を睨んでいるが、校長は中々喰えない御人らしく、涼しい顔で無視している。山田はストーカー予備軍から多少解放されると知って校長の評価を上方修正していた。手のひらぐるんぐるんである。

 

「中途半端な時期の異動だからな、なるべく早く仕事の引継ぎを前任者から済ませて業務を再開出来るよう努めてくれ。私からは以上だ。」

 

「「ハッ」」

 

 こうして校長先生との顔合わせは無事終了した。

 

 

------

 

 

「とりあえず、前の職場の上司よりはまともそうな人で助かった」

 

「……そうですね」

 

 夕張は憂鬱だった。そもそも監視が付く事は予想していた。が、派閥のトップ本人が直々に来る事は流石に予想外だった。今日は様子見という体だったが、そのうちなんらか行動を見せるだろう。【艦娘派】に取り込もうとそれだけ必死なのだろうが、【艦隊派】に渡さない為の監視も兼ねていることは間違いない。

 

 陸海軍あい争い、余力を以って米英と戦う。かつて夕張が所属した大日本帝国陸海軍の関係性を皮肉ったものだ。帝国陸海軍が解体され、新しい時代の軍隊となり遂に一丸となれたと思えば、今度は海軍の中での派閥争いは収まる事を知らない。夕張はこれからの新生活が期待したものとは違うものになる事を感じていた。

 

 一方、山田は校長室を出てからというものの急に静かになった夕張を不審に思いながらも、校長との挨拶で気になった点を質問する。

 

「それにしても、内海校長とは知り合…」

 

「初対面です」

 

「いや、でも驚い…」

 

「初対面です」

 

「…そうかい」

 

 どうやら内海校長とは知り合いで、何かあったらしいが教える気はないらしい。そう察して厄介事の匂いを感じ取った山田は質問をやめる。

 

「そんな事よりお昼ご飯行きましょうよ、お腹減っちゃいました」

 

「後は職場に顔出すだけだから構わんが、士官学校の食堂の飯は統合作戦本部の士官食堂程美味くはないぞ」

 

 山田は学生食堂の定食の味を思い出して、思わず顔を顰める。士官学校時代は腹一杯食えればそれで割と良かったし、味もそこまで気にならなかったが今思うと大分舌が鈍化していた気がする。士官学校の学生食堂で出てくる定食は空腹を満たし、栄養を補給出来れば良いという思想に支配されている為、味に期待してはいけないというのが一般的な士官学校卒業生の意見である。

 

「それが大尉が卒業した後に給糧艦の艦娘が食堂に入ったらしくてすっごく美味しくなったらしいんですよ」

 

「ほう、そいつはお前さんから聞いた話の中で一番興味を惹かれる話だ」

 

「普通に酷くないですか!?」

 

「俺は嘘を付けない正直な男なんだ」

 

「もう嘘ついてますよ」

 

 しょうもない言い争いをしながら二人は噂の食堂に足を向けた。

 

 

------

 

 

「あの、大尉ってここの卒業生ですよね?」

 

 お上りさんよろしくキョロキョロと教員用食堂を見渡す山田を見かねた夕張が声をかける。

 

「こっちの食堂は学生時代には縁が無くてな」

 

「あぁ、なるほど」

 

 山田の良く知る士官学校の学生食堂は1000人程度収容可能な広さだけが特徴の一般的な食堂で、学生達は小学校の給食の様に全員で一斉に同じ物を食べる。自衛隊が国連軍に統合されてから国際色が強くなった為、出身国毎に食事を選ぶ形式も案としては出たが戦時下の状況では贅沢が過ぎると却下された。結局東アジア圏の郷土料理を満遍なく取り入れた献立が誕生すろ事になり、入学当初は皆慣れない味に苦労するのがお約束となる。こういった事情も士官学校の食堂の評判を下げる一助になっていたのは間違いない。余談だが毎食の配膳・片付け・そして何故か毎食の献立を完璧に覚えて上級生に報告する義務が最下級生には存在する。彼らは最も遅く食べ始め最も早く食べ終わる事を要求される。古今東西軍学校の最下級生の扱いとはそういうもんである。

 

 話を戻して、現在二人がいるのは学生用食堂から少し離れた所に併設された教官・関係者用の小さな食堂だった。ここは現金で食券を購入する形式の食堂で、山田はその存在は知っていたが訪れたことは初めてであった。、

