IS異聞帯   作:銭湯妖精 島風

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痛い話のち

 

 

ひとまず監禁場所から脱出した私は辺りを見渡してみると、此処は廃倉庫が並ぶ埠頭の様であまり隠れるのに適していないみたいなので溜息を吐き、隠れないよりはマシだろうと、足早に移動しながら隠れる場所を探して適当な場所に身を潜め携帯を開いて、頼れる歳上の幼馴染へメールを送信する

 

彼女ならば私からのメール1通だけで場所を特定してくれる筈だ、願わくば姉さんの専用機の調整が終わって手が空いている事を祈るばかりだ

 

 

「痛ぅっ・・・痛ぇ・・・あ、やべぇ」

 

無理して怪我をしている右手がズキズキ痛むので悪態をついて不意に右手を見ると、まだ血が流れていて地面に垂れている事に気付く

 

誘拐犯が1人なら追ってくる可能性は低いが、複数人だったら血痕を辿ってこられる可能性もある、そう思い安物だが気に入っていたハンカチで右手を止血して、再び移動を始める

 

 

それから30分程して、丁度良い隠れ場所を見つけて隠れていると不意に携帯が震え着信を知らせてきたので携帯に表示された名前を確認してから電話を取ると

 

「やぁやぁお待たせ、ちーちゃん を落ち着かせるのに手間取ってさぁ〜誘拐犯はもう処理して、今そっちに向かってるから待っててねぇ〜」

 

 

と頼れる歳上の幼馴染は、言いたい事を言って返事を聞かす話に通話を切る

 

 

まぁいつもの事だし、なんかキレ気味っぽかったから特別触らないでおこう、普段は愉快なお姉ちゃんなんだけど、怒ると滅茶苦茶怖いんだよなぁ束さん

 

 

まぁそれから特に何もなく、私は迎えにきた束さんと共に病院へ向かい右手の治療をしてもらい、右手の状態を医者の先生に説明して貰ったが、ドイツ語でぜんぜん分からなかったので束さんに通訳してもらった結果

 

右手の親指とかいろんな関節が脱臼して無理矢理嵌めた結果、筋やら傷付いていて擦過傷やらなんやらもあるから、暫く安静にしろ じゃないと傷痕残るぞ 的な感じらしい

 

 

まぁ痛いし暫くは大人しくしてよう、そうしよう

 

処置室から出て隣に立つ束さんに

 

「ありがと束さん、助かった」

 

「うぅん気にしないで? 」

 

私より少し背の高い束さんは私の頭を撫でて笑み言い

 

「無傷とはいかなかったけど、無事で良かった」

 

 

そう言って束さんは私を優しく抱きしめる、束さんは優しい人だ

 

普段は愉快なお姉ちゃんで怒ると怖いが、私を妹の様に可愛がってくれている頼れる姉貴分

 

世紀の大天才であり、齢21歳でありながら一生遊んで暮らせる財産を築いた人、それがISの産みの親 篠ノ之 束と言う人

 

 

それなりに長い付き合いだが、束さんは何というか掴み所が無い気がない

 

 

 

そんな訳でドイツの警察の人に事情聴取されたけど、やっぱりドイツ語がサッパリだったので束さんに通訳して貰ったりして乗り越えたが、結局 決勝戦に間に合う訳もなく、姉さんの勇姿を見れなくて残念だった

 

 

そんなこんなで束さんと共に宿泊先のホテルへ戻り宿泊している部屋へ入ると、めっちゃ怖い表情で仁王立ちしている姉さんと、ソファに座る両親、ベッドでスヨスヨ寝てる妹が見えた

 

「た、ただいま? 」

 

姉さんの覇気に少しビビリながら言うと

 

「・・・お帰り、一夏」

 

と滅茶苦茶 低い声で返答してくる、めっちゃ怖いんですけど、マジで

 

「お待たせ ちーちゃん、不届き者は片付けてきたし、いーちゃん も無傷とはいかなかったけど無事だよ」

 

にっこにこにー と束さんは いつもの笑みを浮かべ姉さんへ言うと

 

「・・・そうか、分かった・・・少し頭を冷やしてくる」

 

「いってらっしゃーい」

 

阿修羅の様なオーラを纏った姉さんは そう言い私の頭を軽く撫でてから部屋を出てゆく

 

「おかえり一夏、無事で良かった」

 

「ただいま父さん、心配かけて ごめん母さん」

 

私の顔を見てホッとした様な表情をしている両親に謝ると、2人は立ち上がり私を抱きしめ頭を撫でてくる

 

「貴女が悪い訳ではないわ一夏、無事で良かった」

 

と母さんが泣きそうな声で言う

 

 

私は恵まれている、尊敬する両親と偉大な姉、可愛い妹がいて幸せだと思う

 

 

ひとまず誘拐されたのがマドカではなく私で良かった、でなければ今頃 私と姉さんは殺人犯になっていたかも知れない

 

私もだが姉さんもマドカに かなり甘いのだ、マドカが害されれば迷わずに報復する

 

それに束さんが姉さんを宥めてくれて良かった、じゃなかったら姉さんの事だから決勝戦を棄権してIS纏ったまま私を救出しに来ていたに違いない

 

姉さんってば普段は冷静沈着の癖に家族が絡むと激情家に変わるんだよなぁ、まぁそこが姉さんの良い所であり悪い所ってやつかな?

 

「束さん、改めて今日は色々とありがとう」

 

ニコニコしながらマドカの寝顔を眺めていた束さんに改めてお礼を言うと

 

 

「どういたしまして、いーちゃんの性格的に気にしないで? って言っても気にするだろうから貸し1って事で、良いよね? 」

 

私の方を向かずにスヨスヨ寝ているマドカの頬を人差し指でムニムニしながら束さん は言う

 

「分かった、貸し1で。なんでも、とは言えないけど可能性な範囲で答えられる様にするよ」

 

 

私は束さんの言葉に頷き言う、両親は私が産まれる ずっと前から束さんを知っているし、私と束さんが こんな風なやり取りをするのも何度も見ているから何も言わない

 

 

さて、通算何個めの貸しになるんだろう? 消化してれば1個だけど

 

 





予定より早く2話目の投稿です


1話と2話の時点で、だいぶ改変していますw


感想やコメント等、頂けるとやる気になりますので、ぜひお願い致します
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