Ж月∃日
私の装備を用意しようと整備室の中を歩き回っている布仏本音を引き止め、更識簪を手伝うように言えば「もう、しょうがないなぁ…」と言いながら整備室の外へ行ってくれた。
彼女の技術者の腕前は確かなものだが、ずっと頼り続けるのは友達とは言えない。それに子供の頃から更識簪を支えてきたのは布仏本音だ。
あの子を失えば更識簪は完成とは言えない。
例えるならば火事場の力を奪われたキン肉マンのようなモノだ。それに、私は更識簪だけでなく布仏本音の調律したヌルと戦いたい。
身勝手だと言われようと彼女達と拳を交えたいという心は本物だ。ただ、篠ノ之箒の纏う打鉄には遠距離攻撃を行う武器は搭載されおらず、刀剣型兵装のみで戦うことになるだろう。
私は他人の戦い方へ意見するほど卓越した技術は持ち合わせていない。彼女には「いざとなれば私のことは見捨てろ」と伝えているが、篠ノ之箒は言うことを聞いてくれるだろうか?
そんなことを考えているとシャルル・デュノアが整備室の中へ入ってきた。なにか武装を付け替えるのだろうか?等と思いながら見ていると打鉄のデータを携帯端末へ移そうとしていた。
それは誰も使っていないモノだと教えながら首を締め、織斑千冬の休憩室と化した生徒指導室にシャルル・デュノアを放り投げるために整備室を出る。
Ж月↓日
なぜか織斑一夏は「なんでシャルを攻撃した!」等と言ってきたが、私は他人のデータを盗み取ろうとした者を説教してもらうために織斑千冬へ放り投げただけだ。
それに無理難題を押し付けてくるのは織斑千冬の方が多いからな?そんなことを言いながら彼から離れ、面倒なことを起こすのは控えるように伝える。
だいたい、私には関係無いことだ。
彼女の事情や仕事なんて興味もないし、彼女のことを助けようとは微塵も思わない。織斑千冬は最初から知っていたと言っていたが、本当なのかは調べようがない。
あと織斑一夏は面倒なことを考えるより目の前の課題を攻略することだけを考えろ。お前は織斑千冬の名前を守ると息巻いているそうだが、今も織斑千冬に守られていることを忘れるな。
そんなことを言えば「俺は守られてない!千冬姉の名前は俺が守るんだッ!!」なんて叫びながら詰め寄ってきたところを織斑千冬に捕まっていた。
お前は学習というモノを知らないのか?なんて思いながらも篠ノ之箒の振るう木刀を受け止める。お前の大切な人をバカにしたことは謝るが、私は相手の本質を見抜くことをオススメする。
Ж月М日
学年別トーナメント開催式を終えようとした瞬間、心臓を潰されたような痛みが押し寄せてきた。漫画やアニメのように「古傷が痛むぜ」なんて冗談を言えるほど生易しい痛みではない。
なんとか痛みを抑え込むことは出来たが、ハッキリとした診断を受けるまで戦闘は控えるべきだと篠ノ之箒に言われた。
しかし、それでは織斑一夏へ告白する機会を失ってしまうぞ。
そんなことを篠ノ之箒に言えば「友人の命より恋を優先するほど落ちぶれたつもりはない」と爽やかな笑顔を向けてきた。
それより何時から私は篠ノ之箒と友人だったんだ?なんて考えながら肩を借りて通路の壁際にあるベンチに座って保健医を呼ぶために走る篠ノ之箒の背中を見る。
ちょうど目の前を通り過ぎようとしたアバズレ生徒会長を呼び止め、観客席から硝煙の匂いが漂ってきたことを伝える。
私のことは放置することは構わないが、更識簪を危険に晒すことは許さない。アバズレ生徒会長は「簪ちゃんのことは任せなさい」と言いながら胸を触るのはやめろ。