 

「よく考えてみれば、給糧艦がどうしてこんな所にいるんだ?」

 

「…多分【提督】を探しているんじゃないですかね」

 

「何処かで聞いた話だな」

 

「【提督】の指揮下にある給糧艦は本当に強くなりますからね」

 

「多少、輸送計画を遅らせてでも小康状態の今のうちに強化を済ませたい訳だ」

 

 艦娘は第二次世界大戦に活躍した艦艇を前世に持つ。そうなると国毎の艦娘戦力は当時の海軍の特色に強い影響を受ける事になる。日本の特色は国力に対して異様な程の正面戦力の充実だ。それは後方支援戦力が貧弱である事と同義だった。おかげで100年後の日本は慢性的な給糧艦艦の艦娘不足で喘いでいる。給糧艦「間宮」「伊良湖」「大瀬」「野崎」「鞍崎」「杵崎」「早崎」「白崎」「新崎」は日本で最も忙しい艦娘達だった。

 

「ま、旨い飯が食えるなら何でもいいんだが」

 

「大尉って経歴からは信じられないぐらい雑に生きてますよね」

 

「出来る男はオンオフをキッチリ分けるって事さね」

 

「そーですか…」

 

 夕張が呆れたような顔で見てくる。あんまり細かい事気にすると老けるぞという言葉を飲み込む。艦娘は不老だと士官学校で教えられた、少なくとも外見に限れば成長したり老

けたりした例は未だ確認されていない。

 

「それより折角の噂の給糧艦の飯なのに天ぷらそばでいいのか?」

 

「どういう意味ですか?」

 

「そばなんて何処で食っても一緒じゃないか?」

 

「【提督】と言えどちょっと今のは聞き逃せないですね。いいですか、一概にそばと言っても二八そ…」

 

 夕張のありがたい説教を聞き流しながら山田は改めて周囲を見回す。校長室から出た開放感のままに教員用食堂に来てしまったが、ここは古い知り合いにバッタリ再会する確率が最も高い場所だ。さっさと食ってここを出ようと決意して食券機に並ぶ。

 

「山田先輩?そこにいるのは山田先輩ではありませんか?」

 

 オペラ歌手の様な張りのある低音の声と近寄ってくるだけで食堂の床が鳴る重量感。振り返らずとも分かる、大丈夫こいつは素直に「再会を喜べる」知り合いだ。

 

「タカミヤマ、久しぶりだな。相変わらず元気そうで何よりだ」

 

「お久しぶりです山田先輩。いや、今は山田大尉ですか。話は聞いてます、昇進おめでとうございます」

 

「ありがとう。気持ちは嬉しいんだが、もう少し声を抑えてくれ」

 

 この男は縦にも横にも大きい巨体からそれに見合った声量で喋る。お陰で食堂の職員・利用客から何事かとこちらを見ている。

 

「これは失礼しました大尉」

 

 キャッチャーグローブのような手で照れたように頭を掻いて、言われたそばから腹に響く声で笑う。そういうところだぞと思わず溜息ををつく。

 

 ジェシー・パトリック・タカミヤマ中尉。幅と厚みのある巨漢。陽気で豪放な性格。人好きのする容貌・落ち着いた深みのあるバスの声・誰からも認められる誠実さ・地に足の着いた骨太な見識と機転を持ち、組織調整に天性の才を持つ。日系ハワイ人の生まれで山田の一個下の後輩。現在、提督養成学校一回生。

 

「俺の話はチャンから聞いたのか?」

 

「そうです、ちなみに先日山田先輩に付き合って朝帰りしたチャン先輩の為に寮監を誤魔化したのは私です」

 

「正直すまんかった」

 

 チャンは士官学校を卒業したとは言え、まだ提督養成学校の学生で門限付きの寮住みだった。あの日は飲みすぎてどうやって帰ったか覚えていないが、後輩に面倒をかけていたらしい。

 

「いえいえ、お世話になった先輩の後始末も後輩の仕事ですからな。ただ、どうしてもお礼がしたいというなら近く私を鳳翔に連れていくというのは如何でしょうか」

 

「…仕方ない、ほどほどで頼むぞ。」

 

「流石は山田先輩、楽しみに待ってます。…それでそちらのお嬢さんはどちら様でしょうか?」

 

