原作者のツイートにあった「アリノイユがオルケストラ動画を見てどうしてもシャンフロをやりたくなったアラブの石油王の息子とペアで攻略する乙女ゲー風味の二次創作」を私なりにかみ砕いて、書き上げたものです!
二次創作ですので、ある程度はお許しいただけると幸いです。
アラブの石油王の息子要素も乙女ゲー風味も難しいですね……。
シャングリラ・フロンティア……少し前までやっていて、二度離れてしまったVRゲーム。
いわゆる神ゲーってやつで、私がやっていたときも面白かった。
でも初めてすぐ、私はネットの常識とかそういうのもわからず、酷いマナー違反をしてしまった。
オンラインのゲームはやったことがなかったから……。
そして名前を晒され、遊びづらくなって一度は引退した。
ほとぼりが冷めた頃、シャンフロ内でレイドボスが出現したと言う話を聞き、元々ゲームが好きだった私は、やっぱりどうしても遊びたくなってもう一度シャンフロを始めた。
その時もやっぱり何人かは私に気付いた人もいたけど、あからさまに避ける人は少なかった。
ネット初心者だからって大目に見てくれたんだと思う。
そして、息巻いてレイドボス挑んだ。
……けれど結果は散々。
考えなしに何度も挑んで、何度もデスペナを受けて、気が付けば装備をそろえることも出来ないほどだった。
その頃ちょうどリアルが忙しくなり始めたこともあり、そのまままたシャンフロを引退した。
その時にはもう、多分今後シャンフロはやらないんだろうなぁ……と思っていた。
――――とある配信を見るまでは。
『サイナ! 頼むぜ……………空へ!!!!』
『
「すごい……」
~~~~~~~~
ある日、寝るのが遅くなり、なんとなく眠れなくなった私は、配信動画をさまよっていた。
その時ふと目に入ったチャンネル――
その響きにかつての失態が頭に浮かぶ。
もしやと思い、配信を見てみると。
『えー、第一楽章、相手はエクゾーディナ…………』
私が頭に思い描いた通りの、鳥の顔をしたプレイヤーが話していた。
「あ…………サ、サンラク……さん」
話している内容はわからないけれど、その姿はかつて私が迷惑をかけた人だった。
最初はすぐ消すつもりだったけど、自分の知らない強そうなモンスターやユニークモンスターの姿が現れ、次第に配信に引き込まれていた。
そして――。
『ので登場していただこう、ウチのサイナさんにな』
そこから始まる、戦闘と、ライブ。
見ているだけなのに疲れてくるほどの動き、戦い。
心に響く歌、そしてその歌による世界の奪い合い。
気が付けば私は、時間も忘れて配信を見入っていた。
そして配信は終わり、私は一息つく。
「はぁぁ……」
今見た配信は決して忘れられない。
私は序盤しか体験していないけど、シャンフロは先に進めばあんなことが出来るのか。
私の中に憧れと――ワクワクが湧き上がる。
「……私、またシャンフロ始めよう……!」
~~~~~~~~
そして数日後、私は久しぶりに『アリノイユ』となり、このシャンフロの地に降り立った。
私にとっては『アリノイユ』と言う名前は、やらかしの証であり、戒め。
変える事だってできるけど、この名前はちゃんと背負わなきゃいけない気がする。
……いやでも、暴言吐かれたりするのはやっぱり嫌だけど……前に復帰した時も結構いたんだよね……。
「……うん、ネガティブ思考は忘れてとりあえず、お金を稼ぐことから始めよう」
そう呟いて、歩き出した。
……その矢先。
「あれ……アリノイユって……マジか」
その言葉に、思わず体が震える。
まさか再ログインして五分で名前を呼ばれるなんて思ってなかったから。
「なぁあんた。アリノイユってもしかしてさ~」
「ひ、ひひひ人違いです! 私アリノイユじゃなくてアソノイコなので!」
「ああそっか。すまん……………………いややっぱそのフォントって早っ!!」
私は思わず全力で逃げる。
あの感じの人は割とひどいこと言ってくることの方が多いから。
「ちょっと待てよ!!」
――ぴぃっ! 何で追いかけて来るのぉ!?