 タカミヤマに促されて夕張の存在を思い出し、彼女の姿を探す。

 

「…何をしているんだ中尉?」

 

 夕張は山田の陰に身を竦めて隠れていた。

 

「中尉!?…とすると彼女は艦娘ですか。これは失礼しました小官はジェシー・パトリック・タカミヤマ中尉と申します。山田先輩には士官学校でお世話になりました」

 

 夕張が艦娘である事に気が付いたタカミヤマが敬礼して自己紹介をする。恰幅が良いからか敬礼する姿が様になっている、貫禄があると言っても良い。

 

「…兵装実験軽巡の夕張中尉です。山田大尉の秘書官、本校の教官としてこちらに赴任しました」

 

 恐る恐る山田の背から出てきた身長160㎝程の夕張は見上げるようにして2メートル近いタカミヤマに敬礼する。まるで子供と大人だ。

 

「タカミヤマ、夕張中尉が怖がっているぞ?少しは痩せた方がいいんじゃないか?」

 

「先輩、昔から何度も言っていますがこれは贅肉ではなく筋肉ですって。酷いですよ」 

 

「荒天時の基礎水中訓練でゴムボードがお前の重さで何度も転覆しかけて死にかけたからな。いい機会だ、少しはダイエットしろ」

 

「そんな事もありましたなぁ…、でもあの後の丸太運びでは結構活躍したと自負しておりますが」

 

「あれは……、ん?」

 

 懐かしい昔話に話を弾ませていると、服が後ろに引っ張られるのを感じて振り返れば、ふくれっ面の夕張がいた。

 

「夕張どうかしたか?」

 

「別になんでもないですっ!」

 

「…?何かあったから引っ張ったんだろ?」

 

「……」

 

 夕張はふくれっ面のまま答えない。ぷいっと明後日の方を向いて私怒っていますアピール。何とも言えない空気が三人の間を流れる。その場の空気を素早く正確に読む事に定評のあるタカミヤマは事情を何となく察して退散を決める。

 

「…ちょっと急用を思い出しました。折角なので先輩方とお昼をご一緒しようかと思ったんですがまたの機会という事で」

 

「そ、そうか。今日からここが俺の勤務地だ。飯の機会なんざいくらでもあるさ」

 

「すいませんね、夜に時間の取れる日程は後でメールで送ります。では」

 

 そういうとタカミヤマはさっさと食堂を去っていった。結果、山田は食堂に夕張と残された。窮地にある先輩を見捨ててあっさりと消えるとは、なかなか泣かせる後輩じゃないか。この恨み絶対に忘れんぞと心の中で誓いを立てるもそれが今の事態を解決させるわけもなく、夕張の機嫌は傾いたままである。

 

「……」

 

「……」

 

「取り合えず飯食わないか?」

 

「…そうですね」

 

 夕張は不貞腐れたように答える。山田は食堂のそばが夕張の機嫌を治してくれる事を祈った。

 

 




投稿遅れて申し訳ありません(いつもの)

コロナで暇になったので始めた本投稿でしたが、コロナが落ち着いたことで私生活が慌ただしくなり、定期投稿がどう考えても不可能になりました。2週間に一度ほどの頻度で投稿出来るように頑張りますがご了承ください。

…実際ハーメルンの投稿ページを開いている時が息抜きタイムなんですが、教授とひりつくレスバトルに忙しく時間が取れず泣いております。

ジェシー中尉は皆さんお分かりの通りパトリチェフですね、本編だと微妙に扱いが酷いですが、ヤン艦隊に欠かせないタイプの参謀だと思います。

パトリチェフは名前からロシア人の末裔だと思うのですが、諸事情によりハワイ人になりました

銀英伝の面々を現代に当てはめるとどんな感じになるかを妄想するのはこの小説書いてて一番楽しい時間です

逆に一番辛いのは艦娘の会話・心情を書く時です。私の周りには擦れた女しかいないので純真で可愛いい女の子を想像して書くのは本当に難しいです。公式の艦娘ってギャルゲーのキャラクターなんで当たり前なんですが、ちょっと綺麗すぎるというか現実味が薄いんですよね。何人もの艦娘一人一人を自然に書き分けて、細やかに描写出来るSS作者さんホントに憧れます。






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