とりあえず路地裏に入って逃げようと、した時――。
――ドンッ――
「みゃっ!」
「おっと」
知らない人にぶつかってしまった。
この人はNPC……じゃなくてプレイヤーだ!
「す、すすすみません! あの、えっと」
「OKOK」
ぶつかってしまったことを謝り、そのまま行こうとしたけど。
「おー追いついた追いついた。なあなあ、逃げたってことは、あんたがあのアリノイユだよな? あの晒しの代名詞」
「あ…………えっと……」
「うっける~! 全然名前聞かなくなったから逃げたと思ってたけど、なんかまた始めたん? ヤバ。なあ、ちょっと来てよ。うちのクランメンバーに見せたいわ。これがあの有名なアリノイユちゃんだよぉ~って」
追いかけてきた相手は、ニヤニヤ笑いながら、小馬鹿にしたような声で私に手を伸ばしてくる。
「ひっ……」
思わず小さく悲鳴が出てしまった。
久しぶりにシャンフロ再開して、すぐこんな事になっちゃうなんて……。
どうしようもなくて、目をつむってるしかできなかった。
でも、私に誰かが触れることはなかった。
ゆっくり目を開けると、さっきぶつかってしまった人が、追いかけてきたプレイヤーの手を掴んでくれていた。
――助けて……くれたの、かな……?
「は? 何お前」
邪魔された方は、少し怒った声を出した。
空気が剣呑な物になる。
そして助けてくれた方がゆっくり口を開いて――。
「ىششىهىشىهيخعسهفشىخىشىهلششففشىخ؟」
「えっ」
「は!?」
なんて言っているか全くわからない言葉を話し始めた。
え、外国の人?
「外人!? なんで外人がシャンフロやってんだよ! つか日本語喋るだろ! そっちで喋れよ!」
「سغشلاثقثقعنثيخسخىى」
一向に日本語は話さず、ひたすら外国の言葉で話し続けて、やがて――。
「ちっ、もういいわ! わっけわかんねぇ!!」
そう言って、私を追いかけてきた人は、逃げるように去っていった。
「………………あ! えっと、あの助けてくれてありがとうございます!! って、日本語わからないのか……えと、せ、せんきゅーそーまっち!」
「はは、いやいや、ニホン語ちゃんと話せるよ」
「え、ええっ!?」
とても流暢な日本語だった。
~~~~~~~~
「ボクはSin。よろしく」
「あ、はい。私はアリノイユです。よろしくお願いします……あの、改めて、助けてくれてありがとうございました!」
「いいのいいの。……それより、どうして追っかけられてたの?」
「それは…………その……」
「……いや、言いたくないなら言わなくてイイヨ。ゴメンネ」
「え、い、いいえ! ……その、Sinさんこそ、どうして助けてくれたんですか……?」
「そうだネ……ほら、可愛らしい女の子は助けてあげなきゃダメだって、父に言われてるんだ」
「かわっ…………ぁ、で、でも、その、た、ただのアバターですし……」
「あはは、そうだったね。でもその愛らしい声を聴く限り、やっぱり可愛らしい女の子だと予想できるかな?」
「ふぇっ……」
し、Sinさん……サラッとそんなこと言ってくるのズルいです……。
その後、色々とお話をした。
Sinさんは初心者で本当にさっきゲームを始めたばっかりだということや、私が前に数回シャンフロをプレイしていた事。
でも、ほとんど初心者と変わらない事。
……流石に、
そしてSinさんはそのまま、楽しそうにシャンフロを始めたきっかけを話し始めた。
「ボクはサ。この前の配信で見た映像が忘れられなくて! 我慢できずに遥々この日本に、シャンフロをやりに来たんだ!」
「あ……それって……」
「そう!
サンラクさんの名前を聞いて少しだけ身構えてしまったけれど、確かにあの配信を見てしまったら興奮するのもわかる。
「私も見てました……すごかったですよね、あれ」
「ああ。正直震えたよ! だから祖国で配信を見てから、すぐにこっちに来たのサ!」
「……えっ!? そ、そんな最近日本に来たんですか!?」
だって配信があったの三、四日前……。
「そうだね。配信を見た二日後には日本について、シャンフロを始める準備を整えたよ」
「す、すごいですね…………」
えと、外国から日本に来るのも、VR機器をすぐにそろえるのもそんな簡単だったっけ……。
もしかして、近い国なのかな……あれ、そんな最近日本に来たのなら、なんで言葉……。
「その、Sinさんはどうしてそんなに日本語がうまいんですか……?」
「んー……ちょっとだけ、裏技……かな?」
「う、裏技ですか?」
「詳しくは内緒だけどね? それと、父の仕事の影響かな? 母国語以外もなるべく多くの言語を勉強はしているのさ」
「ほぇー……お父様は何をされてるんですか? あ、もしかしてSinさん学生さんだったりします!?」
もし学生なら、もしかしたら私と歳が近いかもしれない!
そう思って、少しテンションを上げながら聞いてしまった。
……けど。
「ん? あー……ボクは別に構わないんだけど、確か、こういうのあまり話しすぎると、マナー違反になると聞いたことがあるな」
「え、あ……っ……マ、ナー違反……」
――『マナーくらい弁えろやクズ』『アリノイユってあの晒し芸人かよ』『ネチケットもわかってない奴とはパーティ組みたくねぇわ』『うわ……まだやってたの?』『マナー違反しといてよく平気でゲーム出来るな』――
……あ…………ぁ…………。
「…………め……さい」
「ん?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
「え、ちょ……」
「悪気はなかったんです! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
「ちょ、落ち着いて! どうしたんだい? 急に……」
「……え、あ…………うぅ……じ、実は……」
私は結局、自分がやらかしたことを包み隠さず話した。
「なるほどネ……だから、さっきの反応か」
「……………………」
少し、怖い。
せっかく私を助けてくれた人なのに、私の行動で引かれてしまったらと思うと本当に怖い。
でも、Sinさんのその後の言葉は、私の予想に反し、明るい声色に乗って返って来た。
「だったら、謝るしかないよ!」
「……えっ」
「アリノイユは意図せず他人をネットに晒してしまった。だったら、本人に謝るしかないだろう?」
「で、でも……その、サンラクさんは……」
そう、
旧大陸の、それも最初の街にいる私が追いつくのなんて……。
「不安そうな顔だね。でも安心して? なんと偶然だけど、ボクもサンラクさんに会ってみたかったんだ。これってツイてると思わない? だって一緒に攻略していけるのだから!」
「あ……い、いいん……ですか……?」
「もちろん。さっきも言ったけど、可愛らしい女の子は助けるのは父の教えだからね?」
「Sinさん…………!」
「さぁ、ボクの手を取って? アリノイユ。一緒に攻略していこう」
そう言って、優しい笑顔で手を差し伸べてくれるその姿は、まるで王子様のようだった。
「っ…………はいっ!」
私はSinさんの手を握り、新しくシャングリラ・フロンティアを始めた。
目標はサンラクさん。
私は無許可で晒してしまったことを謝るため。
Sinさんは会って話をするため。
絶対、二人で会いに行ってみせます!
アラブの石油王の息子要素、匂わせるくらいしか出せなかった……。
この後リアルで、アリノイユの通う学校にアラブの石油王の息子が転校してきて、ひょんなことから、その人がSinさんと知る。
もしくは何も知らない状態でシャンフロ内でどんどん仲良くなっていく的な感じになるのかなって思います。
調子良ければそれも書きます。調子良ければ。
後、アラビア語はどちゃクソ適当ですので、悪しからず。